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ジャパン プロパティ ダイジェスト 2023年第3四半期 / Japan Property Digest 2023Q3

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Research Japan | 2023年第3四半期

賃料下落が減速する賃貸市場 好調が続く投資市場 Japan Property Digest


2


Contents

Market Summary マーケットサマリー 経済動向

4

プロパティ クロック

5

不動産投資市場

6

1.ハイブリッドワーク成功のカギを握るサテライトオフィスとは?

8

2.研究開発拠点の立地を通じた高度人材確保の可能性

10

Office オフィス

13

Retail リテール

16

Featured Articles 特集記事

Logistics & Industrialロジスティクス&インダストリアル 17 Hotels ホテル

20

Summary サマリー

21

3


Japan Property Digest - 2023年第3四半期

Market Summary 経済動向 オックスフォード・エコノミクスによれば、日本のGDP成

大阪のGDP成長率は2023年に1.9%増(前年比)に達する

年には0.6%増(前年比)の成長が予測されています。世界

す。しかし、この成長率は持続しない見込みであり、2024

長率は今年1.6%増(前年比)成長する見込みであり、2024 経済は強靱でありながら、2024年上半期には減速する見込 みであり、その影響は日本にも及ぶと考えられています。

日本銀行は10月にイールドカーブコントロール政策を調整 し、高いアメリカのイールドと日本銀行の政策変更に関する 憶測により、10年国債利回りは0.9%上昇しました。

東京では、2023年にGDP成長率が2.3%増(前年比)と予 測されており、貿易・運輸・サービス産業が牽引となって います。訪日来客数の復帰により、市内の消費者向け産業 も恩恵を受けています。しかし、2024年にはサービス産業 の成長が鈍化するため、GDP成長率が0.7%増(前年比)と

予測され、さらに2023-2027年までの年平均GDP成長率は 1.2%増と予測されています。

4

見込みであり、不動産、金融・保険業が牽引となっていま 年には大阪のGDP成長率はわずかに0.3%増(前年比)と予

測されています。これは全国を下回る水準ですが、近年の 大阪の成長率が国内の他地域よりも低い傾向と一致していま

す。さらに2023-2027年までの平均GDP成長率は0.7%増 で、全国を下回る水準と予測されています。

福岡では、2023年にGDP成長率が2.8%増(前年比)と予 測されており、貿易・運輸・サービス産業が牽引となってい ます。訪日来客数の復帰により、市内の消費者向け産業も恩

恵を受けています。しかし、2024年にはサービス産業の成 長が鈍化するため、GDP成長率が1.0%増(前年比)と予測

され、さらに2023-2027年までの平均GDP成長率は1.4% 増と予測されています。


Market Summary

プロパティ クロック オフィス

2023年第3四半期のオフィス プロ パティ クロックをみると、東京、大

阪、福岡のAグレードオフィス市場は

押し並べて賃料下落フェーズに位置し ています。しかし、空室率は3市場全

てで低下、東京では正味の需要変動量 を表すネットアブゾープションが新規 供給量以上の水準を記録し、プロパ

ティ クロック上でも3時を過ぎて回復

期へ向けて時を刻み始めました。大阪 と福岡では来年以降の大規模新規供給 を控えて市場参加者の慎重姿勢が続い ているものの、今後は優良ストックの 大規模な市場供給を背景に、賃貸市場 の活性化が期待され、賃貸活動は拡大

リテール

する見通しです。

ロジスティクス

出所:JLL, 2023年11月 The JLL Property ClocksSM

5


Japan Property Digest - 2023年第3四半期

不動産投資市場 日本国内投資額

2023年第3四半期の日本の不動産投資額は前期比39%減、 前年同期比8%増の5,935億円(米ドル建てで前年同期比3% 増の41.1億ドル)、第1-第3四半期では前年同期比40%増の 2兆7,483億円となった。

地域別投資額割合

地域別投資額割合では、2023年第1-第3四半期の東京都心5 区は31%となり、2022年通年の40%から縮小している。千

葉・埼玉・神奈川(東京都を除く東京圏)も19%と2022年通 年の23%から縮小している。一方、大阪圏の投資額割合は 14%と2022年通年の13%から僅かに拡大している。

