YUYA KITANO / PORTFOLIO

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活 動

北野湧 也

経 歴

1999.09  新潟県上越市生ま れ

2018.03  新潟県立高田北城高校 卒 業

2019.04  京都工芸繊維大学建築学課程 入 学

2023.03  京都工芸繊維大学建築学課程 卒 業 2023.04  同大学大学院建築学専攻 入 学

2019.04-2022.03  京都工芸繊維大学バスケサーク ル K ugel 所 属(副部長 ) 2019.04-     京都工芸繊維大学テニスサーク ル E gali t e 所属(部長 ) 2019.04-2022.03  京都工芸繊維大学建築サーク ル N o ir 所属(幹部 ) 2023.10-2023.12  A cc ade m ia di Ar c hi t e tt ura Me n drisi o スタジオ参 加 2024.05   五十嵐淳建築設計事務所インターン 2024.12

木村松本建築設計事務所インターン

受 賞

2021.09  建築新人戦 2021 10 0 選選 出

2022.10  産学共同デザインフォーラム清水コンペティション 佳 作 2022.11   第 1 7 回ダイワハウスコンペティション電気を使わない家 佳 作 2023.01  卒業制作 学内優秀 賞

2023.02   D ipl om a x KY OTO'23 D ay2  8 選 五十嵐太郎 賞

2023.03  せんだいデザインリー グ 2023 10 0 選 赤れんが卒業設計 展 2023   10 0 選

2023.06  がまごおり公共建築学生チャレンジコン ペ 2023 安井審査委 員 特別 賞

2023.10  産学共同デザインフォーラム清水コンペティション 優秀 賞 2023.11   第 1 8 回ダイワハウスコンペティション笑う家 入 選

2024.03  さいかいタイニーハウスデザインコンテスト タイニーハウス 西 海モデル開発研究会 賞

2024.08  HOOP C HALL E NG E 実施コンペ 2024 星と川を楽しむための小さな建築 最優秀 賞

2024.10  産学共同デザインフォーラム清水コンペティション 佳 作 2024.11   第 1 2回 D ai to Com pe t i t i on ‒ 大東建託賃貸住宅コンペ 住まうまち、京都 二次審査進出 審査待 ち

