資源効率性に関する 政策ガイダンス G7富山環境大臣会合および G7伊勢志摩サミットに向けた報告書 政策ハイライト
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2015年6月のG7エルマウ・サミットの首脳宣言において、OECDは資源効率 性に関する政策ガイダンスを作成し、G7富山環境大臣会合および2016年5月 のG7伊勢志摩サミットに情報を提供することを要請された。この報告書はその 要請に応じて作成されたものである。資源効率性の高い経済を確立することは、 現代の環境、開発、マクロ経済の大きな課題である。 リデュース、 リユース、 リサイ クル(3R)の原則を実施する政策の整備によって資源効率性を向上させること は、関連する環境影響を減らしつつ資源の利用を改善し、安全保障、競争力を高 めるために不可欠である。
2 . © OECD 資源効率性に関する政策ガイダンス
主要メッセージ グリーン成長を追求し資源効率性の高い経済を確立することは、今日の環境、開発、経済におけ る重要な課題である。こうした状況の中、資源の生産性を高め、 リデュース、 リユース、 リサイクル (3R)の原則を実施する政策の整備は不可欠である。資源生産性の向上によって、人間の経済 活動に必要な資源量、および、それに伴う環境影響を削減することによって環境が改善するのと 同時に、資源安全保障と競争力も高めることができる。
資源効率性は何よりもまず国内の政策決定の問題であるが、共動と協調的努力によって、各国 間に確実に恩恵がもたらされるようにすることができる。これに関して、G7は重要な役割を担っ ている。
1. G7は優良事例を明らかにし、加盟国内外で経験を共有するためのプラットフォームを提供 することができる。このガイダンスで示している二つの重要なメッセージは―― • 資源効率性政策は、製品のライフサイクル全体を対象とすべきである。 • 国の政策は、イノベーション、投資、貿易、教育、能力開発など多様な分野において、部 門別政策を資源効率性目標と整合させることにいっそう重点を置くべきである。
ライフサイクル・アプローチと政策の一貫性に関するこうしたより広いメッセージは、G7から明 確に支持を得られるであろう。
2. G7は、以下を実施することにより、国際レベルでの調整と協力を強化することもできる。 • 企業のサプライチェーン管理努力を支援することにより、グローバル・バリューチェーン における資源効率性の検討を促進する。 • サプライチェーンにおいて資源効率性の妨げになる貿易・投資関連の障害(二次資源 に対する輸出規制、使用済み製品の貿易規制、環境財・サービスに対する貿易障壁を含 む) に対処する。 • 拡大している環境ラベル表示と情報について、高い基準の維持と制度に対する相互認 証を可能にすること、国際市場全体での制度の増殖にともなうコスト増大に対応するこ とを目的として、一定程度の調和を呼びかける。
3. 最後に、G7は物質フローと資源効率性に関する重要な情報のギャップへの対処を支援す ることができる。こうしたギャップには、国際貿易に関連する間接的物質フローに関する統 一的データ、二次資源のフローに関する情報、産業による資源利用に関する細分類された 情報、天然資源ストックの質と劣化に関する情報が含まれる。同様に、G7は資源効率性の 経済分析――現在までほとんど注目されてこなかった研究分野――を向上させるべく、国 際協調努力を支援することができる。
© OECD 資源効率性に関する政策ガイダンス . 3
政策ハイライト
2016年5月
1
重要な動向と見通し 1990年以降、世界の物質資源の使用量の伸びは わずかに減速しているが、世界のGDPの変遷に概
G7および他のOECD諸国は物質資源の利用を経済成長から
ね沿っている:相対デカップリング。同期間に、ほと
徐々に切り離し (デカップリング) てきたが、1人当たり物質消費
んどのOECD加盟国は経済成長しながら物質資源
量は依然として世界平均を大きく上回ったままである。加えて、
の使用を減らしてきた:絶対デカップリング。
また先進諸国におけるデカップリングは、発展途上の世界にお ける物質資源への需要の増大を補うには不十分となっている。
