#18. SEPTEMBER / OCTOBER 2018
A D VA N C I N G H VA C & R N A T U R A L LY
J A P A N
ローソンが仕掛ける
自然冷媒市場の競争化
Business Case for
EVENTS 2018 EVENTS IN 2018
Natural Refrigerants
ATMO JAPAN 13 February Tokyo
ATMO CHINA 12-14 11-12 April April Beijing
ATMO AUSTRALIA 7 May Sydney
ATMO ATMOAMERICA FRIGAIR 12-14 June 7 June Long Beach, CA Johannesburg
ATMOAMERICA FRIGAIR ATMO 712-14 July June 2018 Johannesburg Long Beach, CA
ATMO FRANCE June 2018 5 July Paris
ATMO ASIA 4 September Singapore
ATMO IBÉRICA 24 September 18 September Madrid
ATMO EUROPE 19-21 November Lago di Garda
www.ATMO.org
出 版 者 挨 拶 // 3
波に乗るのは誰か ? − ヤン・ドゥシェック
ヤン・ドゥシェック 出版者
自
然冷媒技術には技術的課題も未だ多
Expocomport ( 国際空調環境展示会、通称
く残っていますが、技術者達は研究
MCE)」の姉妹展「MCE Asia」に合わせて、
への野心を止めません。スペイン・バレンシ
その直前となる 9 月 4 日、第 5 回となる自
アで開催されたグスタフ・ローレンツェン
然 冷 媒 国 際 会 議「ATMOsphere Asia」 を、
会議では、様々な自然冷媒技術に関する新
今年度はシンガポールにて初開催します。6.5
たな論文が発表され、日本からは日本冷凍
億人が住む東南アジア市場では、さらなる人
空調工業会が、国内で行なっている炭化水素
口増加とともに、冷凍冷蔵・空調に対する需
のリスクアセスメントの発表を行いました。
要も増加傾向にあります。自然冷媒の東南ア
FOOMA JAPAN でも、数年前は自然冷媒技
ジア市場への介入は未だ早いと考える人も
術を展示する企業は一社のみでしたが、今年
いると思いますが、長年東南アジア市場に働
は 4 社となりました。新しい技術に挑戦す
きかけてきた今、市場が動き出そうとしてい
ることは時間も費用もかかるため、決して簡
る段階にあると言えます。現地で皆様とお会
単なことではありませんが、経済産業省オゾ
いできることを楽しみにしております。
ン層保護等推進室長である皆川重治氏が本 誌で語ったように、自然冷媒技術を自社の製 品ラインアップに加える企業が着実に増え
キガリ改正の効力もあり、今まで以上に世界
ていることは事実です。 もちろん、 そのスピー
中で自然冷媒に対する興味・関心が増えてい
ドを加速化させる必要はありますが。
る中、すでにその波に乗っている自然冷媒業 界の先駆者たちに関して一つだけ確実に言
そのため、日本 No.1 の CO2 店舗数を誇る ローソンのように、ユーザーが率先して市場 に競争を巻き起こそうとする事例は日本で は数少ない事例ですが、彼らが行うこの市場 活性化のための活動は大変意義のあること です。この波に乗る企業が、ユーザー側から もメーカー側からも今後増えて行くことに 期待しています。
えることは、一つの選択肢に固執する人はい ないということです。メーカー側もユーザー 側も、情報獲得のためのアンテナを張りなが ら、より良いものに常に模索し、それに挑戦 する姿勢を忘れません。本誌は、そのような 野心的な業界の皆様に、グローバルで起こっ ている事柄に関する正確な情報と、自然冷 媒が持つ課題とその可能性について、今後も 情報発信に注力したいと思います。本号で
Volume.3 が終了し、次号で本誌も 4 周目を 海 外 市 場 に 関 し て は、 シ ン ガ ポ ー ル で 開 催 さ れ る 世 界 最 大 規 模 の 環 境 機 器・ 空 調 機 器 に 関 す る 展 示 会「Mostra Convegno
ご意見ご感想はこちらまで japan@shecco.com
September - October 2018 // Accelerate Japan
迎えます。さらなる向上・改善を目指してい きますので、引き続きよろしくお願いいたし ます
JD
Natural refr sheccoBase
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編 集 長 挨 拶 // 5
進む制度・技術開発 − 岡部 玲奈
今
号で注目していただきたいのが、世
能性のある市場を築くための重要な役割を
界で起こっている政策の動きです。
担っていると言えるでしょう(P30)。
国 際 電 気 標 準 会 議 (IEC) の 各 国 委 員 会 の
75% が、業務用冷凍冷蔵システムにおける 炭化水素などを含めた A3 冷媒の冷媒充填
しかし、市場を促進させるためには、やは
量の国際的制限を、500g にまで引き上げ
り政府による政策の方向性の決定と、技術
る案に賛成票を投じました(P14)。2018
の開発・導入支援は欠かせない要素となり
年末には最終投票が行われる見込みで、通
ます。今となっては認知度も上がったショー
過すれば 2019 年初頭には新規格が公表さ
ケース用 CO2 冷凍機が実際に開発され実用
れることになります。日本でも現在、日本
化されるまで、プロジェクトの中心として
冷凍空調工業会と NEDO を筆頭に、炭化水
活躍していた一人であるオゾン層保護等推
素冷媒を小型冷凍冷蔵機器に採用した際の
進室長の皆川重治氏が言うように(P20)、
リスク評価手法の開発が進んでいます。カ
日本独自の技術で世界の HFC 対策に貢献す
リフォルニア州上院議員のリカルド・ララ
るためにも、業界に対する制度作りと技術
氏は、空調および冷蔵冷凍における HFC 冷
開発の推進といった二軸に対するアプロー
媒の使用を制限するカリフォルニア冷却法
チが、今後日本では重要になっていくのだ
令を提出し、カリフォルニア州独自で掲げ
と思います。
る 2030 年までの排出削減目標を達成する ための対策を打とうとしています(P46)。
6 月 12 ~ 15 日に東京ビッグサイトで開催 された、アジア最大級の「食」の総合トレー ド シ ョ ー「FOOMA JAPAN 2018」 で は、
最後に、自然冷媒国際会議で日本市場に焦 点 を 当 て た「ATMOsphere Japan 2018」 を、今年度も同じく東京コンファレンスセ ンター・品川にて、2019 年 2 月 12 日 ( 火 ) に開催することが正式に決定いたしました
独自で開発した自然冷媒技術を披露する
(P54)。昨年度は 200 名以上の業界関係者
メーカーとそれぞれの戦略・展望を伺うこ
の皆様にお越しいただき、日本の自然冷媒
とができました(P40)。しかし、商品ライ
市場に関して最新の情報交換ならびにネッ
ンアップを増やすメーカーもいる中で、未
トワーキングの場を提供させていただきま
だ市場に参画するメーカー数が少ないのは
した。今年度はさらなるコンテンツの向上
市場が直面する課題の一つであります。そ
を目指しておりますので、ぜひまたお越し
のため、参画するメーカーを増やし、自然
いただければ幸いです。 RO
冷媒の普及と機器コストを下げるために「複 数社体制構築」に挑むローソンは、持続可
ご意見ご感想はこちらまで rena.okabe@shecco.com
September - October 2018 // Accelerate Japan
岡部 玲奈 編集長
6 // 目次
目次
05
波に乗るのは誰か?
14
炭化水素の充填制限拡大が IECの中間投票で承認
編集長挨拶
16
R1234yfが飲用水にもたらす 危険性をドイツ連邦環境庁が 警告
20
制度構築と技術開発推進の二軸
46
HFCを対象とした カリフォルニア冷却法令 インセンティブ・プログラムの 持つポテンシャル
出版者挨拶
進む制度・技術開発
08
本誌について
09
発行スケジュール
本誌の詳細について
発行スケジュールと 広告締め切りについて
10
イベントカレンダー
12
業界ニュース
冷凍冷蔵空調業界に関連した イベント情報とスケジュール
// 政 策 動 向
03
オゾン層保護等推進室長 皆川 重治氏の独占取材
20
業界の最新ニュース
18
Accelerate Japan // September - October 2018
目 次 // 7
18
36
第5回 ATMOsphere Asia 2018 がシンガポールで初開催
ATMOsphere America
東南アジア市場に焦点を当てた ATMOsphere Asiaは今年シンガポ
アンモニアが革新的かつ絶え間なく
ールにて開催
// 開催予定イベント
アンモニアが注目を集めた ATMOsphere America
進化する冷媒としての存在感を見せ つけた
54
ATMOsphere Japan 2019 開催決定と登録ページを オープン!
40
食品工業分野で存在感を増すCO2 FOOMA JAPAN 2018
アジア最大規模の国際食品工業展が 東京ビッグサイトにて開催
// 海外エンドユーザー取材
26
小型CO2トランスクリティカル システムがポーランドの
コンビニエンスストアに参入
ターシステムを数百台発注したアド
// エンドユーザー取材
バンサーの新工場を取材
30
自然冷媒市場の競争化 ローソン
ローソンが目指す、一歩先を見据えた CO2市場の競争化
30
September - October 2018 // Accelerate Japan
// メーカー取材
CO2トランスクリティカルミニブース
// イベントレポート
ビエドロンカ
40
48
自然冷媒の進化が話題に 第13回グスタフ・ローレンツェン会議
業界のエキスパートたちがCO2、アン
モニア、炭化水素の冷媒としての有 効性を説明
52
キャレルが キャレル・ジャパンを 完全子会社化
8 // 本誌について
#18. SEPTEMBER / OCTOBER 2018
Accelerate Magazine September-October 2018 Volume 3, Issue #18
創刊者 マーク・シャセロット marc.chasserot@shecco.com @marcchasserot
出版者 ヤン・ドゥシェック jan.dusek@shecco.com
編集長 岡部 玲奈 rena.okabe@shecco.com
編集者 佐藤 智朗
アクセレレート・ジャパンについて 自然冷媒に関する情報発信の世界的エキスパートsheccoがお届けする アクセレレート・ジャパンは、あらゆるHVAC&R分野で自然冷媒ソリューシ ョンを取り扱う、最も革新的なビジネスリーダーの皆様を対象とした日本 初隔月刊誌です。
http://acceleratejapan.com
執筆者 岡部 玲奈 佐藤 智朗 デビン・ヨシモト アンドリュー・ウィリアムス マイケル・ギャリー シャーロット・マクローリン アルバロ・デ・オニャ ダリオ・ベルオミニ
アクセレレート・ジャパンの出版社であるsheccoは、ベルギー・ブリュッ
翻訳者
セルに本社を構え、日本・東京、アメリカ・ニューヨーク、オレゴン、そして
笠原 志保 尾松 貴美
オーストラリア・シドニーに支社を持つことで、グローバルなネットワーク を形成しています。
広報マネージャー ヤン・ドゥシェック
デザイン 工藤 正勝 アナ・サルホファー
写真 ベン・ビーチ
広告掲載について 広告掲載の申し込みは下記までご連絡ください。 広報マネージャー : ヤン・ドゥシェック
jan.dusek@shecco.com 03-4243-7095
本誌上で寄稿者により示される見解は、必ずしも本 誌 発 行 元 の 見 解を表 すもので はありません 。本 誌
取材の申し込みやご提案について 取材のお申し込みやご提案は下記までご連絡ください。 編集長 : 岡部 玲奈
に掲載する内容の正確性については万全を期して いますが、掲載内容の誤り・脱漏により発生するい か なる影 響 につ いても、発 行 元 は 一 切 の 責 任を負 いません。
rena.okabe@shecco.com
アクセレレート誌はsheccoJapan株式会社が発行
03-4243-7095
しています。無断複写・転載を禁じます。著作権者か らの書面による事前の許可なしに、本誌の全部また は一部を複写・複製することを禁じます。
Accelerate Japan // September - October 2018
発 行 ス ケ ジ ュ ー ル // 9
発行スケジュール アクセレレート・ジャパンは 2 カ月に 1 回、年に 6 回発行です。 全ての雑誌はオンラインにて無料で閲覧できます(acceleratejapan.com)。 印刷物は毎号、冷凍冷蔵業界の主要ステークホルダーにお届けし、 また主要な業界イベントにて配布しています。
VOLUME3
19 号(11 月 /12 月号)2018 年 メインテーマ : 炭化水素冷媒市場の最新動向 確定記事事 : ハイネケン導入事例 ATMOsphere Asia 開催レポート 広告申し込み締め切り :9 月 21 日(金) 予定発行 :10 月上旬
20 号(1 月 /2 月号)2019 年 メインテーマ : 産業用冷凍冷蔵空調分野 確定記事 :ATMOsphere Europe 開催レポート 特別配布会場 : 環境と新冷媒 国際シンポジウム 2018 広告申し込み締め切り :11 月 22 日(木) 予定発行 :12 月上旬
21 号(3 月 /4 月号)2019 年 メインテーマ : 業務用冷凍冷蔵空調分野 確定記事 : エコ・プロダクツ開催レポート 特別配布会場 :ATMOsphere Japan スーパーマーケット・トレードショー、 HCJ 広告申し込み締め切り :1 月 18 日(金) 予定発行 :2 月上旬
September - October 2018 // Accelerate Japan
18
I S S U E #
AUG — OCT
10 // イベントカレンダー
8月 2-4日
15th International Exhibition for Food & Beverage Processing Packaging Technologies パキスタン・ラホール
http://www.foodtechpakistan.com/
8月 8-9日
7th International Air-source Heat Pump Development Forum 中国・杭州
http://www.ehpa.org/events/supported-events/chinaheat-pump-annual-conference-2018/
8月 8-11日
Vietfood & Beverage ベトナム・ホーチミン
http://hcm.foodexvietnam.com/
8月 16-20日
Food Expo Hong Kong 香港