雪の生きる場 所

九条山喞筒室再 生

退かずの家に笑 む

狭小の 懐

N o i r 学祭テン ト

Ar c hi F ur n i t ur e

雪の生きる 場 所

学内 優 秀 賞

せん だ いデ ザ インリ グ 202 3  100 選

赤 れ ん が 2023 100 選

Diploma × KYOTO'23 Day2 8 選  五 十嵐 太 郎 賞

有 数 の雪 国 である新 潟 県上 越 市におい て 、雪 は ア イ

デン テ ィテ ィ である一 方 、土 地 占拠、交 通 障害 な ど の

問題 か ら ネガ テ ィブ イ メ ジ を持 た れて い る。本 提 案 の 敷 地、上越 市 船見 公 園は、冬 の 間に は 雪捨て場 と し

て 、 市街地で 抱 えき れ なくなっ た 雪が 捨 てられる 。 広

大 な 土地が捨 て られ た アイデン テ ィテ ィ の山によ っ て

占 拠 されてい る 現状 に 衝撃を受 け 、こ の 地 を 雪 の 生 き

る 場 所へと 再 生 する こ とを 考 えた。火 葬 場は 、 都 市 に

お け る尽きな い 遺体 処 理の需要 を 満た す 重要な存 在 で

あ る が 、「死 」 への イ メージか ら 、 都市 か ら追 い や ら

れる よ うに 存 在 し て いる。重 要 な存 在 ながらも 、 居 場

所の 無 い 共通 の 境 遇 を抱 え る両 者 を、雪に は 居場 所 、

火葬 場 には 空 間を与え る こと で 共生を試 み た。 新 た な

雪搬 入 シス テ ムによる 円 滑な 搬 入によっ て 市街 地 広 域

の雪 を 賄う 本 建築 は 、 防災 施 設 とし て の役 割 を 果 た

す。 こ こで 雪 は、施工 に おけ る 支保工と し て、 空 間 を

つく る 一つ の 建材とし て はた ら き、これ ま でと は 全 く

異な る 火葬 空 間を生む 。 そし て 両者の共 生 によ っ て 、

雪は 捨 てる も の、火葬 場 は厄 介 者とし て の レッ テ ル を

互い に 取り 払 って ゆ く 。

私の地元、新潟県上越市は国内でも有数の雪国である。雪 は 県 民 の アイデンティ テ ィ である一方で交通障害、土地の占拠、 除 雪 など、県民の雪に対 す る ネガティブイメ ジ が指摘される。 ア イ デンティティである雪が邪魔者として扱われてしまう悲痛な 現 状 を放置しては置けな い 。

上越市には市街地で抱えきれなくなった雪が捨てられる雪 捨 て 場がある。上越市船見公園内 の 約 100 0 0 ㎡のこの土地も冬の 間 に は雪捨て場となる。地元のアイデンティテ ィ が ごみのように 捨 て られて い る ことに衝撃を受け た 。

本提案では雪の墓場と化しているこの地を敷地と し 、こ こ を 「 雪 の生きる場」へと 再 生 す る 。

か つ ての 雪 国の暮ら し は雪 と 共にあっ た 。電 化 製品がま だ 普 及

して い なか っ た 頃 、雪の 貯 蔵 庫「雪 室 」に 雪 や食料な ど を貯 蔵 し て 、

一年 を 通し た 食料保存 を 行い 、 夏には雪 を 売り 商 売をして い た 。

この よ うな 、 雪を利用 す る文 化 は 「利 雪 文 化 」 と呼 ば れ、 雪 国 の

気候 風 土な ら ではの文 化 であ っ たが、時 代 とと も に 失 わ れつ つ あ る 。

雪 は 捨て る のではな く 、利 用 するもの 、 とい う かつ て の 雪 国 の

精神 を 継 承 しな が らも 、 その文化 の 解釈 を 広げるこ と で、 現 代 に

おけ る 利雪 文 化を再興 で きる の ではない か と考 え る。それ に 伴 い 、

食料 保 存と い う用途に 限 られ て いた雪室 に も、 新 たな在り 方 を 考

え る 。

2700m

通 常 雪室 の 規模は最 大 で も 1 0 0 0 ~ 1 5 00tで あ るが 、 この 収 容 量で は 地域 を 雪から守 る には 至 らない。 本 提案 で の雪室は 貯 蔵 を 主た る 目的 と せず、地 域 を大 雪 から守 る 、 防災 施 設と し ての 役 目 を担 っ てい る 。よって 、 ここ で は既存の 雪 室の 許 容収容量 を 大 幅 に超 え る規 模 の雪を収 容 可能 と す る 。

本 雪 室に お ける、最 大 雪収 容 量 は 2 0 0 ,0 0 0 ㎥ 、 重 量 6 0 0 0 0 t で あ

る。 こ れが い かなる量 で ある か を上越市 内 屈指 の 豪雪地、 高 田 で

2 年に 行 われ た 一斉雪降 ろ しの デ ータを基 に 算出 す る 。

本 施 設に て 排雪でき る 面積 、 3110,0 0 0 ㎡ を 上越市に 当 ては め る

と以 下 の図 の ような範 囲 とな る 。関川以 西 の 住宅 街 一帯 の 排 雪 を

収容 可 能 とな る 。

2200m

2012 年高田地区一斉雪降ろし

除雪体積      除雪面積

6600 台分 54000 ㎥ 600,000 ㎡分

(全長 15 ㎞で行われた一斉雪降ろし高田地区の街区幅より除雪面積算出)

本施設

収容可能体積     除雪可能面積

24444 台分 200,000 ㎥ 3110,000 ㎡分

本施設にて排雪できる面積、3110,000 ㎡を上越市に当てはめると以下の図のよ うな範囲となる。関川以西の住宅街一帯の排雪を収容可能となる。

これまで、雪捨て場へ搬入される雪は、ダンプカーによっ て 運 ばれてきていた。敷地へ来るまでは既存の方法をそのまま継承 し 、 敷地内に入ってからの搬入の仕方を秩序ある、新規のものとす る 。