ここ数十年、資源への需要は空前の伸びを見せている。その要 因は、新興経済国の急速な工業化と、先進諸国の物質消費が引 き続き高い水準を保っていることにある。1990年以降、世界 の物質資源の使用の伸びはわずかに減速しているが、世界の GDPの変遷に概ね沿っている。いわゆる相対デカップリングと いう動向である。同期間に、ほとんどのOECD加盟国は経済成 長しながら物質資源の使用を減らしてきた。 これは絶対デカップ リングという (図1)。 しかしながら、OECD加盟国における1人 当たり年間物質消費は相変わらず大きく、世界平均を約60% 上回っている。
先進諸国では、国によって実績に大きな開きはあるが、政策が デカップリングに貢献してきたことを示す証拠がある。 しかし、 そ れらの政策による貢献と細かく区別することは難しいものの、 他にもいくつかの要因が重要な役割を果たしてきた。近年デカ ップリングに貢献しているこのような要因の例としては、不安定 で相対的に高い資源価格、技術の変化、資源をあまり使わない サービスセクターが国内経済に占める割合の増加、製品輸入に よる資源多消費型国内生産の置き換え、 世界金融危機に起因す る資源需要の減少が挙げられる。
現在の人口と経済成長の動向が続くことで、世界の物質資源消 費量は2050年には倍増するため、環境に著しい悪影響を与え る可能性がある。
2050年までに世界人口は現在の約70億人から90億人以上 に増加し、 1人当たり国民所得は約3倍になることが見込まれて いる。特に世界の生産・消費パターンがOECD諸国のパターン に近づいたときに、 相当のエネルギー、 食品、 天然資源の需要増 加を引き起こす。世界の物質資源消費量は2050年までに倍増 することが予測されている (図2)。これに関連する資源の収穫・ 採取、 使用、 廃棄物処理の環境影響も増加することになる。環境 管理と資源効率性が大幅に改善されない限り、 自然資産は劣化 し続け一層乏しくなり、経済、社会、環境に深刻な悪影響をもた らす可能性がある。
4 . © OECD 資源効率性に関する政策ガイダンス
政策ハイライト
図1: 物質消費量と経済活動とのデカップリングの進展 指数1980年=100
指数1980年=100
300
300
G7
世界 250
250 GDP
200
200
150
物質採取量
150
100
100
50
50
0
1980
1985
1990
1995
2000
2005
2010
GDP
0
物質消費量
1980
1985
1990
1995
2000
2005
2010
出典:OECD(2016a) “Material 、 resources” , OECD環境統計(データベース)
資源効率性政策はこうした動向に対応し、経済と環境に大きな プラスの影響を与えることに貢献する。 OECD諸国の1人当たり年間物質消 G7各国は、製品、材料、資源の価値が経済の中でできるだけ長
費量は相変わらず高く、世界平均を約
く維持され、 廃棄物の発生が最小限に抑えられる循環経済の発
60%上回っている。
展にますます本腰を入れて取り組んでいる。資源効率性の向上 を目指す政策は、生産原価の引き下げ、競争力の増強、雇用、商 品輸入への依存軽減、環境への悪影響の低減をはじめ、多くの 恩恵をもたらすことができるという証拠がある。資源効率性の 向上は、気候変動緩和目標に貢献し、先ごろ合意された持続可 能な開発目標の実施にも寄与する。
図2:UNEP IRPの2050年世界資源消費量シナリオ 1900~2005年の推移 フリーズとキャッチアップ
半減(ファクター2)とキャッチアップ 世界の物質消費量のフリーズ
150
ギガトン
100
10
出典:UNEP(2011)
0
1900
1920
1940
1960
1980
2000
2020
2040
© OECD 資源効率性に関する政策ガイダンス . 5
2
恩恵を実現するには、 資源効率性政策をさら
に進展させ主流化する 必要がある。
埋め立てごみ処理税などの経済的手段の利用を報 告している国の数はこの15年で大幅に増え、その結 果、埋め立てから物質・エネルギー回収への廃棄物処 理の転換につながっている。
資源効率性の恩恵を実現するには、各国政府が協調して首尾一貫 した政策措置をとり、 もたらされる制度的な課題に対応する必要が ある。 この報告書は、 各国政府がこの目標を達成する役に立つ政策 ガイダンスを、4つの主要分野を中心にまとめて提示している―― (i)政策手法の選択と設計、 (ii)それらの政策手法を製品ライフサ イクル全体を対象とした効率的な政策ミックスにどのように取り入 れるか (iii) 分野横断的政策および部門別政策への資源効率性の組 み込み、 (iv)政策展開と評価を支援するデータ・分析の強化。報告 書では政府が国内レベルで講じられる施策に主に注目しているが、 結びの部分では、 G7の枠組内におけるものを含む国際協力がこの アジェンダの推進に重要な貢献を果たしうる分野をいくつか明示し ている。
