ヌーシャテル Neuchâtel
モルジュ Morges ジュー谷 Vallée de Joux
Cully
ジュネーヴ Genève
Vevey
リュッサン Russin
Schaffhausen
Basel
Zürich
Zug
Biel / Bienne
Thun ベルン Bern フリブール Fribourg
Emmental
Luzern
Brienz リギ Rigi
Andermatt
Gruyère
Château-d'Oex
Montreux
Aigle
Martigny
Sierre シオン Sion
Fully
西部スイス地方
Fribourg,Neuchâtel,Jura,Jura Bernois
レマン湖地方
Lake Geneva Region(Vaud)
ジュネーヴ地方
Genève
Zermatt
Interlaken
Brig
Mund
Visp
Saas-fee
ミッテルランド地方
Schweizer Mittelland
ベルナーオーバーラント地方
Berner Oberland
ヴァレー地方 Valais/Wallis
Locarno
Chur
St.Gallen
Appenzell
Maienfeld
Davos
St.Moritz
Soglio
Bellinzona
Lugano
Chiasso
バーゼル地方 Basel,Aargau 中央スイス地方 Zentralschweiz
Photo : swiss-image.ch, Läckerli-Huus, Confiserie Speck Zug, Union Fribourgeoise du Tourisme, Switzerland Cheese Marketing AG, La Gruyère, Emmentaler Schaukäserei AG,Altes Tramdepot Brauerei Restaurant AG, Office du Tourisme du canton de Vaud, Vacherin Mont-d’Or, Schweizerische Brotinformation, SBI, Raclette Suisse, Fotocomposizione Taiana, Josty Gastronomie GmbH, CHOCOSUISSE, MOB, Confiserie Sprüngli AG, Confiserie Teuscher AG, Chocolaterie Stettler, Chocolats & Cacaos Favarger SA, Confiseur Bachmann, Confiserie Tea-room Maier SA, Chocolat Alprose SA, Confiserie POYET, Sandro Vanini SA, Sierre Annivier Tourisme, Valais Tourism, Genève Tourisme Domaine des Molards, BierVision Monstein AG, Brauerei Locher AG, Eichhof Bier, Heineken Switzerland, Feldschlösschen Getränke AG, Rugenbräu AG, Kirschstrasse Schweiz GmbH Printed in Japan : January 2010, 50,000 copies ローザンヌ Lausanne
Poschiavo
チューリヒ地方 Zürich
東スイス地方 Ostschweiz
グラウビュンデン地方 Graubünden ティチーノ地方 Ticino
編集・発行:スイス政府観光局 発行日:2010 年 1 月 発行部数:50,000 部 ※原稿/写真の無断掲載は禁じます。 ※情報は発行時に確認したものです。
その後の変更や改定の可能性がありますので、ご了承ください。
Publisher : Switzerland Tourism, Tokyo
Concept & Text : Yuko Makino
スイス郷土の味いろいろ Local Specialities 多様性がキーワードのスイスでは食文化もいろいろ。
大きくみれば、ドイツ語圏ではソーセージやレシュティ、 イタリア語圏ではリゾットやピザ、パスタなど、言語圏に よってそれぞれ隣接する国の影響を受けた料理の傾向 がみられます。加えて、地理や気象条件などの自然環境 や暮らし方の伝統などの違いから、山岳地帯ではチーズ やサラミなど保存性の高い食品を使った料理、湖畔の 地域では淡水魚や名物のワインを使った料理など、さらに 細かく特徴が分かれています。口にあうかどうかはとも かく、せっかくなら旅の思い出に、一度は郷土の味を試し てみてはいかがでしょう。
鍋に 2 ~ 3 種類のチーズを入れて白ワインで溶かし長い フォークの先に刺したパンにからめて食べる料理。混ぜる チーズの種類や配合、ワインの量などレシピによって味が 異なる。
スイス全土(主な山岳地方)
チーズ・フォンデュ Fondue Fromage Käse Fondue 仏 独
サイコロ型の肉を油につけてあげる「フォンデュ・ブルギ ニョン Fondue Bourguignonne」というオイルフォンデュや、 鍋に熱したスープの中に牛や豚などの薄切り肉をさっとくぐ らせて食べるスイス風しゃぶしゃぶ「フォンデュ・シノワーズ Fondue Chinoise 」などのバリエーションもある。
ラクレット Raclette
スイス全土(特にヴァレー州の山岳地方) ドイツ語圏
Rösti
Bratwurst
トロトロに溶かしたチーズを茹でたジャガイモにからめて 食べる。料理と同名のラクレットという大きなチーズを半分 にして切り口に熱をあてて溶けた部分をそぎ落とす。名前 は “ 削りとる”という意味のフランス語 “ラクレ Racler”に由 来している。薪の火で溶かす伝統的な方法でつくる店は少 なくなり、専用の電熱器で溶かすスタイルが主流。家 庭用の卓上電熱器もありスイスでは冬の定番料理として広 く親しまれている。
ジャガイモの細切りをフライパンで炒め、パンケーキのよう な形にして表面がカリカリになるまでこんがりと焼いたもの。 とくにスイスのドイツ語圏を代表する料理で、メインや付け 合わせによく登場する。フランス語圏であまり食べられる ことがないので、ドイツ語圏のことをレシュティ文化圏とも いい、ヴァレー州にある言語の境界線を“レシュティの溝 ”と いったりするほど。
焼きソーセージ。野外のバーベキューの時や屋台などでは グリルしたものにお好みでマスタードをつけてパンと一緒に そのまま食べるのが定番。レストランではさまざまなソース をかけて食べることもある。地域によってソーセージの バリエーションも豊富。付け合わせとしてはフライドポテトや レシュティが添えられることが多い。
グラウビュンデン州
カプンス Capuns
湖水地方(主にフランス語圏)
フィレ・ドゥ・ペルシュ Filet de Perche
ヴォー州(レマン湖地方)
パペ・ヴォードワ Papet Vaudois
グラウビュンデン州
ビュンドナー・フライシュ
Bündnerfleisch
小麦粉で練った生地に刻んだベーコンなどの具を入れ、 フダンソウの大きな葉で巻いたもの。混ぜる具材や上に かけるソースなどのバリエーションが豊富。
英
湖でとれる小さな魚ペルシュ( パーチ)をムニエルか フライにして食べる料理。ゆでたポテトを付け合わせに することが多い。あっさりとした味の白身魚で日本人にも 食べやすい。
炒めたポワロー(西洋ネギ)とタマネギを、白ワインやブイ ヨン、クリームで煮込んだピューレー状のソースと、ヴォー州 名物のソーセージをあわせて食べる。
ヴァリサー・トロッケンフライシュ
Walliser Trockenfleisch
ヴァレー州 AOC AOC
グラウビュンデン州
ビュンドナー
ゲルシュテンズッペ Bündner Gerstensuppe
山岳地方(主にドイツ語圏)
アルペンマカロニ
Älpler Macaroni
ティチーノ州
ポレンタ Polenta
ティチーノ州
オッソ・ブッコ(オッソ・ブーコ)
Osso buco
チューリヒ州
Geschnetzeltes
ベルン州
細かく切って日干ししていた野菜と麦を、特産のベーコン や干し肉などと一緒にじっくり煮込んだスープ。保存食材 をうまく利用した冬の定番料理。 スパイスなどを配合した調味液に漬けこんだ牛肉の塊を 乾燥させてつくるドライビーフ。もともとは山小屋の軒下や 屋根裏など風通しのよいところに吊るしていた山岳地方 に伝わる保存食のひとつ。カンナのような道具で薄くスラ イスしたものを、そのまま手でつまんで食べるか、バターを 塗ったパンの上にのせて食べる。両地方の名産である赤 ワインのつまみに最適の一品。
小さく切ってゆでたジャガイモとマカロニをチーズであえ たもの。カリカリにあげたタマネギがトッピングされ、リンゴ をすりおろしたソースがつくことが多い。山小屋レストラン などでよく見かけるメニュー。
トウモロコシでつくる穀物粥の一種。家庭ではつくりたて の柔らかい状態を食べることが多いが、レストランでは固 めておいたものを軽くあぶって出すこともある。付け合わ せの定番だが、チーズやソースをかけて主食としてもよく 食べられる。
子牛のスネ肉を野菜やキノコと一緒に赤ワインやトマトで じっくり煮込んだもの。
薄切り仔牛肉をマッシュルームと一緒にクリームで煮込 んだもの。スイス風ビーフストロガノフ。
ベルナープラッテ
固まりの肉やソーセージ、ベーコンなどを野菜と一緒にスープ で煮込んだ料理。ポトフ(洋風おでん)のようなもの。 ゲシュネッツェルテス
Bernerplatte
グラウビュンデン州(とくにエンガディン地方)
エンガディナー・ヌストルテ Engadiner Nusstorte
ティチーノ州
トルタ・ディ・パーネ Torta di Pane
バーゼル
バーズラー・レッカリー Basler Läckerli
ティチーノ州
アマレッティ Amaretti ツーク州
ツーガー・キルシュトルテ Zuger Kirschtorte
伝統のお菓子と祭り
マイリンゲン、フリブール州、ヴォー州
メレンゲ Meringue
グリュイエール周辺のフリブール州やヴォー州で 7 月~ 10 に開催される“ベニションBénichon” 。もともとは献堂式とし 始まった宗教行事だったが、次第に民俗的な収穫祭や 謝祭として行われるようになった。ベニションの時に用意される 特別なお菓子やパンが決まっており、中世の頃からの伝統が 今に受け継がれている。
・Cuchaule(サフランを少し入れて焼く特別なパン)
Moutarde de bénichon(スパイスとヴァン・キュイでつくるジャム)
・Meringues à la double crème(メレンゲとダブルクリーム)
Bricelets(ゴーフレット菓子)
Pains d’anis(アニスのパン)ほか
ぎっしりクルミとキャラメルがつまったタルト。ビュンドナー・ ヌストルテとも呼ばれる。約3ヶ月は味が変わらないほど 日もちがする保存食のようなお菓子。約 200 年前にエンガ ディン地方の菓子職人がイタリアなどに移住した後に谷に 戻ってきてレシピを完成させたといわれている。
硬くなったパンを使ってつくるケーキ。家でよくつくられる お菓子なので各家庭でレシピが微妙に異なる。温めた 牛乳に細かくしたパンをひたし、柔らかくなったものに フルーツピールやレーズン、砂糖、卵を入れて混ぜ、型に 入れたら松の実を上にのせて焼くのが基本。アマレッティ、 グラッパやレモン果汁を入れてつくることもある。
蜂蜜、シナモンやナツメグなどの各種スパイス、ナッツ、 ピール類が入った独特の固い焼き菓子。砂糖でコーティン グされており、厚さ1mくらいの一口大にカットされている。
14 15 世紀からの歴史を誇り、バーゼルのレッカリー (バーズラー・レッカリー)として18 世紀の文献にも登場して いる伝統のお菓子。
アーモンドを粉にして卵白を泡立てたメレンゲと混ぜて焼 いたもの。店によっては、レモンやリキュールで香りづけする こともある。ややしっとりとしたソフトクッキーという感じで、 コーヒーやエスプレッソのおともに最適のお菓子。
名産の蒸留酒キルシュ※をたっぷり使った芳醇なケーキ。 アーモンドの粉とメレンゲを混ぜて焼いた生地と、キルシュ をしみ込ませたソフトビスケットまたはスポンジ生地を、 キルシュ入りのバタークリームでサンドして、形を整えたら 側面にスライスアーモンドを飾り、表面に粉砂糖をふって 仕上げる。※ P45 参照
卵白と砂糖を泡立てたお菓子。フリブール地方の名物でも あるが、メレンゲ(仏語でムラング)という名前の語源とい われる山村マイリンゲンで17 世紀頃にイタリア人の菓子 職人がつくったお菓子が始まりだという説が有力。約 20 年 前に世界最大のメレンゲを完成したマイリンゲンでは1日 平均 1500 個のメレンゲが焼かれている。
季節の味いろいろ 12月-3月
ワインを温めて、シナモン や クローブなどのスパイスと 砂糖を入れてつくる(主に赤を 使用)。“熱いワイン”という 意味の独語でグリューヴァイ ン、仏語でヴァン・ショーと 呼ばれている。体が芯から暖 まるため、寒い冬 にぴったり。 とくにクリスマス・マーケットで 定番の飲み物。
タンポポ Löwenzahn Dent-de-lion (Pissenlit)
3月-5月
フレッシュなサラダは春の楽しみ だが、とくに早春限定のメニュー は タンポポの葉のサラダ。昔 からヨーロッパでは食用とされ ていてビタミンも豊富。花が咲 く前の小さくて柔らかい若葉を 使う。ゆで卵やチーズをそえて、 白ワインベースのドレッシング をかけて食べることが多い。
イチゴ 独
チーズフォンデュ 独
Käse Fondue Fondue Fromage
Glüwein Vin chaud 仏 仏 仏 仏
12月 3月
観光客のためレストランでは1年中楽しめる人気 メニューだが、スイス人は暑い夏に食べることはあまり ない。日本でいえば鍋物のような感覚で、冬になると 家族や仲間と一緒にあつあつのフォンデュを楽しむ。
Erdbeere Fraise
