科孊・技術・むノベヌション アりトルック2023

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OECDずは 経枈協力開発機構OECDは、グロヌバル化に䌎う経枈・ 瀟䌚・環境面の課題に察し、各囜政府が協力しお取り組むナニ ヌクな囜際機関である。同時に、コヌポレヌト・ガバナンスや 情報経枈、高霢化の課題ずいった新たな進展や懞念を、各囜政 府が理解し察応できるよう支揎する最前線の堎でもある。OECD は、各囜政府による政策実䟋の比范や 、共通の課題に察する解 決策の远求、優れた実践䟋の特定、囜内及び囜際的な政策調敎 の取組を可胜にする環境を提䟛しおいる。

OECD/CSTPずは 科孊技術政策委員䌚CSTP は、科孊・技術・むノベヌショ ンSTI政策分野における OECD 加盟囜及びパヌトナヌ間の協 力を促進する議論を行っおいる。CSTPは、成長や、雇甚創出、 持続可胜な開発、りェルビヌむングの向䞊、知識のフロンティ アの進展ずいった経枈・瀟䌚・科孊の成果に貢献するこずを目 的ずしおいる。特に、STI政策ず他の政府政策ずの統合を重芖し おいる。

「科孊・技術・むノベヌション アりトルック2023」党䜓版英語のみ は、以䞋のURLから入手可胜である。

https://doi.org/10.1787/0b55736e-en

本曞及び本曞に含たれる統蚈デヌタや地図は、いかなる領土の地䜍や䞻暩、囜際的な囜境 や境界の画定、領土、郜垂、地域の名称を損なうものではない。むスラ゚ルの統蚈デヌタ は、むスラ゚ルの関連圓局から提䟛されたものであり、同圓局の責任の䞋にある。OECDに よるこのようなデヌタの䜿甚は、ゎラン高原、東゚ルサレム、ペルダン川西岞におけるむス ラ゚ル入怍地の囜際法䞊の地䜍を損なうものではない。この著䜜物の利甚は、デゞタル版・ 印刷物を問わず、https://www.oecd.org/termsandconditions に蚘茉されおいる利甚芏玄が 適甚される。

© OECD 2023

ハむラむト

「経枈協力開発機構OECD科孊・技術・むノベヌション アりトルック 2023」以䞋「STI Outlook 2023」ずいう。は、OECD 諞囜及び䞻芁パヌトナヌ経枈圏における科孊・技術・むノベヌション

STI政策の重芁な傟向を分析するシリヌズの最新版である。本レポヌトでは、STI 政策におけるリス

ク、䞍確実性、回埩力レゞリ゚ンス等の懞念をかき立おる気候倉動や地政孊的緊匵の高たりずいっ た長期的傟向のほか、新型コロナりむルス感染症COVID-19の䞖界的流行をはじめずした短期的な混 乱にも焊点を圓おおいる。

COVID-19 の䞖界的流行が瀺すずおり、瀟䌚的な倧きな倉化に察しおレゞリ゚ンスず適応力を構築す るために STI は必芁䞍可欠である。しかし、STI がその圹割を効果的に果たすこずができるのは、既知の リスクず未知の䞍確実性に察応できるだけの十分な備えがある堎合に限られる。十分に備えるために は、研究開発、人材及びむンフラぞの長期的な投資が必芁ずなるが、それだけでは十分ずはいえない。 危機的状況に迅速に察凊するために結集する関係者間の「通垞時」からの匷固な結び぀きや、新たなリ スクずその察応を特定・モニタリング・評䟡するための匷力な「戊略的知性strategic intelligence」

ずいう胜力も必芁ずなる。

新たな危機や瀟䌚的な課題を認識し、それらに察応し、そしおそれらから回埩を図るために STI シス

テムを結集するこずは、時には、珟状からの倧きな倉化をもたらすこずになる。なぜなら、STI システム

のレゞリ゚ンスや新たな危機及び課題察応ずの関係性、垂民の日垞生掻を改善するためには、関係者・ 制床・実践の各段階においおか぀おない詊行的な圢態が必芁ずなるためである。これは、特に気候倉動 に関する喫緊の課題ず倧いに関係がある゚ネルギヌ、蟲業食糧アグリフヌド、茞送モビリティ ずいった分野においお顕著な傟向があり、瀟䌚技術システム党䜓での倉革が必芁ずなる。STI システムは これらの倉革においお䞍可欠な圹割を担っおおり、政府は STI 政策においお、より野心的に、か぀、よ り緊急性を持っお行動しなければならない。そしお、むノベヌションず新垂堎の創出を可胜にするずず もに、既存の化石燃料ベヌスのシステムを疑問芖し、䜎炭玠技術がブレヌクスルヌを起こすための機䌚 を生み出す政策のポヌトフォリオを蚭蚈する必芁がある。そのためには、䜎炭玠技術のむノベヌショ ン・サむクルを加速するこずに資するためには、投資の増倧ずずもに、ミッション指向型むノベヌショ ン政策などを通じお、STI における明確な方向性を打ち出す必芁がある。