海外投資家の投資額

海外投資家による不動産の購入額を表すインバウンド投資

は、2023年第1-第3四半期で5,307億円となり、前年同期の 6,334億円より減少した。

2023年第1-第3四半期の国内不動産投資額に占めるインバ

ウンド投資の割合は19%となり、2022年通年の26%から縮 小している。

世界の都市別投資額ランキング

世界の都市別ランキングでは、2023年第1-第3四半期の不 動産投資額が114億ドルの東京は4位となり、2022年通年 の16位から大幅に上昇した。大阪は2023年第1-第3四半期 の取引額が25億ドルで36位となった。

6


Market Summary

図表1: 日本国内の投資総額推移

図表2: 都市別投資総額ランキング(2023年第1-第3四半期)

7


Japan Property Digest - 2023年第3四半期

1

ハイブリッドワーク成功のカギを 握るサテライトオフィスとは?

ハイブリッドワークを成功させる上で不可 欠なのがサテライトオフィスだ。コアオ フィスから離れた場所に「衛星」のように 分散配置された執務拠点を指し、企業と従 業員双方が抱える課題を解決する。外部貸 しの新規オペレーターも続々参入、提携も 進む。働く場所の選択肢を広げるサテライ トオフィスについて解説する。

東京都心5区におけるフレキシブルオフィス市場のストック推移(2023年第3四半期末時点)

テレワーク普及でサテライトオフィス の需要が高まる 東京都心5区のフレキシブルオフィス市場 のストック推移が右肩上がりで増加してい る。その主な要因はオフィスと在宅勤務の 中間に位置するサテライトオフィス(サー ドプレイス)としての需要が、フレキシブ ルオフィス市場の拡大に貢献したためで ある。 JLL日本が2022年11月に発表した調査 レポートにおいて、企業の意思決定層と 従業員双方に「これからのオフィスに導入 したいもの(意思決定層)/求めるもの (従業員)」を質問したところ、1位が 「フレキシブルな勤務形態」、2位が「サ テライトオフィス等の利用」となり、

「サテライトオフィスやホテル等のサー ドプレイスを含むハイブリッド型の働き 方」を希望するグローバルトレンドと同様 の結果となった。

8

出所: JLL日本 リサーチ事業部

そし て 、 ア フ タ ー コ ロ ナ を 迎 え た 2023 年、サテライトオフィスに対する潜在的な 需要が本格的に顕在化したとみえる。例 えば、JLL日本では全社的に導入したサテ ライトオフィスの利用時間がコロナ禍で急 増し、アフターコロナを迎えた2023年に はその傾向がさらに顕著になる等、いま やワークプレイス戦略に欠かせない存在と なっている。

フレキシブルオフィス市場に新規参入する オペレーターも増え、施設数も堅調に増加 中。なおかつJRをはじめとする鉄道各社の 駅舎内に個室ブースを多数設置し、既存

オペレーターと提携することで、拠点ネッ トワークが拡充している。こうしたオペ レーター側の積極的な動きによってサテラ イトオフィスの利便性が向上したことも利 用者増に繋がっている一因だ。

サテライトオフィスとは? そもそもサテライトオフィスとは何か? シェアオフィスやコワーキングスペース等 のフレキシブルオフィスの一形態と括られ ることもあるが、その意味合いは若干異 なる。


Feature Articles

「衛星」を意味する「サテライト」をそ の名に冠したサテライトオフィスは、コ アオフィスの周囲にオフィス拠点を分散 配置したワークプレイス環境を指す。一 般的には、支店や営業所といった組織機 能を有する常駐型のオフィスではなく、 パソコンや通信機器、複合機を備え、執 務活動に特化した小規模オフィスである ことが多い。営業先からコアオフィスを 往復する移動時間のムダを削減する等、 働く場所に対する選択肢を増やし、従業 員満足度や業務効率・生産性の向上等に寄 与する。 従前はコアオフィスとは別のオフィスを 賃借する“自前型”のサテライトオフィスが 多かったが、現在ではシェアオフィスや コワーキングスペース、サービスオ フィス等、利用契約時の柔軟性が魅力 の「フレキシブルオフィス」をサテライ トオフィスとして活用するケースが一般 的になっており、コロナ過以降は不特定 多数の法人に豊富な拠点ネットワークを 提供する「共用型サテライトオフィス (サテライト型シェアオフィス)」が存在 感を高めている。