まず、ダンプカーは敷地西側から敷地全体を覆うスロープ へ ア プローチする。分散配置された雪室の脇には各所でたまりが 設 け ら れ 、 このたまりに停車し雪を落としてゆくこと で 、 他ダンプ カ ー の通行を阻害せず雪が搬入可能とな る 。

雪を受け止める器としての役割を果たす建材にメッシュを 挙 げ る。これまでの雪室には到底採用されることのないものである が 、 メッシュは生きた雪を見せてくれ る 。

メッシュの持つ大きな特徴の一つが透過、非透過の性質であ る 。 光、風、水、視線等は透過、その一方で固体としての雪は透 過 せ ずに留めておくため、壁のようにふるまうこともできる。雪 が 供 給される冬には内部のような空間をつくりだしながらも、だ ん だ んと雪が融けてゆくと内部から外部 へ と グ ラデ―ショナルに 空 間

国内で加速する少子高齢化。この高齢化進行により、死亡 者 数 は年々増加し、同時に火葬場不足が問題視されてい る 。

都市の発展の裏には、増加する遺体処理という社会問題が 常 に 潜んでいた。この問題の解消を担ってきた火葬場は我々の生 活 に とって必要不可欠な存在であるが、一方で避けられてきた存 在 で もある。このよ う な 二面性を持つ火 葬 場 は、常に都市と人と の 板 挟みとなり、結果として、都市から追いやられるような形を と っ ているのが現状である。ここ で は 火葬場に 空 間 を与えること で 、 火葬場が地域や人々にとって身近な存在となる可能性を見出 す 。

日本社会の高齢化、核家族化などの変化を受けて葬儀の在 り 方 もより簡略化、小規模化されつつあり内輪での親密な葬儀が 望 ま れることが多い。一方、現在の斎場のプランはその機能によ っ て 複数室が固められて配置されているため、時に他グループと 邂 逅 することになる。この原因の一つを機能でまとめられた室配 置 に あると考え、機能でなく、グループごとの単位でまとめる配 置 を 提案する。告別、火葬、待機、収骨といった過程を一つのユ ニ ッ ト内で完結させることで内輪での親密な葬送を行 う 。

水勾配 1/100

本 敷 地は 、 雪が融け て くる と 草木が生 い 茂り 、 人は侵入 で き な

い場 所 にな る 。リサー チ をす る と各所に 凹 凸が 目 立 つ 特徴 的 な 地

形 をし て いた た め、地形 に なぞ ら えたスラ ブ を壇 上 に配置し 、 そ

の 姿を 表 出 させ た 。設 計 者によっ て 意図 さ れた操作 で はな い た め 、

思い が けな い ところで 人 の居 場 所や水の 流 れが 生 まれたり す る 。

時 間 が経 っ た締り雪 は 、そ の 体積に対 し て融 け 出る水の 体 積 は

約 1 / 3 で あ る。すな わ ち、 最 大 2 0 0 ,0 0 0 ㎥ か ら 6 6, 6 6 6 ㎘ の 水 が 排

出さ れ るこ と となる。 雪 が融 け ゆく姿こ そ 、雪 が 生きてい た 証 で

ある と 考え 、 そ の 流 れ を可 視 化 さ せ た。敷地 全 体に 張 り巡ら さ れ

た ス リットを 流 れる 雪 融け水は 、 スラ ブ に沿って 緩 やか に 流 れ 、

時 々 溜まり、 徐 々に 海 へと還っ て ゆく 。 ここは雪 が 生き る 場 所 で

あ る と同 時 に 還 る 場 所 で も あ る 。

雪山

②スロープの型枠として雪山を造成する。

固練りコンクリート

断熱材・鉄筋

③雪山上に断熱材を打ち込み、配筋を行う。

⑤やがて、支保工としての雪が融け、スロープが現れる。

⑥雪に支えられていた建築は、雪を支える器となる。

コンクリートの打設において支保工の存在は必要不可欠であ り 、 それらの撤去作業や廃棄物排出など人や資源に大きな負担を か け る 。

雪は通常、固体としてふるまいながらも、融けることで液 体 へ と姿を変える。当たり前のことではあるが、集まることであ れ だ けの物量となるも の が 跡形もなく消えて い く のはとても不思 議 な ことであ る 。