STI においおは囜際協力が必芁䞍可欠であるにも関わらず、重芁な新興技術に関する戊略的な競争状態 を含む地政孊的緊匵の高たりは、囜際協力を困難にするず考えられる。各囜が技術優䜍性を保ずうず自 囜の技術を保護し、他囜ぞの䟝存床を䞋げようずする政策を匷化しおいるこずは、統合されたグロヌバ ル・バリュヌ・チェヌンや過去 30 幎間以䞊にわたっお築き䞊げられた深く広範な囜際的科孊協力関係を 混乱に陥れる可胜性がある。そしお、技術開発ず研究における「共有された䟡倀芳」が匷調されるに぀ れ、こうした展開は STI 掻動の「デカップリング」に繋がる可胜性がある。折しも、気候倉動に代衚さ

れる地球芏暡課題が、囜際的 STI 協力に支えられたグロヌバルな解決策を必芁ずしおいる時にあっおな おさらである。倚囜間䞻矩にずっお倧きな詊緎は、戊略的競争力の匷化ず気候倉動のようなグロヌバル な課題ぞの察応の必芁性ずを䞡立させるこずであろう。

これらを総合すれば、気候倉動のような地球芏暡課題に取り組み、今埌生じうる瀟䌚的な倧きな倉化 に察しおレゞリ゚ンスを構築するにあたり、政府がツヌルず胜力をより良く敎備できるようになるため

に、STI 政策においおより䞀局の緊急性、願望、そしお準備が匷く求められおいるこずが分かる。

科孊・技術・むノベヌションは持続可胜

性ぞの移行に䞍可欠

䜎炭玠のむノベヌションを加速させなければ、2050 幎たでに枩宀効果ガスの排出量正味れロネ ットれロを達成するこずは䞍可胜である。゚ネルギヌ、蟲業食糧、茞送などの分野における持続可 胜なシステムぞの移行トランゞッションは、実珟可胜な技術の開発ず実装次第である。CO2 ネ ットれロ瀟䌚ぞ移行するため、充分な芏暡感ずペヌスで察応するためには、むノベヌション・チェヌ ン党䜓にわたっお盞圓なレベルの投資が必芁ずなる。この投資には、ネットれロの達成が垂堎からた だ乖離のある技術に䟝存するこずから、研究開発R&Dぞの投資が含たれるこずずなる。゚ネルギ 及び環境の研究開発に察する公的投資は近幎増加しおいるが図 1、むノベヌションがネットれ ロ目暙の達成に資するペヌスを維持するには、さらに公的投資の増倧を加速させおいく必芁がある。

゚ネルギヌ及び環境

健康医療科孊 政府党䜓の研究開発予算

単䜍米ドル䞍倉䟡栌Constant price)実質倀、賌買力平䟡、指数2018幎=100

出兞OECD 研究開発統蚈2022 幎 9 月、最新の OECD 指暙に぀いおは OECD Main Science and Technology Indicators Database, http://oe.cd/msti を参照2022 幎 11 月 27 日アクセス

図
1. 政府の研究開発予算の掚移
201621 幎
90 95 100 105 110 115 120 125 130 2016 2017 2018 2019 2020 2021

COVID-19 の䞖界的流行による景気埌退期にも研究開発投資は掻発

ここ数幎における最も顕著な混乱である COVID-19 の䞖界的流行ずロシアによるりクラむナ䟵攻は、 STI を含む広範囲に連鎖的圱響を及がした。コロナ犍においお、研究開発支出の䌞びは鈍化したもの の、それでも OECD 圏内では研究開発支出の増加傟向は続いた。䞖界的な䞍況が研究開発支出額の 枛少に結び぀かなかったのは初めおのこずである。これは、研究開発ぞの投資がコロナ犍ぞの察応に 䞍可欠であったこずを反映しおいる。2021 幎のデヌタは、その前幎に研究開発支出額が枛少した倚 くの囜々で研究開発支出額が回埩したこず図 2に䌎い、OECD の研究開発費の成長率がコロナ犍 前の氎準に回埩したこずを瀺しおいる。

図 2. 総囜内研究開発支出額の増加2019-20 幎及び 2020-21 幎

2019-20

䞍倉䟡栌(Constant price)実質倀での増加率

2020-21

フランス ドむツ EU27 日本 OECD むタリア 米囜 韓囜 䞭囜

出兞OECD 研究開発統蚈2023 幎 2 月、最新の指暙に぀いおは OECD Main Science and Technology Indicators, http://oe.cd/msti を参照。

今埌に目を向けるず、経枈成長率の䜎䞋に加え、1980 幎代以降で最も高いむンフレ率が芋蟌たれ おおり、STI 支出額に悪圱響が及ぶ可胜性がある。STI ぞの投資が解決策を芋出す䞭心ずなっおいた

コロナ犍時ずは異なり、珟圚の景気埌退に䌎い、研究開発支出額が枛少する可胜性がある。䞀方、景 気埌退による研究開発支出額の圧迫は、盎近で打ち出された野心的な産業政策によっお盞殺される可 胜性もある。これらの産業政策には研究開発投資が盛り蟌たれおいるこずが倚いためである。たた、 ロシアによるりクラむナ䟵攻は、倚くの OECD 諞囜においお、今埌数幎間、防衛研究開発ぞの支出 額を増加させるこずずなるず予想される。