フレキシブルオフィス一覧

サテライトオフィスが注目された時代 背景 1988年頃 サテライトオフィスが日本で注目を集めた のは1988年に遡る。日本初の職住近接型 オフィス「志木サテライトオフィス」が開 設され、新たな働き方における実証実験と して運営がなされた。当時メディアでもて はやされたのが起源とされる。 2010-2011年頃 バブル崩壊による景気低迷を受けてサテラ イトオフィスへの注目度は低下したが、東 京に本社を有する大手IT企業が徳島県神山 町へサテライトオフィスを開設した2010 年頃から、追随する企業が増加。「地方創 生」をキーワードに再度サテライトオフィ スに注目が集まることになる。 2011年に発生した東日本大震災による首 都圏一極集中によるリスク分散や、都会で は味わえない自然豊かな環境で働くことに よる従業員エクスペリエンスの向上等も背 景にある。 2016-2019年頃 2016年頃から「働き方改革」が叫ばれ、 テレワーク等の柔軟な働き方を許容する企 業が増えてきた。それに伴い、テレワー クの受け皿となるサテライトオフィスの 需要に対応するべく、東急電鉄(現:東 急)が法人を顧客対象としたサテライトオ フィス「NewWork」の運営を開始。同年 にはザイマックスがモバイルワークオフィ ス「ちょくちょく…」の運営を開始し、 2018年12月にブランド名を「ZXY(ジザ イ)」に変更。2017年には三井不動産が 「ワークスタイリング」の運営を開始する 等、充実した拠点ネットワークと従業員の 誰もが利用可能な従量課金制による「共用 型サテライトオフィス(サテライト型シェア オフィス)」市場が確立することになった。

また、場所に囚われない働き方が定着して ことで、地方都市でのリモートワークを実 践するためにサテライトオフィス需要が全 国に波及した。ワーケーションへの対応の みならず、サテライトオフィスの整備と進 出企業に対する補助金制度を拡充させ、企 業誘致に注力する地方自治体の動きも加速 しており、ホテルも未稼働時間をサテライ トオフィスとして提供する等、サテライト オフィスの多様化が進んでいる。 米国ではコロナ過以降、大型コワーキング スペースがオープンスペースをサテライト オフィスとして貸し出す“タッチダウンオ フィス”が普及しているが、日本でも国内拠 点を横断的に利用できる「オールアクセス プラン」を提供するコワーキングスペース も登場している。

今後もサテライトオフィス需要は高まる 2023年5月には厚生労働省が「子供が3歳 になるまでテレワークを選択できる努力義 務化」の方針を打ち出した。これを受けて SNS上では「3歳未満の子供を持つ従業員 は全員テレワークができ、他の従業員の負 担が増す」や「育児しながらのテレワーク だと仕事が進まない」等といった批判が噴 出、軽い炎上騒動になったのだが、いずれ にせよ、これまでコロナ対策としての緊急 措置的な位置づけであったテレワークが今 後新たな働き方としてより強固に定着して いくのではないだろうか。 アフターコロナを迎え、オフィス回帰の動 きが強まりつつある日本だが、依然として 人手不足は深刻だ。働き方の選択肢を広げ るサテライトオフィスの需要はこれまで以 上に高まっていきそうだ。

東京五輪開催を控えた2019年には、五輪 会期中の交通渋滞によって通勤に支障が出 ることが想定されたことで、テレワークを 推奨する機運が高まった。それに伴い、在 宅勤務とともに居住地の近くで働くことが できるサテライトオフィスにも注目が集 まり、共用型サテライトオフィス市場に 東京電力の「SoloTime」や野村不動産の 「H1T」が参入した。 2020年以降 コロナ禍に突入した2020年、感染防止の 観点からコアオフィスへの出勤を停止する 一方、在宅勤務と共にサテライトオフィス を活用するテレワーク主体の働き方に舵を 切る企業が増加。そして、コロナ以前から 存在していたJR東日本が運営する駅ナカ型 個室シェアオフィス「Station Booth」が サテライトオフィスの受け皿として急成長 を遂げ、多くの鉄道会社が追随する。