そこ で 、 雪を支保工と す る ことを考える。雪は自然由来で あ る ため、資源に負担をかけず、また勝手に消えてなくなるため 撤 去 作業などもいらない。本提案では、雪を支保工に使用し、敷 地 を 覆う屋根兼スロープを施工す る 。

この建築はランドスケープとしての側面を持っている。敷 地 全 体は通して外壁の無い、外部空間であり、これまでは埋もれ て 使

われることの無か っ た 既存地形が表出した 霊 園 として地域に 開 か れる。墓石と緑が広がるような霊園ではなく、雪の大空間と 雪 融 け水が淡々と流れてゆく、静寂な霊園である。雪塊が視線や 動 線 を分節するため、開かれた空間にもプライベートな隙間が生 ま れ る 。

地上のランドスケープに加えて、屋根スロープも、一 つ の 空 中 ランドスケ ー プ をつくり出している。前面道路から連続的に つ な がるスロープは、ユニットへのアプローチとして利用される が 、 車だけでなく、歩行用の動線としても使えるよ う に 1 / 1 0 前後 の 勾 配となっている。 高 さ 2 0 m 、 全 長 30 0 m にも及ぶ巨大スロー プ は 雪の持つスケールの大きさを訴えかけながらも、眼下にどこ ま で も広がる日本海を眺望でき る 。

九条山喞筒室 再 生

共同:荒井渉 吾  村社英駿 吉田 智 陽

大学カリキュラム「保存再生プロジェクト」にお け る リサーチ及び、再生計画。様々な観光資源が点在 す る 蹴上エリアに今も流れる琵琶湖疎水。この疎水沿 い に 建つ「旧九条山ポンプ室」はかつて片山東熊によ っ て 設計された歴史的建造物である。本プロジェクト は 、 現在では使われなくなったポンプ室及びその周辺 帯 を舞台として調査を 行 い 報告書を 作 成 、後に調査 を 通 じ た 再生計画を 提 案 するものである。調査にお い て は、現地訪問を通した建物本体の保存状況や周辺 現 況 の把握や記録と併せて文献による調査も行った。 大 学 院 1 回前期を通して行ったこれらの調査から、再 生 す るにあたっての要点が浮かび上がってきた。構造 補 強 が必要な箇所へ施す補強方法は過去同様の事例な ど を 参考としながら最適な選択を行い、劣化や欠損部 分 等 へは解体、修復、復元のいずれとする か を 調査を 基 と した価値 判 断 から選択していった。また、ポンプ 室 本 体のみならず、その周辺への増築案やランドスケ ー プ の整備も同様に都市スケールの調査も含みながら 計 画 を行った。ポンプ室というちいさな規模での再生 を 通 しながらも、そこから派生される計画によ っ て 都 市 ス ケールの変化にも繋がることを 意 図 し た 。

耐力診断の結果から、上図赤色で 示 す 耐力壁の面外耐力が 不 足 しており、耐震補強が必要であると判明した。これら耐力壁 の 補 強 は 、「ポンプ室裏の既存のスペースをバットレスの設置スペ ス とすることができ る 」「疏水に面する正面ファサード及び人の 動 線 を阻害せずに設けることができる」という利点からから左図 の よ う な 片側バット レ ス を採用した。その他の診断結果から、許 容 値 を満足しない地下バルブ室の大梁や天井部分については部材 を 解 体し、新しい部材と交換することとし た 。

また、既存の躯体で取り壊す部分を地下ギャラリーとの垂直 動 線 のための、上図黄色で示す、ポンプ室南西側と宿直室のスラ ブ の みに留 め 、 介入を最 小 限 としてい る 。

疎水を取り巻くように配置された建築群は、既存ポンプ室 ンバージョンした疎水船待合所兼カフェやギャラリー、下船 レストラン及び遊歩道の機能で構成されている。これまでは の片岸で完結していた土地利用が遊歩道の橋がかかることに て エリア一帯の全面 活 用 を可能にし、流動的な動線が生まれ