倉

革にはより明確な STI 掻動の方向性が必芁

䜎炭玠技術のむノベヌション・サむクルを短瞮するためには、政府は倧芏暡な投資を行うだけでな く、STI 掻動においおより明確な方向性を瀺す必芁がある。このような支揎の倧郚分は、゚ネルギヌ や茞送等の分野を通じお行われるず考えられ、たた、STI 政策は、むノベヌション・チェヌンにおけ る様々な「死の谷valley of death」に察応するため、政府の他の郚門ずの調敎が必芁ずなる。こ の方向性は、ミッション指向型むノベヌション政策MOIP図 3を含む政府暪断的な産業政策 の利甚が拡倧しおいるこずず䞀臎する。MOIP では、政府は他組織特に䌁業ず連携しお、限られ た資源をどこに集䞭させるかずいう STI 政策の遞択を明確に行うこずが求められる。

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-8 -6 -4 -2 0 2 4 6 8 10 12

図 3. ミッション指向型むノベヌション政策及びネットれロ・ミッションの俯瞰図

枩宀効果ガス排出量削枛のため、システマチックな政策に取り組む囜が増加

泚䟋えば、アむルランドは珟圚 2 ぀の MOIP 斜策を実斜しおおり、合蚈 4 ぀のミッションが含たれおいる。

MOIP 斜策䞀芧ずそのネットれロ・ミッションに぀いおは、 https://www.oecd.org/sti/inno/Online%20list%20of%20NZ%20missions.pdf を参照。

OECD は、MOIP を「定められた期間内で、瀟䌚的課題に関連する明確な目暙に察凊するため、 STI を結集すべく特別に調敎された政策及び芏制措眮の調敎されたパッケヌゞ」ず定矩しおいる。こ れは、研究から実蚌、瀟䌚実装たで、むノベヌション・チェヌンの様々な段階にたたがり、サプラ む・プッシュ型ずデマンド・プル型の䞡方の手法を取るこずを特城ずし、様々な政策分野、郚門、孊 問分野にわたる。

ミッションは、個々には独立しおいる STI 政策を改善するものであるが、珟状では倉革的な倉化を 実珟するには至っおいない。初期段階の芋通しによれば、ミッションが意図するずおりに広範な圱響 を䞎えるには、STI 政策以倖の政策領域に察するに十分な芏暡ず範疇が䞍足しおいるず考えられる。

課題は、䟝然、これらのむニシアチブを、効果的な調敎プラットフォヌムから、幅広い関係者を結集 し調敎する統合された政策枠組みに移行させるこずにある。そのためには、かなりの政治的な支揎ず、 行政内におけるむンセンティブ構造や実践面での適応が必芁ずなる。

近幎、MOIP は政策的に倧きな泚目を集めおいるが、STI に察する政府支出額に占める割合はただ 小さい。たた、政府支揎の倚くは、䟋えば、䌁業に察しお研究開発の遂行を奚励するための租皎優遇 措眮などの広範な手段の利甚を通じおのものになっおおり、非指向的non-directedなたたである。 政府が甚いる政策手段のポヌトフォリオは様々であり、研究開発租皎優遇措眮をより倚く掻甚しおい

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る政府もある図 4。

図 4. 䌁業の研究開発に察する政府の盎接的資金配分及び政府皎制支揎

察 GDP 比パヌセンテヌゞ2006 幎及び 2020 幎

䌁業研究開発支出額のうち盎接的資金配分 䌁業研究開発支出額に察する皎制支揎 䌁業研究開発支出額に察する地方等の皎制支揎 2006幎合蚈地方等の皎制支揎を陀く

泚䞭囜、スペむン、米囜に぀いおは、地方等䞭倮政府レベル未満の皎制支揎に関するデヌタは利甚可胜で ない。研究開発支出額に察する政府の租皎優遇措眮額の掚蚈に関する䞀般的及び囜別の泚蚘に぀いおは http://www.oecd.org/sti/rd-tax-stats-gtard-ts-notes.pdf を参照。

出兞OECD R&D Tax Incentives Database, http://oe.cd/rdtax, 2023 幎 1 月 研究開発租皎優遇措眮に関しおは、垂堎に近いポテンシャルのある研究開発掻動を奚励するのに 局適しおいるずいう認識が䞀般的になっおいる。これずは察照的に、盎接的資金配分のような政策手 段は、より長期的でリスクの高い研究開発を支揎したり、公共財を生み出すこず、スピルオヌバヌが 特に高い可胜性のある特定の分野を察象ずするこずに適しおいる。どちらのタむプの斜策も䌁業の研 究開発に有益な支揎を提䟛するが、気候倉動のような重芁な瀟䌚的課題に察凊する緊急性が高たっお いるため、より明瀺的なアプロヌチの必芁性が指摘されおいる。それにも関わらず、この 20 幎間、 盎接的な支揎手段から、研究開発租皎優遇措眮ぞの倧きなシフトが起きおいる。OECD 諞囜党䜓では、 䌁業の研究開発に察する政府支揎党䜓のうち、研究開発租皎優遇措眮は、2006 幎は 36であったの に察し、2019 幎は玄 60を占める図 5。各囜政府は、䌁業の研究開発支揎に係るポリシヌ・ミ ックスを再怜蚎し、ネットれロ達成に向けた方向性に察しお適切かどうかを評䟡する必芁がある。

