■編集・発行
東京大学生産技術研究所 / 広報室
IIS NEWS
No.205 2025.4
●物質・環境系部門 教授
立間
IIS TODAY
2025 年4月号の表紙を飾っていただいたのは、物質・ 環境系部門の立間徹教授です。立間教授は、 化学とナノフォ トニクスの融合により、新たな学問領域を切り拓いてこら れました。そのお話を伺う中で、既存の科学技術の延長線 上にはない新たな発見をした研究者の使命や苦労について 知り、巻頭言のことを忘れて引き込まれてしまいました。 立間教授が世界で初めてプラズモン誘起電荷分離 (PICS)という現象を報告されたのは 2005 年。 「早すぎた 発見」であり、理解されない時期もあったそうです。さ らに海外の研究者が同じ現象を6年後に発表し、そちら の方が注目を集めるという経験もされました。それでも、 機構を解明して周囲を納得させるとともに、応用可能性 を幅広く示してこられました。 立間教授は、PICS の用途として光電変換や光触媒をい ち早く提案しました。それらの研究が各国で盛り上がる と、その間に自身は、光ナノ加工などのまったく違う方 面へと、応用を展開しました。現在は、 「光ナノ加工によっ てメタマテリアルを作る」という課題に取り組んでいま す。メタマテリアルとは、天然の物質が持たない性質を 示す人工ナノ材料のことで、実現すれば、たとえば可視
徹
光を自在に曲げたりできるそうです。そんな材料を「光 と化学反応」によって、 手軽に作ることを目指しています。 生研での 20 年余りの間に、国内外に 20 名以上のアカデ ミアを送り出したことも、立間教授の自慢とのこと。そ の半数以上が、自分の研究グループを率いる PI だそうで す。毎年、弟子や孫弟子たちと開くシンポジウムが、楽 しみの一つだとか。 立間教授は「社会実装への期待」という生研特有の雰 囲気の中でも、 「基礎研究」を大切にしてこられました。 化学とナノフォトニクスの融合とその発展を支えたのは、 好きなことに深く集中して取り組める環境だったそうで す。そして、 「社会実装」 を大事にしつつもそれに縛られず、 自由で柔軟な発想を支援することも、未来の生研を支え る重要な方向性だろうとおっしゃっていました。立間教 授がよく若手に向けて口にする「自分の名刺代わりにな るような、独自の面白いことをしてください」という言 葉は、まさにご自身が「面白いこと」を追求し続けてき たからこそ生まれる言葉であり、その真意がひしひしと 伝わってきました。 (広報室 大内 隆成)