http://event.hktdc.com/fair/hkfoodexpo-en/HKTDCFood-Expo/
8月 29-31日
9th Shanghai International Frozen and Chilled Food Expo 中国・上海
http://www.ffb2b.com/en/
Accelerate Japan // September - October 2018
イ ベ ン ト カ レ ン ダ ー // 11
9月 4日
9月 18日
ATMOsphere Asia 2018
ATMOsphere Ibérica
シンガポール
スペイン・マドリード
アジアでの開催は 5 回目となる自然冷媒国際会議。今年
自然冷媒がイベリカ半島にもたらすビジネスチャンスに
はシンガポールにて開催され、東南アジアの自然冷媒技
ついて議論する自然冷媒会議
術とトレンドに焦点を当てる
http://www.atmo.org/Asia2018
9月 3-5日
ISH Shanghai 中国・上海
http://www.atmo.org/Iberica2018
9月 26-28日
13rd China Food Cold Chain Conference 中国・成都
http://www.ishc-cihe.com http://www.car.org.cn/index.php?s=/articles_1052.html
9月 5-7日
Mostra Convegno Expocomfort (MCE) Asia シンガポール・マリーナベイサンズ 冷熱空調暖房業界の省エネ技術に焦点をあてた、アジア 最大の貿易展示会
9月 26-28日
International Indonesia Seafood & Meat Expo 2018 インドネシア・ジャカルタ
http://www.iism-expo.com/ https://www.mcexpocomfort-asia.com/
9月 5-7日
9月 26-28日
Asia Fruit Logistica
Refrigeration & HVAC Indonesia 2018
香港
インドネシア・ジャカルタ
https://www.asiafruitlogistica.com
http://www.refrigeration-hvacindonesia.com/index.php
9月 12-13日
10月 10-11日
The Future of HVAC 2018
Innovation for Cool Earth Forum (ICEF) 5th Annual Meeting
オーストラリア・メルボルン
東京都・ホテル椿山荘 エネルギー・環境分野のイノベーションにより気候変動問題の解決を図るため、世界の学界・
http://www.airah.org.au/SolarHeatingAndCoolingForum/ Default.aspx
産業界・政府関係者の議論と協力を促進する国際的なプラットフォームとなることを目的と した国際会議 https://www.icef-forum.org
September - October 2018 // Accelerate Japan
12 //
業界ニュース
業界ニュース インド初の
「ノーリツ ZEH セミナー」が
CO2 トランスクリティカルシステム
全国 14 ヶ所で開催
インド工科大学マドラス校機械工学部の研究者は、6 月 18 日~
湯まわり設備メーカーであるノーリツは、7 月 5 日~ 8 月 9 日に
20 日にかけてバレンシアで開催されたグスタフ・ローレンツェ
かけて全国 14 ヶ所で「ノーリツ ZEH セミナー」を開催。住宅建
ン会議(Gustav Lorentzen Conference)において、インド初の
築事業者などを対象に、経済産業省と環境省、そして国土交通省
CO2 トランスクリティカルシステムを紹介し、CO2 技術が外気温
の 3 省が連携して取り組む、一般家庭の年間一次エネルギー消費
45°C の環境化でも作動できることを示した論文を発表した。「こ
量が正味でゼロとなる住宅「ZEH( ネット・ゼロ・エネルギー・ハ
れはスーパーマーケット、空調、熱回収など、あらゆる稼働モー
ウス ) 」普及のための特別講演と、同社の自然冷媒ハイブリッド
ドを備えた多面的システムです」と、インド工科大学マドラス校
給湯器の紹介が行われた。今年 9 月に発売予定でリニューアルさ
機械工学部のパラカシ・マイヤ教授は語った。「このタイプのシス
れたハイブリッド給湯・暖房システムである「ユコア HYBRID」は、
テムはインド初ですが、45°C という非常に気温の高い環境でも
エコジョーズとヒートポンプ、ガスと電気を効率よく使い分ける
順調に稼働しています」。さらに気温が上がっても作動できるかも
ことによって、高い省エネ効果を実現する。日々のデータから適
しれないと、マイヤ教授は同システムのポテンシャルについて述
正な湯量・温度を管理できる「スマート制御」システムも採用し、
べた。ノルウェー産業科学技術研究所(SINTEF)エネルギー研
LP ガスを使った従来給湯器に比べ、年間約 44% ものエネルギー
究所およびノルウェー工科大学 (NTNU) からの研究者を含むマイ
消費量削減を実現。また、ハイブリッド給湯器としては業界初の
ヤ教授の多国籍研究チームは、今後この仮説を試していく予定だ。
自然冷媒・炭化水素を採用しており、従来給湯器と比較して年間 約 47% の CO2 排出量削減にも繋がるという。
蒸発器を満液式にして液体エジェクタを追加するというデザイン により、同システムは CO2 冷却システムの安定性を向上させるこ
特別講演の登壇者の一人である NPO 法人気候ネットワークの東
とに成功。スーパーマーケット向けに消費電力を削減し、ひいて
京事務所所長 桃井貴子氏は、参加者になぜフロンが現在問題視さ
は高気温環境での液体エジェクタの使用を促進する、と論文は結
れているかの背景と、ノーリツが採用した自然冷媒のメリットを
論付けている。インド市場に CO2 トランスクリティカルシステム
説明した。「代替フロンとして使用されている HFC のオゾン層破
への潜在性があるかと問われたことに対し、「潜在性はあります。
壊係数は 0 ですが、地球温暖化係数は高いという現実があります。
システムがきちんと作動し、メンテナンスが不要で、かつシステ
また人工化学物質であるため、毒性や環境への影響といった研究
ムの技術サポートがあるということがわかればですが」と、マイ
もまだ乏しいと言わざるを得ません。この懸念は、低 GWP なが
ヤ教授は答えた。
ら熱分解で毒性ガスを発生する HFO も同様であり、だからこそ 自然界の環境への影響がない、自然冷媒への早急な切り替えが重 要なのです」と述べた。そして、「世界的にフロン廃絶が進む中、
インド政府は自然冷媒技術を支援している。 「国民はフロン問題か
ノーリツが開発した自然冷媒ハイブリッド給湯器は、国内企業と
ら目を覚まし、口を揃えて言うのです。『人工的に化学合成された
しては珍しい炭化水素冷媒を採用した機器ということで衝撃を受
物質であるフロンの代わりに、自然冷媒である CO2 を選択したい』 と」。インドの食品小売業界における CO2 トランスクリティカル システムのビジネスに、マイヤ教授は確信を持っているという。
けました。同機の販売と市場拡大には、大きな期待を寄せていま す」と、桃井氏は語った。快適性や安心という要素も追求した同 社のハイブリッド給湯器は、住宅での自然冷媒ソリューションの 新たな選択肢の 1 つとして、今後市場でも新たな風を巻き起こし ていくことだろう。
Accelerate Japan // September - October 2018
業 界 ニ ュ ー ス // 13
平成 30 年度「脱フロン社会構築に
九州で開催された
向けた業務用冷凍空調機器省エネ化
CO2 物流センター見学ツアー
推進事業」の第 1 次交付先が決定 一般社団法人日本冷蔵倉庫協会の会員を対象に、6 月 20 日、福 一般財団法人日本冷媒・環境保全機構は、4 月 6 日~ 5 月 11 日 の間で募集した環境省による補助事業、平成 30 年度「脱フロン 社会構築に向けた業務用冷凍空調機器省エネ化推進事業」の第 1 次公募の交付先を 7 月 13 日に発表した。計 98 社の全国約 139 施設の自然冷媒設備設置に対して、補助金が支給される予定だ。主 な割り当ては、冷凍冷蔵倉庫が 55 社(60 施設) 、食品加工工場が
19 社(19 施設)、そして食品小売業が 24 社(60 施設)となった。
岡県で CO2 物流センターの施設訪問ツアーが開催された。会員が 訪問したのは、今年 3 月に稼働を開始した芳雄製氷冷蔵の穂波第 二センター(福岡県飯塚市)と、5 月から稼働を始めた河合製氷 冷蔵の福岡第二物流センター(福岡県糟屋郡)の 2 ヶ所であり、 当日は計 80 名ほどが参加し、実機や冷凍冷蔵庫内の見学、及び プレゼンテーションなどで説明を受けた。両センターとも日本熱 源システムの CO2 単独冷媒冷凍機「スーパーグリーン 」を導入し、 芳雄製氷冷蔵では 3 台、河合製氷冷蔵では 10 台が稼働している。 芳雄製氷冷蔵の代表取締役社長の小金丸滋勝氏によれば、ここ最
第 2 次公募は 7 月 9 日~ 7 月 27 日の期間で実施され、その対象
近の電気使用量の平均は、70kW/h 弱に収まっているという。冷
は「新規開店するフランチャイズ形態のコンビニエンスストアに
蔵倉庫業界の電気使用量の平均は 150kW/h 前後というから、実
設置するショーケースやその他省エネ型自然冷媒機器」に限定さ
に半減という大きな省エネ効果を発揮していることがわかる。九
れた。なお、今後 9 月頃に第 3 次公募、11 月頃に第 4 次公募と
州地方という外気温が比較的高い地域でも、CO2 直膨式が正常に
続く予定である。
稼働する様子や、その省エネ性能を目の当たりにした。
リフリジランツ・ナチュラリー ! の メンバーは 725 万台を超える 自然冷媒システムを所有
スーパーグリーンは高い省エネ性能もさることながら、GWP1 と いう環境に配慮した CO2 冷媒という選択と、災害時の復旧もしや すく水管理の負担も少ない空冷式採用のシステム構造、大容量倉 庫にも耐えられるラインナップ、そして倉庫の性質に合わせて自 由度の高い設備調整ができることで、地方の物流を支える老舗企 業から厚い信頼を獲得するのに成功している。日本熱源システム
2017 年末までに、リフリジランツ・ナチュラリー !(Refrigerants,
は 2017 年 12 月に滋賀の基幹工場を竣工させ、昨秋には福岡サー
Naturally!)のメンバーであるコカ・コーラ(Coca-Cola)、ペプ
ビスセンターを設立。市場で評価される CO2 冷凍システムの安定
シコ(PepsiCo)、レッドブル(Red Bull)、ユニリーバ(Unilever)
供給体制に向けて、万全な体制を整えている。
は、合算で 725 万台の自然冷媒システムを実装し、自然冷媒への 転換による CO2 換算 4,350 万トンの排出削減に成功した。これは、 乗用車 886 万台超の年間排出量に等しい。
リフリジランツ・ナチュラリー ! のメンバーは、技術情報を共有 してネットワークを構築することで、自然冷媒システムのアフ ターサービスに関するノウハウの開発と普及を積極的に支援。さ らに非会員、とりわけ発展途上国や新興国市場へ向けてイノベー ションや優良事例を推進してきた。2017 年末までに、メンバー 企業のうち 3 社が新設備の購入を 100% 自然冷媒にするという目 標を達成しており、最後の企業も 2020 年にはこの目標に到達す る見通しだ。メンバー企業は業界のステークホルダーや冷凍冷蔵 機器のエンドユーザーに対し、自然冷媒を採用して彼らの例に倣 うよう呼び掛けている。
September - October 2018 // Accelerate Japan
■
CO2 物流センター見学ツアーの動画
https://youtu.be/pksO4xmHWBE
14 //
政策動向
炭化水素 の 充填制限拡大が IECの中間投票で
承認
国際電気標準会議(IEC)の各国委員会の 75% が、業務用システムにおける炭化水素な エンブラコ
どの A3 冷媒の冷媒充填量の国際基準を 500g にまで引き上げる案に賛成票を投じた。
業務用冷凍冷蔵製品技術マネージャー
2018 年末には、最終投票が行われる見込みだ。
マレック・ズグリチンスキ氏
文 : シャーロット・マクローリン、マイケル・ギャリー
国
際電気標準会議(IEC)の各国委員会は、
次のステップは、10 月に韓国釜山で開催される
業務用冷凍冷蔵機器に使用されるプロパ
次回の SC61C 小委員会会議で、CDV プロセスに
ンなどの可燃性 A3 冷媒の充填量制限を、150g
寄せられる論評への対処だ。同会議中に挙がる課
から 500g まで拡大するかの投票を実施。同案は
題が解決可能なものかの議論が重ねられ、2018
75% の賛成で可決された。2018 年末には、IEC
年末までに充填制限原案が最終投票(FDIS)へ進
60335-2-89 充填規格の最終投票を行う予定であ
めるかどうかが決定される。うまくいけば制限案
る。「IEC -89 規格の CDV(投票用委員会原案)に
は最終投票で可決され、2019 年初頭には新規格
関する投票が実施され、賛成 75% で承認されまし
が公表されることになるだろう。電気・電子技術
た」。IEC SC61C 小委員会の委員長であり、エン
の使用方法に関する規則を企図する世界的機関の
ブラコ(Embraco)の業務用冷凍冷蔵製品技術の
IEC が定める規格は、メーカーおよび顧客に安全
マネージャーを務めるマレック・ズグリチンスキ
な製品使用や購買に関するガイドラインを提供す
氏は語った。この投票は、充填制限の拡大が国際
ることで、市場の発展に多大な影響を与える。「と
基準として最終的に施行されるかどうかを決定す
はいえ、強制力を持たせるには、この規格は地域
る、長い標準化プロセスにおける最終段階である。
ごとによって承認されねばなりません」と、ズグ リチンスキ氏は語った。
各国委員会による投票に先立つこと数週間、新し い充填規格は可決に必要な 67% 以上の承認を得ら れないのではとの憶測があったという。プロセス が最終局面に差し掛かった現在でさえ、 「戦いはま だ終わっていません」とズグリチンスキ氏は述べ る。昨年 10 月のロシアのウラジオストク会議で、
IEC の小委員会 SC61C は、500g の充填制限を求 める業務用冷凍冷蔵に関する IEC 60335-2-89 規
現行の 150g 制限下では、メーカーやエンドユー ザーは業務用冷凍冷蔵分野で炭化水素冷媒の安全 な応用を十分に活用できない。これが専門家に とっての共通認識でもある。同分野における炭化 水素活用の未来が、2018 年で大きく変わるかも しれない。 SM,MG
格の修正案を提出し、プロセス(投票用委員会原 案)を次の段階に進めることを決定した。結果と して 75% の賛成を得て、この企画を最終投票へ と進めるのに最低限必要な 67% を超えた。
Accelerate Japan // September - October 2018
16 //
政策動向
R1234yf が