著者 リサーチ事業部

アシスタントマネージャー

中丸

友世

出所: JLL記事「フレキシブルオフィスとは?多様 な働き方に対応できる新しいオフィス形態」より 抜粋

9


Japan Property Digest - 2023年第3四半期

2

研究開発拠点の立地を通じた高度 人材確保の可能性

多数の高度人材を抱える首都圏に研究

図表1: 雇用者の職業別にみた、人口年齢別構成比および最終学歴の比率。

開発拠点の集積が進んでいる。しか し、人材獲得競争の激化によって研

究者を雇用するのが困難になりつつあ る。そうした中、地方都市へ研究開発 拠点を開発する動きが顕在化してき

た。研究開発拠点の立地戦略と人材獲 得戦略の相関関係を紐解いた。

首都圏へ集積する研究者の人口 企業の研究開発活動(R&D:Research and Development)を推進するのは

研究者であり、優秀な研究者の確保が

重要となる。研究者は日本全体の労働 者と比較すると、大学卒、大学院卒の 比率が高く、かつ比較的若い世代の 就業者が多いという傾向がある(図

表1)。 一般に、高度人材は都市圏、特に東京 を中心とする首都圏に集中する傾向が あるとされているが、研究者についても 同様の分布傾向がみられる(図表2)。

10

出所: 総務省統計局(2020)「国勢調査」ⅰを用いてJLL作成

「研究者」は、国勢調査の職業中分類における「研究者」と「技術者」の合算値を用いた

優れた人材の雇用には、働く場所の立 地も重要な要素となるだろう。上記の 前提を踏まえると、企業の研究開発拠 点も首都圏、特に東京都内に立地する ことが最適解となるように思われる。

高額な地代や賃料、用地の規模という 制約を考慮したとしても、東京に可能 な限り近しい周縁部に立地が集まるの ではないか。この仮説を検討するため に、2020年1月1日-2023年8月31日

までに開設されたか、開設計画が公表 された企業の研究開発拠点214件を示

した(図表3)。


Feature Articles

地方都市への拠点開発事例も 確かに拠点の開設事例において首都圏 が占める比率は大きいものの、日本国 内の幅広い地域が選ばれていた。

更に、首都圏以外の地域での開設事例 の詳細をみると、既存拠点との連携の ような、既存アセットの維持活用が目 的とされる事例に加えて、人材獲得を 動機とする事例もいくつかみられた。 例えば、半導体受託生産の最大手企業

地方圏での定住を望む高度人材を確 保するための戦略の一つなのではな いかと考えられる。

人口減少が進む日本において、優秀

な労働力の確保はなお一層、重要か つ困難な課題となる。日本国内にお ける東京、そして首都圏の優位性は

しかしながら、若年層における価値

観の変化の後押しも受けて、地方に おける拠点開設は、資産の有効活用 などの金銭的な利点にとどまらず、 優れた人材の確保のための重要な戦 略として位置づけられる可能性があ るのではないだろうか。

今後も変わらないであろう。

図表2: 研究者の都道府県別の立地分布。円が大きい都道府県ほど、研究者の人 口が多い

であるTSMCが大阪市内に拠点を新設

した動機については、東京圏における 優秀な人材の枯渇がその一因として指 摘されている(服部 2022)ⅱ。

さらに、北海道や奈良県などの地域に おいても、人材獲得を意識した拠点開 設の事例がみられた。東京を中心とす る首都圏には確かに大学生や大学院生 が多く、研究者も多い。その一方、大 手企業の集積が厚くなるため、人材確

出所: 総務省統計局(2020)「国勢調査」を用いてJLL作成

保のための競争が厳しいものとなる可 能性があ。

また、堀(2015) は、近年の若 ⅴ

図表3: 2020年以降の企業による研究 開発拠点の立地計画の空間的分布 (N=214)

