Creating Something New
portfolio -2025
狩野陸 Riku Karino

出身
神奈川県大和市
趣味
小説
音楽を聴く
友人と話す
柴犬と遊ぶ
好きな建築家西沢大良
妹島和世
Peter Zumthor
芝浦工業大学大学院 理工学研究科 建築学専攻 修了予定
芝浦工業大学大学院 理工学研究科 建築学専攻 入学 芝浦工業大学 建築学部 建築学科 都市デザインコース 卒業
芝浦工業大学 建築学部 建築学科 都市デザインコース 入学
私立横浜隼人高等学校 卒業 私立横浜隼人高等学校 入学
衰退する街区に関する研究 とその設計提案 Paper Log House

house X
課題内容:狭小住宅 制作時期:修士1年 前期 建築用途:住宅 構造形式:鉄骨造 対象敷地:東京都練馬区 制作期間:1週間
課題文
この課題は一週間で構想から制作までと極めて短い期間での設計課題です。また担当教員(原 田真宏)が実務で担当したものとまったく同じ場所・条件でのものでした。それゆえに、多 くのことを考えずにひとつの明快なコンセプトのもとに設計し、クライアントの要望、金額 そして敷地条件などの極めて現実に近い形での設計となりました。
この回は練馬区の密集地の旗竿敷地に建つ住宅です。ポイントはクライアントがMOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIOのつくる<物質のかたまり>のような住宅を期待していること です。しかし現実的なコスト問題もあります。 以下が要望の一部です。
・3階建て
・お風呂は上の方の階に欲しい。風呂+半屋外的空間 ・子供部屋は閉じられた部屋を設けるつもりはなく、将来的に間仕切をして対応できれば良 いと思っている
・使いにくくても良い。機能性にこだわらない。機能で生活が決められるのは嫌い。自分で 住まい方を決めていきたい。
・時間・想いが巡るような「巡る建築」をキーワードとし、変化を積極的に受け入れるよう にする。


手法
密集地に建つゆえに、工法と住環境ふたつの要素をともに満たすことができるよう構造は鉄 骨造とした。
密集地では現場の工期が長くなればなるほどそれだけ搬入費そして人件費がより多くかかっ てしまうことと、キーワードの「巡る建築」という言葉の孕む意味から鉄骨造、それもピン 接合とした。そうすることで施工期間を短くし、解体を容易としさらには解体されてもそれ が再び資材として「巡る」かたちで利用が可能な構造とした。
このピン接合による鉄骨造をはじめとして設計をはじめた。
この密集地かつ旗竿敷地という敷地条件から採光が難しい。ピン接合のためブレースが必要 となることと採光のうえで有利な大きな開口部を取ることとを考慮して、建物内部に立体的 操作によるブレースをかける。そうすることにより開口は好ましい位置に設けることが可能 となり、狭小という条件からその立体的なブレースが単なる構造材という機能のみならず、 垂直移動、間仕切りそして家具のような機能をあわせもつ、機能にとらわれない冗長的な使 い方が想定できる。
それのみでなく、機能にとらわれない建築本来のもつ<物質>としての強さを生活しながら 感じられるものとなる。
配置図 s=1:1,000





整理
課題内容:コンペ 制作時期:修士2年 前期 制作協力:飛田昌克(同期) 建築用途:住宅 構造形式:鉄骨造 対象敷地:東京都江東区 制作期間:2週間

水のとおりみち
課題文(中山英之)
わたしたちのからだは半分以上が水である。というフレーズ、よく聞きますよね。
それからこの梅雨の季節、ここが世界有数の多雨の国であることを実感します。
雨、上水、下水、そしてからだ。
多様なありかたで私たち自身とその生活環境を通り過ぎていく水を手掛かりに、 その魅力的なとおりみちとしての建築のかたちを描き出してください。

整理
わたしたちの住む家にはたくさんの配/排水管や蛇口があ ります。水の流れはわたしたちの目にはつねにさらされず、 壁の中、あるいは床や天井の中に押し込まれています。毎 日の生活に欠かせない水の流れを、わたしたちは知りませ ん。
水の通り道を整理して顕在化させてみる
浴槽、トイレ、キッチン...1つ1つに備え付けられた蛇口 を1つにまとめてみる
上水→中水→下水 という水の通り道が明確になると、建築 は、空間はどのように変化するのでしょうか。
散乱 この住宅の唯一の蛇口は、2階の配水管のそばに天井から垂 れ下がっています。
水の出口を1つにまとめたことで、6m四方の2階の居室か ら間仕切り壁は取り払われ、水をためる/様々な行為を許容 する起伏のある床に、天井からフックがたくさん垂れ下がっ ています。
ここは機能の振り分けられた、ふるまいを規定するような 空間ではありません。
水の流れを整理したことで、モノやふるまいは床にあるい は空中に自由に散乱しています。