飲用水にもたらす危険性
ドイツ連邦環境庁が警告 文 : シャーロット・マクローリン
ド
イツ連邦環境庁(UBA)は、ハイドロフ
である。しかし UBA は、フランクフルター・ル
ル オ ロ オ レ フ ィ ン(HFO) が ト リ フ ル
ントシャウに対して、HFO を採用した自動車が
オロ酢酸(TFA)へと分解されることで、ドイ
今後さらに市場に出回れば、予防レベルをはるか
ツの水源を汚染する可能性があると主張してい
に超えた水準になる危険性を示唆した。 同様にノ
る。UBA は 6 月、カーエアコンに広く使用され
ルウェーの報告書でも、「HFO 類(そして結果的
て い る HFO-R1234yf の分 解 産 物 と し て 発 生 す
に TFA)の段階的廃止か、リサイクル時に HFO/
る TFA(トリフルオロ酢酸)は、水源を汚染する
TFA を効率的に回収するための最も優れた方策に
可能性があり、汚染が起こってから HFO を除去
よる排出削減戦略を実施できれば、人の健康や環
することはできないと警告した。「我々は、カー
境保全に対するリスクを軽減することができるで
エアコンや据置型冷凍冷蔵システムに使用される
しょう」と、予防策を講じることを勧めている。
R1234yf 冷媒が、今後増えることを懸念しながら 動向を注視しています」。UBA のマリア・クラウ ツベルガー長官はこのことを、フランクフルトの
UBA のクラウツベルガー長官は、「R1234yf のよ
新聞 / オンラインサイトであるフランクフルター・
うなフッ素化された冷媒の使用を控えること」を
ルントシャウの取材の中で述べ、代替物資として
提唱し、自然冷媒を使用した代替案を指摘した。
自然冷媒を挙げ、採用する利点を強調した。
「TFA は、通常の処理方法では飲用水から除去で きません。これ以上の HFO の使用は何としても 避けねばらないのです」と、クラウツベルガー 長官は述べる。ノルウェー環境庁による昨年の
HFO に関する報告書(注 1)では、TFA の環境へ の影響が決定的となる前に、HFO に対する「知 識格差」の課題に取り組むべきだと推奨している。 同報告書によれば、HFO-R1234yf の大気中の寿 命は約 6 日間で、その後は完全に TFA へと分解 される。UBA によると、TFA は水質に有害な物 質として分類されており、分解に時間がかかる 上、藻類にとっても有毒である(この事実はノル ウェーの報告書にも明記されている)。スイス連 邦材料試験研究所(Empa)の研究者たちもまた、 ヨーロッパ各地の HFO 濃度を測定している。
彼女はダイムラー(Daimler)とアウディ(Audi) の例を引用しつつ、CO2 はカーエアコンにも使 用できると強調した。ダイムラーは 2012 年に行 なった R1234yf の試験で引火トラブルがあった ことを受け、大量生産の車種には CO2 エアコン を採用することを決定したのである。また、アウ ディもいくつかの車種に、CO2 エアコンを利用し ている。UBA はまた、CO2 はヒートポンプなど で効率的な冷暖房を提供するにあたり、他の冷媒 より優れていることを述べている。イリノイ大学 アーバナ・シャンペーン校に所属するペガ・ハー ニャック教授は、6 月 12 日~ 14 日にカリフォル ニア州ロングビーチで開催された自然冷媒国際会 議 ATMOsphere America で、多くの自動車メー カーが、電気自動車のバッテリーを長持ちさせる 方法として CO2 ヒートポンプを検討していると 語った。「研究部門では、カーエアコン向け CO2 ヒートポンプの研究はまるで養蜂箱のようです。
CO2 ヒートポンプを使えば、電気自動車の冬の走 現時点で、ドイツの水源における濃度は UBA 推
行距離を 30% 伸ばすことができるのです」 SM
奨の予防レベル範囲内(飲用水 1 ℓ当たり 3 ㎎)
注 1: ノルウェー環境庁による HFO に関する報告書は本誌 17 号を参照
https://issuu.com/shecco/docs/aj_17/52
Accelerate Japan // September - October 2018
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18 //
開催予定イベント
第5回
ATMOsphere Asia 2018が
シンガポールで初開催
9 月 5 日〜 7 日に、シンガポールで開催される世界最大規模の環境機器・空調機 器に関する展示会「Mostra Convegno Expocomport(国際空調環境展示会、 通称 MCE)」の姉妹展「MCE Asia」に合わせて、その直前となる 9 月 4 日、第
5 回となる自然冷媒国際会議「ATMOsphere Asia」が、今年度はシンガポール にて初開催されます。
モ
ントリオール議定書やキガリ改正などと
現在まで世界各国 26 カ所以上で開催されてきた、
いった国際協定の影響を受け、国家、そし
自然冷媒国際会議「ATMOsphere」。その東南ア
て国際的なレベルで HFC に対する規制変更が必
ジア市場に焦点を当てた ATMOsphere Asia は今
須となり、それに伴い自然冷媒の HVAC&R 業界
年、シンガポールにて開催されます。本誌の発行
における役割は非常に大きなものとなっています。
元である shecco は、より環境に優しい HVAC&R
その中でも、温暖な気候に約 6.5 億人もの人々が
ソリューションである自然冷媒技術が市場に広が
暮らし、中産階級の人口増加とともに、空調需要
るよう、同会議を 2009 年以降開催してきまし
が爆発的に増加しているという背景を持つ東南ア
た。シンガポールは国際色豊かで技術に精通して
ジア市場の選択は、世界が気候目標を達成できる
おり、環境への意識が高いことで知られています。
かどうかを決定づける、非常に重要な役割を持っ
まさに、ATMOsphere で具体化された理念を体
た地域と言えるでしょう。
現したかのような都市です。
Accelerate Japan // September - October 2018
開 催 予 定 イ ベ ン ト // 19
ATMOsphere Asia 2018 日程 :2018 年 9 月 4 日(火) 会場 : シンガポール サンテック・シンガポール国際会議展示場 プログラム :http://www.atmo.org/Asia2018/programme 参加登録 : http://www.atmo.org/Asia2018/register
導入の際に直面している課題と可能性、環境温度 が高い地域での自然冷媒技術の効率性、東南アジ ア諸国の関連政策などを中心に展開されます。
会議で注目すべきは、多様な業界から集まったエ ンドユーザーによるパネルディスカッションです。 同プログラムには、インドネシア最大の冷蔵倉庫 業者であるキアットアナンダ・コールドストレー ジ(Kiat Ananda Cold Storage)、同国の製薬会 社ファプロス(Phapros)、シンガポールの精密 洗浄および表面処理の請負業者であるエムクリー ン・ テ ク ノ ロ ジ ー ズ(MClean Technologies)、 そしてフェアマウント シンガポールアンドスイ ソテル スタムフォード & ヒルトンホテル(Hotel
Fairmont Singapore & Swissôtel Stamford and Hilton)が登壇予定です。これらエンドユーザー には、彼らのビジネスにおける自然冷媒技術発展 の重要性と、将来的なプランについて発表いただ きます。自然冷媒市場の成長にはエンドユーザー の存在が不可欠であるため、該当業者は同会議に 無料での出席が可能です。
この他にも、低充填アンモニア技術の専門家で あるスキャンテック(Scantec)のステファン・ イェンセン氏、二酸化炭素技術の専門家のベイ ヤー・レフ(Beijer Ref)のインデパル・サウン ド氏、そして炭化水素空調分野の専門家であるギ ズ・プロクリマ(GIZ Proklima)のフィリップ・ ムンチンガー氏にそれぞれ講演していただきます。 さらに、インドネシア環境林業省(Ministry of
Environment and Forestry of Indonesia) か ら はバイトゥル・ズルハスニス氏、マレーシア環境 省からはエミー・シャーリーン・ウォン氏が、そ 同会議では国内外のステークホルダーを一同に集
れぞれの国での HCFCs と HFCs 削減に関する動
め、政策や規制、市場と技術の動向に関する包括的
きについて発表いただくとともに、業界と直接自
なセッションプログラムを提供いたします。プログ
然冷媒を選択する機会について議論を重ねます。
ラムには、エンドユーザーの導入事例紹介やパネル ディスカッション、ケーススタディーなどの講演、 そしてビジネスマッチング及び情報交換の機会とな るネットワーキングタイムもご用意しております。
ま た 今 回 の イ ベ ン ト に 合 わ せ て、『Accelerate
Asia(本誌姉妹紙)』の記念すべき初刊が発行を 迎えることとなります。東南アジアで積極的に自 然冷媒機器を取り入れているエンドユーザーの、
会議中の議題は、東南アジア市場における最新
格好の導入事例にスポットを当てた特集が組まれ
の持続可能かつ経済性のある自然冷媒ベースの
ており、当日はイベント会場にて本誌を無料配布
HVAC&R ソリューション、同市場が自然冷媒技術
される予定です。
September - October 2018 // Accelerate Japan
20 //
政策動向
制度構築と 技術開発推進の二軸 キガリ改正締結を機に、国内担保としてオゾン層保護法の改正が 7 月に公布された。厳しいキガリ改正の HFC 削減スケジュールを達成 するためにも、この冷凍冷蔵・空調業界に対してしっかりとした制 度作り、そして技術開発の推進といった二軸でサポートしていきた いと、オゾン層保護等推進室長 皆川 重治氏は本誌に語った。 文 : 岡部 玲奈
オゾン層保護等推進室長 皆川 重治氏
Accelerate Japan // September - October 2018
政 策 動 向 // 21
September - October 2018 // Accelerate Japan
22 //
政策動向
キガリ改正達成のための 改正オゾン法施行に向けて 特定フロンの代替物質として開発された HFC に 関して、オゾン層破壊物質には該当しないものの、 地球温暖化を引き起こす物質であるため、2009 年以降、モントリオール議定書に HFC を規制対 象として追加する議論が長く続いていた。そして
2016 年 10 月、ついに第 28 回モントリオール議 定書締約国会合(MOP28)にて、HFC を新たに 議定書の規制対象とする改正提案「キガリ改正」 が採択され、従来のオゾン層破壊物質と同様に、 生産量・消費量の削減義務が課されることとなっ た。キガリ改正には 2018 年 7 月 17 日時点で既 に 40 ヶ国が締結し、20 ヶ国以上の締結という発 効要件を満たしているため、来年 1 月 1 日に発効 予定だ。日本もキガリ改正発効に向け、来年 1 月 のキガリ改正発効に間に合うよう、国内での新た な HFC 規制を開始するため、議定書の国内担保 法である「特定物質の規制等によるオゾン層の保 護等に関する法律」( 以下、オゾン層保護法 ) につ いて、HFC を規制対象に追加する改正が行われ、
る冷媒について、フロン排出抑制法の指定製品制
2019 年 6 月 27 日に国会にて成立し、7 月 4 日
度における、2025 年度に GWP 値 1,500 以下と
に公布となった。
いう目標値をクリアすることに関しても、各事業 者の方々で、戦略が異なってくる可能性があると
改正オゾン法の 1 月 1 日の施行までのスケジュー ルは、4 段階に分けられる。
思います。それは当然のことであり、キガリ改正 の削減義務をクリアできるような技術の実用化、 製品化に向け、是非とも各事業者の方々がその強 み、経験を活かし、創意工夫して挑戦して欲しい
1. 政省令の制定 2. 2011 年~ 13 年の国内 HFC 生産量・消費量実績 の報告徴収とそれに基づく基準限度などの告示
という思いがあります。当省としても、制度運用 と開発基盤の整備という両面で、産業界の方々を バックアップできるように、議論を重ねていきた いです」
3. HFC の製造・輸入割当て運用方針の制定 4. 2019 年分に関わる HFC 製造・輸入数量の内示、 製造量の事前許可
10 年先を見据えた技術開発 「HFC は温室効果が高く、地球温暖化に影響を与 えるため、その排出削減という課題から目を背け
この一連の流れについて、「来年の施行に向けて、
9 月を目途に日本の HFC の生産量、消費量の限 度となる基準限度を定める必要があるため、8 月
1 日までに事業者の方々にご協力いただき、2011 年から 13 年の国内 HFC 製造量、輸入量、輸出量
ることはできません。環境にしっかり貢献してい こうという日本の立場上、日本がキガリ改正に積 極的に参加することは、当然の選択であると思い ます」と、皆川氏は本誌の取材で語った。「もち ろん、キガリ 改正が定める HFC の削減スケジュー
の実績データの調査を行っています。これを基に、
ルを達成することは、日本にとっても大きなチャ
基準限度を定める予定です」と、皆川氏は説明す
レンジではあります。それと同時に、大きなチャ
る。HFC 消費量のうち、特に家庭用エアコン、業
ンスとも言えるでしょう。日本独自の技術で世界
務用エアコン、コンデンシングユニット(別置型
の HFC 対策にしっかりと貢献することで、環境
ショーケースなど)の占める割合が多く、特に削
先進国として役割を果たすことができます。また
減義務が厳しくなる 2029 年の削減義務達成には、 この 3 分野の対策が課題となってくると同氏は言 う。「例えば、コンデンシングユニットで使用され
日本の産業にとっても、独自の技術を世界に展開 していくためのチャンスとなります。そのため、 キガリ の削減目標に対しては、当省としても前向
Accelerate Japan // September - October 2018
政 策 動 向 // 23
きにかつ積極的に、国内産業と連携して挑戦して
証データの取得に参画いただくプロジェクトを実
きたいと思います」と、皆川氏は経済産業省とし
施しました。その第 1 号店が生活協同組合コープ
ての考えを共有した。
さっぽろ西宮の沢店さんです。また、多数のコン ビニ店舗で施工やメンテナンス体制の実証に取り
削減スケジュールといった HFC 規制のカーブが厳
組まれたローソンさんを始め、様々なユーザーさ んに参画をいただきました。実は、先日プライベー
しいという業界の声があるものの、 「その削減スケ
トでの旅行に行った際、やっとそのコープさっぽ
ジュールに対しても、国内産業の混乱を招かず、消
ろさんの店舗にお伺いすることができたのです。
費者にかかる負担を抑制するためにも、削減義務が
補佐の時には行くことが叶わないままになってい
厳しくなる 10 年先を見据えて、今から技術開発を
たので、現在もしっかりと稼働しているショーケー