既存のシステムに則り、ポンプ室前面は乗船場としてその 利用し閉鎖されていたポンプ室内をその待合所兼カフェとし 放する。ポンプ室の機能と歴史を象徴するポンプ本体は観賞 して保存し、吊り下げ照明傘の再利用、既存開口部はカフェ ンターに活用するなど大きな改変を伴わない操作でコンバー ンを行 う 。

ポンプ室は京都御所の防災を担い、天皇来訪の機会もあっ た こ とか ら 、そのファサードは贅が尽くされた本格的な様式建築と な っ ている。しかし、現地リサーチからそのファサードが眺望で き る ビューポイントが欠如していることが判明した。遊歩道とし て 架 けた橋は片流れ屋根によって歩行者の意識、視線を外側へク リ ア に開きながらポンプ室、疎水、トンネル及び背景の雄大な自 然 を 一望で き る 新たなビューポイントとして 機 能 す る 。

ポンプ室対岸に新たに新築するレストランではポンプ室の 正 面 ファサードを眼前にゆっくりと食事を楽しむことができる。 既 存 石垣の傾斜を踏襲しながら延長させたレストランのボリュー ム は ポンプ室と既存石垣 と の 距離感を 尊 重 し、ビューポイントか ら の 眺望を圧迫しな い 。

ポンプ室南東の九条山に位置するアートインレジデンス「 ヴ ィ

ラ九条 山 」に住むアーティストを誘致し作品を展示するギャラ リ をポンプ室に隣接し設け た 。

ポンプ室にはかつて藻採場として稼働していた地下室が存 在 し ており、この地下室をギャラリー動線の一部に組み込むこと で 垂 直方向の動きと関係性を生み出し た 。

一筆書きの動線を描きながら地上階から地下階へと潜り、 再 び 地上へ上がることで最終的にポンプ室内へとつながる。地上 階 で は直接的に触れ合わないポンプ室とギャラリーの両者が、既 存 地 下室を通して繋がる計画であ る 。

九条山の山裾に沿うような平屋のギャラリーは、雁行させ る こ とでボリュームを落とし、背景の山の斜面と呼応するように 片 流 れの屋根をかけたこ と で 連続的なリ ズ ム がアプローチに現れ る 。

円状の橋の外側に配された建築、疎水、トンネル、背景の 自 然 が一体的、シークエンスに見渡されることで新旧の景観が入 り 混 じる。この円弧は次第に蹴上インクラインの始点へと緩やか に 延 びてゆき、ここにかつての運搬ルートとして疎水とインクラ イ ン が連携的に関わって い た 歴史を 反 映 させ た 。

ポンプ室本体にて完結する保存活用法ではなく都市的な視 点 か らも利活用を見出してゆくことで蹴上の一体的な魅力が引き 出 さ れていくと考え た 。

退かずの家に 笑 む

共同:金子 豪 太 第 18 回ダイワハウスコンペティション 笑う家  入 選

道路拡張に 伴 う 立ち退きを拒否した一軒 の 家 。そ の 家 を避けるように湾曲した道路、道路で隔たれた両 岸 に 残る殺風景な三角地帯。一軒の空き家が生んだそ の 不 条理を人々は嘲笑する。その狭小な三角地帯に鉄 塔 、 小屋を施し 、 X 状の橋を架け繋ぐ。次第にそこは 子 供 たちや動植物の居場所へと還元され、誰もがその 橋 を 渡り始める。看板建築である空き家は一部が外部 化 さ れることで子供たちのたまり場、町の新たな看板 へ と 生まれ変わる。時を経て頭上に草木が茂り、緑の ル ー フが架かると大きな一つの家のような風景が生 ま れ る 。もうこの家は嘲笑される家ではな い 。みなが集 い 、 笑い合う家 だ 。