2階で溜めた水はスラブの中の浄水機へ流れたのち、同じく スラブの中にある中水タンクに溜まります。
一定量を超えた中水は、中庭の土/1階の三方を囲う砂利敷 きの凹みに流れ落ちます。
トイレを流すために使う水はは中水タンクより確保します。
床の起伏はふるまいを規定しません。水をためればお風呂 になり、布団を敷けば寝室になります。だらっと身体の力 を抜けば、そこがリビングです。
天井から垂れ下がるフックには様々な用途があります。 唯一の蛇口を掛けるのはもちろん、照明や間仕切り布、板 やモノも掛けることができます。
床とフックによって構成される空間の使い方は無限にある でしょう。住み手が能動的にふるまいに合わせて空間を作っ ていくのです。


水をためることで様々なメリットがあります。
例えば夏/冬の気温について。夏場に水をためると、蒸発 する際に空気中の熱を奪ってくれます。冬は水をためるこ とで外に熱が逃げにくくなります。
また水をためることで光が拡散します。太陽の光が水に反 射して部屋の奥まで届くでしょう。水をためる深さ/照明 の高さや場所が変わると光環境も変化するでしょう。


1階の三方を囲う砂利敷きの凹みがあります。水を溜めなけ れば空気は外と繋がっています。水が満ちることで気密性 が保たれるのです。
水は当然内外同時に溜まっていき、水位も内外同時に上下 します。
水は内外を、建築を建てる事ができる敷地境界線から50cm の見えない境界を、敷地境界線を越境していきます。見え ない境界をどんどん押し広げ、領域を拡張します。





衰退する街区に関する研究
課題内容:修士設計 制作時期:修士2年 後期 建築用途:立体公園+住宅 構造形式:鉄骨造 対象敷地:東京都新宿区 制作期間:3週間
衰退街区における街区の統合を伴う開発 に関する研究 ―150メートル級マンション建設地を対象として―
研究の背景・目的
再開発の背景には政策的意図や土地所有者、デベロッパーの意向といった不可 視の要素が存在するが、本研究の目的は土地利用の変遷を地図によって時系列的 に分析することで、街区の衰退を引き起こした客観的な要因を明らかにすること を目的とする。
研究方法
『ゼンリン住宅地図』を用いてその発行当初である1960年から超高層マンショ ン建設までの土地利用の変遷を調査し、それらを類型化する。それにより前述 した細分化された宅地からなる衰退した街区のまとまりが統合されて超高層マン ションが建設された土地を発見する。その後、発見したそれらの土地についての より詳細な土地利用の変遷の調査を行うために、複数の街区が統合された対象地 といくつかの同規模程度の街区のまとまりとの土地利用の変遷とを駐車場に着目 して比較し、対象地の何が特異的であるのかを明らかにする。というのも、駐車 場というのは衰退街区に顕著に見られる空地化に対する資金を稼ぐ手段の一つで あり、ゆえに衰退街区の衰退という一つのパラメータになるからと考えられるか らである。
研究対象 研究対象を東京23区内に存在する、かつ2026年までに建設された高さが150 メートル以上の超高層マンション建設地とする。これに該当するものは全61件で ある。そのなかから、空地や空き家を含む細分化された宅地のみからなる衰退し た街区のまとまりを発見した(中央区日本橋、中央区月島、新宿区富久町、港区白 金)。そのうちの中央区日本橋と新宿区富久町の2件をより詳細に土地利用の変遷 を分析することとする。
考察
分析から、街区統合型の開発手法が地域の衰退を促進する一因となっているこ とが明らかになった。具体的には、街区に衰退の兆しが現れると<再開発への機 運>と<空地・駐車場の増加>との負のフィードバック作用が形成され、その作 用が隣接する街区へと波及する。この結果、広範囲での衰退が進行し、やがて街 区統合をともなう形での再開発事業へ至ることが確認された。また、空地や駐車 場の規模と位置関係が街区統合をともなう開発を前提とした土地の更新を必然的 にすることも問題である。特に、道路幅員が4メートル程度の狭隘な道路に囲ま れる空地や駐車場が形成されると、道路斜線の影響が大きいため、そこがある程 度の面積であったとしても、そこに建物が建てるということの選択が難しくなる と考えられる。ゆえに道路幅員の大きいものに接する街区の統合を伴う開発手法 のみが選択肢として残るため、それがおこなわれるまではその状態を保つことで、 先の負のフィードバック作用を強化させる。まとめると①<再開発への機運>と <空地・駐車場の増加>との負のフィードバック作用、②道路斜線の厳しい環境 にある比較的規模の大きな空地・駐車場、この二つをともにみたす場所では、建 物を建てることへの動機が削がれるため、いずれ訪れると想定される再開発への 準備の動機へとつながるということがわかった。






































































