進め、環境省と一緒になって、新技術の市場への導
スを見ることができて嬉しかったです」と、皆川
入・普及活動に取り組みたいと思っています。キガ
氏は笑顔を見せる。 「当時、スーパーマーケット業
リ の削減スケジュールは先進国で共通です。言わば、
界の中で、CO2 冷媒のショーケースを実用してい
どの国も達成するための技術を求め開発を進めてい
る店舗が登場したことは衝撃的であり、全国のスー
るわけですから、日本が世界に先駆けて技術開発を
パーマーケットチェーンから視察が相次いだと伺
進めれば、それだけ早く世界に発信・貢献できる余
いました。コープさっぽろさんにも、当時は業界
地が生まれるということです」
関係者の方が店内には多く見られ、 『このショー ケース、きちんと冷えていますか ?』という質問
CO2 という成功事例と残る課題 現在、業界はキガリ改正を達成するための冷媒候 補・新技術を模索中であり、もちろん自然冷媒も 候補の一つだ。 「NEDO のプロジェクトでも、自 然冷媒を使った技術開発も多数推進してきました。
をする人でいっぱいだったと教えてもらいました。 これら、象徴的な店舗が出来たことで、実証デー タの取得のみならず、 多くの方に CO2 冷媒のショー ケースが、技術開発の段階から実用化・普及の段 階へと進んできたことを広く知っていただく大き なきっかけとなったのです」
アンモニア /CO2 二元冷媒による冷凍機の技術実証 や、CO2 冷媒のショーケースの開発などがありま す」と、皆川氏は振り返る。2005 年度 ~2010 年 度に渡って行われた NEDO の「ノンフロン型省エ
補佐を務めた後、すぐに東日本大震災が起こり、 震災対応へと向かった皆川氏。 「期間が空いてしま いましたが、室長として戻って来たいま、CO2 冷
ネ冷凍空調システム開発」事業が行われていた時、
媒機を自社の製品ラインアップに加える企業も増
オゾン層保護等推進室長の室長補佐を勤めていた
えていると伺います。ユーザーの方々から見て、
皆川氏。同氏はまさに、ショーケース用 CO2 冷凍 機が開発され実用化されるまで、プロジェクトの 中心として活躍していた一人である。三洋電機 (現 : パナソニック アプライアンス)による CO2 冷凍機
選択肢が多様化することは、CO2 普及において非 常に重要なことだと思います」と、 皆川氏は述べる。 「しかし、コスト面や、配管を全て取り替えないと いけないため既存店舗に入れにくいという課題は
の開発後は、大手流通グループイオンの東京都大
まだ残っています。実証実験をやっていた際に、
田区にある「マックスバリュエクスプレス六郷土
既存店舗の改装に際し、CO2 冷媒機導入の実証試
手駅前店」の食品売り場にて実機を設置し、実証
験ができないか、様々なユーザーさん、店舗さん
試験が行われた。 「当時、イオングループさんが第
にお声がけしたのですが、結果的にやり切れず、
1 号機の実証を快く承諾してくれたことには有難い
悔しい思いをしました」 。既存店舗への導入となる
気持ちでいっぱいです」と、 皆川氏は振り返る。 「ま
と、施工期間の短縮化やフロン冷媒用配管の継続
た、メーカーが機器性能や信頼性を実証し、様々
使用が可能か、 といった点が重要となってくる。 「今
な用途に対応できるよう CO2 製品ラインアップの 拡充を検討していく上では、北から南まで様々な
後はコスト面を抜本的に解決できる手段がないか、 また技術的に CO2 冷媒機の導入が難しい既存店舗
気候環境、店舗や用途がある中で、CO2 冷凍機が
などの課題をどうやって突破するのか、こうした
どのような状況でどのようなパフォーマンスをす
課題を幅広く産業界の方々と議論を進めていきた
るのか、より多くの実証データを得る必要があり
いと思います」と、同氏は続けた。
ました」と皆川氏は言い、そのため開発後は、実 証実験のための補助制度「代替フロン等排出削減 先導技術実証支援事業(2010 年度 ~2015 年度) 」 の活用を推進したのだと説明した。 「この実証支援 制度を通じて、様々なユーザー、様々な店舗の方々 に、CO2 冷媒ショーケースを大規模に導入し、実
September - October 2018 // Accelerate Japan
24 //
政策動向
喫緊の課題となる小型機での
た場合にも火炎は拡がるのか、といった点を徹底的
炭化水素冷媒のリスク評価
冷媒でも、安全に使いうる用途・範囲があることが
「今年度からスタートする、新たな NEDO プロジェ
に検証していきました。これにより、燃焼性がある わかってきました。基礎研究から産業での応用まで 融合させた、産学官の成果であったと思っています」
クトでは、産業界とも協力し、炭化水素冷媒の小 型冷凍冷蔵機器に採用した際の、リスク評価手法 の開発も進めています」と、皆川氏は言う。かつ
また、 「炭化水素冷媒は、既に家庭用冷蔵庫や自動
てのプロジェクトで微燃性冷媒をエアコンなどに
販売機などでは広く使用されていますが、より冷
用いた際のリスク評価手法を開発したのと同様、
媒量が大きい小型冷凍冷蔵機器分野においても、
炭化水素冷媒の漏えい時のシミュレーションや実
燃焼性のリスク評価を行う手法が確立できれば、
験などで、どのような危険性があるのかなど、レ
重要な選択肢となってくると思います」と、皆川
ビューをするために必要なデータ収集、手法を開
氏は述べた。炭化水素冷媒を使用した機器は、燃
発している。既に、NEDO(国立研究開発法人新
焼性によるリスクが制御できたならば、冷媒とし
エネルギー・産業技術総合開発機構)による 2016
ての性能は高く、CO2 のように高圧になりやすい
年度~ 2017 年度にかけての「高効率低 GWP 冷媒
という課題も生じない。このため、初期コストも
を使用した中小型空調機器技術の開発微燃性冷媒」
抑えやすくなり、普及も図れるのではないか。だ
事業の委託事業「低温室効果冷媒の性能、安全性
からこそ、 「キガリ改正に対応していく上で、小型
評価」でも、複数の大学などによって炭化水素冷
冷凍冷蔵機器での炭化水素冷媒についてリスク評
媒のリスク評価検討が行われた。現在日本冷凍空
価の俎上に載せ、本当に安全な機器設計が可能な
調工業会で行なっているリスク評価の状況は、12
のかを検討することは極めて重要だと考えていま
月 6 日 ~7 日に神戸国際会議場にて開催される「第
す。今年からスタートする NEDO プロジェクトで
13 回 環境と新冷媒 国際シンポジウム」にて発表予
は、リスク評価を通じて安全対策が必要な部分は
定だ。2018 年度~ 2022 年度にかけて実施してい
何かを特定し、産業界での設計規格、更には国際
る NEDO の新プロジェクト「省エネ化・低温室効
規格へと反映できるよう、引き続き、産学官が連
果を達成できる次世代冷凍空調技術の最適化及び
携した体制で、しっかりと成果を出していきたい
評価手法の開発」でも、小型冷凍冷蔵機器における
と思っています」と、意気込みを見せた。
炭化水素冷媒のリスク評価検討を喫緊の課題とし て捉え、 「それを主軸の 1 つとして、プロジェクト を進めていきます」と、皆川氏は説明した。今年 度の予算額は 2.5 億円となっている。
最後に、皆川氏は自身の業界に対する思いを明か した。 「7 年前に室長補佐から異動する時、携わっ ていた事業に対して思い残しはありました。ちょ うど微燃性冷媒の評価プロジェクトを始めようと、
炭化水素という冷媒に関して皆川氏は、 「燃焼性のあ
産業界・研究者の方々と議論を開始したばかりの時
る冷媒に対して、必ずしもネガティブな見方をする
期でもあり、また、ようやく実用化段階に至った
必要はないと思っています」と、 率直な意見を述べた。
ばかりの CO2 ショーケースに関しても、今後どの
その背景として、2011 年度 ~15 年度に実施された
ように普及に向けた施策を展開していくかという、
NEDO の「高効率ノンフロン型空調機器技術の開発」
いずれも途中段階での異動でしたから。そのため、
プロジェクトを通して、5 年間、徹底的に 1234yf
またこうしてこの分野に戻って、チャレンジでき
、1234ze 及び比較対象として R32 も含め、燃焼性
るのは非常に有難いことだと思っています」 。技術
のある冷媒を機器に用いた際のリスク評価手法の開
開発に関しても、 「挑戦しても結果として成功する
発を行い、その成果が、微燃性冷媒を用いたエアコ
か失敗するか分からないリスクがありますが、そ
ンの製品化・普及につながったことを挙げる。 「以前
れを背負いながらもチャレンジする産業界の取り
は、冷媒に用いる物質は不燃であることが大前提で
組みを、しっかりと応援していきたいと思います。
した。2011 年にプロジェクトをスタートする時には、
CO2 冷媒ショーケースのように、さらなる日本発
自分自身も、燃焼性のある冷媒が果たして広く利用
の技術を生み出せる環境を作り、世界のフロン対
できるようになるのかは正直確信が持てずにいまし
策に貢献していきたいです。日本の産業界にとっ
た。しかし、 NEDO プロジェクトでの産学官での研究、
ても、キガリ改正に対応できる新技術の開発は、
さらにその後の産業界での設計規格の構築など、数々
次なる競争力の源泉となります。それをバックアッ
の努力を経て、家庭用エアコンなどで微燃性の冷媒
プする当省の責任は大きいですが、非常にやりが
が使いこなせる状況になりました。冷媒漏えい時に、
いがある立場にいると感じています」 RO
着火する可能性がある空間の広がりがどの程度なの か、どのような火が着火源となるのか、仮に着火し
Accelerate Japan // September - October 2018
私たちローソングループでは、 『 環境にやさしいお店 』 を 利用していただけるよう、ノンフロン化を推進しています。 昨今、モントリオール議定書改正による HFC 規制やパリ協定発効など世界的に 地球温暖化防止に向けた対応が迫られるなか、ローソングループではいち早く HFC 対策を重要な問題として捉え、2010 年から店内の冷蔵・冷凍ショーケース にフロンガスを使用しない『CO2 冷媒冷凍・冷蔵システム』の採用を開始し、 2014 年 8 月以降は新規オープン店舗の標準的な仕様にすることで導入を加速させ、 2019 年 2 月末には 3,500 店舗を超える見込みです。
これからも、この最先端の技術を地球温暖化防止の重要な柱 と位置付け、小売業界だけでなく多くの先進的な企業が CO2 冷媒を採用し、普及拡大の一助になることを目指して、これ からもノンフロン化に積極的に取組んでまいります。
26 //
海外エンドユーザー取材
小型CO2トランスクリティカルシステムが
ポーランドの コンビニエンスストアに参入 CO2 トランスクリティカル冷凍冷蔵システムは、すでにヨーロッパのスーパーマーケットにおけ る地位を確立している。そして次に参入しているのは、コンビニエンスストア市場だ。ディスカウ ントスーパーおよびコンビニエンスストアをチェーン展開するポーランド最大手のビエドロンカ (Biedronka)は最近、アドバンサー(Advansor)製の CO2 トランスクリティカルミニブースター システムを数百台発注した。ポーランド・シュチェチン にあるアドバンサーの新工場を取材した。 文 : アンドリュー・ウィリアムス、アルバロ・デ・オニャ
Accelerate Japan // September - October 2018
海 外 エ ン ド ユ ー ザ ー 取 材 // 27
高
品 質 の CO2 冷 凍 冷 蔵 シ ス テ ム メ ー カ ー
旗振り役のビエドロンカ
として市場をリードするアドバンサー
は、スーパーマーケットにトランスクリティカ
ビエドロンカは、2017 年時点で店舗数 2,823 店
ル CO2 ラックを提供している主要供給業者であ
を誇るポーランド最大のディスカウントスーパー
る。CO2 の今後の成長を楽観視している同社は、
マーケットチェーンである。オーナー企業は、レ
バルト海とドイツ国境に近いポーランド北西の
シェイオ・キャッシュ・アンド・キャリー S.A.(
都市シュチェチンに 3,000m2 の最先端の生産工
Recheio Cash & Carry, S. A.)の親会社でもある
場を建設している。このデンマーク企業にとっ
ポルトガルの小売グループ、ジェロニモ・マーチ
て、コンビニエンスストアのようなより小規模な
ンだ。ビエドロンカの名前はテントウムシを意味
店舗もまた、将来性のある成長分野なのだ。こう
し、そのロゴにもその絵があしらわれている。ポー
した展望を考慮して、同社は 2017 年 3 月にド
ランドで最も人気のスーパーマーケットチェーン
イツ・デュッセルドルフで開催された見本市ユー
のひとつであるビエドロンカは、地元ポーランド
ロショップ(EuroShop)において、コンビニエ
の製品を主に販売しているが、その多くが自社ブ
ンスストア向けの新製品としてミニ CO2 ブース
ランドとして製造されている。シュチェチンでア
ター「compSUPER XXS」を発表した。食品小
ドバンサーの事業部長を務めるジョアン・ソマー・
売店の小規模化が進むヨーロッパのトレンドに応
ジャーミン氏は、新工場のこれまでの成長に満足
えるために開発された新型の同トランスクリティ
しているという。「ビエドロンカ向けの生産状況
カル CO2 システムは、-10℃で 30kW の冷却能力、
は実に順調そのものといった形で進行していま
-30℃で 4~5kW の冷凍能力をそれぞれ有している。
す」と、ジャーミン氏は語る。
ユーロショップでの製品発表以降、アドバンサー
工場では、近く週 20 台のミニブースターの生産
はこのミニブースターシステムを 400 台、ジェロ ニモ・マーチン・グループ(Jerónimo Martins
group)傘下のポーランドのコンビニエンススト アチェーンであるビエドロンカのために製造し た。 「2017 年の 4 月から 12 月にかけて、140 台 製造しました」と、アドバンサーのシモン・プリ ビル氏は述べた。プリビル氏は 2017 年に開業し たシュチェチン工場の責任者である。「ミニブー スターの注文のうち 50% はポーランドにあるこ の工場で製造しています」
体制を確保したいと考えている。 実際このデン マークのメーカーは、生産台数の大幅増加にも十 分耐えうる能力を有している。「我々が話を伺っ た、ポーランドで製品の生産ライン立ち上げの経 験を持つ先達は、生産ラインの立ち上げは大規模 な体制で実施しないと、2 年で製造スペースが足 りなくなると助言してくれたのです」と、ジャー ミン氏は現状の増産体制の根拠となるエピソード を紹介してくれた。「2 年もすればこの施設はよ り忙しくなることでしょう」
CO2 コンプレッサー
September - October 2018 // Accelerate Japan
28 //
海外エンドユーザー取材
ポーランドの市場は
アドバンサーの中央ヨーロッパ地域販売責任者で
成長の時期にある
ビエドロンカのコンビニエンスストアで 30kW の
工場には年間 1,200 台の小型ラックを生産する能
あるロバート・ペトリック氏は、最近改装された ミニブースターが中温冷却をする様子を見せてく れた。 「ビエドロンカの最初の数店舗は私が設置を
力があるが、工場責任者のプリビル氏は、現地サ