2.1 製品バリューチェーンに沿って首尾一貫した一連の資 源効率性インセンティブを提供するような政策手段の組み 合わせを適用する。
ながっている。廃棄物発生抑制を目的とした環境に配慮した製 品デザインの促進および消費者の行動変容を促すようなEnd-
環境コストを内部化し、資源の効率的な利用を促すインセンティブ
of-lifeマネジメントの上流における取り組みは、 より控えめで
を提供するには、政府による政策実施が必要である。これを、環境
ある。
負荷の単なる製品ライフサイクル全体への移し換えや一つの環境 媒体(大気や水など)から別の媒体への移動を回避して、 実施するに
政策ミックスのメリットは、製品設計をターゲットにする政策手
は、首尾一貫したインセンティブを生み出す政策の組み合わせ(政
段や資源効率性の高い製品への需要を高める政策手段を強化
策ミックス)の適用が必要になる。政策立案者が利用できる政策手
することで得られる。効果的なポリシーミックスにするには、一
段の主な種類は、経済的手段、規制、環境ラベリングを含む情報提
貫性がありかつ補完的な政策手段の組み合わせをベースにす
供によるアプローチ、 自主的なアプローチ、 公的資金援助である。
るべきであり、重複や対立のある介入を避けるべきである。ポ リシーミックスの設計と個々の手段の選択は、確立された判断
これまで政策手段は総じて、製品ライフサイクルの上流ではなくは
基準――環境面での効果を増す、経済効率を高める、 イノベー
るか下流のほうに適用されてきた。例えば、埋め立て税などの経済
ションへのインセンティブを強化する、 企業や政府のコンプライ
的手段の利用を報告している国の数はこの15年で大幅に増え、そ
アンスにかかる管理費を最小限に減らす、低所得世帯や脆弱な
の結果、埋め立てから物質・エネルギー回収への廃棄物の転換につ
部門に与える影響に対応する――に基づいて行うべきである。
6 . © OECD 資源効率性に関する政策ガイダンス
促進する政策を実施する。 •
の検討――ライフサイクル分析の利用を含む――を公共調
拡大生産者責任 (Extended Producer Responsibility:
達プログラムに組み込むには、 まだやるべきことがたくさん
EPR) とは、生産者が汚染者負担の原則にしたがい、使用
残っている。GPP基準を再検討し、 資源効率性目標が反映さ
済み製品の回収、分別、処理の責任を負うことをいう。現在
れ、 ライフサイクル分析に基づいていることを確認する必要
OECD加盟国の大半では、 電気・電子機器、 容器包装、 タイヤ
がある。さらに、国および地方レベルの関係機関に然るべき
にこのアプローチが用いられている。フランスでは14の製
能力が形成されていることも不可欠である。公共調達に関す
品グループにEPR制度が設けられており、 日本は家電製品、
るOECD理事会勧告は、 重要な参考基準として役に立つだろ
容器包装、廃自動車に対してEPRが適用されている。こうし
う。
た政策はごみの埋め立て処分を減らし物質回収を増やすの に役立っているが、環境配慮設計へのインセンティブはさら
•
バリューチェーンに沿って取り組む企業とのパートナーシッ
に強化することができる。また、EPR制度がグッド・ガバナン
プ。複数のG7加盟国は特定のバリューチェーンに沿って活
スの原則に従って運用され、 説明責任を強化する目的で透明
動する企業と協力し、資源効率性に対するより革新的なアプ
性を高め、性能評価を向上させ優良事例を特定するために
ローチの開発に取り組んでいる。例えば、英国、 フランス、 ド
も、 さらなる努力が必要である。EPR制度は更に野心を拡大
イツでは、ある事業者の廃棄物を別の事業者の資源インプッ
して、環境コストをより上手く内部化し、可能な限り多くの製
トとして使用するために、ネットワーク内の経済主体にエコ・
品へ対象を広げて、 施行を強化すべきである。
イノベーションや知識供給を促した産業共生を積極的に支援 している。日本はエコタウン事業を通じて都市と産業の共生
•
グリーン公共調達 (Green Public Procurement: GPP)
を支援している。加盟国をはじめOECD多国籍企業行動ガイ