開 発 に伴 い 、立ち退 き を余 儀 なくされ る 住宅 の 数々。次 々 に 立

ち退 い てゆ く 中 、 立 ち 退きを拒 否 する 家 が 軒 。新 た に敷 か れ る

道路 は その 家 を避ける よ うに 湾 曲 し 、三角 地 帯が 両 岸に残る 。 人 々

は そ の 不 条 理を嘲 笑 う ので あ る

都 市 の負 の 遺産とも 言 える こ の三角地 帯 は空 き 家が残る こ と に

よっ て 、車 道 の視界を 阻 み、 街 にと っ て 不 良 好な 景 観 を 生 む 。 三

角 地 帯を挟ん だ 約 2 7 0 m も の 横断歩道 の 間隔 は 、この空 き 家 が 横

断 歩 道開設の 障 壁と な っている の では な いだろう か 。た っ た 軒

の 既 存住宅は 様 々な 問 題をその 周 囲へ 波 及させて い る 。

子 ど もた ち にとって は 自ら が 作った秘 密 基地 や 放課後の 学 童 、

生き 物 にと っ ては一本 の 木で さ えも家と 呼 べる 場 所ではな い だ ろ

うか 。 すな わ ち我々生 物 にと っ て の 家と は 自ら の 行き場、 身 の 置

ける 居 場 所 であ る 。都 内 の土地を 埋 め尽 く す資本の 波 にさ ら わ れ

てい っ たの は そういっ た 彼ら に とっての 居 場所 で ある。こ こで は 、

余り あ る居 場 所を保有 す る既 存 住宅に対 し て、 そ れ ら 余剰 が 居 場

所を 失 いつ つ ある者た ち にと っ ての居場 所 へと 還 元 さ れ てゆ く 提

案を 行 う 。

三 角 地帯 は 道路によ っ て複 数 に分割さ れ てい る 。目前に 車 が 行

き交 い 、狭 小 であるこ の 土地 に おいて面 的 な活 用 は困難で あ る 。

そこ で 塔を 設 け 、 高 さ 方向での 活 用 を試 み る。 高 さ方向へ 展 開 す

るこ と によ り 、車道に 対 して 距 離を取り つ つ、 浮 島となっ て い る

三角 地 帯の 体的な利 用 が 可 能 とな る 。次 に 湾曲した 道 路に よ っ

て生 ま れた 両 岸の三角 地 帯 の 4 つ の 端部をス ロ ープ の 始点 終 点 と

する よ う に X 上 の 橋を架 け る 。鉄 塔 が支 え るこの橋 は , 人が 渡 る

だけ で なく 動 植物が渡 る 橋と な る。動植 物 の住 処 を身近に 感 じ ら

れる こ の橋 は 対岸へと 人 々を 安 全に送り 届 けて く れ る 。

既 存 住 宅 は 看板 建 築 であ り 、前 面 道路から の ボッ ク ス状 の フ ァ

サー ド は張 り ぼてのよ う に背 後 の住宅の フ ァサ ー ドを隠し 持 っ て

いた 。 本提 案 では、か つ ての 張 りぼて部 分 であ っ た空間を 半 屋 外

空間 と し、 残 る空間を 屋 内空 間 とした。 こ れに よ り、かつ て の 既

存が 持 って い た 看 板 というキ ャ ラク タ ーがさら に 表 層 化 さ れ 、 新

た な 街の看板 と な る こ と を願 う 。

やがて頭上には木々が生い茂り、生き物が棲みつき子供が集 う 。 この家はもう嘲笑される家ではない。皆が笑い合う家であ る 。

狭小 の 懐

所狭 し と住 宅 が建ち並 ぶ 都内 の 狭小地を 舞 台と す る 本

住 宅 。

狭い 敷 地を い かにフル 活 用し 、 生活する か 。

この よ うな 敷 地である か らこ そ 人々の住 宅 に対 す る 意 識は 内 へ内 へ と向 く 。

この 住 宅は 狭 小地に「 懐 」を 生 み、住人 を 包 む 。

中に 住 まう こ とだけで は なく 外 へ踏み出 す きっ か け を

与え る 住 宅 。

1. 掘り下げる

本 設 計に お ける「懐 」 は外 部 でありな が らも 住 宅の一部 と し て

包ま れ るよ う な感覚を 得 られ る 空間であ る 。以 下 の 3 つ の 操 作 を

行う こ とに よ りこの「 懐 」を 創 出 す る

住 宅 全体 を G L か ら 1 5 0 0 掘 り 下げ囲ま れ た空 間 を設ける 。 目

