Portfolio '21-'24

Page 1


ARCHITECTURE

2021-2024

RYOSUKE KOBAYASHI
PORTFOLIO

Ryosuke KOBAYASHI

2000.11 東京都稲城市生まれ

2019.3 東京都立国立高等学校 卒業 2023.3 東京工業大学 環境・社会理工学院 建築学系 卒業

2023.42023.9東京工業大学大学院 環境・社会理工学院 建築学系 那須研究室 在籍 スイス連邦工科大学チューリッヒ校 留学 (- 2024.8)

「既存の構成要素の再解釈」

例えば土木構築物やアートから着想を得ながら、それらを比喩的に再解釈し 建築の形態に落とし込む。既に存在しているものを異なる視点から捉え直すことで、 既存物との関係性を保ちながら新たな価値を生み出す。

02 Architectural Acapuncture

2023年度 秋学期

03 A Translation of Threshold

2024年度 春学期

2022年度 3Q

散らばるハレ、集うケ

神社と共存する芸能の稽古場

卒業制作 学内5位 学内誌「ka047」掲載 第54回毎日・DAS学生デザイン賞 佐野正一賞 2022.12 - 2023.2

佐渡の地域性と集落間の関係性を形成する伝統芸能の継承のために、島 内に散らばるハレの芸能(=例大祭)に対し、ケの芸能(=稽古)のあ り方を再考する。遺構と化した神無き地に建つ稽古場には、多様な芸能、 人が集い、神社とともに島の価値を繋いでいく。

歌舞伎舞台

国道350号線からの人の流れ

駐車場

歌舞伎

舞台

田遊び神事

人形芝居 ちょぼくり

能舞台

芸能の場(屋外で行う領域性のある芸能)

やわらぎ 花笠踊り

旧駐機場

旧空港滑走路 (25m×890m) 新佐渡空港計画地

狂言

ハレの場(神社)

ケの場(小学校)

ハレの場(神社)

ケの場(集会所)

ハレの場(神社)

ハレの場(神社)

ケの場(稽古場)

芸能の場(屋外で行う線的な芸能)

鬼太鼓 つぶろさし 小獅子舞 大獅子

佐渡における「ケ」のあり方

日本最大の離島、佐渡島。その島民たちの生きる源は、島外から流入し島民が継承してきた多様な伝統芸能にある。近年の 限界集落化によってその継承が困難になってきている。

ハレの場(神社)

ケの場(集落センター)

ハレの場(神社)

現状、佐渡の芸能は集落単位で例大祭で行われ、それぞれが奉る神様へ奉納するため、島内に散らばっている。そこで、例 大祭(=ハレの芸能)に対し、稽古(=ケの芸能)のあり方を再考し、集落ごとに公共施設を借りて行われる分散し閉鎖的な 現状の稽古から、稽古場として拠点化することで集落同士のつながりや来訪者との接点となる場の形成を目指した。

敷地には旧佐渡空港跡地を選定する。新空港設置により遺構と化すこの場所は、特定の集落に所属しない中立的な場であり、 新空港と国道を結ぶ島の玄関口である。強い軸性を持つ滑走路や、周辺から隔絶されたその環境は、この地に舞台性を作り出す。

神社という「ハレ」と共存する「ケ」をデザインするにあたっ て、神社の持つタイポロジーを再解釈し、拡張(p5, 1-4)と集 合(p5, 5-8)という二つのプロセスを用いた。まず、神社の舞 台の持つ寸法や要素を読み取りながら楽屋や倉庫など必要な 機能を付加し、舞台としての象徴性を生み出すことを意図し、 舞台の外形をなぞるトラスの構造体によってそれらを支えた。 次に、それらを滑走路の軸線や屋外で行われる芸能への視線 を考慮して配置し、回廊によって繋いだ。