図 5. 䌁業の研究開発に察する政府政策支揎方策の掚移

2000 幎-2020 幎の OECD 内における䌁業の研究開発に察する政府の資金配分 GDP で正芏化し、2007 幎=100

䌁業研究開発支出額のうちの盎接的資金配分 政府研究開発租皎優遇措眮額

泚研究開発 支出額 に察する政府皎額控陀 額 (GTARD) の掚蚈に関する䞀般的 及 び囜別の泚蚘は、 http://www.oecd.org/sti/rd-tax-stats-gtard-ts-notes.pdf を参照。

出兞OECD R&D Tax Incentives Database, http://oe.cd/rdtax, 2023 幎 1 月, OECD R&D statistics, 2022 幎 9 月。

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0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 0.3 0.35 0.4 0.45 0.5 %
2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 0 50 100 150 200 250
政府研究開発予算割圓額 䌁業研究開発支出額 2007=100

より明確な指向性を芋据え、曎に広範な STI 政策の倉革の必芁性ぞ

STI 掻動においお、より倧きな投資ずより明確な指向性が必芁である䞀方、持続可胜な瀟䌚ぞの移 行に貢献する「目的に適うfit-for-purpose」ものであるこずを確実にするためには、STI システム ずそれを支える STI 政策再怜蚎ずが合臎しおいる必芁がある。䜎炭玠技術のむノベヌション・サむク ルを加速するこずに資するためには、珟圚䞀般的に甚いられおいるものずは党く異なる STI 政策の枠 組みや実斜策を必芁ずするかもしれない。むノベヌションず新垂堎の創出を可胜にするずずもに、適 切な移行を促進しながら既存の化石燃料ベヌスのシステムに異議を唱え、たた、ブレヌクスルヌを起 こす䜎炭玠技術の機䌚を生み出すよう、ポリシヌ・ミックスを蚭蚈する必芁がある。倉革は、研究・ むノベヌション資金配分、様々な調敎メカニズム、STI のむンプットずアりトプットの評䟡方法を含 む、STI 政策ずガバナンスのあらゆる偎面に及ぶこずずなる。たた、生産ず消費の䞡方を察象ずする よう、䟛絊偎ず需芁偎ぞの介入を察象ずする必芁がある。「STI Outlook 2023」では、このような再 怜蚎が必芁な STI 政策のチェックリスト図を玹介しおいる。

図 6. 持続可胜な瀟䌚ぞの移行を促進するための STI 政策の䞻芁課題

出兞 OECD S&T Policy 2025 プロゞェクト・サむト https://www.oecd.org/sti/inno/stpolicy2025/2022 幎 11 月 15 日にアクセス

コロナ犍に察する STI の察応は、持続可胜な瀟䌚ぞの移行に向けた教蚓を提䟛 コロナ犍に察する䞖界芏暡での STI の察応は、持続可胜な瀟䌚ぞのトランゞッションに重芁な教蚓 を䞎えるものであった。䟋えば、コロナ犍での様々な関係者間の新たな協力関係は STI 察応の成功に 䞍可欠であった。この協力関係を長期的に匷化するためには、孊術に関する文化、仕組み、むンセン ティブ、報酬システムを倧きく倉える必芁があるかもしれない。研究業瞟評䟡、垂民参画パブリッ ク・゚ンゲヌゞメント、孊際的研究などにおいお必芁ずされる倉化の倚くはすでに進行䞭であるが、 科孊システムに埋め蟌たれた慣性によっお、必芁な芏暡ずペヌスではただ取り入れられおいない。耇 雑なグロヌバルな課題や危機に察凊するためには、より広範な成果や解決策を生み出すこずが喫緊に 求められおおり、そのためには、科孊においお他の瀟䌚的利害関係者ずの関䞎が促進されるよう、よ り根本的な倉化が必芁ずなる。

コロナ犍で芋られた䞖界共通の特城ずしお、力匷い倚囜間䞻矩及び囜際的な連垯が求められたこず が挙げられる。䞀方で、実際の察応の状況はたちたちで、囜際協力を通じお迅速に察応可胜なこずが あるず瀺され぀぀も、特にワクチンや治療薬の囜際的な普及が䞍均䞀であるなど、その限界も瀺され た。ワクチンを巡るナショナリズムず友奜的な倖亀が察立するずいう構図は、他の危機特に気候倉 動ぞの察応においおも同様に囜際協力ず囜際競争ずいう力孊を特城づけるものず考えられる。この ような力孊は、STI がグロヌバルな危機察応に寄䞎し埗る䞊での方策を今埌も特城づけ続けよう。

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地政孊的緊匵が STI 政策の「安党保障化 」の進展に寄䞎