手伝いましたが、今では現地の設置業者が主導で
ポートを提供することの重要性を強調する。「ビ
きるだけの十分なスキルを身につけています」と、
エドロンカからの注文を確保する上で、我々が現
ペトリック氏は言う。 「はじめは彼らの研修をデン
地企業であった、あるいは現地企業になりつつ
マークで行っていましたが、その後ポーランドに
あったことが、おそらく功を奏したのだと思いま
研修センターを作ったのです。現在までに、この
す」 。アドバンサーは、ビエドロンカとの関係構
国で 200 名を超える設置業者を養成してきました」
築が同社にとって何か特別なことが始まる象徴の ような出来事だ、と楽観的立場を示す。 「ポーラ ンド市場は今後さらなる成長を遂げるであろう、
2017 年だけで、ビエドロンカは 300 店舗に CO2
有望な市場です。私たちにとっても、非常に期待
システムを設置し、そのうち 200 台をアドバン
の大きい市場なのです」と、プリビル氏は語る。 「加
サーが納品している。「ビエドロンカの目標は、
えて、シュチェチンの工場はドイツ以南へも素早
年間 300 店舗のユニット設置です。2018 年も、
くアクセスできます。デンマークから車で 6 時間
彼らはその目標を達成するつもりです。おおよそ
以内の距離ですから、緊急時にはサポートも受け
毎営業日につき 1 店舗という計算です」と、ペト
られます」
リック氏は熱く語ってくれた。このポーランドに あるアドバンサーの新工場が成したこの事例は、 明らかにヨーロッパが直面するスーパーマーケッ ト向け CO2 トランスクリティカルラックの需要増 加に対する、生産体制整備の成功を果たす第一歩 と言えるだろう。 AW,AO
ポーランド・シュチェチン にある アドバンサーの新工場
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エンドユーザー取材
ローソンが仕掛ける
自然冷媒市場の 競争化 日本にいれば一度は聞いたことのある大手コンビニエンスストア チェーンのローソン。同社はこの冷凍冷蔵・空調業界でも、一目置 かれた存在となっている。今年 6 月時点で 2900 もの CO2 店舗を 構え、小売業の自然冷媒機器導入数「世界⼀」を目指す同社が現在行 なっている活動は、一歩先を見据えた自然冷媒市場の競争化である。 文 : 岡部 玲奈
Accelerate Japan // September - October 2018
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コスト削減のための複数社体制構築 2010 年に 1 店舗へ導入してから、2018 年 6 月 までに全国 47 都道府県で 2,900 店舗へと実績を 伸ばしてきたローソン。日本では小売業界の中で
CO2 機器の導入店舗数では堂々の一位を獲得して おり、さらには「世界一」を目指して、積極的な 自然冷媒への転換を行なっている。
今年 2 月 13 日に東京コンファレンスセンター・ 品川にて、shecco が主催した自然冷媒国際会議 「ATMOsphere Japan 2018」で、ローソン 開発 本部長補佐 宇都慎一郎氏が自身の発表の中で公言 し、業界から注目を浴びたのが、同社の 2019 年 度までに向けた、CO2 機器普及拡大とそれによる コスト削減のための「複数社体制」構築であった。 宇都氏は、メーカー、小売双方で自然冷媒導入検 討の本気度がまだまだ低く、いずれの企業も導入 に際してコストの問題で議論が止まっているケー スが多いことを受け、コスト削減を促す活動の一 つとして、複数のメーカーの機器を取り入れ市場 の競争を活発化させるというのだ。ローソンが導 入する CO2 機器はこれまでパナソニックのものが ほとんどであったが、同社は 2015 年にサンデン・ リテールシステムの CO2 機器を導入し現在 3 店舗 で実証中、2017 年 12 月には高崎上大類町店にて 新システムの実証も行なった。さらに、福島工業 の CO2 ショーケースと三菱重工サーマルシステム ズの CO2 コンデンシングユニットを組み合わせた 冷蔵システムの 1 号機を、今年 5 月にオープンし た京都の洛西口駅北店に導入した。また、今年 1 月に群馬県館林市でオープンさせた館林木戸町店 では、パナソニックの CO2 コンデンシングユニッ トと、ヤマトが開発したブライン冷却式氷蓄熱シ ステムを組み合わせた冷蔵システムの 1 号機を導 入し、環境配慮モデル店舗として様々な省エネ・ 創エネ技術を取り入れ、普及拡大に向けて実証実 験を行なっている。
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エンドユーザー取材
比較体制が整った高崎上大類町店 「サンデンは冷凍系統が今までなかったので、冷凍 に関しては同じ店舗内でパナソニック機器を使っ ていましたが、冷凍のラインアップもできたた め、12 月にオープンさせた高崎上大類町店はすべ てサンデン製の冷凍冷蔵システムで稼働していま す」と、開発本部 建設部(省エネ推進)松谷 裕 行氏は説明する。「これでやっと、パナソニックと サンデン機器を店舗全体で比較することができる ようになったのです。今後はこの体制で検証して いく予定です」。高崎上大類町店では 6 馬力 2 台 と 2 馬力 1 台及び内蔵型デザートケースで冷やし ており、「サンデン機器の特徴としては、6 馬力の もので冷凍と冷蔵の二系統を一台で運用できる点 があります。一系統が故障しても別の系統は稼働 し、 その間に修理もできるのです」 と松谷氏は言う。 また、一番大きい馬力数が 6 であり、「圧力が低 いため、フロン冷媒と同じ肉厚の配管を使用でき 1/
るのもメリットのひとつです」と述べた。
大手 2 社による
CO2 機器 1 号機が京都で稼働 5 月 23 日に開店した京都の洛西口駅北店は、業 務用冷凍・冷蔵庫、ショーケース大手の福島工業 が開発した CO2 ショーケースと、重工業大手の 三菱重工グループの三菱重工サーマルシステムズ が、昨年 4 月に販売を開始した独自の CO2 コン デンシングユニットを初めて組み合わせたシステ ムを導入した。10 馬力 1 台を使用して、店舗の 冷蔵系統を冷やしている。「まだ稼働させてから
2 ヶ月弱なので、データは検証中の段階ですが、 順調に稼働していると報告を受けています」と、 松谷氏は言う。福島工業製の CO2 システムには 冷凍系統に対応していないため、洛西口駅北店で は冷凍には 410A の内蔵型リーチインショーケー スを使用している。検証を進めながら仕様を検討 していく予定とのことで、大手 2 社がタッグを組 んだことによる業界へのインパクトと今後の展開 にも注目がいく。 2/
群馬で存在感を放つ 1/ 高崎上大類町店で稼働する サンデン製 CO2 コンデンシングユニット
2/ 京都洛西口駅北店で稼働する 三菱重工製 CO2 コンデンシングユニット
木造の環境配慮モデル店舗 ローソンは、今後予想される更なる電気代の高騰 などの理由から、2020 年までの中期目標として、 外部調達電気使用量ネットゼロ「ZES 店舗」の実 現を目指している。「つまり、電気代の一切かから
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ない店舗を目指しているのです」と宇都氏は言う。
ムにより、温度変化の少ない地熱を利用し、室内
しかし、既製品の採用だけでは目標達成が難しい
温度に近い外気を店内に給気(夏期 25 ℃、冬期
ため、新技術を積極的に実証実験しているのだ。
14℃を想定)することで、空調設備の省エネとな る。「現在空調分野にはフロンからの代替候補が
その実例として、昨年 2 月 17 日に東京都小平市 にオープンさせたローソン小平天神町二丁目店は、
IT を使った需要供給により、店舗の消費電力を制 御、効率的なエネルギーの供給管理ができる「ス マートエネルギーストア」の記念すべき 1 号店で あり、経済産業省による「バーチャルパワープラ ント(以下、VPP)構築実証事業」(発電設備や
ないため、今取り組んでいるのが放射熱や温水を 利用した除湿式放射パネル空調です。これは天井 に設置する放射パネルに冷温水を循環させ、店舗 内の温度を調整するシステムです。ヨーロッパで は主流ですが、日本ではまだ普及していない空調 タイプで、将来的には店舗に導入した CO2 機器 で温水を作ることを想定しています。CO2 はエコ キュートなどを見ればわかりますが、温水を作る
機器等の電力源の相互接続と制御により、新たな
のは得意ですので」と宇都氏は説明し、「これが
エネルギー利用の最適化を目指し、低炭素社会の
上手くいけば、空調もノンフロン化できるという
実現に向けた事業)の一環として、慶應義塾大学
ことです」と、力強く語った。
SFC 研究所と共に、IoT 化された機器による制御・ 節電を通じて電力リソースの創出の実証実験を開 始した。コンビニエンスストアで同事業の採択を
店舗内の冷ケースには、省エネ性能の高いパナソ
受けたのはローソンが初となる。もちろん冷凍機
ニックの CO2 冷凍冷蔵機を採用。冷ケースは扉付
にはパナソニックの CO2 機器を採用。「今までは
きとなっており、冷気漏れを防ぐとともに断熱性
フロン問題とエネルギー問題は分けて考えていま
能を高めることで冷蔵効率をアップしている。ま
したが、この小平の店舗から両課題は一緒に取り
た、ヤマトのウルトラエコ・アイスといった要冷
組んでいくべきだと判断し、自然冷媒機器による
蓄熱槽を設置したことで、蓄熱槽を IoT 化し、外
省エネ性能を上手く利用していく方向です。実際
気温の低い夜間に CO2 室外機の運転を行い、蓄熱
に、ネットゼロの目標達成のための要となってい
槽内に氷をつくり蓄熱。外気温が高い昼間に、蓄
るのが、CO2 機器といった自然冷媒なのです。取
熱槽内の熱エネルギーを使用して要冷ケースを冷
り入れている様々な省エネ対策の中で最も効果が
却している。「つまり、外気温が低く CO2 機器の
高い施策のため、我々は省エネ対策の一環として
効率が一番良いときに稼働させ、外気温が高く効
自然冷媒に取り組んでいます」と、宇都氏は言う。
率が一番低いときに稼働を止め、蓄熱層の氷を溶 かして冷やすのです。外気温の関係で効率のピー
1 月 19 日に開店したローソン館林木戸町店は、「ス マートエネルギーストア」の 2 号店して、省エネ・ 省 CO2 化を目指しつつも、自然冷媒機器などを含め た環境に配慮したあらゆる技術を取り入れ、かつ創 エネ施策を導入。外部調達する電力量を、2016 年 度の標準的な店舗対比で約 6 割削減を目指している。
省エネ・省 CO2 化に関しての具体的な施策として、 今回コンビニエンスストアとして初めて、断熱性 能の高い CLT(Cross Laminated Timber: 直交集 成板、以下 CLT)を店舗の構造や内装に使用した。
ク時は季節によって変わるため、今後はデータを 取りながら色々と実験をしていく予定です」と、 宇都氏は述べた。ウルトラエコ・アイスによって エネルギーの消費効率を高め、省エネと蓄エネの 両方を実現しているのだ。要冷では省エネ約 22% を目指すという。
創エネ施策としては、店舗屋根上に 24kW 相当の 太陽光パネルを設置して発電し、14kW 相当は店 舗の消費電力に充当、10kW 相当は売電すること で創エネ約 15% を見越している。また、店内に
5.6kWh 相当の蓄電池を設置し、太陽光発電シス
国産杉を使用した CLT や国産の木材を店舗の構造
テムで発電した電気の充放電を遠隔制御。受給バ
や内装に使用することで、建築断熱性能を向上さ
ランスにあわせて充放電することで、電力調整力
せ、空調設備の負担を軽減することで、電気使用
として活用する。「今まで電気は買うだけでした
量の削減による省エネと店舗建設時の CO2 排出量 の削減を目指すという。また、自動開閉換気窓を 取り入れることで、中間期(3 月 ~5 月頃、9 月
~11 月頃)に店舗内外の温度・湿度を感知し、窓 を自動で開閉して快適な外気を取り入れることが 可能。地中熱利用給気ピットといった、床下ピッ トに溜まった地熱を店内の換気に活用するシステ
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が、それを売ることもできるようにしたいのです」 と宇都氏は語る。
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エンドユーザー取材
課題として挙がる意識不足と補助金制度の制限 ローソンといったエンドユーザー側から複数社体制による市場の 競争化を仕掛けずとも、業界全体で自然冷媒機器の使用者が徐々 に増えればコストダウンの可能性はある。しかし、未だユーザー 間での自然冷媒やノンフロン化に対する意識に温度差があること を宇都氏は指摘した。しかし、HFC の消費量の段階的削減義務等 を定めるモントリオール議定書キガリ改正が来年 1 月 1 日に発効 されることで、業界の自然冷媒に対する意識も少しずつ変わって くるだろうと、宇都氏は予測している。 「2016 年 10 月にルワンダ・ キガリで開催された第 28 回モントリオール議定書締約国会合で キガリ改正が採択されてから、メーカーもやっと自然冷媒技術に 目を向けるようになってきました。来年の 1 月に発効され、国内 担保措置として、特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関す る法律(オゾン層保護法)の一部改正が同じく 1 月より施行され ますので、これらの規制が市場に浸透していけば、より多くのメー カーの自然冷媒市場への参画が期待できると思います。キガリ改 正が及ぼした業界への影響は大きいです」と、宇都氏は続けた。 1/
しかしそれでも、キガリ改正が与えたインパクトはまだメーカー にしか及んでいないとし、ユーザーの意識を自然冷媒に向けるに は、本格的に HFC の削減が始まることが必要だと鋭い意見を述べ た。また、キガリ改正の発効後にフロン冷媒系機器を売るメーカー には、製品に使用可能年度を記載するなどの表示義務を付けるべき だとし、そうすることでユーザーの脱フロン化に対する意識を向上 させ、自然冷媒に目を向ける可能性を高めることだろうと続けた。
また機器コストの課題から、環境省による自然冷媒機器導入に対 する補助金制度が 2014 年度から本格的に導入されてきた。しか し、2018 年度の「脱フロン・低炭素社会の早期実現のための省 エネ型自然冷媒機器導入加速化事業」では、補助申請件数の上限 が小売業は最大 50 事業所までとなってしまったことで、「導入に ブレーキがかかってしまったことは否めません」と宇都氏は語る。 「だからこそ、複数社体制やユーザーの自然冷媒市場の参入を増や 2/
すことで、機器のコストダウンを目指したいのです」
1/ 館林木戸町店で稼働する パナソニック製 CO2 コンデンシングユニットと ヤマト製要冷蓄熱槽 2/ CO2 ショーケース 3/ 館林木戸町店内観 4/ ローソン 開発 本部長補佐 宇都慎一郎氏 5/ ローソン 開発本部 建設部 ( 省エネ推進 ) 松谷裕行氏
3/