者世代は地元への定着割合が高い傾

向にあることを示唆している。さら に、 2024年卒の新卒内定者を対象

とした調査において、Uターン就職 を希望しない大学生が地元就職を 後押しする要素として回答を集め た項目は、「給料が良い就職先が

多くできる」が1位、「働きたいと 思える企業が多くできる」が2位と なった(マイナビ 2023)ⅵ。

優れた人材を確保するための重 要戦略 地方圏での研究開発拠点の開設と

出所: 企業や自治体の公式HPに開示された情報やプレスリリースなどを参照しJLL作成

は、本部機能に直結する研究職への 就業機会を提供することを通じて、

総務省統計局(2020)「国勢調査」,2023年11月28日閲覧

ⅰ

服部毅(2022)「TSMCが横浜に続き大阪にデザインセンターを開設、先端半導体の設計支援を強

ⅱ

化」,マイナビニュース,掲載日[ 2022年12月2日,2023年11月28日閲覧 文部科学省(2022)「学校基本調査」,2023年11月28日閲覧

ⅲ

総務省統計局「令和3年経済センサス-活動調査」,2023年11月28日閲覧

ⅳ

堀 有喜衣(2015)「進学・就職に伴う地域間移動のパターンとその推移-第7回人口移動調査の分析

ⅴ

による検討」,資料シリーズ No.162 若者の地域移動―長期的動向とマッチングの変化―,2023年11月 28日閲覧

株式会社マイナビ(2023)「2024年卒大学生Uターン・地元就職に関する調査」,2023年11月28日

ⅵ

閲覧

著者 リサーチ事業部 アシスタントマネージャー

松本

優希

11


Japan Property Digest - 2023年第3四半期

A world of investment opportunities 不動産売買のスペシャリスト集団

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Japan Property Digest - 2023年第3四半期

Office

Office

オフィス - 東京

“空室率は僅かに回復 緩やかな賃料下落が続く” 賃料 前年同期比

リサーチ事業部長 赤城 威志

-4.1%

賃料 月額坪当たり

33,585 円

プロパティ クロック フェーズ

下落減速

大型新規供給が需要を喚起し、ネットアブゾープションの増加が続く

賃料と価格

インデックス

• 9月の短観によると、大企業製造業の業況判断DIは9と、2四半期連続で上昇となっ た。自動車の輸出が回復したこと等が寄与した。大企業非製造業の業況判断DIは27 と6四半期連続の上昇となった。賃金の上昇と訪日外国人の増加が国内需要を促し、 経済回復となっている。 • 第3四半期の東京Aグレードオフィス市場のネットアブゾープションは新規供給と既 存ビルの改善によって、2022年通年の112%相当の110,000㎡となった。業種別に みると、情報通信業、金融業・保険業、製造業が牽引した。 賃料

空室率は僅かに改善

価格

• 第3四半期は1棟のAグレードオフィスビルが竣工し、ストックは前期比1.0%の増加 となった。新築ビルは、虎ノ門ステーションタワーであった。2023年通年の新規供 給はJLLの統計開始以来過去2番目に大きい水準となっており、今四半期時点で80% が竣工済みとなった。

矢印は見通し (12ヶ月) を示す インデックス: 2019年第4四半期 = 100 出所: JLL

• 第3四半期末時点の東京Aグレードオフィス市場の空室率は4.7%となり、前期比0.1 ポイントの低下、前年比0.5ポイントの上昇となった。空室率は2四半期ぶりの低下 となり、大型の新規供給の回復も寄与した。サブマーケット別でみると、丸の内・大 手町と赤坂・六本木の空室率が低下した。

需給と空室率

%

千m2

賃料下落は緩やかな下落が続く

需要

供給予定

新規供給 空室率

2019年から2022年の需要、供給、空室率は年末時 点の数値。2023年については、需要、供給、空室 率は第3四半期までの数値であり、供給予定は第4 四半期と2024年の数値である。 出所: JLL

• 第3四半期の東京Aグレードオフィス市場における賃料は月額坪当たり33,585円と、 前期比1.0%の下落、前年比4.1%の下落となり、14四半期連続の下落となった。サ ブマーケット別にみると、大手町・丸の内、赤坂・六本木の全サブマーケットにおい て下落した。 • 第3四半期の価格は前期比1.5%、前年同月比2.0%と3四半期連続の下落となった。 投資利回りは安定的に推移しているものの、賃料下落が続いている。 • 第3四半期の東京オフィスの投資総額は前四半期比68%減、前年比17%減の575億円 となった。今期におけるAグレード取引は見られなかった。