5月-7月(夏栽培のものは10月まで)
10 月くらいまで食べられるが、露地栽培の旬は5 月~ 7 月。 春になるとスーパーの軒にイチゴが並び、レストランにはイチ ゴのデザートメニューが登場する。そのままホイップクリーム やアイスをそえて食べることが多い。赤ワインソースにつけ
*料理の説明はP4 1 2 3 4 5 6
アスパラガス 独
Spargel Asperge
4月中旬 6月中旬
ドイツやスイスで春の到来を告げる野菜といえばアスパラガ ス。日本でみるような缶詰とちがってフレッシュで太い白アス パラはしゃきしゃきとした歯ごたえが絶品。ゆでてサラダにし たり、オランデーズソースをかける食べ方が定番。クリーム スープやチーズを上にのせて焼いたグラタン風のメニューも よく見かけるもの。
独
独
Pilz Champignon
1 年中キノコはあるがメインシーズンは秋。スイス 人はよくキノコ狩りを楽しむので、自治体ごとに 採取制限や専門家による相談サービスもある。
独特の香りやコクを出すキノコはソースによく使わ れる。とくにポルチーニ( シュタインピルツ、 セ ップ)はソテーにしても美味しい。
ジビエ料理 独
Wild Chassé(Gibier)
9月-11月
仏語でジビエとよばれる鹿や野豚、ウサギなどの野禽獣 の肉。野性味あふれる味わいでヨーロッパでは人気が高い。 グラウビュンデンやヴァレーなどの山岳地方を中心に野生 動物の多いスイスでは、狩猟が解禁になる秋、各地のレス トランでジビエの特別メニューが登場する。
8 9 10 11 12
Aprikosen Apricot
6月下旬 9月初旬
ヴァレー州を中心に栽培されている。主に 蒸留酒をつくるのに使われるが、初夏から 夏にかけて山のレストランなどでは手づくり のアプリコットタルトやケーキが楽しめる。
焼き栗 ザウザー/ムー 独
Sauser (Suser) Moût
9月 10月
少し発酵し始めた葡萄ジュース。
果汁の甘さにわずかに酸味が加わ り、舌にはじけるような微炭酸 が あるのが特徴。収穫期にワイン 生産エリアのレストランやワイナリー で味わうことができる。
独
Heissi Marroni Marrons grillés
11月下旬-2月
街のあちこちに登場する焼き栗の屋台は 秋から冬にかけての風物詩。グラム単位 で気軽に買って、歩きながらほおばる人 が多い。天津甘栗のように甘くないが、 栗本来の素朴な甘さが味わえる。
スイスのチーズ Cheese Käse Fromage Formaggio
スイスは九州と同じくらいの小さな国土ながら、生産量が世界のトップ 複雑な気候・風土、そして地域単位で独自の伝統や文化を守る気質が数百種類にものぼる個性的な チーズを生み出しています。現在ではどこでも全国各地の名産チーズを味わうことができるようになり ましたが、牧童の暮らしが息づくチーズの里を訪ねて、地元のレストランでチーズ料理を食べてみるの もよいでしょう。
スイスチーズの 歴史
国土のほとんどが山地というスイスでは、山の牧草地(アルプ ※)で古くからチーズを つくってきました。1世紀頃の文献にも「カゼウス・ヘルヴェティクス Caseus Helveticus (ヘルヴェティアのチーズ)」として記録があります。アルプスの山小屋でつくられるチーズ は「カゼウス・アルピヌス Caseus Alpinus 」「カゼウス・モンタヌス Caseus Montanus 」などと呼ばれ、ローマで も珍重されていたそうです。中世になって牛の胃袋からとった凝固酵素を使うようになると、長く保存がきく 硬質か半硬質のチーズが主流となり、スイスの特産品として 18 世紀頃にはヨーロッパ中に輸出されるように なりました。長い冬を雪の中で越さなければいけない峠の小屋(ホスピス)には、硬質チーズが備蓄されており、 イタリアをめざすナポレオン軍が 1800 年にグラン・サン・ベルナール峠を越えた時に4 万の兵士が約 1 .5tの チーズを食べたというエピソードも残っています。
チーズは優れた 健康食品
仏 独 伊 独 独
アルプの柔らかな高山植物や牧草を食べた牛のミルクでつくるスイスチーズは高品質な健康 食品。ほとんどの場合、絞りたての生乳(非加熱処理)をそのままチーズづくりに使っています。
栄養面で非常に優れている生乳を使うことができるのは、ミルクが新鮮なことと硬質チーズである ことが絶対条件。スイスの場合、チーズ工房と搾乳所がすぐ近くにあり(同じ山の場合がほとんど)、長い熟成期間に 悪いバクテリアが死滅する硬質タイプをつくっているのでヘルシーで安全。100 ℓの牛乳からフレッシュチーズは18 ㎏つく れますが、硬質チーズならたったの8 ㎏。つまり硬質チーズにはより多くの牛乳の栄養が凝縮されているというわけです。
チーズづくりと 牧童の伝統
仏 仏
アルプスの祭りや風習はチーズをつくる牧童たちの暮らしと結び ついています。アルプに草が生えてくる春には、牛やヤギを連れ て山を上っていく「牧のぼり」( アルプアウフツーク Alpaufzug/ モンテ・ア・ラルパージュ Montée à l’alpage)。夏にはアルプの山小屋で過ごす彼らの 娯楽として楽しまれていた石投げやスイス相撲などの伝統競技 や、アルプホルンの演 奏や旗投げなども行われるアルプスの夏祭りが各地で開催されます。秋になると、アルプで 作ったチーズを持って、牛たちを連れて山を下りてきます。春の時と同様に、華やかに飾 りつけた牛たちと伝統衣装を着た牧童たちが行進する「牧くだり( アルプアプツーク Alpabzug/ デザルプ Désalpe)」が見られるかもしれません 。麓の村での収穫祭と 一緒になって秋祭りが開催される場合もありますが、とくにハスリベルクやユースティス谷、 グロッセシャイデックなどでおこなわれる独特のチーズ分配の祭りは有名です。
※標準ドイツ語ではアルムAlmだが、スイスドイツ語ではアルプAlpという
スブリンツ Sbr i n z
中央スイス地方
1 6 ~ 3 0ヶ月 の 熟 成 が 必 要 な 硬 い チ ズ 。 荒いブロック状に 削りとるか 、カンナ のよう な道 具で薄く削って食べる。ロ マの文 献に あるチ ズと特徴が 致するため古いチ ズ の種 類と考 えられている。スブリンツの名 前 は 1 6 世 紀 からチ ズ 交 易 の 拠 点となった ブリエンツに由来 。
テット・ドゥ・モアン
T ête de M oin e
ジュラ州
AO C 半硬 質 0.7~2㎏
約 800 年以 上という歴 史を誇るチ ズ 。上 部 を削って食べるので頭を剃った修道 士に例 えて、フランス語 の“ 修道 士 の頭 ”と名 づけら れ た 。発祥 地 の 修道 院 の 名 前 から「 ベ ルレ チ ズ F ro m ag e de Be lle l a y 」とも呼ぶ。 ジロ ルという専 用 の 道 具 で、花びらのよう に薄く削って食べる。
Em me nt a l
アッペンツェラー Appenzel l e r
Bündn e r Ber gk äs e
AO C 超硬 質 25~45㎏ 半硬 質 6~8㎏ 軟 質&半硬 質 5㎏
アッペンツェル 州と周 辺 の 州 の 部
7 0 0 年 以 上 前 から2 0 世 紀 初 頭までザンクト ガレン の 修道 院 に 納 めら れ て き たという 歴 史 をもつチ ズ 。現 在 でも 秘 伝とされ る “スルツ Su lz ”というアルプスのハ ブを独 特 の 配 合 で 混 ぜ た 塩 水にチ ズ をひ たし、
3 ~ 8ヶ月 の 熟成期 間もまめに 磨くといった 伝 統 の製 法を守っている。
フォルマッジオ・ダルペ・ティチネーゼ
F o rmaggi o d'alp e t i cines e ビュンドナー・ベルグケーゼ
グラウビュンデン 州
古 代ロ マで贅 沢 な 貴重 品として珍 重され たレ ティア( 現グラウビュンデン州 )生まれ の 山 のチ ズ 。アルプ で搾 取するフレッシュ なミルクから作られ るチ ズ で 、3 ~ 4 ケ 月 の 熟 成 で 出 荷 する軟 質 タイプと6 ~ 8 月 の 熟 成が必 要 な半硬 質 の2 種 類ある。
ラクレット Ra c lett e
AO C 半 硬 質 3~10㎏ 半 硬 質 5.5~7.5㎏
ティチ ノ州の山岳地帯
夏 の 間 、ア ル プ で 放 牧 さ れ た 牛 の 生 乳 ( 部 ヤギ 乳 を 混 ぜ る)を 使う素 朴 な 山 の チ ズ 。すでに 1 2 世 紀 の 文 献に記 述 がある ため 半硬 質 チ ズ の 先 駆けとい わ れる。最 低 2 ケ 月 の 本格 的 な 熟 成 の 前に 、アルプ で ヨ ロッパトウヒまたはヨ ロッパカラマツの 板にのせておく。
スイス全土の山岳地帯 スイス名 物 のチ ズ 料 理「ラクレット」に使う 大 きな チ ズ 。料理 名にもなった チ ズ の 名 前 はフランス 語 で削るという意 味 の 動 詞 “ラクレ Ra c ler ”に由来 。今はスイス 各 地 で つくられ ているが 、もともとはヴァレ 州 の アルプ ス 生まれ 。独 特 の 食 べ方 は 中 世 から 始まったとされる。
Gru y è r e
Vac h e rin Mo nt - d' O r
エメンタール Emmental ベルン駅から列 車 で約 20 分( Burgdorfまで) 標高:約500~800m 言語:ドイツ語 www.myswiss.jp/area/06/
エメンタール Emmental 硬質 75~120㎏
ベルン州、ルツェルン州などスイス北部から中央部の各地
12世紀にエンメ谷周辺で製法が確立した穴あきチーズ。19世紀には広い範囲でつくら れるようになった。直径約1m、重さ100kgのチーズ1個に約1200ℓの牛乳が必要。4~ 18ケ月の熟成過程で発生する炭酸ガスで独特の穴ができる。
エンメ川が流れる谷(エンメンタール)は、世界的に有名な“穴あきチーズ”のふるさと。日本ではエメンタールという名前 で定着しています。奥にベルナーアルプスの山々が連なる丘陵地帯で、一面に広がる牧草地に伝統的な農家の家々が 点在する、のどかで美しい田園風景が魅力です。のんびりポストバスで旅してみるのも良いでしょう。
アフォルテンのチーズセンター Emmentaler Schaukäserei Affoltern
近代的なチーズ工場で製造工程が見学できる(約 1 時間)ほか、チーズ料 理などが味わえるレストランやチーズショップを併設。また、同敷地内には、 古いチーズ小屋を使ったパン屋や、村の共同チーズ小屋を改修した手工 芸品の店もある。1741年に建てられた牛舎では、大鍋を使った昔ながらの チーズづくり体験も可能。※団体のみ/要予約
毎日8:30~18:30
ベルン駅から列車で約40分(Hasle-Rüegsauまで) さらにバスで約15分(Affoltern i.E.Dorfまで) www.showdairy.ch
グリュイエール Gruyère
グリュイエール Gruyère ACCESS INF O
ブリブ ル駅からバスで約 1 時間( Bulle 乗り換え) 標高:約750m 言語:フランス語 www.myswiss.jp/area/13/
硬質 25~40㎏
AOC
フリブール州、ヴォー州、ヌ シャテル州、ジュラ州
グリュイエール地方生まれのチーズは1115年の文献に登場しているほど歴史は古い。 14世紀中頃から広く知られるようになり、16世紀にレマン湖からリヨンを通ってフランス へ輸出が拡大すると流通の拠点であった村の名がそのままチーズの名前となった。 アルプに放牧している牛の生乳を使い、エピセア(ヨーロッパトウヒ)の板に置いて5 ~ 16ケ月ほど熟成させるという製法が独特の香りをうみだしている。
美しい湖やモレゾン山など豊かな自然に恵まれたグリュイエール地方。一帯は牧畜を中心とした伝統の暮らしが息づいて います。チーズの名前と同じ名前の村は数分で歩けてしまうほど小さく、のどかなメインストリートに郷土の民芸品などを 販売する店が並んでいます。丘の上にそびえる古城は中世の栄華を今に伝える名城のひとつ。
メゾン・デュ・グリュイエール
La Maison du Gruyère
グリュイエール駅前にあるチーズセン ター。周辺のアルプで放牧する36 軒 の契約農家が持ち込む生乳で1日に 3~4回はチーズをつくる。約7000個 のチーズを熟成する大きな貯蔵室や 工場を見学することができる。パネ ルやフィルムのほか、多彩な方法で チーズのことを学べるコーナーあり。
併設のレストランで郷土料理を楽し むこともできる。
ACCESS
毎日9:00~18:00(6~9月は19:00まで) グリュイエール駅から徒歩1分 www.lamaisondugruyere.ch
フロマジェリ・ダルパージュ・モレゾン
Fromagerie d'Alpage Moléson
モレゾン村にある1685年に建てられ た山小屋では、薪で火を燃やし大き な鍋を使う昔ながらのチーズづくりの 形が今でも受け継がれている。チー ズの直売のほか、素朴なレストランで は名物のフォンデュなどが味わえる。
1 日 2 回おこなうチーズづくり(※)は、 見学も可能(団体の場合は要予約)。
OPEN
ACCESS
INF O
5月中旬~9月下旬 グリュイエール駅からバスで15分 www.fromagerie-alpage.ch ※6月~8月は朝10:00/午後14:30(5月・9月は朝のみ)
VISIT チーズの里を訪ねる
ペイダンオー Pays-d'Enhaut ACCESS
INFO
モントルーから列車で約1時間 ( Château-d'Oex 駅まで) 標高:約 1000m 言語:フランス語 www.myswiss.jp/area/09/
レティヴァ L'Etivaz
硬質 10~38㎏ AOC
ヴォー州アルプス(ペイダンオー地方中心)
5 月から10 月の間、山小屋で薪火をたいて大鍋でつくる伝統のチーズ。直径は30 ~ 65cm。毎年12000~14000個ほど生産される。産地によって味に違いがあり、薪に使う エピセアの煙やアルプのハーブが醸し出す香りが特徴。普通でも最低135日の熟成が 必要だが、保護された牧草地で放牧する牛の生乳でつくり、30ヶ月も寝かせたものを とくに「レティヴァ・ア・ルビーブ L'Etivaz à Rebibes」と呼ぶ。