土地利用の変遷(中央区日本橋)
駐車場の土地利用の分析(中央区日本橋)













































































































































































土地利用の変遷(新宿区富久町)
設計方針
まずはじめに、設計対象地のような狭隘な道路に囲まれるような場所におては、道 路斜線の影響を強く受ける。道路斜線とは、接している道路の幅員にもとづいて、道 路に面した建物部分の高さ制限のことである。この制限の度合いは用途地域と容積率 により異なり、具体的には、この設計対象地は第二種住居地域で容積率が400パーセ ントであるため、道路斜線の適応距離は30m、傾斜勾配が1.25の割合で道路斜線が 適応される。また、前面道路の境界線からセットバックした建築物については、前面 道路の反対側の境界線が後退距離と同じ距離だけ外側にあるものとして道路斜線制限 をうけることとなる。
そこで、これの影響がどれほど作用するのかを視覚的にわかりやすくするために、 1/300の模型によりスタディをおこなった。このボリュームの占める空間が建築物を 建てることができる範囲を表している。はじめに、現在、駐車場として利用されてい る設計対象地A、B、Cの三つに斜線制限を考慮して上記の表すボリュームをつくった。
設計対象地BとCでは、その表すボリュームから、その周囲の敷地規模と同じように 住宅程度の規模の建物が建てられると想定できる。一方、設計対象地Aについては、 その土地面積の規模からしては、極めて厳しい斜線制限を受けるものであることがわ かる。このような平面的な規模を持つ土地に対して、建てられる建物の物理的な境界 が相対的に狭いものであるとすると、不動産的視点から考慮するにあたっては、開発 への需要は薄いものであると考えざるをえないだろう。
このような開発へのハードルの高さという背景から、この都市の中の大きな空地が 周囲の宅地からなる街区に対して、先に述べた<再開発への機運>と<空地・駐車 場の増加>との負のフィードバック作用を形成していると考えられる。したがって、 このような環境の土地に対して、適切な開発方法(街区統合を伴うものではないこと に注意)を見出すことができれば、上記のような負のフィードバック作用に終止符を 打てるのではないかと考える。
そこで新たな提案として、設計対象地A、B、Cのようなそれぞれが道路をまたいで 接続される空地・駐車場にたいして、その三つの空地・駐車場とそれに接続される道 路をまとめて統合する、という手法をとる。この際、既存の狭隘な道路の交通機能は 維持したままとする。
プログラム
この衰退した街区に適したプログラムについて考える。以下のことに注意する必要 がある。
①既存の街区の状態を刷新しない
②用途地域の境に位置する(商業地域/住居地域)
③周辺は学校/大学/団地/オフィス/タワマン/団地と多様な人口構成 ④第二種住居地域ゆえに採光といった環境状態がよい
これらのことから、一部明確な機能を与えないプログラムが導き出された。という のも、周辺環境は多様な人口構成であり、彼らがここに訪れるきっかけをつくりだす には、<商業>や<居住>といった明確な機能を一つに定めてしまうと、それを動 機とする一部の人口に隔たりが生じてしまう。仮にそうなってしまえば、衰退した街 区への刷新を促す効果は小さいものではないだろう。この刷新は、街区統合を伴う開 発手法の問題の一つである<均質な住民構成>をもたらすことへと帰結してしまう。 そこで、第二種住居地域という周囲が低層であるという環境を考慮した結果、<都市 型立体公園>という明確な機能を伴わないプログラムを上部に挿入する。これにより、 機能では達成することのできない、社会的地位、年齢、性別など多様な人が訪れるよ うになる。周辺の地域は学校、大学、団地、オフィス、高層マンションといった多様 な住民構成であるため、それらの多様な人々がここに訪れるきっかけとなる。このよ うな場は、ある種の<環境装置>として機能する。
さらに、衰退街区では高齢者や単身世帯などの一般的には社会的弱者と呼ばれるも のが少なくない。衰退した街区のこれからとしては、既存のその状態を刷新しないこ とを考えると、経済成長とは無縁の<生活に根付く場>として整理する方が望ましい。 それを達成することができるプログラムとして、<ランドリー><ライブラリー>を 挿入する。これは、経済成長というものではなく、日々の生活の維持という<生きる >ことに焦点を当てたものである。経済的な弱者であるものらにとっては、ここが生 活の場であると同時に就労の場にもなる。