技術的優䜍性は、長幎、OECD 諞囜の経枈的繁栄ず安党保障を支えおいる。優䜍性を持぀こずは、 必然的に戊略的競争盞手から技術を䞀定皋床保護するこずを含むが、今日の技術むノベヌションが盞 互䟝存的か぀倚囜籍的な性質を䜵せ持぀こずにより、その察応は耇雑化しおいる。倚くの技術は起源 がさたざたな䞊、倚数の囜々からの所有者・利甚者・利害関係者が存圚する他の技術にも倧きく䟝存 しおいる。たた、その倚くは民生ず軍事のデュアルナヌスの可胜性を持っおいる。

䞭囜は、技術フロンティアでむノベヌションを実珟するための必須胜力を蓄積 囜力を増しおいる䞭囜は、囜際的なバリュヌ・チェヌンでステップアップを図り、䞭所埗囜の眠か ら抜け出すために、技術の獲埗ず開発を急務ずしおいる。過去数十幎にわたり、匷倧な技術力を蓄積 しおきた䞭囜は、5G などの分野では既にマヌケット・リヌダヌであり、その他の分野でも最先端を 走っおいる。たた、倪陜光発電、颚力タヌビン、電気自動車甚電池など、持続可胜な瀟䌚ぞの移行に 䞍可欠な技術分野でのむノベヌションも加速しおいる。これらの成功は、研究開発支出額図 7ず 研究者図 8の倧幅な増加に支えられおおり、䞭囜が技術的フロンティアでむノベヌションを実珟 するためのクリティカル・マスを提䟛しおいる。

図 7. 総囜内研究開発支出額(GERD)遞択された経枈地域察象、2000-21 幎

単䜍10 億米ドル賌買力平䟡PPP䞍倉䟡栌実質倀

出兞OECD 研究開発統蚈2023 幎 2 月、最新の指暙に぀いおは、OECD Main Science and Technology Indicators, http://oe.cd/msti を参照2023 幎 2 月 8 日アクセス。

図 8. 郚門別研究開発支出額ず垞時雇甚専埓換算(FTE)研究者総数の掚移

単䜍10 億米ドル2015 幎賌買力平䟡PPPベヌス及び 1000 人(FTE)

泚2020 幎の研究開発支出額デヌタは、米囜は暫定倀、䞭囜ず EU27 は掚定倀。米囜の 2020 幎研究者デヌタ は、2019 幎に察応する。

出兞OECD 研究開発統蚈2022 幎 9 月。最新の OECD 指暙に぀いおは、OECD Main Science and Technology Indicators Database, http://oe.cd/msti を参照。

䞭囜の研究開発支出額ず研究開発埓事者の増加は、科孊出版物の量ず匕甚むンパクトの増倧に繋が っおいる。図 9 によるず、䞭囜は 2020 幎に EU や米囜よりも倚くの科孊出版物を産出しおいたこず がわかる。たた 2020 幎には、より匕甚床の高い科孊出版物も産出しおいる。さらに、䞖界倧特蚱

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䞭囜 ドむツ EU27
フランス 日本 韓囜 米囜 0 100 200 300 400 500 600 700 800 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 䞭囜

ドむツ EU27 フランス 日本 韓囜 米囜 䌁業研究開発支出額(BERD) 政府研究開発支出額(GERD) 高等教育研究開発支出額(HERD) 党研究者数(FTE)右軞

庁IP5のパテント・ファミリヌ泚優先暩によっお盎接、間接的に結び぀けられた 2 か囜以䞊 ぞの特蚱出願の束は、19982000 幎にはわずか 1だったものが、201719 幎には 13を占め、

この 20 幎間でより高床な技術力を蓄積しおきたこずを瀺しおいる図 10。

図 9. 科孊出版物の量ず匕甚むンパクトの傟向遞択された経枈地域察象

量科孊出版物数巊軞 匕甚むンパクト被匕甚トップ 10科孊出版物数右軞

科孊出版物数 匕甚むンパクト

泚査読付き科孊出版物は、䞖界䞭の科孊者の研究成果を䌝えるものである。他の著者による続いお起こる匕甚 は、科孊界自䜓による利甚により瀺されるように、研究成果の質に関する間接的だが客芳的な情報源ずなる。匕 甚は、査読付き雑誌に発衚する可胜性が䜎い発明者や実務家による科孊情報の利甚を考慮に入れおいないなどの 制玄はあるものの、単なる出版数に察しお質を考慮する䞀぀の方法である。高等教育郚門の文脈では、その関連 性はより高いものず考えるこずができる。科孊的卓越性の指暙は、ある単䜍の科孊的成果のうち、それぞれの科 孊分野で最も匕甚された 10の論文に含たれる量%を瀺すhttps://www.oecd.org/sti/inno/BibliometricsCompendium.pdf を 参照。

出兞 Scopus Custom Data, Elsevier, Version 6.2022, September 2022 に基づき OECD が算出。

図 10. 遞択された囜々及び他地域における䞖界倧特蚱庁パテント・ファミリヌの分垃 䞖界倧特蚱庁パテント・ファミリヌのうち、異なる囜や地域に由来するものが党䜓を構成する割合

泚デヌタは、䞖界倧特蚱庁IP5内で申請された特蚱出願のファミリヌを、出願人の所圚地に応じお、最 も早い出願日ごずに瀺したものである。

出兞OECD, STI Micro-data LabIntellectual Property Database, http://oe.cd/ipstats (2023 幎 2 月 9 日アクセス ).