街の玄関口に建つシンボルとして、特定の宗教性を含まな い中立な施設として、そして多様な人と活動が交錯する拠点 としてのあり方を考察した。 「ケ」の場のデザイン

能舞台

視点場

滑走路、湖を望む。

軸線に直交し、 ヴィスタを得る。

ミュージアム

各集落の芸能の展示を行う。

能舞台の形状を生かした 多様な展示で伝承に貢献する。

休憩スペース

シアタールーム

倉庫

控室

展示スペース

楽屋

楽屋

楽屋

楽屋

控室

ショップ

芸能の道具を準備する場。 室内、屋外の2つの場により、 多様な作業が可能になる。

控室

控室

倉庫

カフェ

倉庫 WC

倉庫

名産品やグッズなどの販売、 来訪者の休憩場所となる。 眼下には稽古の様子が見える。

メディアスペース

歌舞伎舞台の形状を生かし、 視線をずらした大小3室を設置。

集落同士の話し合いや芸能の講義を行う。

本建築は佐渡島において唯一の伝統芸能の稽古場となり、新空港へ降り 立った人々と国道から訪れる島民を引き込み、多様な人々と、芸能を軸と した様々な活動が交錯する。ここには島中の芸能が集まり、時には違う芸 能同士が一緒に稽古を行ったり、互いに演目を見せ合ったりという新たな 芸能のあり方が生まれる。ここを訪れる人々は、様々な芸能を一度に見る ことができ、さらに木を組んだり踊りの練習をするといった裏側も覗きな がら、佐渡の伝統文化に触れることができる。

長さ890mの旧滑走路は鬼太鼓や大獅子の通り道になるとともに、屋台 が並んだりステージになったりと多様な使い方のできる道空間となる。滑 走路の上に架かる橋からは、軸線の先に日の出を見ることができる。

提灯が火を灯し、太鼓の音が響き、人々は踊り、背後では大きな花火が 上がる。島中の人々が集まる島最大のお祭りは、ここ旧佐渡空港での開催 となるだろう。

02Architectural Acapuncture

Löwenbräukunst 2026

ETH Zurich HS23 Architectural Design V-IX

題目 : Redesigning Museum

出題者 : Adam Caruso (Caruso St John Architects)

2023.09 - 2023.12

幾度の改修、増築を繰り返し、社会的意味が複雑に変化し続ける既存の 美術館に対し、政治や社会問題について考え、議論する場としての今後 のあり方を想定する。Accessibilityに焦点を当て、Group Materialの手 法を参照しながら、中間領域において公共性の設計を行う。

建築的介入の社会性

敷地であるLöwenbräukunstは、かつてビール工場であった建物を改修して建てられた美術館である。19世

紀の醸造会社の撤退から現在まで、頻繁な所有者の変化、周辺の地価の高騰、度重なる改修によるギャラリー 同士の孤立など、美術館としてのAccessibilityの低さが問題点として挙がった。

また、既存建築への介入をしていくにあたり、アーティスト団体であるGroup Materialについてリサーチを 行った(p15, 1)。廃墟のファサード、電車内広告といった公共空間において、アートという媒体を用いて社会 問題に対して訴えかける彼らの手法を参照した。

計画は大きく三つに分けられる。まず、かつての搬出入のために上げられた一階の床レベルを用い、スラブ を増設することでテラス空間を創出した(p16, 5)。エントランスホールは一部天井を撤去し吹抜とした上で、 議論の場へと変化するシェアキッチン(p17, 6)を、駐車場と化した裏庭には展示の場へと変化するシェア工房 (p18, 7)を設置した。双方とも簡易なグリッドを基とし、インスタレーションとしての仮設性を持たせた。統 一された赤の塗装は公共性への介入を暗示する。

入口を一か所に

拡張/移動可能な

3×3mグリッド

赤(塗装)

未使用時は 収納可能

キッチン

拡張/移動可能な 3×3mグリッド

場面に応じて 開閉可能

未使用時は 収納可能

03 A Translation of Threshold

Arts Residency in Schönenbach

ETH Zurich FS24 Architectural Design V-IX

題目 : Growth / Decay -New Tradition出題者 : Florian Sauter (Sauter von Moos)

2024.02 - 2024.05

“Growth/Decay”をテーマとして制作したアート作品を基に、オースト リアの小さな農村、Schönenbachに芸術家の住宅を設計する。有機的 な形態を持つアートから既存のタイポロジーを比喩的に再解釈し、空間 を分け、繋げる閾へと翻訳しデザインする。

アートを起点とすること

本スタジオでは、最初に「Growth / Decayをテーマとするアート作 品を制作する」という課題が課された。散らばった物体が意図的な外 力によって中央へと集まる動作をGrowthと定義し、四角形の物体とイ ンクを用いてその形跡を起こした。時間の経過とともに、四角形は有 機的な形へと変化し、濃淡の異なる中間領域が発生するという二つの Decayが現れた(p21, 1)。

敷地であるオーストリアの山間部に位置するScönenbachは、三十 ほどの農家が散らばる小さな農村であり、開口部の設えや屋外の水場、 居住空間の中心に置かれる暖炉など伝統的なタイポロジーが数多く存 在している。

アートを建築へと翻訳するにあたり、抽象化と具体化を繰り返した 後、四角形の物体は既存の農村に散らばる農家へ、濃淡の違いは公共性 の違いへと比喩的に再解釈した。その中で、既存のタイポロジーとのバ ランスを取りながら、アーティストのための新たな公共性を持つ住宅を 設計した。