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ローソンが仕掛ける 市場競争の流れに乗るのは誰か ? 複数社体制によるコストダウンというアプローチに話を戻すと、 「現在、富士電機のショーケースとパナソニックの CO2 冷凍機を 組み合わせたものも工場で実験されています」と、松谷氏は言う。
炭化水素冷媒にもアンテナを張っ また同社は CO2 冷媒だけでなく、 ている。「海外の炭化水素コンプレッサーメーカーと話をしていま すが、国内メーカーとは話が進んでいません。しかし、今後もア ンテナは張っていく予定であり、CO2 機器ではカバーできない分 野での炭化水素の可能性を、次なる転換ステップとして検討して いきたいです」と、宇都氏は述べた。
「今後は当社の店舗にてフィールドテストを行っていく予定です」。 富士電機のショーケースも選択肢として加わることで、 CO2 ショー
様々な新技術を積極的に取り入れ、データ収集・分析をしつつ、
ケースを提供するメーカーはパナソニック、サンデン、福島工業
最適なソリューションを模索しているローソン。単純に環境に良
を合わせて 4 社となる。「4 社の中で、コストや省エネ効果、メン
いだけでは自然冷媒の普及には限界があるが、ローソンのように
テナンス体制などを考慮しながら、複数社体制を行っていく予定
機器の省エネ性能を上手く活用すれば、経営戦略として自然冷媒
です」と、松谷氏は述べる。「CO2 を初めた頃は、パナソニックと
の採用を検討するユーザーも増えるはずだ。また、同社の自然冷
二人三脚で普及活動に専念してきました。とはいえ、コストダウ
媒導入計画に複数メーカーを巻き込むことで、業界全体への影響
ンは今後も取り組まなければならない課題ですし、災害などが起
も自ずと大きくなる。業界の第一線を走り続ける同社が仕掛ける、
きた際に工場が稼働できなくなった場合などに備えて、複数社と
市場競争の行く末を今後も追って行きたい。 RO
連携していくことは自然冷媒導入を推し進めるためにも重要なこ とです。フロン機も同様に複数社体制でやっていましたが、CO2 に関しては今までは選択肢がありませんでした。それがやっとで きるようになったのです」と、松谷氏は語った。
4/
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イベントレポート
アンモニアが注目を集めた
ATMOsphere America 業務用冷凍冷蔵パネルディスカッションから、基調講演、さらに産業用冷凍冷蔵セッショ ンに至るまで、自然冷媒国際会議「ATMOsphere America 2018」では、アンモニアが 革新的かつ絶え間なく進化する冷媒としての存在感を見せつけた。そして CO2 もまた、 アメリカの業務用冷蔵市場に参入しようとしている。 文 : シャーロット・マクローリン
カ
リフォルニア州ロングビーチで年 6 月 12
ネマイヤー氏は、2016 年 7 月に同社の屋上にエ
日 ~14 日 に 開 催 さ れ た、ATMOsphere
ヴァプコ(Evapco)製の小型低充填アンモニア
America 2018 で参加者が聞いたのは、アメリカ
システムを導入。小型化により省スペース化が図
の産業用冷凍冷蔵業界では、アンモニアが強力な
れ、新分野への投資が可能になったと明かした。
役割を担いながら、CO2 と共に新たな市場セグメ
彼は、アメリカで同システムを導入した最初の人
ントにも参入しつつあるという内容であった。現
物であった。エヴァプコ製のシステムへの投資に
在、北米市場で特に R&D 部門が注目しているの
よって解放されたスペースを活用し、ウェスタン・
は、低充填量アンモニアのイノベーションだ。へ
ゲートウェイ・ストレージは梱包アイス事業に参
ニングセン・コールド・ストレージ(Henningsen
入した。追加スペースの活用で得た新たな収益構造
Cold Storage)、ウェスタン・ゲートウェイ・ス
により、 「当社の収益は向上した」と、 ボーネマイヤー
ト レ ー ジ(Western Gateway Storage)、KPAC
氏は同会議の 2 日目、聴衆に向かって語った。
ジェネラル(KPAC General)といった多くの大 手エンドユーザーも、設備への冷媒充填量の削減 に投資をしている。同会議に出席したエンドユー ザーは、低充填量に対する様々な動機があるよう
同様に、低温貯蔵会社の KPAC ジェネラルの副社 長兼本部長であるロニー・R・セバロス氏も、ネ
に見受けられたが、大半はこれらの装置の省エネ
クストコールド(NXTCOLD)製の低充填アンモ
ルギー効率に注目しているようであった。
ニアパッケージを採用したことで、追加スペース の有効活用につながったという。「従来のアンモ
低温貯蔵会社であるウェスタン・ゲートウェイ・ ストレージの代表取締役社長、デイヴィッド・ボー
ニアシステムには、エンジン室が必要でした」と、 セバロス氏は述べる。 「現在はそこが空きスペース
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となり、潜在的な収益スペースとなったのです」。 もうひとつの恩恵は、従来のアンモニア装置と比 べて冷媒充填量が少ないため、エネルギー費用が 削減できた点である。「まだ稼働してから 5 ヶ月 しか経っていませんが、月平均の電気代は 2 万ド ル(約 222 万円)へと減少しました。経理面から も非常に有用と言えそうです」と、彼は指摘する。 また同社は、損害賠償保険の節約、省スペース、 省エネルギー、省コストなども考慮に入れると、 従来の液体オーバーフィード式アンモニア冷凍冷 蔵装置と比べて、25,000 ドル~ 482,500 ドル(約
278 万円~ 5,360 万円)もの節約を実現できると
1/
見込んでいる。
一方で、従来とは全く異なるソリューションを選 択した、ヘニングセン・コールド・ストレージ。 同社でエンジニアリング責任者を務めるピート・ レプスチャット氏は、これまで導入および設備改 良毎にアンモニアの充填量低減に投資してきた同社 が、最終的に産業用の大型 CO2 システムへの移行 を決断したその経緯を説明した。レプスチャット氏 は、同社の新施設に CO2 トランスクリティカル装 置を導入することで、様々な節約につなげたいと期
2/
待している。 「低充填量アンモニアに比べ、CO2 シ ステムを導入することで工事期間を 5~6 週間ほど 短縮できました」と、レプスチャット氏は言う。ま た、CO2 トランスクリティカルシステムは、低充填 アンモニア装置よりも機器コストが 534,000 ドル (約 5,933 万円)安価だと彼は付け加えた。
アンモニア空調は可能か ? コスト低減に加え、アンモニア充填量を減らすこ とは新たな用途への参入を可能とする。例えば、 クリエイティブ・サーマル・ソリューションズ
3/
(Creative Thermal Solutions、以下 CTS)代表 取締役社長を務めるペガ・ハーニャック氏が、プ レゼンテーションで概要を紹介したアンモニアチ ラーもその一例である。イリノイ大学アーバナ・ シャンペーン校の教授でもあるハーニャック氏 は、アンモニアメーカーが業務用および HVAC 用 途でチラー市場に参入することは、大きな潜在性 があると見ている。 「チラー市場は巨大です。容 積式コンプレッサー使用のチラーだけでも、年間
50 億ドル(約 5,552 億円)の市場価値があるの です」と、彼は述べた。
ハーニャック氏は、アンモニア機器メーカーがこ の巨大市場を活用するために、克服すべき大きな 課題が 4 つあると言う。同氏の言う最初で最大の
4/
1 / ウェスタン・ゲートウェイ・ストレージ 代表取締役社長 デイヴィッド・ボーネマイヤー氏 2 / KPAC ジェネラル 副社長兼本部長 ロニー・R・セバロス氏 3 / ヘニングセン・コールド・ストレージ エンジニアリング責任者 ピート・レプスチャット氏 4 / クリエイティブ・サーマル・ソリューションズ 代表取締役社長 ペガ・ハーニャック氏
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イベントレポート
課題は技術面にある。「アンモニアが従来の冷媒 に対抗しうるものだという印象を与えなければな りません。アンモニアを同じ土俵で戦えるように する必要があるのです」と、彼は言う。同氏の説 明によると、密封式アンモニアコンプレッサーは チラー用途に向いており、既に入手可能であるが、 同じくチラー用途に向いている既存の HFC 対応 のコンプレッサーと競合できるほど、十分に普及 していない。ハーニャック氏は、アンモニアチラー の費用および重さを削減する必要があるとし、チ ラー市場により多くのアンモニア機器が参入すれ ば、コストは更に下がるだろうと教授は語った。
CTS でハーニャック氏は、アンモニアチラーの試 験を実施してきた。「いくつかの超低充填 (18g/
kW) かつ高効率なチラーを開発および製造してき ましたが、現状の流れを変えるには、まだ存在感 が小さすぎます」と、ハーニャック氏は 2 つ目の
業社を退職した後、現在は冷凍冷蔵装置のコンサ ルタントとして働くエド・エストバーグ氏は述べ た。 エ ス ト バ ー グ 氏 は、ATMOsphere America でラリーズを代表して、同食料雑貨店の大型店舗 の大半に液体オーバーフィード式 CO2 と共に、ア ンモニア DX 直膨式システムを採用することを決
普及課題を述べた。一方で、市場関係者の中には、
断したと述べた。 「中心街の店舗や小規模な店舗に
アンモニアチラーの開発の潜在性を理解している
は、トランスクリティカル CO2 を使用します」と、
者もいる。ハーニャック氏は、アメリカでアゼイ ン(Azane)の名で知られるスター・リフリジレー
ラリーズ エド・エストバーグ氏
彼は説明する。
ション(Star Refrigeration)もアンモニアチラー を開発していることや、ドイツ企業の GEA が今
エストバーグ氏によると、ラリーズの大半の店舗
年初頭にイタリア・ミラノで開催された空調、暖
で CO2 トランスクリティカルではなくアンモニア
房機器、冷却装置等の分野で世界最大規模の展示
/ CO2 の路線で行く理由は、同社が「SRE」と呼
会である Mostra Convegno にて、同社のアンモ
ぶ考え方に基づいているからだという。それは、
ニアチラーを展示したことにも言及した。さらに
アンモニア装置の設置の簡便さ(Simplicity)、信
ハーニャック氏は 3 つ目の課題として、教育制度
頼 性(Reliability)、 お よ び 効 率 性(Efficiency)
も今後主要な役割を担っているということを挙げ
の 3 点を指す。アンモニア装置は、基本的にラリー
る。「技術者をサポートおよび教育し、初期抵抗
ズが以前に使用していた装置と同じ作りであるた
を減らしていく必要があります」。チラーを購入
め、設置・運用が容易だ。また業界標準の部品が
するエンドユーザーは、業務用冷凍冷蔵分野のエ
多く、運転圧力も低く、高圧調整弁が不要で、低
ンドユーザーとは異なるため、チラーユニットの
速コンプレッサーであり、実績のある信頼性の高
販売方法の調整が必要となるメーカー自体も、何
い制御装置でもある。 「当社の化学冷媒システムの
らかの教育を提供していくべきであると同氏は指
故障率は、ここ 25 年間で実質ゼロ。コンプレッサー
摘する。そして 4 つ目の課題として、アンモニア
の信頼性には、大変満足しています」と、エスト
チラー技術を欧州に持ち込むことで先行者利益を
バーグ氏は言う。 アンモニア / CO2 の新システム
手にする者がいるという点に触れた。 「多くの業
は、高温や低温の気候で CO2 トランスクリティカ
者が損をする可能性もあります。内部対立を避け
ルの 2 倍という効率性を誇る。これを数値的にモ
ながらも、彼らを敗者にしないように対策を打つ
デル化すると、CO2 トランスクリティカルの方が
必要があります」と、彼は説明した。
アンモニア /CO2 よりも電気代が年間 38,000 ド ル(約 423 万円)高い計算になるという。
スーパーマーケット市場への参入
ATMOsphere America では、アンモニアは空調お
アメリカの革新的な小売業者も、低充填アンモニ
よび産業・業務用冷凍冷蔵に使用可能な冷媒として
アが環境保全において役割を担うことを認識して
輝きを放っていた。一方で、低充填アンモニアか
いる。カリフォルニア州に拠点を置き、121 店舗
ら CO2 トランスクリティカルシステムへ移行した
を展開するラリーズ(Raleyʼs)は、会議で数年以
ヘニングセン・コールド・ストレージの事例もある。
内にアンモニア /CO2 冷凍冷蔵装置の導入を開始
今後の技術開発によって導入の簡便化や運転効率、
する計画を発表した。「おそらく 1 年後には、稼
安全性が向上すれば、今後さらにこの 2 つの冷媒
働できると思います」と、2009 年 5 月に同小売
の市場への影響力は増すことだろう。 SM
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イベントレポート
食品工業分野で 存在感を増すCO2
FOOMA JAPAN 2018 開催レポート アジア最大規模の国際食品工業展「FOOMA JAPAN 2018」が、
6 月 12 日〜 15 日の 4 日間、東京ビッグサイトにて開催。798 社が 出展し、合計 100,210 人の来場者を記録した同イベントでは、数あ る食品工業技術でも、自然冷媒ソリューションを提供する主要な 4 企業による最新技術に出会うことができた。 文 : 佐藤 智朗、岡部 玲奈
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グループ全体で実現させる 「総エネ」ソリューション
同社は大きな期待を寄せている。 「来年度の目標と しては、今年度の納入実績の倍の数を目指します」 と鳴田氏は言い、そのため今年 5 台納入すれば来 年は 10 台を目指すと言うことからも、自然冷媒機 器の市場拡大への強い意気込みが感じられる。
高橋工業
今年の福島工業グループの出展ブースは、グルー プ全体のトータルソリューションを示すため、1
鳴田氏は、CO2 フリーザーに取り入れた「デシカ
つ 1 つ意味のある提案型展示を心がけたという。
ントシステム」にも注目してほしいと口にする。
中でも高橋工業が力を入れたのは、昨年も一際目
同システムは、トンネルフリーザー内の水分を高
を引いたトンネルフリーザーに CO2 冷凍機「Σ
性能フィルターによって吸収し、乾燥した空気を
-300」を繋いだ、CO2 冷却システムであると、同
供給するという仕組みだ。これにより、フリーザー
社の代表取締役社長である鳴田友和氏は言う。 「当
内の霜付・結露を防止でき、稼働時間アップ、商
社のトンネルフリーザーには今までフロン冷凍機
品の品質向上、賞味期限延長といくつもの恩恵を
を合わせて提案して来ましたが、ここ何年かで自
得られる。吸収した水分は熱によって飛ばす必要
然冷媒対応の機器を求められることが多くなって
が生じるが、それには CO2 冷凍機からの排熱利用
きたこともあり、我々は直膨の CO2 システムに着
が可能だ。工場内の機器で生まれた排熱を単に捨