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0 10 20 30 40 50 60 70 80 0 100 200 300 400 500 600 700 A. 䞭囜 Thousand 0 10 20 30 40 50 60 70 80 0 100 200 300 400 500 600 700 B. EU (27) Thousand Thousand 0 10 20 30 40 50 60 70 80 0 100 200 300 400 500 600 700 C. 米囜 Thousand Thousand Thousand

䞭囜の STI 優䜍は OECD 経枈圏ずの匷い結び぀きからの恩恵

高床・䞭高床研究開発集玄型経枈掻動における䞭間補品の䞻芁茞入囜のここ数十幎の倉化は、諞囜 がグロヌバル・バリュヌ・チェヌンの䞭で盞互の結び぀きを匷めおいるこずを瀺しおいる。21 侖简 初頭、米囜は高床・䞭高床研究開発集玄型経枈掻動の䞭間補品の最倧の茞入囜であり、日本が最も重 芁な䟛絊囜であった。それから 20 幎、䞭囜はそのような䞭間補品の最倧の茞入囜か぀茞出囜に なっおいる。たた、䞭囜は、近隣経枈地域日本、韓囜、台湟ぞの䞻芁な䟛絊囜であるずずもに、 米囜ぞはメキシコに次いで 2 番目に倧きな䟛絊囜ずなっおいる図 11。

図 11. 高床・ 䞭高 床 研究開発集玄型経枈掻動における䞭間補品のフロヌ

遞択された経枈地域察象

茞入の流れ、単䜍米ドル珟圚䟡栌

泚 高床 ・ 䞭高 床 研究開発集玄型経枈掻動における䞭間補品の定矩は 、次を 参照 https://www.oecdilibrary.org/science-and-technology/oecd-taxonomy-of-economic-activities-based-on-r-d-intensity_5jlv73sqqp8ren。これらの補品には、党経枈掻動囜際暙準産業分類第 4 版(ISIC 4)の以䞋の産業郚門の補品が含たれる D20 化孊品及び化孊補品、D21 基瀎医薬品及び医薬調合品、D26 コンピュヌタ、電子補品及び光孊補品、D252 歊噚及び匟薬、D27 電気機噚、D28 機械及び装眮他に分類されない、D29 自動車、トレヌラ及びセミトレ ヌラ、D302A9 鉄道機噚及び鉄道茞送機噚他に分類されない、D303 航空機及び宇宙船䞊びに関連機械、 D304 軍事戊闘車䞡、D325 医療及び歯科甚機噚・備品。右図 B における韓囜の 2021 幎デヌタは、2020 幎に察 応するものである。この茞入フロヌの遞択は、2021 幎の高床及び䞭高床の研究開発集玄型経枈掻動における䞭 間補品の䞖界茞入の 20 %を占める。

出兞OECD, 2023[17]2023 幎 2 月 6 日アクセス

近幎の䞭囜の科孊力の目芚たしい成長は、OECD 諞囜ずの匷力な研究䞊の繋がりからも恩恵を受け おいる。科孊は、グロヌバルな知識共有knowledge commonsに䟝存しおおり、科孊出版物の玄 5 分の 1 は囜際共著である。科孊出版物に基づく協働に関するデヌタ囜際共著文曞の党数カりントを 甚いお算出は、䞭囜ず米囜の間の囜際共同研究が過去数十幎にわたり急速に拡倧したこずを瀺しお いる。実際、2017 幎から 19 幎にかけお、米囜にずっお䞭囜ずの共著は、英囜ずの共著よりも倚くな っおいる。

各囜が戊略的自埋性を高めるこずで、STI 連携が匱たる可胜性

自由垂堎経枈にずっお、䞭囜の優䜍は 3 ぀の䞻芁な懞念事項を提起しおいる。それは、i将来の 経枈競争力ず囜の安党保障を支えるこずが期埅される重芁技術における競争の激化、ii䞭囜ず自

由垂堎経枈の䟡倀芳・利益の乖離や既存の囜際ルヌルに基づく秩序ぞの挑戊、iii技術サプラむ・

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A. 2000 B. 2021

チェヌンの盞互䟝存による脆匱性の認識の高たりである。このような懞念から、技術リヌダヌたちは、 技術サプラむ・チェヌンの脆匱性を軜枛し、人工知胜のような重芁技術でリヌドしようずする䞭囜の 野心を牜制するために、技術䞻暩ず戊略的自埋性の向䞊を求めおいる。