線 よ り深く掘 り 下げ す ぎないこ と で圧 迫 感を軽減 し なが ら 外 部 を

取 り 込め、プ ラ イベ ト空間を 確 保し や すくな る 。

住 宅が密集 し 、通 行 人が通る 暗 渠と 接 している こ の敷 地 に お い

て 外 部のプラ イ ベー ト 空間を確 保 する た めにカー テ ンを 用 い た 。

カ ー テンによ り 空間 分 けながら 採 光、 視 線の遮蔽 を 調節 で き る 。

縁 側とリビ ン グを 体的につ な げる こ とで外部 と 内部 が 連 続 性

を 持 ち、より 「 懐」 が 住宅の一 部 とし て 取り込ま れ る 。

2. 区切る

3. つなぐ

~透過性・遮蔽 性 ~

カーテンは光、音、気配などを透過し、外的要素を取り込 み や すい一方で視線、空間を緩やかに遮蔽する。カーテン内部は 日 中 など外部が明るい時は外部から見えづらく、逆に内部から外 部 の 様子が見えやすいため視線を一方的に遮蔽でき る 。

~可動 性 ~

カーテンは壁とは異なり可動であり、かつその操作は容易 で あ る。またカーテンの操作に伴い、透過するものと遮蔽するも の も 同時に操作でき る 。

~断熱効 果 ~

カーテンを閉じることにより気密性が高まることに加え、 空 気 層が生まれるため断熱効果が期待で き る

押えコンクリート t=50 金コテ押え 防水層:アスファルト防水

GL+8510

カーテン:テフロンメッシュ

外壁:焼杉 t=20 + 透湿防水シート + グラスウール t=50 充填

水勾配 1/100

F 脱衣室

扉:ナラ練付

水切り:ガルバリウム鋼板 t=0.35

カーテン:テフロンメッシュ

GL-1510

扉:ナラ練付

捨てコンクリート

押えコンクリート t=50 金コテ押え 防水層:アスファルト防水

床:ナラ縁甲板 t=10 + パーティクルボード t=10 + フリーフロア(グラスウール t=30 充填)

扉:ナラ練付

押えコンクリート t=50 金コテ押え 防水層:アスファルト防水 水勾配 1/100 水勾配 1/100

レンジフード:SUS  t=1.2 バイブレーション仕上げ

天井:グラスウール t=50 充填

カーテン:テフロンメッシュ

外壁:焼杉 t=20 + 透湿防水シート + グラスウール t=50 充填 + 透湿防水シート + グラスウール t=50 充填

キッチン・食堂

床:ナラ縁甲板 t=10 + パーティクルボード t=10 + フリーフロア(グラスウール t=30 充填)

扉:ナラ練付

扉:ナラ練付

居間

踏面:ナラ縁甲板 t=10

床:ナラ縁甲板 t=10 + 温水床暖房 t=12 + パーティクルボード t=20 + フリーフロア(グラスウール t=50 充填)

ナラ練付

割栗石

収納

N o i r 学祭テ ン ト

共 同: 美 術 部 Noir メ ン バ

本学の学祭にて所属していた建築サークル美 術 部 N o i r のメンバーらと共同で設計、制作したテン ト 。 ホームセンターで調達 可 能 な角材と合板、ツーバ イ 材 のみでユニットを構成、ユニットの配置と固定の み で 迅速な施工を考慮した。平面計画 で は 流動的な 動 線 を 作り出すようにユニットの平面形状、配置を検討 、 立 面検討では滑らかな曲線が山並みのように変化 す る ファサードとなるよう各材の切り出し寸法を決 定 し た。学祭という不特定多数の利用が想定されるこ と か ら厳密な構造チェックが行われ、各方向からの荷 重 に 耐えうる構造が求められた。商品などを陳列する 陳 列 棚やベンチを構成する部材を横架材としてユニッ ト 全 体へと回し、ユニットが自立するような平面の曲 率 調 整などによって実現された。カッターで切り出さ れ た 各部 材 は 1 0 を超えるユニットとして学祭前日ま で に 作成された。施工当日にはユニットを指定の位置 ま で 運搬、合体して固定が迅速に行 わ れ 短時間の 施 工 で 無 事に全体が完成した。また、テント本体に加えて オ リ ジナル商品の制作及び商品供給のガチャの作成も 行 っ た。当日には商品が完売するほどの盛況を呼び、 部 員 メンバーらも自ら設計したも の が 実際に建ち上が る 感 動 を体験し た 。