目し、2 年前から導入を積極的に進めてきました」。
てるのではなく、他の機器と連動させることでそ
2016 年のリリースから 2018 年 6 月までに、同
れを活用する、「省エネ」ならぬ「総エネ」思考
冷凍機の納入台数は 4 台。年内の納入予定を含む
のソリューションが根底にある。
と合計 7 台の実績となる。「納入数は確実に増え ており、今後も増えると思います」と、鳴田氏は 予想を立てている。
「これまで、フリーザーはフリーザー、CO2 機器は
CO2 機器と別々のソリューションとして提案を行 なってきました。これからは、単に自然冷媒のメ
現在、高橋工業はフロンからの切り替えの選択肢
リットを強調するだけでなく、CO2 冷凍機も含めた
として、CO2 を第一に提案しているという。稼働
施設内のトータルソリューションに焦点を当ててい
1 年以上が経過した施設のデータを見てもトラブ
きます。福島グループ全体の技術を統合することで、
ルは報告されておらず、フロン機と比較して平均
それも可能になるはずです」と、鳴田氏は述べた。
約 12%、最大 15% の省エネ効果が実証されている
現在同社は、デシカントシステムの課題であるコ
という。これまで小型店舗に比べ、大型機器のニー
スト削減を中心に開発を進めているところだ。
ズがある食品工場には自然冷媒の提案が進まな かったと話す鳴田氏。しかし、冷凍冷蔵倉庫をは じめ多くの分野で高まってきた自然冷媒の需要に、
”
来年度の目標としては、 今年度の納入実績の倍の 数を目指します
„
高橋工業 鳴田友和氏
高島工業製フリーザー用 CO2 冷凍機「Σ -300」
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42 //
イベントレポート
初出店で自然冷媒の更なる促進を 日本熱源システム
”
3 年前から 40 度を超える環 境 下での実験・分析を行なってい ますが、結果的 には外気温によ るパフォーマンスの影響は全く ありませんでした
今年初めて FOOMA JAPAN にブースを置いた日 本熱源システムは、CO2 冷凍機「スーパーグリー
„
日本熱源システム 原田克彦氏
ン」の実機を展示した。同社の代表取締役社長で ある原田克彦氏は、今回の出展理由を次のように 説明する。「私たちの顧客は冷凍冷蔵倉庫、物流 センター、冷凍食品関係の業者の方々が多く、食 品分野とは切り離せない関係があります。だから こそ、食品工業展として国際的にも注目されてい るこの FOOMA JAPAN に、自然冷媒ソリューショ ンを提案するため出展を決めました」
半密閉型多気筒式の圧縮機を採用した同機のライ ンナップは、F 級、C 級の 2 タイプ。いずれも、
35kW、70kW の冷凍能力タイプをそれぞれ持つ。 今回展示された実機は、4 種の中で最も高い人気 を 誇 る F2 タ イ プ(F 級、 冷 凍 能 力 70kW) だ。
2018 年 6 月時点で、合計約 70 台のユニットが現 場で稼働している。環境省による平成 30 年度「脱 フロン・低炭素社会の早期実現のための省エネ型 日本熱源システム製 CO2 冷凍機「スーパーグリー ン」
自然冷媒機器導入加速化事業」一次公募について は、導入数と同じ約 70 台に対して申請を出す予 定だと原田氏は言う。しかし、補助金がなくとも
CO2 機器採用を決断するユーザーもおり、「理由 として、従来のフロン冷凍機と比較して電気代が
30% ~ 35% も安くなったというお声をいただいて いるほど、同ユニットの省エネ性能が高く、加え て空冷式を採用しており水道代もかからないため、 電気代・水道代の両面でランニングコスト軽減に 大きく貢献できるからです」と、 原田氏は説明する。
外気温が高い環境下での CO2 性能に対する懸念に 対しては、「すでに 3 年前から 40 度を超える環境 下での実験・分析を行なっていますが、結果的に は外気温によるパフォーマンスの影響は全くあり ません。要因は二つ考えられ、一つは外気温が上 がった時に、ユニットのタンク内に貯蔵され冷や されている 100kg 近い冷媒液が熱を吸収するた め、そして二つ目に、外気温が 35 度を超えた場 合はガスクーラーに設置した散水装置が自動作動 するためです」と、原田氏は言う。また、「散水 装置によってコイルが腐食するのではと心配する ユーザーもいますが、年間を通して散水している 時間はほとんどなく、データを見ても 1 日に 1 時 間ほどで充分なのです」と、同氏は補足した。
Accelerate Japan // September - October 2018
イ ベ ン ト レ ポ ー ト // 43
製品ラインナップの 更なる拡充を進める 三菱重工冷熱
三菱重工冷熱は、CO2 直膨のユニット「C-PUZZLE」 シリーズより、2018 年 4 月に発売を開始した 20 馬力対応のユニット「HCCV2001M」を展示。同 ユニットは 10 度~- 35 度までの冷蔵・冷凍の両 用途に対応できるほか、世界初の技術である 2 段 圧縮式スクロータリーコンプレッサーを搭載して いる。これにより、高負荷時、低負荷時両方の運 転条件で高効率の稼働を実現した。同社のエンジ ニアリング事業本部プラント営業部営業 1 課課長 の小篠正慶氏は、 「今までは CO2 直膨式ユニットを 倉庫や荷捌き室中心に展開させていただきました が、今年は食品工場用の急速冷却庫にも同ユニッ トを繋げることで、食品工場の生産側のシステム にもノンフロンソリューションを提案できるという コンセプトで展示をしております」と述べる。 「CO2 機器を導入する際には補助金の活用を希望される方 が多いため、今の段階で企画をして、来年度に申請 を考えている方は多いです。今後はより積極的に提 案を進めていきたいと考えています」 。また、倉庫 用のユニットクーラーを今までは海外製のものを 使用していたのに対して、自社製のものを開発し 今回展示していたことも特徴的であった。
2017 年度には 100 台弱の納入実績を残した同社 だが、今年度は機器のバリエーションを増やした ことで 100 台以上、来年度はその倍以上の出荷数 を目標に掲げる。「弊社には CO2 直膨式だけでな く、アンモニア /CO2 のユニット、CO2 給湯器と 多彩な自然冷媒・温度帯に対応した機器を用意し ています。今後も製品ラインナップの拡充を進め、
三菱重工冷熱製
低 GWP 社会に貢献していきたいと考えています」
CO2 コンデンシングユニット「HCCV2001M」
と、小篠氏は今後の展望を示した。
”
今年は食品工場用の急速冷却庫 にも CO2 直膨式ユニットを繋 げることで、食品工場の生産側 のシステムにもノンフロンソ リューションを提案できます 三菱重工冷熱 小篠正慶氏
September - October 2018 // Accelerate Japan
„
44 //
イベントレポート
世界初の技術で市場拡大を 前川製作所
前川製作所は、自然冷媒ソリューションとして
CO2 ヒートポンプの「ユニモ(unimo)」を展示。 CO2 冷媒を使用したヒートポンプとしては、世界 初の水熱源・空気熱源の自動切り替えを可能とし ている。同社のソリューション事業本部販売企画 部門リーダー 北山英博氏は、「お湯だけでなく冷 水も作り出せる技術がもたらす高いコストメリッ トは、世界からも注目を浴びています」と語る。 アンモニア / CO2 機器で世界を牽引する前川製作 所はいま、JICA(国際協力機構)が主導する民間 技術普及促進事業の採択を受け、タイに水熱源の
CO2 ヒートポンプを普及・促進する活動を進めて
”
アイスバンクは圧力などの問題か ら、フロン冷媒の製品しかありませ んでした。CO2 というソリューショ ンが加わり、R22 から HFC ではな く一気にノンフロンへの切り替え を可能にしたのです
いる。食品工場が非常に多いタイでは冷水と温水
前川製作所 北山英博氏
„
を両方使用するため、CO2 ヒートポンプに大きな 期待を寄せているのである。「この事例を足がか りに、同国のような温暖地域も含めて世界規模で
CO2 ヒートポンプを展開していけると期待してい ます」と、北山氏は市場拡大に意欲を見せた。
また、同社は日本 BAC と連携し、CO2 冷媒で蓄 氷が可能なアイスバンクを開発した。「これまで、 アイスバンクは圧力などの問題から、フロン冷媒 の製品しかありませんでした。ここに CO2 という
前川製作所製
ソリューションが加わることで、R22 から HFC
CO2 ヒートポンプ「ユニモ (unimo)」
ではなく一気にノンフロンへの切り替えを可能に したのです」と、北山氏は述べる。同製品の販売 は 2018 年夏を予定している。同社では従来では 解決できなかった分野に対応した機器の開発を進 め、応用範囲を広げていきたい考えだ。
各企業とも、CO2/ アンモニアや CO2 直膨式など の冷媒を用いた自然冷媒ソリューションの拡大を 進めている最中だ。エンドユーザーの自然冷媒に 対する関心が日に日に増す中、今後市場にどのよ うな新しいアプリケーションが提供されていくの か注目していきたい。 RO,TS
Accelerate Japan // September - October 2018
46 //
政策動向
HFC を対象とした
カリフォルニア冷却法令
インセンティブ・プログラムの持つ ポテンシャル カ
リフォルニア冷却法令で特筆すべきなの は、企業および住宅が「これらの化合物
を地球温暖化係数の低い代替品に置換することを 加速するための」インセンティブが含まれている 点だ。代替品の中には、もちろん自然冷媒機器も
カリフォルニア州上院議員のリカルド・ララ氏(ベルガーデンズ郡)は、2 月 7 日、 空調および冷蔵冷凍における HFC 冷媒の使用を制限するカリフォルニア冷却法令 (California Cooling Act、上院法案 1013)を提出した。 文 : マイケル・ギャリー
含まれる。同法案は、既に HFC 削減を短寿命気 候汚染物質(SLCPs)戦略の一つとして取り組ん でいるカリフォルニア州大気資源局(CARB)の活 動を、更に推し進める HFC 排出削減のための追加 規制となりそうだ。法案は、昨年 8 月に米国の控訴 裁判所が環境保護庁に対し、HFC 禁止を阻止する判 決の再審理を拒否したことを受けて提出された。
「冷媒から出る超汚染物質は、我々の地球の健康 にとって最大の脅威の一つであり、山火事や猛暑 といった気候災害の一因となっています」と、ラ ラ氏は語る。「しかし、この戦いに挑むのは我々
Accelerate Japan // September - October 2018
政 策 動 向 // 47
だけではありません。アメリカの企業は、この国
もしれません」。同法案は 5 月 30 日にカリフォ
のクリーンな空気目標を満たすために奮闘する準
ルニア州上院を通過し、6 月 18 日に下院自然資
備ができています。地球の汚染者たちや、トラン
源委員会を通過した。議会でインセンティブ資金
プ政権による行動欠如の人質のままではいられま
額が決定し、歳出委員会の承認が降りれば、最終
せん。カリフォルニア冷却法令は、これらの危険
審議が 8 月末に行われる予定だ。
な超汚染物質の代替品を開発する企業をサポート し、カリフォルニア州が先陣を切ってクリーンな 空気を目指し続けるためのものです」
ララ上院議員が
ATMOsphere America の もともと、ララ氏は昨年 11 月にドイツのボンで 開催された第 23 回国連気候変動会議(COP23) で同法案を提案しており、そこで彼は HFC を「我々 の地球の気候を脅かす沈黙の暗殺者」と表現した。
2016 年、ララ氏はリフォルニア州が 2030 年ま でに HFC の排出量を 40% 削減することを明言し た超汚染物質削減法令(上院法案 1383)を起草 した。環境調査局(EIA)および北米持続可能な 冷凍冷蔵協議会(NASRC)は共に、同法案の導 入を提出したララ上院議員を称賛した。
”パーソン・オブ・ザ・イヤー”として表彰 HFC 削減の指導的提唱者であるカリフォルニア 州上院議員のリカルド・ララ氏は、カリフォルニ ア州ロングビーチで 6 月 12 日に開催された自然 冷媒国際会議「ATMOsphere America」で、『ア クセレレート・アメリカ(本誌姉妹紙)』が選ん だ今年最も功績を残した人物に贈られる ” パーソ ン・オブ・ザ・イヤー 2018” に見事選出された。
shecco の CEO であるマーク・シャセロットは、 同会議でララ氏による基調講演の後、同賞を贈呈
「カリフォルニア州が掲げる 2030 年までの排出削 減目標を達成するには、既存の連邦政府の枠組み をはるかに超える対策が必要です」と、EIA 気候 政策アナリストのクリスティーナ・スター氏は言 う。「追加規制とインセンティブ・プログラムを組 み合わせることで、この法案は HFC 排出量を早 急に削減するために必要なアメとムチの両方を提 供すると同時に、他の州が後に続くための将来性 のある青写真としての役割を果たします」
「迅速な HFC 削減を成功させるためには、エンド ユーザーの負担を軽くするためのインセンティブ や他の金融メカニズムと低 GWP 規制を連携させ ることが必須です」と、NASRC の執行取締役の ダニエル・ライト氏は説明する。 「このインセンティ ブ・プログラムは、カリフォルニア州だけでなく 国中で市場を激変させる触媒の役割を果たせるか
カリフォルニア州上院議員 リカルド・ララ氏
September - October 2018 // Accelerate Japan
した。超汚染物質である HFC ガスの段階的削減 と、自然冷媒による代替の道を開いたララ氏の尽 力が認められたのである。「カリフォルニア州は 気候変動問題に取り組むという世界的な責任を 担っています」と、ララ氏は述べる。「そして、我々 は科学を、そしてここカリフォルニア州にいる科 学者達を信頼しており、彼らがこの議論に加わる ことを喜んで歓迎します」 MG
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イベントレポート
自然冷媒の進化が話題に
第13回 グスタフ・ローレンツェン会議にて CO2 のパイオニアにちなんで名付けられたイベントにおいて、業界のエキスパー トたちが CO2、アンモニア、炭化水素の冷媒としての有効性を説明した。 文 : アンドリュー・ウィリアムス、ダリオ・ベルオミニ
Accelerate Japan // September - October 2018
イ ベ ン ト レ ポ ー ト // 49
ノルウェー科学技術大学 アーミン・ハフナー教授
ての HFC 機器を排除できるようになりました」 と語った。しかしながら、多くの OEM がより温 暖な気候下での効率化を目指して新技術を開発す るに伴い、システム設計は複雑化してきている。 したがって、市場シェアの拡大に伴い、冷媒とし ての CO2 の継続的成功を成し遂げるには、設置 業者や請負業者向けの研修およびサポートが必要 不可欠であるとハフナー氏は付け加えた。 「人々は
CO2 システムを知り始めています。彼らの CO2 に 対する知識も日々書き換えられており、非常に良 い傾向にあるのです」と、ハフナー氏は述べた。