盞互の囜際的な技術䟝存を軜枛するため、䞭囜、EU、米囜は、近幎、囜内の STI 胜力を匷化する むニシアチブを導入しおいる。コロナ犍からの回埩を図る投資も盞たっお、安党保障䞊の懞念ず経枈 再生やグリヌン・トランゞションの掚進ずを組み合わせた、技術を䞭栞ずする産業政策がたすたす 般的になっおいる。これは、半導䜓分野で最も顕著であるが、他の技術分野にも及んでいる。たた、 同志囜Like-minded countriesは、技術の開発・ガバナンス・普及に関する協力を匷化するために、 技術提携を圢成し぀぀ある。たずめるず、これらのむニシアチブは、図 12 に瀺すように、技術䞻暩 ず戊略的自埋性を匷化するための 3 皮類の政策介入、すなわち保護、掚進、蚈画・予枬に盞圓する。 貿易、倖亀、防衛、産業ずいった政策領域がこれらの政策展開の倚くを牜匕しおいる䞀方で、STI 担 圓の省や資金配分機関が䞭心的な圹割を果たすこずは比范的少ない。

図 12. 技術の戊略的自埋性を匷化するための 3

各囜が技術優䜍性を保ずうず自囜の技術を保護し、他囜ぞの䟝存床を䞋げようずする政策努力によ り、統合されたグロヌバル・バリュヌ・チェヌンや過去 30 幎以䞊にわたっお築き䞊げられた深く広 範な囜際的な科孊の繋がりを分裂させかねない状況を招く。こうした兆候が既に出おいる。䟋えば、 䞭囜ず米囜の科孊者の共著は近幎枛少しおおり、これはコロナ犍による枡航制限や、䞭囜の孊生や孊 者の海倖枡航を制限するビザの拒吊が原因だず蚀われおいる図 13。2020 幎に始たり 2021 幎に 加速したこの枛少のほずんどは、米䞭の二囜間研究協力の倧郚分を占める工孊ず自然科孊の分野で顕 著である図 14。䞀方、生呜・保健科孊や瀟䌚科孊、人文孊など他の研究分野での共同研究は、 同期間䞭、増加し続けおいる。これらのパタヌンからは、戊略的競争䞋で重芁な研究分野においお、 二囜間協力から米䞭が離脱するずいう初期の兆候があるずいえる。同時に、医孊や環境科孊など、戊 略的競争がそれほど顕著でない他の分野での二囜間協力は、今埌も増加し続けるこずを瀺唆しおいる 可胜性がある。

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皮類の政策介入

図 13. 科孊出版物における二囜間協力匷床の掚移1996 幎2021 幎

China-United Kingdom

EU (27)-United Kingdom

China-EU (27)

United States-China

EU (27)-United States

泚2 ぀の経枈地域間の二囜間協力匷床の指暙は、䞡方の経枈地域にある所属機関内の著者による科孊出版物数 党数カりントを、2 者の経枈地域それぞれの出版物数党数カりントの積の平方根で割るこずで算出され る。したがっお、この指暙は、出版物の成果に぀いお正芏化されおいる。出版物ずは、すべおの匕甚可胜な出版 物、すなわち論文、総説、䌚議予皿のこずである。

出兞Scopus Custom Data, Elsevier, Version 6.2022, February 2023 に基づき OECD が算出。

図 14. 米䞭の共同研究トップ 15 分野

A. 米䞭の共同研究による共著論文数2018 幎 B 2018 幎に比しおの共同研究分野の割合倉化 材料科孊

泚䞭囜ず米囜の共同研究は、䞡囜間の共著出版物の数党数カりントで定矩される。出版物ずは、論文、総 説、䌚議予皿など、匕甚可胜なすべおの出版物を指す。図のトップ 15 分野は、2018 幎に 2,000 件以䞊党数カ りントの米䞭共著出版物が蚘録された分野である。巊図 A は、2018 幎の共著論文件数を絶察倀で瀺したもの である。右図 B は、各幎の察前幎床共著論文件数の倉化を、2018 幎に察する割合で瀺したものである。

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0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1 0.12 0.14 0.16 0.18 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021
United States-United Kingdom
化孊工孊 化孊
æ•°å­Š 工孊 物理孊及び倩文孊 生物化孊遺䌝孊 地球・惑星科孊 環境科孊 蟲孊及び生物孊 免疫孊及び埮生物孊 医孊 瀟䌚科孊 材料科孊 化孊工孊 化孊 コンピュヌタ科孊 ゚ネルギヌ æ•°å­Š 工孊 物理孊及び倩文孊 生物化孊遺䌝孊 地球・惑星科孊 環境科孊 蟲孊及び生物孊 免疫孊及び埮生物孊 医孊 瀟䌚科孊
コンピュヌタ科孊 ゚ネルギヌ

出兞 Scopus Custom Data, Elsevier, Version 6.2022, February 2023 に基づき OECD が算出。

OECD 諞囜は戊略的競争においお慎重な察応が必芁

地政孊的緊匵が䞍確実性を生む䞀方で、過床にリスクを回避するような政策は、非垞に砎壊的でコ ストのかかる可胜性のある、突発的か぀倧芏暡な知的撀退を誘発しかねない。䟋えば、囜際研究協力 に関する OECD 諞囜の政策課題は、耇雑な地政孊的環境の䞭で、研究者が自らの利益を守り、か぀ 自らの䟡倀芳を守る䞀方で、匷固で原則に基づいた孊術䞊の関䞎を継続できるようにするこずである。 技術のサプラむ・チェヌンに぀いおは、OECD 諞囜はケヌスバむケヌスで脆匱性リスクを芋極めるべ きである。重芁な技術にはさたざたなデュアルナヌスの可胜性があり、それを利甚する胜力も囜によ っお異なる。このような違いは、䞍確実性により埓来のリスクベヌスの分析が䞍可胜な堎合には、入 手可胜な最善の゚ビデンスや将来を芋据えた分析によるリスクマネゞメント・アセスメントに基づき、 察象を絞った政策アプロヌチを実斜する必芁性を明らかにしおいる。たた、関係する政策分野が倚岐 にわたるため、政府党䜓のアプロヌチの重芁性も浮き圫りになっおいる。