フランス語で“ 上にある地方 ”という意味をもつペイダンオーは、山間に牧草地が広がるのどかな地域。世界初の熱気球 世 界一 周無着陸飛行の出発点として知られるシャトーデーや、画家のバルテュスが晩年暮らしたロシニエール、故ダイアナ 妃が少女時代を過ごしたルージュモンなど、豊かな自然に抱かれた素朴な村が点在しています。昔ながらの酪農農家が 多く、祭りや独特の切り絵細工など牧童たちの暮らしと伝統が残るチーズの里でもあります。
ル・シャレー Le Chalet
シャトーデーにある伝統の山小屋レストラン。
ラクレットやフォンデュなど美味しい郷土料理 が味わえる。チーズを販売するショップのほか、 鉄道模型や地元の工芸品などの展示室も あり。レストランの一角では、薪の火と銅の 大 鍋を使う昔ながらのチ ズづくりを見ること ができる。
OPEN
ACCESS
INF O
メゾン・ド・レティヴァ La Maison de L'Etivaz
火曜~日曜9:00~18:00(金曜は23:00まで) ※チーズづくりは水曜~日曜13:30~15:30 シャトーデー駅から徒歩5分 www.lechalet-fromagerie.ch
レティヴァ地区にある共同のチーズ貯蔵庫と 生産者組合の直営ショップ。チーズや地元の 特産品を購入できるほか、チーズづくりに関す るスライドショー、貯蔵庫の見学、チーズの試食 (ワイン付き)なども楽しめる。30ヶ月の熟成が 必要な「レティヴァ・ア・ルビーブ」が約 14000 個ストックされる貯蔵庫には毎年 500~800個 の新しいチーズがもちこまれる。
OPEN
ACCESS INF O
5月~9月/毎日 7:30~18:30 10月~4月/毎日 8:00~12:00、13:30~17:30 シャトーデー駅からバスで約20分 www.etivaz-aoc.ch
ジュー谷 Vallée de Joux
ACCESS
INFO
ローザンヌから列車で約1時間 ( Charbonnièresまで/ Le Day 乗り換え) 標高:約 1000m 言語:フランス語 www.myswiss.jp/area/09/
ヴァシュラン ・モンドール AOC 軟質 0.4~3㎏
ヴォー州ジュー谷周辺
800 年頃からリズーやモンドール(黄金の山)のアルプに牛を放牧してグリュイエール チーズをつくっていた農家が、牛乳の量が少なくなる秋に、小ぶりですぐ食べられる 軟 かいチーズをつくり始めたのが起源といわれる。直径は10 ~ 32cmで熟成も17 ~ 2 5 日間と短い。薄橙色の表皮の 下にあるクリーミーなチーズは世界的にも人気が 高い。8月中旬から3月末までの限定生産。
『ヴァシュラン・モンドール』のふるさとは、フランスにまたがるジュラ山脈の南端に位置し、ダン・ド・ヴォリオンやモンドール などの山々やジュー湖、ブルネ湖といった湖や森の木々に囲まれた美しい谷です。「ブランパン」「オーデマ・ピゲ」「ジャガ ー・ルクルト」「ブレゲ」など高級時計ブランドの工房が集結している時計産業の聖地としても世界的に知られています。
美味しいチーズをつくる エピセアの木箱
グリュイエールやレティヴァでも使われているが、とくにヴァシュラン・ モンドールにはモミの木に似たエピセア(ヨーロッパトウヒ)の木が 欠かせない。熟成期間に巻きつける樹皮やチーズを置いておく板、 そしてチーズをつめる木箱にも全てエピセアが使われ、独特の香りと 味を醸し出していく。チーズは出荷した後も箱の中でゆっくりと食べ 頃に熟成していくので箱は重要な要素のひとつ。木箱は、ジュー谷に ある森から木を切り出してひとつひとつ手作業で丁寧につくられて いく。買ったチーズは箱から出してそのまま食べても美味しいが、チーズ に白ワインをかけて木箱のままアルミホイルをまいてオーブンで焼き、 トロトロ状態をポテトにかけて味わう伝統の食べ方もおすすめ。
Vacherin Mont-d'Or
スイスの パ ン Bread 仏 独 伊
Brot Pain Pane
美味しいと評判のスイスのパンは種類が多いこと でも有名。スイス全土に3000 軒ほどあるパン屋で およそ200~300種類のパンが毎日焼かれています。 かつては、その土地でしか入手できなかったような パンも今では簡単に買うことができるようになりま した。朝食のビュッフェからレストランのディナー まで、スイス滞在中にはさまざまなパンの味を楽し んでみましょう。
スイスとパンの 歴史
ヨーロッパで最も古い歴史を誇るスイスで発掘された最古のパンは 紀元前3530年のもの。他の遺跡から見て紀元前5000~6000年に はすでにパンが作られていたと考えられています。最初にパン焼き 職人が登場したのは632年。中世には修道院でパンが焼かれており、ザンクト・ガレンの修道 院(世界遺産)では、1日に1000 斤のパンを焼くことができたそうです。都市が拡大していく と、パン屋や職業組合が確立され、火事をおこす危険が高い薪オーブンの安全基準やパン の品質を保証する規則なども制定されました。手作業で大変だった製粉も中世からは一部 水車を利用していたようです。かつては麦の外皮を完全にとった小麦粉でつくる白パンは 高価で贅沢なもので、粗挽きまたは外皮も一緒につぶした全粒粉でつくる黒パンが普通で した。麦がない時は、ドングリや栗の粉、根、おがくずまで使ってパンをつくることもあったとか。 今は栄養分が豊富でヘルシーな黒パンも人気です。
伝統の風習と パン
ヨーロッパでは古くから命の糧として象徴的な意味をもっていた パン。とくにキリスト教では聖書や日々の祈りの言葉にも用いられて いるように、生命のシンボルとして宗教的な役割を担っています。 そのため、出産、洗礼、結婚などの儀式や宗教行事の際には、特別な 意 味をもつ凝った形に細工をほどこしたパンが焼かれることがあり ます。春の象徴としてカタツムリをイメージした渦巻きを編みこんだ アッペンツェル地方のパンや、十字架とキリストのモノグラムとさ れる “IHS” を形にしたレッチェンタール地方のパン “ミッチャ Mitscha” など。また、サンタクロースのモデルになった聖ニコラスがパン 職人の守護聖人でもあるので、12月5日の聖ニコラスの日あるいはクリスマス には “グリッティベンツ Grittibänz” という人形パンがつくられます。
郷土のパン
ザンクトガレン地方の パン
St.Gallerbrot Pain saint-gallois
主食として各地でつくられてきた パンは、形や焼き方、味などもいろいろ。 入手できる穀物の種類や生活習慣 などの地域性が反映された個性的な パンが生み出されてきました。また、 州(地方)を代表するようなパンもあり、 祭りなどの時によくつくられています。
ほどよく焦げた表面の皮も適度な厚みがあり、 ずっしりと中身のつまった感じのパン。通称 “鼻”とよぶ突起があるのが特徴。
バーゼル(バール)地方の パン
Baslerbrot Pain bârois
ふんわりした生地で中にはいくつか空洞がで きる。外の皮はパリパリ。2 個つながった形の ため、割って売られることも多い。
田舎パン
Bauernbrot Pain de campagne
表面がカリっとなるまで焼く伝統 の田舎パン。天然酵母の素朴な味 と香りが人気。
酵母パン
Sauerteigbrot Pain au levain
天然酵母を使ったしっかりとした 食感と風味のパン。長期保存可能。
Bündner Birnenbrot Pain aux poires grison
洋梨とヘーゼルナッツがぎっしり詰まったフル ーツケーキのような甘いパンが、薄い皮の中 に包まれている
ヴァレー(ヴァリス)地方の ライ麦パン
Walliser Roggenbrot Pain de seigle valaisan グラウビュンデン地方の 洋梨パン
山岳地方らしく日持ちの良いパンで、表面は 焼いているうちに自然に割れてくる。ライ麦の 風味と天然酵母の酸味が強く感じられる 独特の味わい。
Baumnussbrot Pain aux noix
こんがり焼いたくるみが入った軽 い食感のパン。 くるみ パン
編みパン (三つ編みパン)
Butterzopf Tresse au beurre
黒パン
Ruchbrot Pain bis
Bündner Roggenring Anneau de seigle des Grison
ライ麦と小麦を混ぜてつくられるリング状の パン。つり下げて数週間乾燥させると、数ヶ月 保存して食べることができる。
ティチーノ地方の 白パン
Tessinerbrot Pane Ticinese グラウビュンデン地方の ライ麦リングパン (別名ブラシデラ)
ひまわり油など植物性のオイルを使って小麦 でつくる柔らかい白パン。小さなパンが連なっ ている形なので、簡単に手でひとつひとつ 割ることができる。
中はふっくら外はパリパリに焼き上 げる、麦の風味豊かなパン。
パン
Kartoffelbrot Pain aux pommes de terre
全粒粉 パン
Weizenvollkornbrot Pain complet au froment
表皮も胚芽も含めて丸ごと粉に するため栄養価の高いパン。
Sonnenblumenkernenbrot Pain aux graines de tournesol やわらかい食感とリッチなバター の風味で人気のパン。
くせのない味わいで消化も良く、 比較的美味しいまま長持ちする。
表面に種をまぶしたパンは塩分が ありミネラルやビタミンも豊富。 ひまわり種 パン
Grimenz
ブリエンツ Brienz 極端な温度差と起伏の激しい高地という独特の厳しい環境に 適したライ麦でつくるパンは、長期間保存がきく主食として、 ヴァレー州では古くから主食として重宝されていたもの。アルプス の山里では長い間、個々の家で食べるパンを村共同の窯で 年に2、3回まとめて焼く風習が残っていました。そんな伝統を 受け継ぐグリメンツ村では、一般の旅行客でも昔ながらのパン づくり体験が楽しめます。近くのサン・リュック村には水車小屋 があり、かつての製粉の仕組みを見学できます。
グリメンツ観光局 Grimentz/St-Jean Tourisme
OPEN
ACCESS
INF O
パンづくり体験 /夏季:毎週 木 曜 、冬季:毎週水曜
シエール駅からバスで約1時間( Vissoie 乗り換え) www.grimentz.ch
水車小屋
Les
18 世紀にさかのぼるサン・リュ ック村の水車は、高低差のある 土地を利用してつくられた7つ の水車小屋と3 つの水門(水量 調節の堰)から成り立つもの。
ライ麦製粉、小麦、大麦、ナッツ、 羊毛の砧打ちなど、用途に応 じて使い分けられていた機能 的な水車です。
7月~9月/毎週火曜・木曜 16:00~18:00 ※団体見学は要予約 シエール駅からバスで約 50 分( Vissoie 乗り換え) www.sierre-anniviers.ch
豊かな緑に包まれた 80ha の広大な敷地に、スイス各地から 移築された約 90 軒の古い民家が復元されている「バレンベルク 野外博物館」。定期的にパンづくりをはじめ、チーズづくり、糸つ むぎやかご編みなど、昔の農民の生活を実演しています。団体 で予約をすれば、インストラクターの指導のもとでパンつくりな どの体験することも可能。また、薪オーブンで毎朝焼かれるパン は西口そばにあるショップ で購入できます。
バレンベルク野外博物館
Swiss Open-Air Museum Ballenberg
ACCESS
4 月中旬 ~ 10 月末 10:00 ~ 17:00 ※ パン作り体験などは団体( 10 人以上)で要予約 ブリエンツ駅からバスで約 15 分。 www.ballenberg.ch
地下水車
Moulins souterrains du Col-des-Roches
毎日/10:00~17:00(11月~4月は14:00~17:00/月曜休) ヌーシャテル駅から列車で約50分 www.lesmoulins.ch ル・ロックル郊外、フランスとの 国境にあたるコル・デ・ロシュ (ロッシュ峠)の地下水車。豊か な水力を利用して 16 世紀につ くられたユニークな水車。かつ て製粉作業に用 いられた水車 の仕組みとともに、穀物栽培の 文化、パン作りなどの資料も見る ことができます。
スイスのチョコレート Chocolate Schokolade Chocolat Cioccolato
中南米で“テオブロマカカオ(神様の食べ物)”と珍重され、大航海時代にヨーロッパへ伝わったチョコ レート。最初は薬として用いられていましたが、スペインからフランスに渡った後に贅沢な飲み物と して特権階級の間に流行していきます。そんなチョコレートが誰でも楽しめる美味しいお菓子になる までにはスイス人たちの活躍がありました。そしてカカオの生産地でもなく南米やアフリカに植民地 も持たなかったスイスが、世界に誇るチョコレート生産国となったのです。
チョコレートと スイスの歴史
スイスで初めてのチョコレートは、1697 年にチューリヒ市長エッシャーがブリュッセルから持ち 込んだものだと言われています。1750 年にはスイス初のチョコレート工場がベルンに誕生。続い
てヴヴェイ、モルジュ、ローザンヌ、ブレニオ谷、ヌーシャテル、チューリヒ、ルツェルンなどに工場 が建設され、19 世紀になると「カイエ」「スシャール」「トブラー」「リンツ」「シュプリュングリ」などチョコレートのパイオニア 的ブランドが台頭。技術革新とともにチョコレート産業は飛躍的に発展していきます。奇しくも英国人を中心としたヨーロ ッパの富裕層がスイスにこぞって訪れた観光ブームの時代でもあり、スイスチョコレートの評判はまたたく間に各国へ広 まっていきました。隆盛を極めた20 世紀初頭にはスイスの生産量の 3/4 が輸出され、世界のチョコレート消費の半分 を スイス産が占めるほど。2 度の世界大戦と恐慌のあおりをうけて一時業界は衰退しましたが、戦後に再び好景気を迎え、 現在では世界中のメーカーが競って新製品を開発する人気の嗜好品となりました。
チョコレートの 発展を支えた スイス人