ハフナー氏は shecco Base(本誌発行元である
shecco の市場調査部門)からのデータを引用し、 ヨーロッパではすでに 1 万 4 千店を超えるスー パーマーケットが CO2 トランスクリティカルシス テムを納入している点を指摘した。 ローレンツェ ンの意見に賛意を示し、ハフナー氏は合成冷媒の 最新世代に対して、「HFC を同じく自然のもので はない他の HFO 類に置き換えることはあまり論 理的とは思えません」とコメントした。
ノ
ルウェーの研究者グスタフ・ローレンツェ ンは、1988 年から 1991 年の長年休眠状
態だった CO2 冷媒を有効な作業流体として活用す る方法を示した。彼の栄誉を称えて名づけられた 隔年開催のこの会議において、業界のエキスパー トたちはローレンツェンの研究を継続し、CO2 や
他の自然冷媒に関する報告を発表した。温暖気候 地域における CO2 技術は、スペインのバレンシア 工科大学で 6 月 18 日 ~20 日に開催された、自 然冷媒に関する「第 13 回国際冷凍協会(IIR)グ スタフ・ローレンツェン会議」において、主要な テーマのひとつだった。ノルウェー科学技術大学 (NTNU)のアーミン・ハフナー教授によれば、例 えばエジェクタ、蒸発コンデンサ、エネルギー貯蔵、 パラレルコンプレッション、熱回収といった技術 革新は、気候帯を超えた CO2 冷媒の市場拡大に貢 献しているという。
アンモニアの再発明 低充填アンモニアシステムの採用数の伸びは、こ の最も長寿な自然冷媒の「再発見」と「再発明」 につながった。英国に拠点を置くスター・リフリ ジレーション(Star Refrigeration)のマネージ ングディレクター、アンディー・ピアソン氏は会 場での本誌インタビューでそう答えた。「低充填 アンモニアは著しい速度で普及しており、市場で も大きな関心が寄せられています」と、ピアソン 氏は続ける。「アンモニアシステムを提供する者 にとって、非常にエキサイティングな時です」。 またアンモニアの市場発展について、「信頼性、 省エネ性、安全性の大幅な向上」によるものだと し、「これら 3 点はどれも重要なポイントで、低 充填アンモニアシステムにはこれらすべてが統合 されているのです」と説明した。また今後の展開
さらにハフナー氏は、「今日、CO2 トランスクリ
として、 「アンモニアは、例えばビルディングサー
ティカルシステムに冷却と加熱機能を統合するこ
ビスやアイスリンクの冷却装置など、より幅広い
とが可能となり、スーパーマーケットにあるすべ
用途に活用できると思います」と同氏は言った。
September - October 2018 // Accelerate Japan
50 //
イベントレポート
アンモニアはヒートポンプに適する
炭化水素は小型業務用に最適
アメリカ合衆国エネルギー省の管轄下で様々な研
炭化水素は、「その特性により小型業務用機器で最
究に従事する、オークリッジ国立研究所のカシフ・
も高性能な冷媒といえる」と、ブラジルのフロリ
ナワツ氏、ムーニス・アリー・ラザ氏、オマー・
アノポリスに位置するサンタカテリーナ連邦大学
アブデラジズ氏らがグスタフ・ローレンツェン会
ポロ研究所のクラウディオ・メロ教授は結論づけ
議で発表した論文によると、アンモニアはヒー
る。「炭化水素は R22 や R134a と比較して、熱
トポンプに最も適する冷媒であるという。彼らは
電性能に優れ、圧力損失が低いです」。さらに、 「炭
HFC(R134a および R410A)、アンモニア、プ
化水素は液体と蒸気どちらの状態でも鉱油と非常
ロパンの性能を、異なる 4 種類のヒートポンプで
によく混ざり合います。そのため、HFC に使用す
評価した。これらのヒートポンプには、4 つのコ
る吸湿性の合成油を使用しなくてよいのです」と
ンポーネントで構成されたシンプルな構造のもの
メロ氏は付け加えた。また、HFC 冷媒システムで
から、フラッシュタンクを搭載したより洗練され
使用される鉱物のほとんどは炭化水素でも採用す
たものまで含まれている。
ることができるとし、その鉱物とは、ネオプレン、 バイトン、ニトリルゴム、ナイロンなどが含まれる。
比較可能な結果を得るため、また圧縮プロセスを 効率的にするために、すべてのシステムで、蒸発
コスト面から考えても、HFC より炭化水素を採用
温度(10℃)とコンデンシング温度(40℃)を固定。
すべきとする強力なビジネスケースがある。「イソ
結果、COP(成績係数)に関しては、すべてのケー
ブタンやプロパンといった炭化水素は、実質的な
スでアンモニアが最も高効率であることというが
コストは HFC より格段に安いのです」と、メロ
明らかとなった。特に、R134a との差は著しかっ
氏は語った。さらには炭化水素向けに設計された
たという。アンモニアはまた、選択された冷媒の
冷凍冷蔵システムの場合、「炭化水素を充填した
中で最も質量流量が低いことも判明した。 最適な
場合、冷媒の質量が通常の機器よりも 50 ~ 60%
容積であれば、アンモニアベースのシステムは分
少なくて済みます」と、メロ氏は言う。同氏は炭
析した HFC に比べてより効率的かつよりコンパ
化水素システムのエネルギー効率が、同等の HFC
クトだった。
システムよりも 30 ~ 40% 優れているとの主張が 頻繁になされていることにも触れる。「この改善の
5% ~ 10% は、優れた熱力学的特性と輸送特性に この実験室試験ではまた、プロパンの特性も浮き 彫りとなった。COP はアンモニアや R410 に比 べて低いものの、R134a の適切な代替品として 役立つかもしれないという結果が導き出されてい る。プロパンはまた、検討された 2 種類の HFC
よるものと考えられます」と、メロ氏は語った。「残 りはコンプレッサーや熱交換器の設計改善や可変 速ドライブといったコンポーネントの修正による ものと考えられます」
よりも低い質量流量を示した。これは、R290 を ベースとしたシステムのコンプレッサーの電力需
本会議では専門家たちにより、CO2、アンモニア、
要が低く、冷媒の充填量も少なくてよいというこ
炭化水素それぞれの特定分野によるメリット、高
とを意味する。アンモニアは質量流量が比較的低
いコストパフォーマンス、安全性が示された。さ
いため、アンモニアが環境に与える全体的な不可
らなる研究・実験を積み重ねることで、その使用
逆性の影響も最小であった。これに対し、HFC を
範囲が広がることに期待したい。 AW,DB
加熱や冷却といった熱力学的プロセスで使用した 場合、環境を元の状態に復元することは著しく困 難であったという。
Accelerate Japan // September - October 2018
52 //
メーカー取材
キャレル が
キャレル・ジャパンを 完全子会社化 文 : デビン・ヨシモト
イ
タリアの多国籍企業キャレル(CAREL)
月 27 日 ~3 月 2 日 に 幕 張 メ ッ セ で 開 催 さ れ た
は、7 月 10 日 に キ ャ レ ル・ ジ ャ パ ン の
HVAC&R Japan 2018 の展示で、柴田熔接工作
完全子会社化を発表し、日本市場にさらに重点を
所は、産業用冷凍冷蔵向けのナチュラルシリーズ
置くという意志を示した。これまでキャレルは、
という、CO2 トランスクリティカル・ブースター・
2013 年に設立した流通会社であるキャレル・ジャ
システムを初公開した。キャレル・ジャパンは、
パンの株式を 49% 保有してきた。2017 年のキャ
もともとキャレルと柴田熔接工作所のジョイント
レル・ジャパンの売上は 6 千万円弱と報告されて
ベンチャーとして 2013 年に設立した会社である。
いる。福岡に拠点を置いていたが、現在は関口忠 夫氏が所長を務める同社は先日東京へ移転した。 「この役職に任命されたことを大変嬉しく思って
カチュロ氏は、「キャレルは、当社のノウハウお
おり、日本における更なるビジネスの発展のため
よび CO2 ソリューションで、今後も SWC と同社
に最善を尽くす所存です」と、関口氏は述べた。
の機器を支え続けます」と語った。「柴田熔接工
エネルギー効率が日本での ビジネスを牽引 キャレル APAC North の地域統括 CEO であるア
作所は、市場の変革を先導すると同時に、2013 年の創業以来キャレル・ジャパンをサポートして きました。我々は、このようなパートナーに感謝 し、敬意を持っています。今後も日本で当社の革 新的ソリューションを促進し続けながら、彼らを サポートし続けていきたいと思っています」
ルベルト・カチュロ氏は、同社のウェブサイト上 で、日本の市場においてエネルギー効率や自然冷 媒ベースのテクノロジーに注目が高まってきてい ることを受け、キャレルとしてこの国のビジネス チャンスが増加するという見方を示していること を説明した。 「環境の持続可能な管理ソリューショ ンに対する当社のビジョンと、日本の HVAC およ び冷凍冷蔵市場の方向性は、とても良く合ってい るのです」と、カチュロ氏は言う。「我々は、エ ネルギー保護および自然冷媒への転換を促進する 日本政府を称賛します。今回の買収に伴い、我々
福岡から東京に事務所を移転することに関してカ チュロ氏は、 「今回の移転は、ビジネス拡張とい う当社の目標にとって、非常に有益なものとな るでしょう」と述べた。「今後、同チームは自然 冷媒とも互換性がある冷凍冷蔵用途向け垂直ソ リューションの促進、特に食品サービスや食品小 売り向けに用いられる電子拡張弁、BLDC(ブラシ レス DC)インバーターなどのエネルギー効率関連 のテクノロジーに集中していく予定です」 DY
は世界の重要部分であるこの国に更なる重点を置 いて取り組むつもりです。今後市場により深く関 わることで、お客様のニーズもよりよく理解でき ることでしょう」
キャレルは、顧客にエネルギー効率向上や革新 的 技 術 を 促 進 し て い く 上 で、 自 然 冷 媒 の テ ク ノロジーが主要な役割を果たすと見ている。2
Accelerate Japan // September - October 2018
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開催予定イベント
ATMOsphere Japan 2019
開催決定と登録ページをオープン ! 日本市場に焦点を当てた自然冷媒会議国際会議「ATMOsphere Japan」を 今年度も 2019 年 2 月 12 日(火)に東京コンファレンスセンター・品川にて 開催することが正式に決定しました。
日本での開催は 6 回目となる本会議は、国内外からのユーザー様、 政府関係者様、メーカー様、及び各種団体様といったあらゆる冷
ATMOsphere とは
凍冷蔵・空調業界関係者の皆様にとりまして、自然冷媒に関する
市 場 開 発 の エ キ ス パ ー ト shecco に よ っ て 開 催 さ れ る
日本および世界の動向及びビジネスケースに関して情報交換を行
『ATMOsphere』自然冷媒国際会議は、技術、市場、研究開発、
うことで、自然冷媒市場を活性化することを目的としています。
各種規制の動向など、世界の自然冷媒市場の最新動向に焦点を当 てた国際イベントです。会議の主な目的は、様々な用途に合わせ た自然冷媒技術の存在を浮き彫りにし、これらの技術が冷凍冷蔵・
2016 年 10 月のキガリ改正採択やパリ協定以降、日本国内でも環
空調業界で環境面と採算面のどちらにおいても実行可能であるこ
境省による自然冷媒機器導入に対する補助金の拡大や、CO2 冷媒
とを示すことで、アジア、北米、ヨーロッパ、その他の地域といっ
の規制緩和、炭化水素冷媒のリスクアセスメントプロジェクトの
た市場での、自然冷媒技術の普及を促進・加速することにあります。
継続など、政策的にも大きな動きがありました。HFC の消費量の
2009 年以来、2018 年 2 月時点までで計 52 回もの ATMOsphere
段階的削減義務等を定めるモントリオール議定書キガリ改正及び、
を世界各国 26 カ所で開催し、のべ参加者数 9600 人以上、1440
国内担保措置として特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関
以上の発表数を記録しています。
する法律(オゾン層保護法)の一部改正が同じく 1 月より施行さ れることもあり、脱フロン化という課題に対して業界全体がより 注目をする時期でもあります。これにより、自然冷媒技術につい ては導入を検討するユーザーが増加し、メーカーによる技術革新 も進んでおり、自然冷媒技術に関する議論を行うには最適の時期 とも言えます。
ATMOsphere Japan 2019 - 自然冷媒のためのビジネスケース ▶
日程
2019 年 2 月 12 日(火) 会場
具体的に会議当日では、エンドユーザー様による導入事例、政府
▶
関係者様によるフロンに関する最新の政策・規制動向、メーカー
東京コンファレンスセンター・品川
様や業界で名高い研究者・技術者様による最新の技術進歩や今後
(〒 108-0075 東京都港区港南 1-9-36 アレア品川 3F-5F)
の展望に関する最新情報などを、各分野のスペシャリストより共 有いただきます。
▶
▶
昨年度は 200 名以上の業界関係者にご参加いただき、今年度も 2 月 13 日 ~15 日の 3 日間で幕張メッセにて開催される、食品関係 では国内最大級の展示・ 商談会「スーパーマーケット・トレード ショー 2019」の直前での開催ということもあり、より多くの国 内外のステークホルダー様の参加が見込まれます。
日本は言うまでもなく、欧米ならびにアジア各国からトップクラ スの業界関係者が集まる場となりますので、ぜひご参加ください。
プログラム
http://www.atmo.org/Japan2019/programmeJP 参加登録
http://www.atmo.org/Japan2019/register ▶
お問い合わせ
スポンサーシップに関してなど、会議に関するご質問があれば お気軽にお問い合わせください。 (03-4243-7095 担当 : 岡部) ▶
昨年度開催レポート
https://issuu.com/shecco/docs/aj_16/20
Accelerate Japan // September - October 2018
ATMOsphere Japan 2019 2月 12 日(火)開催決定 東京コンファレンスセンター品川 プログラム:http://www.atmo.org/Japan2019/programmeJP 参加登録:http://www.atmo.org/Japan2019/register
A T M O s p h e r e - N A T U R A L R E F R I G E R A N T S FA S T E R TO M A R K E T
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おかげさまで三周年 皆様のご協力とご支持をいただき アクセレレート・ジャパンは三周年を迎えることが出来ました。 これからもよろしくお願い致します。
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