設 計 の全 体 像が決定 し 、作 成 されたモ デ リン グ と模型。 部 材 の

寸法 な どは こ のモデリ ン グか ら 数値を得 て 線デ タを作成 、 レ

ザー に 入力 す ることで 精 巧な 部 材を切り 出 し た 。

こ の 段階 の モデリン グ 、

模型 は 比較 的 シンプル で スリ ム なイ メ

ジに 見 える が 、この後 に 構造 チ ェックに よ って 横 架材など の 補 強 。

が付 加 され 最 終的な施 工 に至 っ た

モック ア ップの様子。 ツ ーバイ材がかみ合 う ように陳列棚 の 板を レ

ザーによ っ て切り出 し 、 施工 が 容易 且 つ十分な 剛 性 が得られ る よ う な

寸法の調 整 が要求され た 。

特殊な 金 具、工具など は 必要とせずネジと 電 動ドライバー の み で 部 員

誰 も が施工可 能 な 工 法 とした。 ま たツーバイ材 も 切り出す長さ を 調 節 す るだけ で よく部材の制作効 率 が高 い 。

ユニ ッ ト一つ当たりの大 き さも 部 員 2 3 人で運搬 で きるほどの大 き さ に 留め、 重 量も過大となりす ぎ ないよう調整 さ れ た 。

施工前には部室内に全てのユニットが完成 し 、運搬に向け て 並べられ た 。 施工開始の学祭前日の夜からユニットが運び出され各ユニット同士 の 合 体、固定作業が行われた。短時間に限られた施工時間の 中 で 迅速な 施 工 が部員によって行われ た 。

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c hi F ur n i t ur e

HOOP C HALL ENGE 実施コンペ 2024 星と川を楽しむための小さな建築 最優秀 賞

山梨県丹波山村は、その周囲 を 2000 m 級の山々 に 囲まれる人 口 50 0 人の小さな村である。この村に 星 と川を楽しむための小さな建築を提案するコンペ 。

「家具を建築する 。」

建築は空間を 、家具は居場所を与える 。その域を超え 、 空間と居場所を両義的に創 造 できないだろうか。そ の 最小単位 、 910×1820×5 0 から建築される家 具 を 考 える。使用する材料 は サブロク合 板2 枚と蝶番、鉄 棒 の み 。合板 は N C を用い 、 コンピュータ制御による 自 動切削によって製 材 を行った。N C 加工を用いるこ と で「切り出す」ではない「くり抜く」加工が可能と な り、本来では余材となる部分を手つかずの状態で残 す ことができる。こ の 余材に建築の構成部材としての 意 味を与えることで、実質廃材をゼロにす る ことがで き た。本のように綴じられる本建築家具は各可動部材 が 相互的に絡み合うことで建築され、空間と居場所を 両 立する 。

特に大きな荷重がかかる座面のモックアップや、各接合部、 組 み立ての納まりを確認し、実際に使用する材と出力するデータ を 再調整した 。

材料には荷重に耐えう る 18 m m ランバーコアを選定し、座面 中 央には束を立てることでたわみに対処し、脚は線から点での接 地 に変更したことでより多様な場所でも安定するようなデザイン へ と変更された 。

作成した線データ を F usi on 36 0 へ出力し、N C 加工に用い る 3 次元データ及び、使用するドリルの調整、設定を行った 。

F usi on 36 0 よりデータ を N C 旋盤へと移行し、コンピュータ 制

御による自動切削を行った 。

切削によるバリをやすりで均し、外部での使用に耐えうるよ う に表面の処理を行った。各部材接合部に蝶番や鉄棒を取り付けた 。

収納時の不意な部材の開閉を防ぐためのストッパーをピンを通 すことで作成、組み立て時の部材同士の固定にダボ を用いた。

当初のデザインにはなかったが、現地での運搬の容易性が求 め られたため、シャフト及び車輪を作成し本体に直接取り付けた 。

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