19 世紀にスイス人は数々の重要な発明をしています。フィリップ・スシャールは、砂糖とココア パウダーを混ぜ合わせるミキサーと板状のローラーを転がす機械を開発し、カイエ社の創業者 の長女と結婚したダニエル・ペーターは、コンデンスミルクを開発したアンリ・ネスレと出会い、 世界初のミルクチョコレートを完成させました。ルドルフ・リンツは、材料にココアバターを加えて練り上げる技法(コンチン グ)により、固かったチョコレートを滑らかで柔らかにすることに成功。それまでガムのように噛んでいたチョコレートが舌で 溶けるようになったのです。また、スイス人は南米やアフリカでのカカオ栽培 や輸出にも貢献しました。とくに19 世紀にカカオ栽培をガーナの地場産業に するため農業の専門家を派遣したバーゼル使節団の存在を忘れることはで きません。その時に雇われていたガーナ人労働者の活躍で、世界トップの カカオ産出国としてのガーナが誕生したのです。
世界に チョコレートを 広めたスイス人
異国の地で活躍してきたスイス人はチョコレートも世界に 広めました。例えば、グラウビュンデン州出身のヨスティ兄 弟。ベルリンに設立したチョコレート会社は作家のハイネも 賞賛するほど評判で、「カフェ・ヨスティ」も政治家や芸術家、作家が集うサロンとな り、滞欧中の森鴎外の日記に記されています。そのほか、サンクト・ペテルスブルグで 詩人プーシキンも立ち寄ったという「カフェ・シノワ」を経営したウォルフとベランジェ や、コペンハーゲンにチョコレート工場を開いたクロエッタ兄弟、ヘルシンキに初の菓 子店をオープンしたカール・ファツァーも同州の出身でした(後にこの2つのブランド は統合して、北欧諸国、ロシア、ポーランド、バルト三国で1番のシェアを誇るブランド 「クロエッタ・ファツァー」となる)。また、ベルギーの王室ご用達ブランドになった「ノイ ハウス」の創始者ジャン・ノイハウスもスイスのヌーシャテル出身。ブリュッセルに移 住して薬局を開いた彼は、そこでチョコレートを販売しながらレシピの研究に情熱を 傾け、息子のフレデリックとチョコレート専門店を開きました。そのほかブレニオ谷 出身の菓子職人達も、イタリア、ドイツ、オランダの各地で開業したり、ロンドンのカフェ やレストランと取引して大きな成功を収めています。
“メイド イン・スイス” のブランド 昔も今も、 “スイスチョコレート”といえば高品質の証。そんな 世界中に広く知れ渡ったブランドイメージは、厳格な規定の もとでしっかりと守られています。現在、スイスチョコレートと 呼ぶことができるのは、製造工程のすべてがスイス国内で行われたものだけ。一部 の製造過程でも国外で行われた製品はその旨を包装に表示する必要があります。
1901 年に設立された「チョコスイス組合 Chocosuisse」を中心に、粗悪な模造品が 出回らないように厳重に管理しているので、消費者は安心してスイスチョコレートを 購入することができるのです。
世界一
チョコを食べる
スイス人
統計によるとスイス人は世界で最も多くチョコレートを食べ ている国民です。
2008年の調査では、年間一人当たりのチョコ レート消費量は 12.4kgで1位。ちなみに日本人が約 2.2kg な ので、スイス人は約 6 倍のチョコレートを食べていることになります。そんなチョコレー ト好きの国スイスには、街のあちこちにチョコレートショップがあります。普通のスーパー でもチョコレートコーナーは充実しています。安価でいろいろな種類のチョコレートが 購入できるのでおみやげにもおすすめ。
チョコレート・トレインの旅
「ゴールデンパスサービス」と「カイエ・ネスレ」が共同で実現させたチョコレート・トレイン。
1915 年製のクラシック車両「ベルエポック」または、モダンなパノラマ列車のどちらか の 1 等車に乗ってレマン湖畔のモントルーから出発。車窓に広がるブドウ畑や牧歌的 な山里の風景を眺めながら、チーズで有名なグリュイエールへ。チーズ工場( P13 )と 中世の古城を訪ねた後、再び電車に乗ってチョコレート工場のあるブロへ。甘い香りの 漂うチョコレート作りの見学と試食が楽しめる。
(要予約/日本の旅行代理店で予約可)
5月~10月/月曜・水曜・木曜運行(※7月・8月は毎日運行) www.mob.ch INF O PERIOD
シュプリュングリ Confiserie Sprüngli
1832 年から続くスイス屈指の老舗ブラン ド。種類も豊富なトリュフやプラリネで有 名。1859 年にオープンした駅前大通りにあ る本店にはカフェも併設されており、昔も今 も多くの人で賑わうスポット。空港店、中央 駅店のほかチューリヒ市内を中心に数多く の支店あり。
www.confiserie-spruengli.ch
ステットラー Chocolaterie Stettler
1947 年から、創業者でもあるポール・ステッ トラーとそのチームがつくる高品質のチョコ レートは日本をはじめ世界各国で絶賛され ている。とくに“ 幻のチョコ”ともいわれるキュ ーブ型の生チョコ「パヴェ・ド・ジュネーヴ (ジュネーヴの石畳)」が有名。
www.chocolaterie-stettler.ch
バッハマン Confiseur Bachmann
トイシャー Teuscher 約 70 年前に創業した小さなチョコレート店 は、最高の材料を使い研究を重ねた味を 父子で受け継ぎ、現在ではアメリカを中心 に世界各国に支店をもつブランドへ成長。 シャンパントリュフがとくに有名。スイスで はチューリヒに本店を含む4店舗、ジュネ ーヴに1 店舗ある。
ファヴァルジェ Favarger
街の中心にあたるローヌ河のほとりで1826 年に創業。一つの家族で代々受け継いで きたため、ナッツの入ったミルクチョコレート など、伝統のオリジナルレシピは健在。近代 技術を導入しつつも、年代ものの機械を使い 昔ながらの製法と味を守っている。
マイアー Chocolaterie Maier
約 70 年前に創業した「バッハマン」は4代に 渡って伝統を受け継ぐパン・菓子屋。種類の 多いケーキ類をはじめ、プラリネやトリュフな どを中心にしたチョコレートでも有名。ルツェ ルン市内・近郊に8店舗。シュヴァネン広場に ある本店ではチョコレートショーを開催。
www.confiserie.ch
1957 年に創業。現在は年間 8000tの生産量 を誇り、世界 35カ国で販売されている。工場 に併設した『ショコ・ランド SchokoLand』と いうミュージアムがあり、直営ショップでチョ コの試食やお得な価格で商品を購入するこ とができる。
モルジュ城に近い通りにある街のチョコレー ト店。トリュフやプラリネ、チューリップを イメージしたものなど種類も豊富で、ピスタ チオ、ヌガー、アーモンドなどのミニプラリネ 「マイアリー Maierli 」は看板商品。ローザン ヌにも支店あり。
ポワイエ 約 10 年前にできた新しい店ながら、チョコレ ートづくりへの情熱は一流。素材にこだわり、 さまざまな個性的な商品を開発している。 ヴヴェイに暮らしたチャップリンの靴をモチー フにした新作チョコレートもおみやげに人気。
チューリヒ Zürich
INF O
www.favarger.ch INF O
INF O
www.chocolaterie-maier.ch
INF O
Genève
スイスの栗 Chestnut 仏 独 伊
EdelKastanie Chataignes Castagna
約 1000 年前にはティチーノやグラウビュンデン、ヴァレーなどのアルプス南部、温暖な中央スイス地方 の一部に豊かな栗の森が広がっていました。そのことは、カスタセーニャ Casta segna 、カスタニョーラ Castagnola、シャテニエ Chataignier、カスタニエンバウム Kastanienbaum など、栗にまつわる地名か らもうかがえます。しかし南米からジャガイモやトウモロコシが入ってくると手間のかかる栗は使われな くなり、次第に森も消えていきました。そうして一度はアルプスから失われかけた栗の伝統ですが、近年、 ティチーノ州を中心にした保護運動により、再び、昔のような栗の森と食文化がよみがえりつつあります。
アルプスに根づいた
栗文化
アジアを中心として世界中で栽培されている栗。ローマ人がスイス に持ち込みましたが、もともとはカスピ海と黒海にはさまれた山岳 地方であるコーカサス高地に由来すると考えられています。古代 アルメリア人が栽培していた栗はペルシア語で「乾燥した果実」を意味する〈Kasutah 〉と 呼ばれており、これがローマでラテン語化して、現在の学術名でもあり「栗」を表す言葉の 語源でもある〈カスタネア Castanea 〉に変化したようです。食品としてはもちろんですが、 頑丈で弾力がありタンニンを多く含むため耐久性にも優れた栗は、木材としても台所用 品や籠、ワインの樽などに使われ、ローマ人の暮らしに深く根付いていきました。その後、 ローマ帝国の拡大とともに広まっていった栗の文化はスイスに入り、栗栽培に適した気候 だったアルプス南部の山岳地方で定着。もともと日々のパンづくりに十分な穀類ができ ない土地であったため、栗が主食となり栗の木は “ 生命の木 ” 、 “ パンの木 ”と呼ばれるよう になりました。とくにティチーノ地方では「 1 人につき1本の栗の木」がルールになるほど重 宝され、さまざまな用途に使うために収穫期や特徴の異なる品種の栗を栽培してきたの で、現在でも約 100 種類を超える食用の栗が生育しています。
マロンと栗の 複雑な関係
日本ではマロン=栗だと単純に思っていますが、ヨーロッパでは他 の意味に取られることがあります。そもそも仏語のマロン Marron とは街路樹でおなじみのマロニエの実のことで、日本ではトチの 実として知られています。独語でロス・カスタニエ、英語でホース・チェスナッツ(馬の栗) といい、食用ではなく家畜の餌や薬として主に用いられていたもの。おなじみの栗のイガ とはちがって突起がある固い殻のような皮に包まれています。マロン=栗のイメージを 決定づけた「マロン・グラッセ」も昔はトチの実を砂糖漬けにしてつくっていたのでこの名 がついたという説もあります。しかし大粒の栗として改良された高級品種がマロン(マローネ /マローニ)と名づけられたため、この品種名のことを指しているとも考えられます。いずれ にしても、さまざまな外国語をカタカナで表記する日本人にとっては複雑なところ。ちな みに“マロン”という言葉は、ギリシアの詩人ホメロスが『オデュッセイア』の中で栗のことを 記した“マラオン Maraon” が語源 のようです。
かつて栗を主食としていたティチーノ地方やグラウビュ ンデン地方南部では、栗の伝統とともに、乾燥栗、栗粉、 パスタ、パン、ケーキ、ジャム、ビール、蜂蜜などさまざまな 栗製品が復活しています。また秋のシーズンには、地元の レストランで栗を使った料理やデザートを楽しむことが できるでしょう。
ジビエ料理 Wild/ Chassé
小麦粉を練ったものを小さくして炒めた シュペッツェリかパスタ、赤キャベツか小 キャベツや、洋梨とクランベリージャム、そ して甘く煮た栗がジビエ料理にお決まり の付け合わせ。
サンドロ・ヴァニーニ Sandro Vanini
ブリゾレ Brisolée
焼き栗と葡萄(主にシャスラ種)とチーズ というヴァレー州の特産をあわせて食べる 秋の特別料理。チーズの塩気と葡萄 の 甘みや水気が栗のホクホク感と絶妙 に マッチしている。
ヴェルミセル Vermicelle
細いパスタ“ヴェルミチェッリ” のように栗 ペーストを絞りだすことから名前がついた お菓子。モンブランのクリームだけという 感じで、アイスや生クリームをそえること が多い。
リストランテ・スタツィオーネ Ristorante Stazione"Da Agnese"
湖畔の町カスラーノにあり、1871 年 の創業時からつくられてきたマロン・ グラッセがとくに有名。砂糖でコー ティングしたフルーツなどの商品と ともに小さな工場で丁寧につくられ ている。ほかにも栗のピューレやジ ャム(クリーム)なども販売している。
O
www.sandrovanini.ch
絶景ルートで有名なチェントヴァッ リ鉄道の起点となるイントラーニャ 駅にあるのは、知る人ぞ知る隠れ家 レストラン。季節の素材を活かした 創造力あふれる絶品料理は、味は もちろんのこと、見た目にも美しい。
秋には栗のスープやケーキなども 楽しめる。
Soglio
サン モリッツからバスで約 1 時間 40 分(Promontogno 乗換) 標高:約 1095m 言語:イタリア語 www.myswiss.jp/area/01/
ブレガリア谷の奥にあるソーリオは画家や文人に愛された隠れ里。その先のボンドやカスタセーニャ(栗の木が村の紋章) を含む一帯には鬱蒼とした栗林が広がっています。ここでは秋に収穫した栗を“カッシーネ Cascine”という小屋で6週間かけ て燻製し、十分に乾燥したものを布袋に入れ地面に叩きつけて外皮をとり、貴重な保存食として巧みに使ってきた古い伝統 が残っています。そんな文化を今に伝えるべく約10年前に誕生した保護団体を中心に子供向けの野外学習や1年に1度の 祭りを企画・開催。栗の粉やパスタなどは村内の店で購入できます。
■ ハイキング
栗に関する情報板が設置された約 2キロの簡単ハイキングコース。栗の 燻製小屋が点在するソーリオ村から少し下ったところからスタート。標識 にしたがって栗の木に囲まれた平坦な山道を入り、小さな滝の前を 通り、しばらく歩いていくと栗林が並んだ開けた道へ。そこを抜ければ イタリア国境の村カスタセーニャに到着。
ホテルレストラン「パラッツォ・サリス」 Palazzo Salis
1630年に建てられ、1701年に現在の 形に拡張されたサリス家の館。1876 年からホテルとなり、今も同じ一族に よって経営されている。1998 年に ICOMOS(国際記念物遺跡会議)に 選ばれた歴史ホテル。建物内にもレ ストランがあるが、有名な美しい庭の ところに天気の良い日の昼間に オ ープンするガーデンレストランがおす すめ。ランチに栗のパスタやデザート などが味わえる。
www.palazzosalis.ch