は、公共調達に資源効率性基準を設けることを目指すことに
ダンスを支持する諸国も、責任のあるサプライチェーンを推
より、 イノベーションを刺激し、環境に優しい製品への需要を
進するグループとして活動し、個別部門に対するガイダンス
高めることができる。一般政府調達はOECD諸国における
を策定している。バリューチェーンに沿った多様な課題を考
国内総生産の12%に相当し、政府支出の3分の1近くを占
えると、 こうしたパートナーシップは範囲と規模を拡大しうる
めている。現在、OECD諸国の84%が中央政府レベルでグ
有用なアプローチになる可能性がある。ただし、 こうしたパー
リーン調達の奨励策を設けており、 例えば日本では2000年
トナーシップは公共政策を補完するものであって代替策で
からグリーン購入法を実施している。とはいえ、資源効率性
はなく、 その進展状況は定期的に監視されるべきである。
一般政府調達はOECD諸国における国内総生産の12% に 相 当し、政 府 支 出 の 3 分 の 1 近くを 占 め て い る 。現 在、OECD諸国の84%が中央政府レベルでグリーン調達 の奨励策を設けている。
© OECD 資源効率性に関する政策ガイダンス . 7
政策ハイライト
2.2 製品のライフサイクル全体にわたって資源効率性を
2.3 資源効率性を経済政策課題として扱い、分野横断的政 策および部門別政策に組み入れる。
•
投資。グローバル経済は、2015年から2030年の間に約 90兆米ドルのインフラ投資を必要とする。 これは莫大な量
循環経済への移行には、 マクロ経済的な部門別レベルでの一連の
の資源消費に転換されることになるため、新たな投資を低
包括的な政策措置も必要となる。気候変動を含め、 他の政策との相
炭素かつ資源効率性の高い開発の支援に確実に役立たせ
乗効果を利用する機会を探るべきである。持続可能なモビリティ分
るための重要な機会が生まれる。ただし、 こうした方向での
野のように、低炭素と資源効率性の目標を追求する中では、 ウイン・
投資に対する障壁が取り除かれることが条件となる。公共
ウインの成果を得る多くの機会がある。同時にまた、資源効率性目
投資は、資源効率性目標を建物その他のインフラの基準
標の達成への主要な障壁の中には、他の部門の政策に埋め込まれ
に組み込むことによって、手本を示すことが望ましい。民間
たインセンティブと関連するものがある。資源消費量の多い主要部
投資家に対しては、 資源効率性目標を各自の投資戦略に組
門――農業・食料、 輸送、 エネルギー――を分析すれば、 資源効率性
み入れるようなインセンティブを喚起すべきである。
目標との政策の齟齬を割りだし、 克服する方法を見つけ出す役に立 つだろう。この分析を行わない限り、資源効率性政策の効果が得ら れないかもしれない。
•
教育と職業訓練。資源効率性の高い経済への移行に刺激 され、 浮上する部門もあれば、 衰退する部門もある。それが 雇用の純増につながるかどうかはさておき、労働者の技能
各国政府はまた、資源効率性の追求を分野横断的政策に組み込ん
内容は変わるだろう。 したがって政府は新たな職業技能要
で主流化することにより、 資源効率性の高い構造変化を支援するこ
件を評価し、 それに応じて教育・訓練プログラムを調整すべ
ともできる。
きである。
•
イノベーションは、資源消費と成長のデカップリングに不可欠 な手段である。しばしば急進的イノベーションを生み出す中 小企業に、イノベーション支援の的を絞っている政府もある。 その一例として、ヨーロッパで実施されている中小企業対象 のグリーン行動計画では、中小企業に情報とアドバイスを提 供するとともに、資金調達支援をしている。部門別のイノベー ション支援イニシアティブの例は、カナダで見られる。カナダ 鉱業イノベーション評議会はゼロ廃棄物イニシアティブを立 ち上げ、採鉱廃棄物の大幅削減につながることが期待される
以上のような取り組みに対しては、政府の十分に高いレベルで の効果的なガバナンスの仕組みによって下支えする必要があ る。効果的なガバナンスは、関与する主要なステイクホルダー の調整や進捗の管理、一般的には野心的な政策目標を達成す るために必要な政策的推進力の提供に貢献する。フランスは循 環経済のロードマップを通じてこれを試み、 フィンランドとオラ ンダは資源生産性政策の調整と一貫性のための包括的なメカ ニズムを確立している。