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適切なテクノロゞヌ・ガバナンスにより

、テクノロゞヌから最良の結果を匕き出 すこずが可胜

新興技術は、必芁ずされる倉革や危機ぞの察応に極めお重芁な圹割を果たすこずができるが、急速 な技術倉化は、瀟䌚的混乱、䞍平等、安党保障や人暩の危機など、個人・瀟䌚・環境に察しお負の結 果やリスクをもたらす可胜性がある。民䞻䞻矩瀟䌚は、民䞻䞻矩、人暩、持続可胜性、開攟性、責任、 安党保障、レゞリ゚ンスずいった「共有された䟡倀芳」をテクノロゞヌに組み蟌むべきであるず䞻匵 するようになっおいるが、これをどのように達成すべきか、ずいう疑問は残っおいる。

䞀぀でさたざたな堎面に察応する䞇胜なアプロヌチは存圚しないが、新興技術のガバナンスのため の䞀般的か぀予芋的な枠組みは、囜レベル及び囜際レベルで有甚である可胜性がある。広範な予芋的 なガバナンスメカニズムは、前に進む道を瀺すものである。むノベヌション・プロセスの䞊流で働く これらのメカニズムは、ガバナンスにおいお、排他的に技術のリスクをマネゞメントするこずから、 資金提䟛者、研究者、むノベヌタヌ、垂民瀟䌚ずいった利害関係者をむノベヌション・プロセスに関 䞎させ、適宜状況に察応するこずが可胜なガバナンスの解決策を共同開発するこずにシフトさせよう ずいうものである。

むノベヌション・プロセスの䞊流蚭蚈の原則ず手段を䜿甚するこずで、適切な移行ず䟡倀に基づく 技術の実珟を図りながら、技術開発の掚進ずスケヌルアップの必芁性のバランスを図るこずが可胜ず なる。「STI Outlook 2023」は、新興技術ガバナンスの発展を導くため、技術開発のプロセスにより 意図的に䟡倀芳を組み蟌むのに圹立぀よう、i䟡倀芳、

される 3 局の枠組みを提案しおいる図 15。

ii蚭蚈基準、iii政策手段から構成

蚭蚈基準ずそれに付随する政策手段は、以䞋の通りである。

• 予枬特定の技術の方向性を予枬するこずが困難なこずは広く知られおおり、䞍可胜でさえ ある。しかし、起こりうる技術開発の可胜性を怜蚎するこずは必芁であり、政策オプション を創出しうるものである。将来を芋据えた技術アセスメントは、朜圚的な利益ず損害の分析 や新興技術の方向性の土台ずなる重芁な䟡倀芳の衚出に䟝存するず同時に、それを支えるも のずなる。

• 包摂性及び提携むノベヌションのプロセスに参加する人々の倚様性を豊かにするこずは、 より瀟䌚的に関連がある科孊技術を創造するこずに぀ながる。むノベヌション・プロセス の䞊流ぞの瀟䌚的関䞎は、新興技術のガバナンスに民䞻的な芁玠をもたらし、技術開発を 支え導くべき䟡倀芳に぀いおの蚎議を可胜にするものである。

• 適応性新興技術は予期せぬ結果をもたらし、有害な事象や結果が発生する可胜性があるた め、ガバナンスシステムは、レゞリ゚ンスを構築し、か぀適切性を維持するために、適応性 適宜状況に察応する胜力を有するものでなければならない。原則、暙準、ガむドラむン、 実践芏範を含む共同開発された非法的芏範゜フトロヌメカニズムは、技術に察する芏範 的スタンスを蚭定し、ガバナンスシステムに適応性ず機動性を䞎えるこずずなる。

図 15. 新興技術ガバナンスのための枠組みの芁玠

政策手段

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「STI Outlook 2023」の構成

「STI Outlook 2023」は 6 章から構成されおいる図 16。最初の 3 章は、STI 政策 に圱響を䞎える䞻芁な動向、すなわち、グロヌバルな危機、戊略的競争、ネットれロぞ の移行を抂芳するため、幅広い指暙を掻甚しおいる。続く 3 章は、OECD 科孊技術政策 委員䌚CSTPずその䜜業郚䌚が実斜した分析に基づくものである。COVID-19 の䞖界 的流行に察する科孊の察応、ネットれロ達成のためのミッション指向型むノベヌション 政策、新興技術の予件的ガバナンスを取り䞊げおいる。

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科孊・技術・むノベヌション アりトルック2023 by OECD - Issuu