ティチーノ州 INF O 言語:イタリア語
アルプスの南部に位置し、独特の栗文化が発展したティチーノ州。1年の半分は栗でパンがつくられていたほど栗は主食 として重宝されていました。昔は「住民一人につき栗の木1本」が常識とされ、各村で収穫期や特徴の異なる栗の木を混ぜ て栽培してきたため、現在も約 100 種類を超える食用栗の品種が確認されています。ほかの地域と同じように需要の低下 とともに荒廃していましたが、マルカントーネ地方を中心に徐々に森が修復され、昔の栗文化を復興させる保護運動が盛 んになっています。ティチーノでは所有者や団体が収穫する期間 ※を過ぎると、どこの栗林でも自由に栗拾いを楽しめます。 ※地域ごとに定められている期間は異なりますが、多くの場合は11/11の聖マルタンの日まで。
■ 栗祭り
10 月にはティチーノ州の各地で大小さまざまな栗の祭りが楽しめます。大きな広場 などで、地元で収集した栗を焙煎。大きなフライパンや回転式の道具など使って常に 揺らしながら、こんがり焼いていきます。「カスタニャータ Castagnata 」という栗焼き イベントのほかに、ワインやチーズ、パンやサラミなど多彩な特産品の店も並んで、 秋の収穫祭と一緒に開催されることもあります。
■ 栗林を訪ねる旅
ティチーノ州にある森の五分の一を占める栗林は、総面積で26000 ha 。上記の栗祭り が開催される地域を中心に、各地に美しい栗林が点在しています。ハイキングやサイクリ ングを楽しみながら、ムッジオ谷、オンセルノーネ谷、コッラ谷、マルカントーネ地方などの 栗の里を訪ねてみてはいかがでしょう。
◎ 栗祭りが開催される主な場所(抜粋)
アスコーナ Ascona
ルガーノ Lugano
ムッジオ谷 Valle di Muggio
コッラ谷 Val Colla
ターマロ山 Monte Tamaro
マルカントーネ地方 Malcantone
セッサ Sessa
カモリーノ Camorino
レヴェンティーナ谷 Valle Leventina
ブレニオ谷 Valle di Blenio
※開催日は毎年変更されるので現地観光局などで確認してください。 www.ticino.ch
マルカントーネ地方 ACCESS INF O
ルガーノ駅からバスで約 30 分 (Arosioまで) ルガーノから列車で約 20 分( Caslanoまで) www.malcantone.ch
ムッジオ谷 Valle di Muggio
O
ルガーノ湖畔からモンテ・レマまで続く小高い山のよう な地域。かつて栗を主食として独自の文化が発展した 土地でもあり、失われつつある貴重な栗の伝統を後世 に残していこうと、地元の団体を中心に古い栗林の再 生や栗の食文化の紹介などの活動に取り組んでいま す。美しい栗林が広がるアロージオからは、栗をテーマ にした約 5 ~ 6 時間のハイキングトレイルが整備されて います。栗の収穫期( 9 月末~ 11 月上旬)には、各地に あるレストランで栗を使った特別メニューを楽しむこと ができます。
キアッソ駅からバスで約 40 分( Muggioまで) www.mendrisiotourism.ch
ルガーノ湖の南からイタリアとの国境付近に位置 する、コントラスト豊かなメンドリジオット地方にあるム ッジオ谷。山道に沿って9つの小さな村が点在してお り、手つかずの自然と山里の情緒が満喫できるスポッ トです。山のチーズと栗の産地としても有名。カッビオ には『グラー gra a 』という栗を乾燥させる燻製小屋が あり、毎年 10 月中旬にはどこかの村で栗祭りが開 催さ れるなど、昔ながらの栗の伝統が息づいています。
ロカルノ駅からバスで約 40 分(Berzonaまで) www.onsernone.ch
ロカルノからイタリア国境まで西に続くチェントヴァッリ (百の谷)地方 。そこから北の高台にのびるオンセルノ ーネ谷には、豊かな栗の森が広がっています。質素な山 の暮らしが主流で「貧者の谷」といわれた時もありまし たが、16世紀頃にはフランスやイタリアで財をなした谷 の出身者たちが故郷に戻り、素晴らしい邸宅を建てて います。そのため、この秘境のような谷を旅していると、 ふと歴史を感じる立派な建物に出会うことができるのです。
オンセルノーネ谷 Valle Onsernone
フュリー Fully マルティニからバスで約10分 標高:約465m 言語:フランス語 www.myswiss.jp/area/09/
マルティニ郊外にある山間の里で希少な白ワインの品種アルヴィンの産地としても有名。村のシンボルでもある栗林は、 アルプス中央部で最も大きく美しい森といわれています。長年に渡って生活を支えてきた栗ですが需要の低下とともに 衰退し、19 世紀に50ha 以上あった栗林は20 世紀になると12haまで減少しました。しかし近年になって地滑りや雪崩を防 いでくれる森を守っていこうと決定し、地元の保護運動により昔のような豊かな 森に戻っています。栗の収穫期でもある 10 月には一般に開放された森で栗拾いを楽しんだり、名物の焼き栗料理(ブリゾレ)をレストランで味わうことができます。
■ 栗祭り La fête de la châtaigne
10月中旬
約 10 年前に村の小さな特産市としてスタート。年々規模が大 きくなり、今では各地から多くの人が集まる人気の秋祭りにな っている。メインイベントは 2000 年にギネスブックにも登録さ れた“世界最大の焼き栗”。特製の巨大な焙煎機を使用して一 度に2000kgの栗をローストする。通り沿いに並ぶさまざまな露 店では、焼き栗、栗パンや栗ケーキなどを購入することも可能。
スイスのワイン Wine Wein
仏 独 伊
Vin Vino
複雑な気候と地形のおかげで豊かな多様性を誇るスイスのワイン。平地が少ないスイスでは、古くから 陽当たりの良い山の斜面や湖のそばの丘陵を利用して葡萄を栽培してきました。そんな起伏のある 地形につくられた葡萄畑が織り成す風景は新しい旅の楽しみのひとつになっています。とくに葡萄畑の 間を縫うように続く美しい小道を歩く簡単 ハイキングが人気です。
ローマの道と スイスワインの 歴史
ヌーシャテル湖やレマン湖畔の遺跡から大量の 葡萄の種が発見され、紀元前1万年前にはすでに ワインがつくられていたという説もあります。しかし 現在につながるスイスのワイン文化はローマ軍がアルプスを越えてきた 時に発展したと考えられています。ヴァレー州からレマン湖を抜けてフランス へ続くローヌ河沿いの道、レマン湖から北上しヌーシャテル湖、モラ(ムル テン)湖、ビール/ビエンヌ湖に続く道、クール、チューリヒを抜けてドイツへ と続くライン河沿いの道など、主なワインの産地はかつてのローマ街道と 重なっています。
輸出されない
希少な スイスワイン
スイス人は一人あたりの年間消費量で世界の トップ 5に入るほどワイン好きの国民です。国内 の生産量では足りず近隣諸国から輸入してい ます。さらに一定の品質を保つため国や地方の管理のもと葡萄の生産量 が制限されているので、スイスワインはほとんど海外に輸出されません。
輸出量は国内生産量のわずか1%ほど。産地でしか流通しないような 銘柄もあります。だからこそ旅行中にはぜひ地元のレストランやワイナ リーに立ち寄ってみましょう。その土地ならではの珍しいワインに出会 えるかもしれません。
多彩な味が 魅力の スイスワイン
スイスでは約 50 種類の葡萄を栽培しています。
毎年変動しますが、白と赤の生産量はほぼ 半々。白のシャスラ、赤のピノ・ノワール、ガメ、メル ローなどが代表的な品種。シャスラを“ファンダン”、シルヴァーナを“ヨハニ スベルグ”、ピノ・ノワールを“ブラウブルグンダー”や“クレヴナー”、ピノ・グリ を“マルヴォワジー” 、リースリング・シルヴァナーを“ミュラー・トゥールガウ” など、地方によって異なる名称で呼ぶので複雑です。そのほかヴァレー州 を中心にスイスにしかない希少な品種もあります。また、ガマレやディオ リノワールのような新種の開発や多品種のブレンドなど新しいワインの味 づくりにも意欲的。同じ品種の葡萄でも土壌や環境によって味が変わる ため、各地で実に多彩なワインが楽しめるでしょう。
ワイ ン 産 地 い ろ い ろ 総生産量における割合
●ヴァレー州 Valais P32 ~P 34
●ヴォー州 Vaud P35 ~P 38
●ジュネーヴ州 Genève P41 ~P 42
● ティチーノ州 Ticino P43
● バーゼル・ランドシャフト州 Basel Landschaft www.baselbieterwein.ch
● ルツェルン州 Luzern www.luzerner-weine.ch
●ザンクト・ガレン州 St.Gallen www.stgaller-weine.ch
●アールガウ州 Aargau www.aargauer-weine.ch
●トゥールガウ州 Thurgau www.thurgauweine.ch
●フリブール州 Fribourg
言語の境界でもある3つの湖地方のひとつモラ(ムルテ ン)湖岸から北西にのびる小高い丘のようなヴュリー山。 急な斜面が少なく温暖な気候に恵まれているワイン産地 で一部がヴォー州にまたがっている。湖を眺めながら葡萄 畑の間を歩く散策がおすすめ。
www.vin-vully.ch
●シャフハウゼン州 Schaffhausen
ドイツ国境でもあるボーデン湖のほとりにあるシュタイン・ アム・ラインや、ライン河流域のハーラウ、シャフハウゼン を中心とする一帯は「シャフハウザー・ブラウビュルグンダ ーラント」と呼ばれるワインエリア。全体の約 8 割を占める 品種はブラウブルグンダー。質の高い赤ワインが数々のコ ンテストで賞を獲得している。
www.blauburgunderland.ch
Neuchâtel
ジュラ山脈を背にヌーシャテル湖岸に広 がる葡萄畑。紀元前から続く歴史に誇り をもち、ワインづくりの伝統を守っている。 『ウィュ・ドゥ・ペルドリ(ヤマウズラの眼)』 と呼ばれるピノ・ノワール種のロゼワイン、 シャスラ種の白ワイン『ノン・フィルトレ(ろ 過なし)』がとくに有名 。 www.ovpt.ch
●グラウビュンデン州 Graubünden ハイジの舞台となったマイエンフェルト を 中心にイエニンス、フレーシュ、マランス など16 世紀に形成された葡萄園が今も残 るビュンドナーヘアシャフト地方、ローマ時 代からの歴史を誇るラインの谷、州都であ るクール周辺が代表的なワインエリア。17 世紀初めにフランスから入ってきたブラウ ブルグンダーのほか40 種類以上の葡萄を 栽培している。イタリア語圏のメゾルチー ナ谷も産地のひとつ。
www.graubuendenwein.ch
● チューリヒ州 Zürich
チューリヒ湖周辺、リマット川流域の「リマッ タール」、チューリヒ北からラフツァーフェル トまでの「ウンターランド」、ヴィンタートゥール 東の「ヴァインランド」が主な産地。赤はブラ ウブルグンダー、白はリースリング・シルヴァ ナーやシャルドネなどのほか、古品種のロイ シリングなど希少な品種も栽培している。 www.zuercher-wein.ch
● ベルン州 Bern
ヌーシャテル湖の北に位置し、独語と仏語 の境界でもあるビール湖岸は、ジュラ山脈 と湖、葡萄畑が織り成す美しい風景とか わいい町の多いワインエリア。散策やサイ クリング、ボートクルーズが人気。この地方 の共同ワイナリーでは多彩なワインが味 わえる。もうひとつの産地はトゥーン湖畔 のシュピーツ。アルプスに近く標高も高い 葡萄畑ではリースリング・シルヴァナーを 栽培している。フルーティな白ワインが特 徴。シュピーツ城には中世からの 伝統が 受け継ぐワイナリーがある。
www.bielerseewein.ch(ビール湖周辺) www.rebbau-spiez.ch(シュピーツ周辺)
AOC(仏)Appellation d’Origine Contrôlée GUB(独)Geschützte Ursprungs Bezeichnung DOC(伊)Denominazione di Origine Controllata MEMO
チーズやワインなどにみられる原産地呼称管理制度(仏語 AOC/ 独語 GUB/ 伊語 DOC )。正当な産地であることのほか、その品質を保証するため に設けた厳しい基準をクリアしたものだけに名称を与える認定で、いわば産地ブランドのお墨付き。スイスでワインに関して認定されている産地 名称は650 以上にのぼります。
VISIT ワインの里を訪ねる ヴァレー ( ヴァリス州 INF O www.myswiss.jp/area/11/
Valais
Wallis
) ● 品種 DATA
www.vinsduvalais.ch
Agarn, Ardon, Ayent, Ausserberg, Chalais, Chamoson, Charrat, Conthey, Fully, Leuk, Leytron, Martigny, Miège, Riddes, Saillon, Salgesch, Savièse, Saxon, Sierre, Sion, Saint-Léonard, Varen, Venthône, Vétroz, Visperterminen
● ヴァレー州の主な産地 WINE INFO www.saillon.ch INF O
白:ファンダン(シャスラ)、ヨハニスベルグ(シルヴァーナ)、マルヴォワジー(ピノ・ グリ)、 エルミタージュ(マルザンヌ・ブランシュ)、アミーニュ、プティタルヴィンなど 赤:ピノ・ノワール、ガメ、シラー、ユマーニュ・ルージュ、コルナランなど AOC/GUB(産地呼称認定) : 124
全体の40%以上というスイス随一の生産量を誇るヴァレー州。日照率が高く、気候も土壌もワインつくりに適したローヌ河 沿いの谷にワイン産地が点在しています。南側に面した山の斜面一帯にパッチワークのように広がる小さな葡萄畑が特徴。 22000 軒ある栽培農家の中で2ha 以上の畑の所有者がわずか250 軒というほど、小規模生産がこの地方の伝統です。主流 は白のシャスラ、赤のピノ・ノワール。ほかにプティタルヴィン、アミーニュ、ユマーニュ・ルージュ、コルナランなどヴァレー州に しかない希少で古い品種もあります。また、ドールに代表されるブレンドワインや、遅摘み(ヴァンダージュ・タルティヴ)の 葡萄からつくる甘いワインなど、高品質で多彩なワインがつくられています。