イノベーションを優先して支援している。イノベーションで資 源効率性が改善できそうなもう一つの分野は、共有プラット フォーム(車、宿泊、電動工具など)や循環供給といった新 たなビジネスモデルの開発を通じたアプローチである。資源
イノベーションで資源効率性が改善できそうなもう
効率性の改善が国のイノベーション政策に組み込まれ、研究
一つの分野は、共有プラットフォーム(車、宿泊、電動
パートナーシップが推進され、新企業の参入や新ビジネスモ
工具など)や循環供給といった新たなビジネスモデ
デルの開発に対する障壁が取り除かれれば、こうしたアプロー
ルの開発を通じたアプローチである。
チの規模と範囲を拡大できる。
8 . © OECD 資源効率性に関する政策ガイダンス
化する。
多くの研究において、資源効率性が改善すると、産出量の向上や
多くの OECD 諸国は、すでに物質フロー勘定を実施し、資源
雇用の増加、企業のコスト削減、環境被害の低減といったマクロ
効率性の指標を策定しているところである。こうした取り組み
経済的利益が生まれるとの主張がなされてきた。さらに、 こうした
は、OECD が策定した物質フローや資源生産性を測定するため
利益の一部は、 対策を実施する企業の費用負担ゼロまたは低コス
のガイダンスや参考資料、UNEP 国際資源パネルの開発した国
トで達成できるとされている。こうした主張を裏付ける証拠はあ
際物質フローに関するデータベースなど、国際レベルのイニシ
るが、 この種の研究はさらに深めるべきである。 したがって、 こうし
アティブに支えられている。とはいえ、この 10 年間に定めた
た利益に対する認識を確実にするには、資源効率性政策の設計
目標に照らして測ると、進み具合は十分ではない。資源効率性
は――特に目標やターゲットの設定時には――政策の費用と便
に関するいくつもの目標やターゲットを含む持続可能な開発目標
益の評価を踏まえて行うべきである。
(SDGs)が採択されたことで、この分野での国際協力の拡大 を含め、データ収集や指標策定への取り組みを強化する必要が
最後に、政策評価を大幅に強化すべきである。優良(および失敗)
増している。
事例の特定と経験の共有は、 より良い資源効率性政策の設計と 循環経済への移行の促進に重要な役割を果たしうる。
政策開発を支援し、 より野心的な資源効率性政策をつくりあげる には、 より良い経済データや分析も必要になる。こうした分析は、 現在の資源消費パターンにともなう環境外部性と、 それへの対処 による経済的利益に焦点を当てるべきである。資源が経済発展に 果たす寄与を経済政策担当者が追跡できるように、 適切な指標を 開発すべきである。
政策策定を支援し、より野心的な資源効率性政策 を訴えるには、より良い経済データや分析が必要 になる。
© OECD 資源効率性に関する政策ガイダンス . 9
政策ハイライト
2.4 より良いデータと分析を通じた政策開発と評価を強
3
G7諸国間を含めた国際レベル
での協力強化 大幅な資源効率性向上への移行を支援するために必要な施策の
貿易と投資もまた注目の分野となりうる。大抵の場合、国際的な
多くは各国政府が国内レベルで実施しなければならないが、経済
バリューチェーンは商品とサービスの貿易と投資を通じてつなが
のグローバル化が続きバリューチェーンが複数の国境を越えて広
っているため、貿易に対する規制は資源の利用効率に影響すると
がる中、 国際レベルでの協調的アプローチの必要性が高まってい
考えられる。OECDその他の機関は、原材料への輸出規制は、そ
る。この点に関してG7は、例えば企業のサプライチェーン管理努
の影響を受ける政府や貿易パートナー間の摩擦や貿易紛争の火
力への支援、貿易・投資関連の障害への対処、資源効率性向上へ
種になるとみなしている。同様に、使用済み製品の貿易規制は再
向けた取組み支援に対する政府開発援助の利用、環境ラベル表
利用および再製造活動を阻害しかねない。環境製品・サービスの
示・情報制度ならびにより幅広く資源効率性に関するデータや指
貿易に対する現地調達率や貿易救済措置のような障壁は、利用
標の改善をはじめ、 重要な役割を果たすことができる。
できる最良の環境技術の拡散を抑制し、資源効率性向上の範囲 と規模を世界的に減少させている。
一国の権限の及ぶ範囲に限界があるため一国の政府がサプライ チェーンの管理の仕方に影響を与えるのは難しいが、国際レベル
政府開発援助(ODA) はOECD開発援助委員会の加盟国が提供
であればより効果的に行える。例えば、OECDは多国籍企業行動