見通し : 利回りは横ばいで、賃料と価格は緩やかに減少

• 2023年9月時点のオックスフォード・エコノミクスの経済成長予測によれば、2023 年のGDP成長率は1.6%、2024年は0.6%、CPIはそれぞれ3.0%、1.4%となった。リス クとしては、海外経済の下振れ、物価上昇、金融市場のボラティリティが挙げられる。 • 残る2023年と2024年においては、竣工を控えている大型再開発プロジェクトが少 ないため、賃貸市場の活動はやや減速するとみている。テナント企業の需要は依然と して堅調に推移すると予測されるもものの、需要を上回る供給によって空室率を年末 にかけて緩やかに上昇圧力を与え、引き続き賃料には下押し圧力がかかると予想され る。投資市場は、低い金利環境と賃料下落が継続すると予測されるため、引き続き価 格は緩やかに低下する見通しである。 注: 本レポートは、都心5区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)に立地するAグレードオフィス マーケットについて纏めている。

13


Office

Office

オフィス - 大阪

“賃貸市場では空室率が低下 投資市場では国内投資家の 存在感が強まる” リサーチ事業部 シニアディレクター 大東 雄人

賃料 前年同期比

-2.9%

賃料 月額坪当たり

22,524 円

プロパティ クロック フェーズ

下落加速

大企業の景況判断は堅調、ネットアブソープションは増加

賃料と価格

• 9月の近畿短観によると、大企業製造業の業況判断は6ポイントとなり、前回6月調査 時と同値であった。大企業非製造業は25ポイントとなり、同1ポイント改善した。 インデックス

• 第3四半期のネットアブゾープションは24,500㎡となった。設備投資への積極的な姿 勢を背景として、拡張や立地改善などを目的とする移転によって空室消化が進んだ。 製造業、不動産業・物品賃貸業、サービス業などで需要が拡大した。

空室率は 2.7% に低下

• 第3四半期に新規供給はみられなかった。第4四半期に予定される新規供給もない。 賃料

• 第3四半期末時点の空室率は2.7%となり、前期比では1.1ポイント、前年同期比では 1.2ポイントの低下となった。大企業における業況判断の明るさを背景に堅調な需要 の増加がみられ、空室の減少するビルが、増加するビルを上回る四半期となった。

価格

矢印は見通し (12ヶ月) を示す インデックス: 2019年第4四半期 = 100

賃料と価格は下落

出所: JLL

• 第3四半期末時点の賃料は月額坪あたり22,524円となり、前期比0.3%の下落、前年 比2.9%の下落となった。前四半期と同様に、2024年の大量供給を見越して条件を緩 和してテナント誘致をするビルの動きが反映された。

%

千m2

需給と空室率

• 第3四半期末時点の価格は前期比0.4%の下落、前年比4.5%の下落となった。賃料 の下落を反映して、価格も下落した。投資利回りは横ばいであった。当四半期のA グレードオフィスの取引事例として、サンケイビルによるブリーゼタワー(北区・ 梅田)の準共有持分1.55%の取得があげられる。価格は6億2,000万円、鑑定NOIに 基づく利回りは3.7%とされる。買主はサンケイリアルエステート投資法人。

見通し : 投資市場では国内投資家の存在感が強まる 需要

新規供給

供給予定

空室率

• オックスフォード・エコノミクスの10月予測によると、大阪市の実質GDP成長率は 2023年に1.9%、2024年は0.4%となる見通しである。世界経済の成長減速に伴う、 輸出産業を中心とした需要の減退が懸念となる。

2019年から2022年の需要、供給、空室率は年末 時点の数値。2023年については、需要、供給、空 室率は第3四半期までの数値であり、供給予定は第 4四半期と2024年の数値である。 出所: JLL

• 賃貸市場では、条件緩和が行われたビルが需要を集める一方で、高額賃料となる新築 予定物件への引き合いは弱い。2024年には大量供給もあり、今後1年間では賃料の 下落、空室率の上昇が見込まれる。投資市場では、世界経済の先行きへの不透明感が 広がり、外資の投資意欲に陰りがみられる。一方、国内投資家による質の高い物件へ の投資意欲は底堅く、今後1年間についても、利回りは横ばいで推移するだろう。