世界で一番小さな葡萄畑
俳優のロジャー・ムーア、ソフィア・ローレンやジェーン・バーキン、FIドライバーのシューマッハや サッカー選手のジダン、モナコのキャロライン王女やアナン国連事務総長など。サイヨン村には、 世界の著名人たちが訪れて農作業をする特別な場所 がある。それはファリネという人物に 捧げられた、わずか 3 株の葡萄から成る総面積 1,618g の “ 世界一小さな葡萄畑 ” 。ファリネと は 偽金をつくり貧民に配っていた民衆の英雄的存在で、自由と冒険を愛した破天荒 な彼の 生き方は、多くの詩や歌、小説の題材となり舞台や映画にもなった。そして、自身もその役を演じ、 人柄に強く魅せられた俳優ジャン=ルイ・バローにより、没後 100 周年にあたる1980 年に友の会 が結成され、ワインを愛した彼を偲んで『平和の葡萄園 La Vigne de la Paix 』がつくられた。 バロー亡き後、社会奉仕活動で知られるピエール神父に受け継がれ、2000 年からはダライ・ラマ 法王が所有者になっている。各界の有名人たちの手で育てられた葡萄と周辺地域で産出され た葡萄をあわせて年間約 1000 本の極上ワインがつくられ、およそ 2 万スイスフランの売上金 はさまざまな社会・文化活動にいかされている。
Copyright: G.-A. Cretton Martigny Switzerland
シエール 仏 独
Sierre Siders
ジュネーヴから列車で約 1 時間 50 分 標高:約 530m 言語:フランス語 、ドイツ語 www.myswiss.jp/area/11/ www.sierre.ch
ローヌ谷の中央部に位置するシエール。この地を訪れて南仏やスペインの田舎町を思い出したという詩人リルケは、あふれ る太陽と葡萄畑が織り成す風景を題材にいくつもの詩を書いています。彼が晩年を過ごしたミュゾの館をはじめ、歴史を 感じる邸宅や古城が数多く点在しているのも特徴のひとつ。近隣のサン・レオナール、サルゲッシュ、ヴァントーヌ、ミエージュ など12の産地をあわせて“レ・コトー・ド・シエール Les Coteaux de Sierre”と呼んでいます。40種類の葡萄を栽培し、質の高 いワインを産出しているヴァレー州屈指のワインエリアです。
シャトー・ド・ヴィラ
Château de Villa
もともとは16~17世紀に建てられた 由緒ある邸宅。約 50 年前に財団が 設立され、現在では郷土料理が自慢 のレストランとワインセラー、ワイン 博物館になっている。ラクレットや ドライビーフ、ブリゾレ(秋限定の焼き 栗)など、ヴァレー州の名物がいろい ろ楽しめるレストランはおすすめ。70 以上の地元ワイナリーから厳選した 約 500 銘柄をそろえる充実のワイン セラーでは珍しい地ワインを安価に 購入できるほか、週ごとにセレクト されるワインが味わえる。
ヴァレー州ワイン博物館 Musée Valaisan de la Vigne et du Vin / Reb-und Weinmuseum
ヴァレー州のワイン博物館は、シエー ルの「シャトー・ド・ヴィラ」とサルゲッ シュの「ツモフェンハウス」の 2 カ所 に分かれている。前者がワインづく りの民具、後者が葡萄栽培や土壌 に関する資料などを主に展示。この 2 つの博物館を結ぶ道は、ワインや 葡萄に関する情報パネル(仏語/ 独語)が設置された「ワインの小道 Le Sentier Viticole」という約 6kmの 散策コースになっている。ヴァレー伝 統の古い木造の家が残るミュラやリ ルケの暮らしたヴェイラ、 “ビス”と呼 ばれる灌漑水路、美しい葡萄畑など 見どころも多い。
www.chateaudevilla.ch
www.museevalaisanduvin.ch
フィスパーテルミネン Visperterminen
ジュネーヴから列車で約 2 時間 20 分( Vispまで) さらにバスで約 25 分 標高:約 1340m 言語:ドイツ語 www.myswiss.jp/area/11
サースフェーからサース谷、ツェルマットからマッター谷を通り流れてきたアルプスの水が合流するフィスパ川。さらにローヌ河 に流れ込むフィスプまで続く谷沿いの斜面には、標高650mから1100mまでモザイクのように美しい段々畑が広がっています。 最高地点にあたるフィスパーテルミネンの葡萄畑はヨーロッパで一番高所にある葡萄畑として有名です。古くから栽培されて きた代表的な品種はハイダ Heida(またはパイエン Païen)。ジュラ地方ではサヴァニャン・ブラン、アルザス地方ではトラミネと 呼ばれる葡萄で、この高地産はとくに希少とされるもの。ナッツのような香りと黄色がかった色が特徴の芳醇な白ワインが つくられています。
シオン Sion ジュネーヴ駅から列車で約 1 時間 30 分 標高:約 490m 言語:フランス語 www.myswiss.jp/area/11/ ACCESS INF O
ローヌの谷沿いにある古都シオンはヴァレー(ヴァリス)の州都。隣のシエールと同じように、少ない降水量、恵まれた日照時間、 秋に吹く暖かく乾燥した偏西風(フェーン)といった環境がワインづくりに適した土地として知られています。多彩な品種を 栽培していますが「ファンダン・ド・シオン Fendant de Sion」と呼ばれるシャスラ種でつくる白ワインが有名。町のランドマーク でもある2つの古城のまわりをはじめ、一帯の丘には美しい葡萄畑がテラス状に連なっています。
ヴォー州 Vaud (レマン湖地方 Lake Geneva Region )
● 品種 DATA
白:主にシャスラ。他にシャルドネ、ピノ・グリ、ピノ・ブラン、 リースリングシルヴァナー、ソーヴィニヨン・ブランなど 赤:ガメ、ピノ・ノワール、ガラノワール、ガマレなど AOC(産地呼称認定) : 173
ヴォー北部
ラ・コート
● ヴォー州の主な産地
ラヴォー Lavaux
Lutry, Villette, Epesses, Dézaley, Calamin, St Saphorin, Chardonne, Vevey-Montreux
INF O www.lavaux.ch
シャブレー Chablais
Villeneuve, Yvorne, Aigle, Ollon, Bex
ラ・コート La Côte
Féchy, Mont-sur-Rolle, Vinzel, Perroy, Aubonne, Morges, Luins,Tartegnin, Coteau-de-Vincy, Bursinel, Begnins, Nyon
INF O www.routeduvignoble.ch
ヴォー北部 Nord du pays de Vaud
www.winechablais.ch
Bonvillars, Côtes de l'Orbe, Vully
レマン湖地方と呼ばれるヴォー州はスイス第 2 位の生産地。ニヨンからモルジュの間にある「ラ・コート」、ローザンヌから モントルーまで湖にそってテラス状に葡萄畑が連なる「ラヴォー」、ヴィルヌーヴからエーグル周辺の「シャブレー」、ヌーシ ャテル湖の南側に位置する「ヴォー北部」という4つのエリアにわかれています。約 7 割は白の品種が占めており、とくに シャスラ種を中心としたフルーティで爽やかな白ワインが有 名。土壌や気候などの環境の違いによって微妙にニュアンス の異なる繊細な味わいが楽しめます。2007 年、ラヴォー地区は世界遺産に登録されました。
レマン湖地方でワインを味わう
カーヴ Cave /カヴォー Caveau と呼ばれるワイナリーでは、団体向け に試飲や直売サービスをしています(要予約)。時期によっては少人数 や予約なしでも大丈夫なところもあるので、散策の途中にワイナリーに 立ち寄ってみてはいかがでしょう。またレマン湖地方のワイン産地には 「カヴォー・デ・ヴィニュロン Caveau des Vignerons 」という生産者組合 が運営する店があり、個人の旅行者でも気軽に地元のワインや特産品 を味わうことができます。ほかにも“ パント Pinte”と呼ばれる居酒屋(食 堂)も、地ワインと郷土料理が楽しめるおすすめスポットです。
キュリー Cully ラヴォー(世界遺産)
ローザンヌから列車で約 10 分 標高:約 390m 言語:フランス語 www.myswiss.jp/area/09/
レマン湖の湾曲した岸辺にたたずむキュリーは、ローマ時代にはじまりブルゴーニュ公国、ベルン州などに属してきた長い 歴史をもち、14 世紀の鐘楼や16 ~ 17 世紀の建物などが残るかわいい町。ラヴォー地区を代表するワインエリアでもあり、 周辺の丘にはテラス状の美しい葡萄畑が続いています。キュリーを中心にしてリュットリまでの西側の地域が「ヴィレット Villette」、東側のエペスまでの地域が「エペス Epesse」という銘 柄 AOCになります。質の高いシャスラ種を中心にさまざま な葡萄を栽培しています。とくに菩提樹の花やフルーツの香りを感じる上質な白ワインで有名です。
オーベルジュ・デュ・レザン
Auberge du Raisin
小規模で美味しいレストランが多い キュリー。その中でもとくに有名なの は、地元の食材を使った洗練された 料理で知られるグルメレストラン「オ ーベルジュ・デュ・レザン」。食事とあわ せて、ラヴォー地区の白ワインをはじ め、各地から集めたワインが楽しめる。 スイートを含む全 9 室のプチホテル でもあり、天井の梁や石壁など15世紀 の建物の歴史的な雰囲気をいかし ながらも、快適に改修されたエレガン トかつロマンティックな空間が魅力。
www.aubergeduraisin.ch
キュリーからは隣村のリエやエペスを訪ねながら葡萄畑の間の小道 を歩くハイキングがおすすめだが、「ラヴォー・エクスプレス Lavaux Express」というミニトレインに乗って、リエ、グランヴォー、ヴィレット、 アラン、リュットリなど美しいワインづくりの村々を巡ることもできる。 所用時間は約 1 時間で、葡萄畑が美しい初夏から秋にかけて運行 予定。キュリーやリュットリの波止場からはレマン湖クルーズとの 組み合わせも可能。
ローザンヌからモントルーまで、レマン湖の上に美しい葡萄畑が連なる ラヴォー地区。きらめく湖と奥に連なる雄大なアルプス、テラスのような 葡萄畑が織り成す絶景と、千年以上変わらず受け継がれてきた農家 の暮らしや伝統が評価され、世界遺産に登録されました。そんな葡萄 畑の小道を歩いて、かわいいワインづくりの村々を訪ねてみてはいかが でしょう。お散歩感覚の簡単ハイキングです。とくに一面が黄金色に 染まる感動的な秋はおすすめのシーズン。
9
月頃には収穫作業や村 の収穫祭に出合えるかもしれません。もちろん、途中で小さなワイナ リーやレストランに立ち寄って地ワインを試してみるのもお忘れなく。
ラヴォー地区エペス
キュリーの中心から上に向かって、線路と大きな車道を越 えるとハイキングコースの入口。葡萄畑 が左右に広がる 美しい道を歩きながらエペス方面へ。時々、葡萄畑の中 にある小さな作業道を通ってみても良いでしょう。エペス からリエまでは見晴らし最高のコルニッシュ※ を歩いてい きます。そしてリエから下り道をさらに行くと間もなく キュリーに到着です。
※ 仏語でコルニッシュCornicheとは、南仏などに多い海岸を見下ろす 崖下にある道のことを指す。
ラヴォー地区サン・サフォラン AOC AOC
ヴヴェイから「トラン・デ・ヴィーニュ Train des Vignes (ブドウ畑の列車)」と呼ばれるローカル線に乗ってシェ ーブルへ。標識を確認し、下り道を歩いていくと約30分で 石畳の道や古い教会など雰囲気のあるかわいいサン・ サフォラン村に到着。その後、途中にあったモントルー 生まれの詩人・音楽家ジャン・ヴィラール・ジルの 記念 碑がある小さな 葡萄 園 < Vign e à Gille s >まで一度戻 り、見晴しの良い葡萄畑の間の道をさらにリヴァまで歩く こともできます。
ラヴォー地区シャルドンヌ AOC
シャルドンヌ周辺 Chardonne
ヴヴェイからモンペルラン(ペルラン山)に登るケーブルカ ーに乗ってシャルドンヌで途中下車。駅からシャルドンヌの 村を通り、葡萄畑の間の道を下っていきます。そのまま降 りていくとサン・サフォラン村へいきますが、途中にある見 晴らしポイント< Pressoir de la Confrary >で左に曲がり、 葡萄畑の中の小さな道を歩きながらぐるり1 周して最初 の駅に戻るコースです。
約1時間 約1時間10分 約45分 ※ エペスからデザレー地区の葡萄畑を歩いて1周する約 1 時間 15 分のルートもあります。
キュリー Cully エペス Epesses リエ Riex キュリー Cully
シェーブル Chexbres サン・サフォラン St.Saphorin リヴァ Rivaz
モルジュ Morge s ACCESS INF O
ローザンヌから列車で約 10 分 標高:約 380m 言語:フランス語 www.myswiss.jp/area/09/
“レマン湖の花 ”と呼ばれるかわいいモルジュは、湖畔の港町として古くから栄えてきた歴史のある町です。モルジュ近郊の 一帯は「ラ・コート地区」の産地で、オードリー・ヘップバーンが晩年を過ごしたトロシュナや、印象的な建築で有名なヴュフラ ン城、アイリス園で知られるヴュイユラン城の周辺に美しい葡萄畑が広がっています。それぞれの土壌の個性が反映された 繊細で風味豊かな白ワインが名物。
エーグル Aigle ACCESS INF O
ローザンヌから列車で約 30 分 標高:約 400m 言語:フランス語 www.myswiss.jp/area/09/
モントルーの東に位置するアルプスの玄関口。町のシンボルであるエーグル城を中心に美しい葡萄畑が広がる「シャブレー 地区」のワイン産地です。
13
世紀頃に城塞として建てられた古城は葡萄とワイン造りの歴史を伝える博物館になっており、 隣接するディームの館には世界各国のワインラベルを集めた博物館と地ワインが楽しめる小さなレストラン『パント・デュ・パ ラディ Pinte du Paradi s 』があります。