閾と公共性

中間領域の濃淡の違いを空間としていかに作り出す か。明確な境界線によって分かれている部分もあれば、 曖昧なグラデーションによって少しずつ変化していく部 分もある。すなわち、その境界、閾が濃淡のバリエーショ ンを作り出していると考えた。閾は、屋根の有無や床レ ベルの変化、カーテンや壁、ガラスといった空間を分節 するエレメントへと翻訳された。

それぞれが一つの機能を持つ小さなボリュームを既存 の農家から伸びる大屋根が覆い、諸機能を含有したカー テンによる透明な中間領域が繋ぐ。中心には人々の集ま る場となる焚火台を設置し、屋根に開いた孔によって自 然光が降り注ぐ。地形を読んだ高低差のある床は周辺と の調和を図りながら緩やかな空間の変化を生み出す。こ れらの閾のレイヤーが重なり合い、様々な公共性を持っ た空間が生まれる。

螺旋を吊り上げる

建築設計製図第三 建築意匠スタジオ 第二課題

2021.10 - 2021.12 杉山賞/ 金箱賞 学内誌「ka046」掲載 題目:大スパン構造を内包する都市建築の設計 出題者:杉山俊一、金箱温春

開発のために埋め立てられ、造船所としての歴史を持つ豊洲という街に 対し、大スパン構造を持つ文化複合施設を設計する。かつてのクレーン を思わせる構造体は、敷地の両側から訪れる人々を引き込む螺旋状のス ラブを吊り上げ、象徴的な無柱空間を作り出す。

H-400×400×13×21

H-1000×300×19×32 H-600×300×12×22 捨てコンクリート t=50 砕石 t=60

大架構のシンボル性

30m以上のスパンを持つ大架構を含み、豊洲のシンボルとなる文化複 合施設の計画である。大架構とシンボル性の関係をいかに作り出すかが問 われた。かつて関東大震災の瓦礫処理を目的として埋め立てられた豊洲は、 造船所として発達し、近年は急速な再開発によって高密度化が進んでいる。 これらの背景から、開発と共にあったクレーンを思わせる構造体による吊 り構造を大架構として選定した。

トラスの柱梁による構造体が吊り上げる二重の螺旋は、豊洲の歴史を展 示するミュージアムと知識の蓄積である図書館で構成され、敷地両側から の人の流れを引き込み、巻き上げる。吊り構造により柱のない内部空間に は求心性が生まれ、人々のペースは緩められる。屋上階はゆりかもめ豊洲 駅と接続し、商業施設へと繋がる駅前広場として人々の集う場所となる。

街のシンボルとして土地に蓄積した歴史を吊り上げながら、周辺環境の 接続点となり、人を引きつける建築となることを目指した。

05 地形から再考する

建築設計製図第四 建築意匠スタジオ 第二課題

2021.12 - 2022.02 学内誌「ka046」掲載 題目:ふるまいのレイアウト 出題者:西澤徹夫、塚本由晴

日本唯一の国際的な版画美術館に対し、敷地の造成と既存建築の改修を 行うことで周囲の森との関係性を再構築し、森と美術館を横断する「ラー ニング」を導入する。床レベルの違いや空間を緩やかに分節する什器は 多様な活動を可能にし、人々の回遊性を高める。

館長室

80年代美術館への「ラーニング」の導入

敷地に選定した町田市立国際版画美術館は、日本唯一の国際的な版画美 術館であり、豊かな自然に囲まれた広大な公園の中に位置している。計画 診断の結果、管理上の問題から森と隔絶されていることが問題点として挙 がった。また、従来の来訪者への展示品の公開に加え、ラーニングとして 立地と美術館の特性を生かし、版画を主とする公園での経験を形にして表 現するプログラムを導入する。

以上の背景を踏まえ、まず北西部の造成、地形の引き込みによって外部 との関係を再構築した(p31, 1)。次に、様々な活動に対応するために用途 ごとに家具をデザインし、壁ではなく什器によって空間を分節した(p31, 2)。さらに、ブリッジの設置や展示室の壁の撤去、縦動線の挿入により回 遊性を創出し、ラーニングの一連の流れが一つなぎの動線上で行われるよ うにデザインした(p31, 3)。

これからの美術館として、一方的に展示品の鑑賞機会を提供するだけで なく、学びをシェアする場としてのあり方を構想した。

Turn static files into dynamic content formats.

Create a flipbook
Issuu converts static files into: digital portfolios, online yearbooks, online catalogs, digital photo albums and more. Sign up and create your flipbook.