Skip to main content

生研ニュース No.204

Page 1

■編集・発行

東京大学生産技術研究所 / 広報室

IIS NEWS

No.204 2025.1

●情報・エレクトロニクス系部門 教授

平川 一彦

IIS TODAY

本号の表紙を飾るのは、2025年 3 月に定年退職を迎 えられる情報・エレクトロニクス系部門の平川一彦教授 です。1987年に講師として着任されて以来、量子ナノ構 造やテラヘルツダイナミクスについて数々の成果を残し てこられました。撮影は実験室で行われ、実験装置とと もに、温かな笑顔を見せていただきました。 「私たちはアポロ世代なんです」と笑顔で語る平川先 生は、当初は宇宙工学への夢を抱いて大学に入学された そうです。宇宙工学に向けて、電気工学科で通信や制御 を学んでいましたが、4 年生への進学を控えた春休み、 実家で手に取ったキュリー夫妻の本がきっかけとなり、 物理・半導体研究の道へと進路を変更されたそうです。 1980年代は「速い素子を作る」というのが半導体研 究の世界での合言葉でしたが、平川先生は、電子が速く 動くときに何が起きるのか、その現象の背後にある物理 を探りたいと、基礎研究に軸足を置いた研究スタイルを 貫いてこられました。一つのデバイスの高性能化を追求 するというより、 道草を食いながら面白い現象を見つけ、 その物理を明らかにしていく。そういう探索的な研究に 喜びを感じていたとこれまでの研究を振り返ります。

この基礎研究重視の姿勢を支えたのが、生研という研 究環境でした。特に六本木時代、物性研究所が隣接して いた環境は、研究の幅を広げる大きな機会となったそう です。物性研の先生方と気軽に相談できる環境があった ことは、本当に貴重だったと当時を懐かしむ一方で、現 在の駒場 II キャンパスについては「かつての長屋のよ うな距離感は少し失われたかもしれません」と率直な思 いを語られました。 今後については、これまでの経験を若い人たちに伝え ていきたいと抱負を語っていただきました。長年の研究 生活の中で学生と関わる上で、年齢差はあまり意識せず にフラットに接してこられたと言います。 「学生は、あ る地点まで到達すると急に伸び始めます。その最初の成 功体験をどう作るか、 そこまでの道筋をどう設計するか。 それが大学教員の重要な役割かもしれません」と、若手 研究者の育成に強い思いを示されました。多様な基礎研 究で道を切り拓きながら、次世代の研究者を育てること に情熱を注ぐ。そんな平川先生の真摯な研究姿勢が、強 く印象に残りました。 (広報室 菅野 裕介)


Turn static files into dynamic content formats.

Create a flipbook