レマン湖地方/
フリブール地 方
ヴァン・キュイの伝統 サトウキビがないヨーロッパで古代から珍重された甘味といえば蜂蜜と果物だった。 中世のフランスやスイスでは「ヴァン・キュイ Vin Cuit(煮たワイン)」という果汁を煮 詰めたジャムやシロップがつくられ
、栄養価が高く貴重な “ 万能薬 ”として処方されて いたという。有名な予言者で医師だったノストラダムスも、ジャムなどの製法をまとめた 著書でヴァン・キュイについて記している。しかし砂糖が大量生産されるようになると、 その存在は次第に忘れられていった。その一時は消えかけたヴァン・キュイの伝統が 新たにレマン湖地方を中心に復活している。
スイスのリヴィエラといわれ、中世から現代まで世界のセレブが好んで滞在するレマ ン湖地方。グルメガイドの常連という高級料理レストランも多い。とくに 20 世紀を 代 表する天才料理人と名高いフレディ・ジラルデ氏 ※が腕をふるったローザンヌ郊外 クリシエ Crissier のレストランは、長年に渡り世界のトップに君臨した伝説の名店。 その彼が、1980 年代に甘さと酸味が混ざった独特の味に注目し、料理の隠し味とし て使い始めたことをきっかけに、ヴァン・キュイは再び脚光をあびることになった。
なかでもデザートに用意されたヴァン・キュイのタルトは食通の間で話題を集めた逸品。 惜しまれつつ彼が引退した後、ヴァン・キュイの味や料理の哲学はフィリップ・ロシャ 氏に受け継がれ、ミシュランの 3 ツ星、ゴーミヨで 19 点を獲得したレストランは今も 美食家たちの舌を喜ばせている。
※ 日本でカリスマ的存在の三國 清三シェフのスイス修行時代の師匠でもある。
www.philippe-rochat.ch , www.relaischateaux.com/hoteldeville INF O TOPIC
TRAVEL
ローザンヌから列車で約 10 分。美しい葡萄畑の間にある小さなキュリー村( P36 )で は、数年前から10 月末のハロウィン行進にあわせて「ヴァン・キュイの夜 Nuit du vin cuit 」という祭りを開催している。 “レザネ Raisinée”とも呼ばれるヴァン・キュイは、 洋梨やリンゴなどでつくられることもあるが、最も高級なのは葡萄を使ったもの。 伝統にならって、そのままワインにもなるムー( P9 )を大鍋に入れて、薪火で一晩中か きまぜながら10 分の 1 の量になるまで丸1日かけて煮詰めていく。完成品は村のワイ ン組合が運営する「カヴォー・デ・ヴィニュロン」でも販売している。どろっとした濃縮 エキスで通常は 1 度にスプーン1杯程度しか使わないので、1瓶で数年はもつという。 甘みは強いが爽やかな酸味のおかげでしつこさはないヴァン・キュイのタルトも屋台 に並ぶが、人気の品ですぐに売り切れてしまうのでお早めに。ほ かにも、フリブール 地方やレマン湖地方で中世から続くベニション( P7 )の祭りでも特別メニューとして ヴァン・キュイを味わってみることができるだろう。
VISIT ワインの里を訪ねる ジュネーヴ州 INF O www.myswiss.jp/area/10/ www.opage.ch
● ジュネーヴ州の主な産地
ローヌ河右岸 Rive Droite / Mandement Bourdigny, Choully, Collex-Bossy, Dardagny, Essertunes, Peissy, Russin, Satigny アルヴ河とローヌ河の間 Entre Arve et Rhône Avully, Bernex, Confignon, Lully, Perly, Sézenove, Soral アルヴ河とレマン湖の間 Entre Arve et Lac Anière, Chevrens, Choulex, Cologny, Gy, Hermance, Jussy, Meinier, Presinge, Puplinge, Vandoeuvres
● 品種 DATA
白:シャスラ、ピノ・ブラン、アリゴテ、シャルドネ、ピノ・グリ、 リースリング・シルヴァーナ(ミュラー・トゥールガウ)、 ソーヴィニヨン・ブラン、ゲヴュルツトラミナー、ミュスカ 赤:ピノ・ノワール、ガメ、ガマレ、ガラノワール、メルロー、シラー、 カベルネ・ソーヴィニヨン AOC(産地呼称認定) : 64
国際都市で知られるジュネーヴ州は生産量第 3位のワイン産地。大きく分けて、マンドゥマンとも呼ばれるローヌ河右岸地区 と、アルヴ河とローヌ河の間、アルヴ河とレマン湖の間の3つの地方で幅広い品種の葡萄を栽培しています。メインのシャスラ 種のほか、ブルゴーニュやボルドー、ボジョレーなど国境を接するフランス由来の品種が多いのも特徴のひとつ。また研究 熱 心な醸造家が多く、幅広い品種やブレンドの開発にも積極的です。有機栽培の分野でも先駆的存在 で、今ではスイスの オーガニックワインの半分以上がここで産出されています。
ローヌ河クルーズと ワインの里めぐり
アルプスのローヌ氷河からローヌの谷を流れ、レマン湖 に合流した後、ジュネーヴの田園地帯を抜けて、フラ ンスへとつながるローヌ河。ジュネーヴからは、河畔に広 がるローヌの森や鳥たちを眺めながらボートクルーズが 楽しめます。そんなクルーズと組み合わせて、その先に 続くサティニー、シュイー、ペイシー、リュッサンなどの 美しいワインエリアを訪ねてみてはいかがでしょう。とく に森の木々や葡萄畑が色づく秋にはおすすめのエクス カーションです。
Genève
リュッサン Russin
ジュネーヴから列車で約15 分 標高:約 380 m 言語:フランス語
フランスとジュネーヴを結ぶ鉄道路線から見える美しい田園風景。葡萄畑が広がる一帯はジュネーヴ屈指のワイン産地 で、サティニーやリュッサン、ペイシー、シュイー、ダルダニーなど、葡萄生産農家が集まる素朴な村々が点在しています。 感じの良い小さなレストランやワイナリーに立ち寄りながら、楽しい散策が楽しめるでしょう。なかでもリュッサンは毎年 9月の第3週末に開催される「葡萄収穫祭 Fête des Vendanges」で有名。ワインや郷土料理の屋台が並び、楽団の演奏や にぎやかなパレードなどで小さな村が祭り一色に盛り上がります。
「ル・ヴィニョーブル・ドレ」
Le Vignoble Doré
駅から少し葡萄畑の間を上った村 の中心にあるかわいいレストラン。 レトロな感じのカフェやテラス席は いつも多くの人たちで賑わっている。
お手頃なランチやコースメニューの ほか、タルタルステーキや特製グリ ルで焼く肉や野菜のバーベキュー などが人気。とくにワインは充実し ており、この地方のワイナリーを中 心に選んだおすすめワインをお得 な値段で楽しむことができる。
「ドメン・デ・モラール」 Domaine des Molards
1352 年にジュネーヴ周辺を治めて いた領主がリュッサン周辺に葡萄 を植えたところに端を発する由緒 あるワイナリー。21 代に渡り続い てきた 650 年の歴史と伝統を随所 に感じることができる。18 世紀の 食堂を改修した部屋や、11000ℓの 大型木樽を個室に改造した特別な 空間もある。白・赤ともに幅広い品 種のワインをつくっているが、桃の 果汁と白ワインをブレンドした「ル・ ペシェ」はとくにおすすめ。果樹園 で栽培している林檎や洋梨、苺など 季節の果物や自家製のジャム、シロ ップなども、カルージュの市場で 毎週土曜に販売している。
www.molards.ch INF O
ワインの里を訪ねる ティチーノ州 Ticino
INF O www.myswiss.jp/area/12/ www.ticinowine.ch
● ティチーノ州の主な産地 ベリンツォーナ&アルト・ティチーノ(北部地方) Bellinzona / Alto Ticino
Giornico, Malvaglia, Biasca, Bellinzona, Giubiasco, Gudo, ルガーノ湖地方 Lugano Lake Region
Castel San Pietro, Chiasso, Lugano, Stabio, Morbio, Mendrisio, Lamone
マッジョーレ湖地方 Maggiore Lake Region
Ascona, Losone, Minusio, Tenero, Verscio
● 品種 DATA
白:シャルドネ、メルロー、シャスラ、ソーヴィニヨン、セミヨン 赤:メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン、ガマレ AOC(産地呼称認定) : 7
スイスの南部に位置するイタリア語圏のティチーノ州は、日照時間が多く温暖な気候に恵まれています。代表的な品種は 生産量の8割以上を占めるメルロー種。19世紀末にフィロキセラ(寄生虫)で壊滅状態になった後にボルドーから持ってき たものですが、この地の環境や土壌に見事に適応し、今ではティチーノの名産となりました。メルローは赤ワインがメインで すが、最近では上品な味わいの白ワインもつくられています。とくに有名なワインエリアはルガーノ湖の南にあたるメンドリ ズィオット地方。丘陵にブドウ畑が広がる田園風景とのどかな雰囲気から“スイスのトスカーナ ”とも呼ばれています。
ティチーノでワインを味わう!
「リストランテ Ristorante」「オステリーア Osteria 」「トラットリーア Trattoria 」「タヴェルナ Taverna 」などと呼ばれるレストランや「カンテ ィーナ Cantina」というワイナリーでも地ワインを味わうことができますが、 ティチーノならではのおすすめは「グロット Grotto」という小さな食堂。も ともと山の洞窟を利用した天然の貯蔵庫(セラー)で簡単なつまみと一緒 にワインを楽しんだことから始まったもの。庭などに石のテーブルとベンチ を置いたシンプルなつくりが基本ですが、素朴な郷土料理 が 楽しめる かわいいレストランのようなグロットもあります。
スイスの蒸留酒 Spirits Schnaps Eaux-de-Vie
Acquavite
スイスではさまざまな果物からつくるアルコール度数の強い蒸留酒 がポピュラーです。消化を促進するのでチーズ料理などの食後に、そのまま飲んだり、デザートのシャ ーベットにかけたり、コーヒーに入れたりして楽しんでいます。
錬金術から うまれた 生命の水
醸造酒を蒸留しアルコール分を高めた酒(スピリッツ)。アジアではすでに紀元前からあったよう ですが、ヨーロッパでは中世の錬金術師たちによって偶然生み出されたもので、ラテン語の の水 Aqua Vitae”と名づけられました。フランスのオードヴィー、 です。蒸留酒造りの技法は各地に広まり、ウォッカやテキーラなど、その土地で収穫される穀類や果実などの作物で独自 のスピリッツが生み出されていきました。葡萄を原料とするブランデーは 16 ~ 17 世紀頃、フランスのコニャック地方を 中心に発展。その後、林檎や洋梨など葡萄以外の果物を使用したフルーツ・ブランデーがヨーロッパを中心につくられる ようになりました。ドイツ語では、ブランデーの語源とされるブラントヴァイン Branntwein(焼けるようなワイン)と呼びま すが、南部ドイツやスイスのドイツ語圏では “シュナップス”といいます。 “ぱっと食いつく“という意味の単語 “Schnappen” から派生したといわれるように、小さなグラスで一気に飲むスタイルが定番です
フルーツ天 国 スイスの シュナップス
林檎、イチゴ、ブルーベリー、桃・・・。各地でさまざまな果物を 栽培しているフルーツ天国のスイスでは果実酒からつくる多 彩なシュナップスが楽しめます。ヴァレー州の “ウィリアムス Williams”という洋梨のお酒やアプリコットのお酒、スイス・ドイツ語で “プフリュムリ pflümli”と呼ぶプラム(すもも)のお酒、フランボワーズ(ラズベリー)のお酒など。ジュラ 地方にはかつて十字軍の騎士がダマスクスから持ち帰った種といわれる小さなプラ ム“ダマ Damas” でつくる“ダマシン Damassine”という特別なお酒もあります。スイス を代表するシュナップスとして最も有名なのは “キルシュ Kirsch”というサクランボの お酒。チーズ・フォンデュの香りづけにも使われています。
エッター・ゼーネ蒸留所
Distillerie Etter Söhne
自分の所で収穫したサクランボを蒸留して キルシュをつくってきたエッター家。約130 年前に製造・販売を始めた“エッター Etter” ブランドのキルシュは現在まで4 代に渡り 受け継がれている。伝統のキルシュを中心 にさまざまなシュナップスをつくっている ツークの蒸留所には一般にオープンしてい るショールームとショップもある。
チューリヒ駅から列車で約 30 分( Zugまで)
www.etter-distillerie.ch
アプリクール
Apricool
近年フュリーにオープンした新しい蒸留所。 素材から蒸留までこだわりをもった女性生 産者がつくりだす高品質のオードヴィーが 話題を集めるブランドで、国内コンクールで 数々の賞にも輝いている。とくにサイヨン 産のアプリコットを使った製品が有名 。 ほかにもヴァレー産のウィリアムス、フラン ボワーズ、キルシュ、ジョンシアンなど多彩 なお酒がそろっている。
※フュリーの情報はP29
オードヴィ・ド・ポワール・デュ・ヴァレー
Eaux-de-vie de poire du Valais
原料:洋梨「ウィリアムス Williams 」 主な産地:ヴァレー州(マルティニ周辺)
ラタフィア/ノチーノ Ratafia / Nocino
原料:葡萄、クルミ、シナモン、クローブ 主な産地:ティチーノ州など
AOC
アプリコティン Apricotine
原料:アプリコット 主な産地:ヴァレー州(サイヨン周辺)
エンツィアンシュナップス
Enzianschnaps ジョンシアン
Gentiane
原料:ゲンチアナの根「 学名 Gentiana lutea 」 主な産地:ヴォー州(ジュー谷周辺)