する資金援助で、2015年には1,310億米ドルを上回ったが、資
ガイダンスの枠組内で、鉱物、衣類、履物および農業部門を含む
源効率性向上の支援に回るのはごくわずかと見られている。例え
いくつかの産業部門において責任あるサプライチェーンを推進し
ば、固形廃棄物管理に関連するODAは現在わずか0.3%ほどで
ている。
ある。資源効率性がもっと体系的に開発援助に組み込まれて主流 化していれば大きな効果が得られ、 能力開発と技術移転は現在よ りも進んでいただろう。
貿易と投資も、また注目分野となりうる。例えば、使 用済み製品の貿易規制は再利用および再製造活動 を阻害しかねない。
環境ラベル・情報制度は、環境への害がより少ない製品の選択を 消費者に促す手段として広がっており、 これもまた国際協力が効 果を生む分野となりうる。情報制度の急激な拡大に関連していく つかの懸念がある。例えば、消費者や調達者に良いラベルと悪い ラベルの区別がつきにくくなったり、企業が多数のラベルの認証 で過剰なコストを負担したりする可能性がある。政府および非政 府のさまざまなステイクホルダーは、 情報制度の増殖が起きてい ることを知っており、ある程度のラベルの統一と相互承認に国際 レベルで取り組むとともに、国際市場での重複や関連コストを減 らすことにはメリットがあることを認識している。
10 . © OECD 資源効率性に関する政策ガイダンス
600
公的強制
公的自主的
非営利任意
官民混合自主的
民間自主的
500
400
300
200
0
1970 1971 1972 1973 1974 1975 1976 1977 1978 1979 1980 1981 1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012
100
出典:Gruére(2013)
資源効率性データの改善と、資源効率性の課題と政策に対する より確かな経済分析もまた、国際協力によって支援することがで きる。OECDはデータ関連のギャップをいくつか特定しており、 そ
環境ラベル・情報制度は、環境への害がより少な
の多くはデータセットの互換性と共通の定義や方法を確保する
い製品の選択を消費者に促す手段として採用が広
ために国際協力を必要とする。同様に、 資源効率性の経済分析を
がっている。
向上させるための協調的取り組みも必要となる。今のところこの 分野の研究はほとんど注目されておらず、国際的な協調的研究 努力は役に立つことが期待できる。
© OECD 資源効率性に関する政策ガイダンス . 11
政策ハイライト
図3:ガバナンスと所有の形態別に見たELIS(環境ラベルと情報制度)の採用数の推移(1970~2012)
資源効率性に関する政策ガイダンス 2015年6月のG7エルマウ・サミットの首脳宣言において、OECDは資源効率性に関 する政策ガイダンスの作成を要請された。この政策ハイライトは、その要請に応じた報 告書に基づいている。 資源効率性の高い経済を確立することは、現在の環境、開発、マクロ経済の大きな課 題である。 リデュース、 リユース、 リサイクル(3R)の原則を実施する政策の整備によっ て資源効率性を向上させることは、関連する環境影響を減らしつつ資源の利用を改善 し、安全保障、競争力を高めるために不可欠である。 本出版物のオンライン参照先:http://dx.doi.org/10.1787/9789264257344-en.
写真提供 詳細についての問い合わせ先: www.oecd.org/environment/waste Peter.Borkey@OECD.org
特に明記のない限り、全ての画像はistock Photoのご厚意により転載。
2016年5月
OECDによる英語のオリジナル版は、以下のタイトルで発行されている: OECD (2016), Policy Guidance on Resource Efficiency, Policy Highlights, http://www.oecd.org/env/policy-guidance-on-resource-efficiency-9789264257344-en.htm ©2017 Ministry of the Environment, Japan for this Japanese edition 仮訳:本ガイダンスの日本語訳は、OECD事務局の許諾を受けて、日本国環境省の請負業務 として、公益財団法人地球環境戦略研究機関 (IGES) が実施しました。