建築可能な空間領域(既存)

敷地周辺のボリューム


















建築可能な空間領域(既存)












建築可能な空間領域(道路を含む敷地の統合)
①既存の状態を刷新しない
②用途地域の境に位置する ③周辺の人口の多様さ
④周囲は低層な建物に囲まれる 立体公園 (明確な機能をあたえない)
居住 (新規の人口確保)
[A]屋上階への幅の広い階段の 間により、自然光が採光層を通 して上部のガラスから<光の間>へと降りそそぐ。
[B]1,875mmの高さをもつ採光層が南面からの直接光をつかまえ る。
[C]道路上部のボイド空間は、<立体公園>と<ハウス>との 見えない境界線を超えた、自然光による補完的関係をつくる。適 切な位置に設けられたFRP板からアルミカットパネルにより反 射した自然光が柔らかに空間をつくる。
[D]道路上空のボイド空間には、水平力を負担するトラスが組ま れる。そうすることで、<立体公園>内には比較的自由なプラ ンが展開され、無柱空間によるフレキシブルな使い方をすること ができる。
[E]道路を含んだ道路をまたぐ敷地の統合の提案であるが、交通 機能は維持したままとする。GLでは交通機能が維持されながら も<ハウス>のテナントが地域の人々に利用され、歩行者が尊 重される場所である。
[F]道路上空のボイド空間には、2階からエレベータと避難階段 といった垂直動線が設けられる。

Paper Log House
制作内容:仮設住宅 制作協力:坂茂建築設計・VAN 制作時期:修士1年 後期 建築用途:仮設住宅 構造形式:紙管構造 対象敷地:ハワイ州マウイ島 制作期間:3日間

マウイ島火災の被害視察





2023年2月6日に発生したトルコ・シリア地震を機に発足した坂茂建 築設計・VANとの共同プロジェクト。トルコ・シリア地震での支援とし
てPaper Loghouseのプロトタイプ検証として大学内でモックアップ制
作が行われ、15人ほどの人数が参加した。完成後構造実験などが行わ れたほか、2023年5月5日に発生した能登における地震の際に、これ らを解体して能登に輸送され、これが能登での仮設住宅建設の材料とし て再建設された。
そして、2023年8月8日に生じたハワイマウイ島火災の支援活動とし てトルコ・シリア地震プロジェクトのメンバーがそこで得られた技量・ 知見を発揮するために被災地へ訪問し、3日でPaper Loghouseを建設 した。
現地での滑らかでない地面にビールケースでの基礎や鉛直に柱・壁を設 置することの難しさ、そしてセルフビルドでの仮設住宅の有効性が確認 することができた。


施工マニュアル(学生作成)























[A]土のうのはいったビールケースの簡易的な基礎。地面のレベ ルが不安定であったので、端材を重ねて床の水平を保持する。
[B]外側の壁面を内側より6mmだすことにより紙管により生ま れる 間を隠す。
[C]水平力を負担するring beamを4面すべてに設置する。
[D]棟木の高さは人ひとりが脚立に立って作業することのできる 高さ。
[E]計6枚屋根部材それぞれの中心に円形の切込みをもつ。そう することでその穴をくぐって覗き込むような姿勢でビス撃ちが可 能になる。
[F]また、この円形の切込みから断熱材が露出することで柔らか な光が降りそそぐ。
[G]針金を建物の床と基礎に通すことでこれらを固定する。
[H]屋根材に断熱材を埋め込み、その上にビニールシートを被せ る。ビニールシートの形を決めておくことで、ビスを撃つのみで 外装が完成する。

紙管に防水剤を塗装

土のうがはいったビールケースを簡易的な基礎とする