黄色の花をつけるリンドウ科の高 山植物 ※ の根を入れてつくる特 別なお酒。生薬として胃腸薬に配 合されているものと同じなので、 やや独特の苦みがあるのが特徴。 ※有名な青色の花のエンツィアンとは 同科だが別のもの
キルシュ
Kirsch(Kirschwasser)
葡萄の絞りかす(皮や種も含む)を醸造したものを蒸留してつくる グ ラッパ Grappa/ マール Marc。主にアメリカーノ種の葡萄を使うティ チーノ産は独特の香りと品質の良さで有名。ティチーノ州にはグラッパ をベースにしたもので、修道士たちが製法を受け継いできた“ラタフィ ア(ノチーノ) ”という秘伝のお酒がある。昔からの伝統に習い、今も毎年 サン・ジョヴァンニの日(6/24)の夜に収穫するクルミを使い、シナモン やグローブなどと一緒にグラッパに入れた瓶を日なたに置いて、毎日 瓶をゆらしながら約40日間寝かせる。最後に沸騰させた砂糖水を加え て濾過したら完成。基本は決まっているものの、各家庭で味がアレンジ されて代々つくられているのでレシピは多数のバリエーションがある。
原料:サクランボ 主な産地:中央スイス地方、 バーゼル地方、 アールガウ州など
キルシュの里を訪ねる 国民一人あたり約 2kgを消費するほどのサクランボ好きのスイス人。観賞用の桜の木が 主流の日本とは違い、スイスはサクランボ栽培用の桜の木が多く、その数を国民一人 あたりに換算すると世界トップクラスといわれています。歴史も古く、湖水地方の遺跡 から大量の種が発掘されたことから、紀元前からサクランボを栽培していたと考えられ ているほど。現在では約 500 品種のサクランボが各地で栽培されており、主な産地は、 生産量の半分以上を占める北東部(バーゼル州、ソロトゥルン州)と、収穫したサクラン ボのほとんどを蒸留酒のキルシュづくりに使う中央スイス地方(ルツェルン州、ツーク 州、シュヴィーツ州)。中でもキルシュの伝統を訪ねることができるルツェルンからツーク 湖を通り、リギ山の麓アルト・ゴルダウまでつづく道は『キルシュ街道 Kirschstrasse 』と 呼ばれています。桜の開花時( 4 月中旬から5 月初旬)、サクランボの収穫時( 7 月初旬か ら8 月初旬)、キルシュづくり( 9 月初旬から10 月下旬)はおすすめのシーズン。リギ山に 上る登山鉄道 があるアルト・ゴルダウに近いオーバーアルト Oberarth からはサクランボ 園を歩く約 1 時間 30 分のハイキングが楽しめます。団体なら農園でのキルシュづくり 体験や工場見学( ガイドツアー)などもアレンジ可能です。
www.kirschstrasse.ch INF O
Val-de-Travers
伝説の禁酒 アプサンのふるさと 緑の妖精 “Fée Verte”と呼ばれたアプサン Absinthe ※ 。同じ名前の植物( 和名ニガヨ モギ)やミントなどを混ぜたハーブを抽出した強い蒸留酒で、もともとはスイスのトラヴェ ール谷で生まれたもの。インスピレーションを与える“ 詩人の酒 ”ともいわれ、19 世紀のフ ランスのカフェで人気商品となり、ゴッホ、ゴーギャン、ドガ、ロートレック、ピカソ、ボードレー ル、ヴェルレーヌ、ランボーなど、多くの芸術家に愛された話はあまりにも有名。そんな 数々の伝説を残しながら20 世紀初頭に禁止となった幻の酒が、100 年の時をこえて 現在によみがえっている。
※アプサント(仏語で最後のT は有声だが弱く発音)。日本ではアブサンという名前が一般的。
TRAVEL
次回はまた新たな楽しみが増えているかもしれない。
INF O
www.valdetravers.ch
HISTORY
グラスの上に特別な穴あきスプーンを置き、角砂糖をのせて上から 水を注いで飲むのが定番スタイル。水を入れると透明の酒は白濁 した色にかわるが、ハーブの配合によって黄色や緑色を帯びた色の ものもあったという。
アプサンは胃や腸に効く薬草として歴史は古いが、蒸留酒としては18世紀半ばに登場した。アプサンを入れたワインの方 が先にあり、ヌーシャテル州でも1737年にワイン、1769年に蒸留酒としてアプサンが飲まれていた記録がある。おなじみの アプサンの起源としては諸説あるが、トラヴェール谷のクヴェ Couvet に住むアンリエット・アンリオがつくり販売したものが 始まりという説が有力※1 。その製法を受け継いだアンリ・デュビエと息子たちがクヴェに蒸留所を設立したことで、アブサン は商品として広く流通するようになり産業に発展していった。とくにフランスでの大ヒットを受けて、関税対策のため娘婿だ ったアンリ・ルイ・ペルノ※2 が国境そばのポンタルリエ Pontarlier(仏)に工場を建て、さらなる成功をおさめていった。しかし 殺人事件などをきっかけに禁酒運動が起こり、スイスで1908年に禁酒法が交付され1910年に施行。続いてフランスや欧米 諸国でも禁止され、伝説の酒は市場から消えていった。それから1世紀が過ぎ、科学的見地から禁止する必要がないことが 証明されたため、各国で禁酒法が解除され、スイスでも国民投票を経て、2005年にアプサンは正式に合法化された。 ※1 オルディネール医師がレシピを確立したという説が長年の主流だったが、近年では誤認と考えられている ※2 禁酒法以後、アプサンの代用品としてフランスで愛飲されたお酒パスティスの有名ブランド「ペルノ Pernod 」のルーツ ヌーシャテルからローカル線に乗って約20分。湖畔の美しい葡萄畑から離れ、フランスと 国境を接するジュラ山脈の方へ入っていくと、美しい緑と小川が印象的なトラヴェール 谷に到着する。この谷の真ん中に位置するモティエMôtierは、かつてジャン・ジャック・ル ソーが滞留した村で、彼が暮らした邸宅は現在ルソー記念館になっている。同じ建物内 にある郷土博物館には、アプサン資料室があり、カフェのテーブルや、凝ったデザインの 水差しやポット、美しいアプサン用のスプーン、レトロなポスターやパネル、ボトル、密造 用の隠し部屋など、貴重な資料の数々を見ることができる。隣町のボヴレス Boveresse にもアプサンの乾燥小屋だった古い納屋があり、工場で使っていた機械などを展示して いる。近年、この谷でのアプサン生産も小規模だが復活しており、ノワレーグ Noiraigue の駅にある観光物産コーナーでもアプサンやアプサン入りのチョコレートなどを買うこと ができる。他では入手できない特別なお土産になるだろう。数年前から毎年アプサン 祭りが開催され、谷を結んで蒸気機関車の特別運行もスタート。 “緑の妖精”をマスコット にしているトラヴェール谷観光局でも貴重なアプサンの伝統と文化を守っていくために さまざまな企画を計画中とのこと。幻の酒の伝説が眠る谷をのんびりと訪ねる旅。
スイスのビール Beer 仏 独 伊
Bier Bière Birra
スイスとビールの 歴史
シュメール人が放置した麦の粥に酵母が入り自然発酵して 偶然できたというビール。バビロニアからエジプトに渡った製 法は、ローマを経由してスイスをはじめヨーロッパ中に広まっ ていきました。中世にはハーブや醸造の優れた知識を活かして味や品質を向上させ た修道院が主役になります。ザンクトガレン修道院に残る9 世紀の設計図にも修道 士、巡礼者、客人用のビール醸造所が記されています。15 世紀に入ると領主が地域ご とにビール製造を管理する時代へかわり、17 世紀にベルン州で初めて職業としてビー ル醸造が認可。それから蒸気機関車や冷却機などの発明とともに、工場で大量生産 する現代のような形へと発展していったのです。
ビール好きの スイス人
スイスとビール。あまりピンときませんが、国民一人あたり 年間57.3ℓのビールを消費しており、一人あたり51.3ℓの日本 人より多いスイス人はビール好きの国民です。ビールで有名 なドイツやオーストリアに隣接し、歴史的にも影響を受けていることを考えれば当然 のことかもしれません。現在、スイス各地に大小さまざまな醸造所があり、全消費量の 85%にあたる3 億 560 万 ℓを生産しています。旅行中にはぜひ数種類のビールを味わ ってみましょう。清らかな空気の中、絶景を眺めながら楽しむビールの味は格別です。
種類もいろいろ スイスビール
麦などの穀類と水、ホップ、酵母 という材料や製造方法の基本 はほとんど変わらないビール ですが、醸造所ごとに工夫をこらして、多様な味や香り の違いを生み出しています。現在、スイスの北にある バイエルン地方で発展したラガービールが世界の主流 。 スイスでもラガービールが全体の70%以上を占めてい ます。ラガーはドイツ語で貯蔵(Lager)を意味するその 名の通り、低温の貯蔵庫で長時間かけて発酵してつく られるタイプです。ほかにも短期間で発酵させるエール ビール(上面発酵)の「アルト」「ヴァイツェン」やトウモ ロコシや米でつくる個性的なビールも製造しています。
19世紀末には530カ所あった醸造所は次第に合併していき、現在は135カ所ほどになりましたが、小規模で個性的な醸造所も新しく誕生しています。 また、近年、ハイネケンやカールスバーグなどの巨大グループに吸収されたメーカーでも伝統のブランド名と商品は健在 。各地のレストランなどで 地域を代表するようなビールに出会えるでしょう。
アルテス・トラムデポ Altes Tramdepot
ベルン旧市街(世界遺産)のニィーデッガー橋横にあるビアレスト ラン。地下の醸造所でつくるオリジナルの地ビールが味わえる。
ビールにあうソーセージなどの料理も充実。ベルン旧市街を眺め るテラス席もおすすめ。その名の通り、昔のトラム(市電)停車 場を改装してつくられた建物内には、「ベルンショー」というCG映 像や模型を駆使しベルンの歴史を紹介するプログラムが楽しめ る観光案内所も併設されている。
OPEN
ビアビジョン・モンシュタイン Bier Vision Monstein
素朴な山小屋が点在するモンシュタイン村(標高 1625m)にある ヨーロッパ最高所のビール醸造所。約 100 年前からあったチーズ 工房を改修した建物で、アルプスの水、スイスのホップ、香り高い モルツを使ってつくるのは自然の濁りが残るツヴィッケルビール。 濾過せずにしぼり立てを飲むため栄養価も高い。工房での直売や 見学・試飲のほか、ビアセミナーや特別体験などの企画もあり。
11:00 ~ 00:30(夏季は 10:00 ~) ベルン駅からトラムで約 10 分。または徒歩約 20 分 www.altestramdepot.ch
ミュゼ・カルディナル
Musée Cardinal
OPEN
ACCESS
INF O
金曜 16:00 ~ 19:00(※ 12 月~ 4 月中旬は金曜・土曜) ダヴォス・プラッツ駅からバスまたは列車で12 分 www.biervision-monstein.ch
“カルディナル”ブランドの故郷フリブールにあるビール博物館。
昔から現在までのビール醸造や、カルディナルの歴史を感じる 貴重な資料などを展示。レトロなビストロではビールを味わうこと もできる。
OPEN
ACCESS
INF O
火曜・木曜 14:00 ~ 18:00 フリブール駅から徒歩約 10 分 www.cardinal.ch
古城のように美しい建物はスイスを代表するビールの醸造所。
15 ~ 30 人の団体なら、約 2 時間の見学ツアー(試飲あり)に参加 して、ビールづくりの歴史を体験することができる。
※15人以上の団体から参加できる見学ツアーは要予約
フェルドシュレスヘン Feldschlösschen ACCESS INF O
月曜~金曜 /午前( 9:15 ~ 9:45 )、午後( 13:45 ~ 14:30 )
※第 1 3 土曜日は午前のみ ラインフェルデン駅から徒歩約 10 分 www.feldschloesschen.ch
ヴァレー州
ムンド
Mund
アルプスに咲く サフランの花 14世紀にスイスに入ってきたサフラン。各地で栽培が始まったが、ほとんどが 根付くことがなく消えていった。その中で唯一栽培に成功し、現在までサフラ ンの生産を続けている所がひとつだけある。 “ユングフラウ=アレッチ=ビエッチ ホルン地域”としてユネスコの世界自然遺産に認定されている小さな山村だ。 そんな神秘的なサフランの里、ムントを訪ねてみよう。
TRAVEL
ブリークからバスで山道を上っていくこと約 20 分。アルプスの山々が一望で きる急な斜面に、紫色のかわいらしい花が咲いている。黄色というイメージ をもっていたが、実は使用されるのは赤いめしべの部分で、それを乾燥させ たものを水に溶かすと鮮やかな黄色になる。南向きで厳しく照りつける太陽 の熱と標高 1200m の寒さ、という特殊な気象条件がサフランに適していた のだと考えられている。10 月中旬から11 月中旬の開花シーズンになると、 区分けされた斜面に村人たちがやってきて手で花を摘んでいく。理由はわ からないが咲く花の数にはムラがあり、あたり年やはずれ年があるそうだ。 花をとった後は家に持ち帰って、丁寧にめしべをとっていく作業が待っている。 かなり細かい仕事だがグラム単位で高値がつく貴重な品だけに無駄にはで きない。かご一杯の花を取ってきてもめしべだけだとほんのわずか。それを 風通しのよい日陰で乾燥させれば完成だ。1個の花には3本のめしべがあり、 1gの香辛料に換算すると約 180 個の花が必要になるという。年間で約 3kgと 生産量は少ないが、他の産地に比べて香りや色が強い「ムンダー・サフラン Munder Safran( AOC )」の評価は高い。村にあるレストランでは、サフラン のパスタやリゾットなどの料理を味わうことができる。小さな蒸留所でサフ ラン・リカーもつくられている。さらに村の上にある山小屋 レストラン「ザルヴァルト Salwald」でもサフランの チーズやアイス、パンなどが楽しめるので、 ハイキングがてら足をのばしてみてもよい だろう。途中で、この地方にしかいないと いわれる噂の白黒ヤギにも出会えるかも しれない。
MEMO
地中海沿岸を原産とするサフランはアヤメ科の多年草。花のめしべの部分だけを取り出し 乾燥させて香辛料として使う。その希少性とあざやかな黄色に染まることから、昔からよく 黄金に例えられる。また薬効の効果もあり生薬としても珍重されている。主な原産地は イランとスペイン。スイスは栽培地としてかなり北限に近い場所になる。