注: 本レポートは、都心2区(北区、中央区)に立地するAグレードオフィスマーケットについて纏めている。

14


Japan Property Digest - 2023年第3四半期

Office

Office

オフィス - 福岡

“昨年の新規供給の空室消化 が進み 空室率が6四半期ぶりに低下” リサーチ事業部 ディレクター 山口 武

賃料 前年同期比

+1.6%

賃料 月額坪当たり

19,832 円

プロパティ クロック フェーズ

下落加速

ネットアブゾープションは製造業が牽引

賃料と価格

インデックス

• 9月の九州・沖縄短観によれば、大企業製造業の業況判断は9ポイントとなり、前回 調査との比較で4ポイントの悪化となった。半導体不足を背景に電気機械等が悪化し た。非製造業は29ポイントとなり、10ポイントの改善となった。マンション販売の 好調等を背景に不動産等が大きく改善した。 • 第3四半期の福岡のAグレードオフィス市場のネットアブゾープションは4,800㎡と なった。新規供給がみられた前期並みとなり、需要の底堅さが確認された。情報通信 業等の企業が築浅で好立地のビルに移転した。第1-第3四半期は35,000㎡となり、 2022年の通年を上回った。

賃料

空室率は引き続き 2%台前半

価格

• 第3四半期の福岡Aグレードオフィス市場に新規供給は見られなかった。

矢印は見通し (12ヶ月) を示す インデックス: 2019年第4四半期 = 100

• 第3四半期末時点の福岡Aグレード市場の空室率は6.9%となり、前期比1.1ポイント の低下、前年比4.6ポイントの上昇となった。空室は市内全体で押し並べて減少し た。とりわけ昨年の新規供給物件の空室消化が進んだ。一方で、当年の新規供給物件 への動きは限定的にとどまっており、今後の動向が注目される。

出所: JLL

需給と空室率

賃料と価格は上昇

%

千m2

• 第3四半期の福岡Aグレードオフィス市場の賃料は月額坪当たり19,832円となり、前 期比0.04%の上昇、前年比1.6%の上昇となった。わずかながら2四半期ぶりの上昇 となった。この背景は空室が減少した一部の既存ビルが賃料を引き上げた。

需要

新規供給

供給予定

空室率

見通し : 投資利回りは下押し圧力が加えられる見通し

2019年から2022年の需要、供給、空室率は年末時 点の数値。2023年については、需要、供給、空室 率は第3四半期までの数値であり、供給予定は第4 四半期と2024年の数値である。 出所: JLL

• 第3四半期の福岡Aグレードオフィス市場の価格は、前期比0.7%の上昇、前年比 1.7%の上昇となった。上述の賃料の上昇を受けて、価格も2四半期ぶりの上昇と なった。投資利回りは安定的に推移した。当四半期に福岡Aグレードオフィスビルの 取引は見られなかった。

• 10月のオックスフォード・エコノミクスの経済成長予測によれば、福岡市の実質 GDPは2023年に2.8%と対前年比で拡大し、2024年に1.0%増に減速し長期平均に 近づく見通しとなっている。2023年の完全失業率は3.4%で対前年比横ばい、2024 年は3.2%に低下する見通しである。リスク要因には、世界的な金利引締めの影響や 海外経済の下振れ懸念による景気後退が挙げられる。 • 福岡Aグレードオフィスの賃貸市場では年内の新規供給はないために空室率は低下す るとみられるものの、2024年以降は新規供給の増加によって再び空室率が上昇し、 賃料の下落圧力が高まる見通しである。投資市場では、投資家の強い投資意欲を背景 に投資利回りに下押し圧力がかかり、価格は上昇する可能性がある。

注: 本レポートは、都心2区(中央区、博多区)に立地するAグレードオフィスマーケットについて纏めている。

15


Retail

Retail

リテール - 東京

“銀座と表参道の路面賃料は ともに過去最高を更新” リサーチ事業部 シニアディレクター 岩永 直子

85,349 円

プロパティ クロック フェーズ

上昇加速

• 第3四半期に消費関連指標はまちまちとなり、消費者心理を表す消費者態度指数は基 調判断が下方修正された一方で、百貨店の高額商品の販売額は前年・2019年の水準を ともに上回り好調を維持した。訪日外客数は2019年比80%程度の水準まで回復した。

110 100 インデックス

+13.5%

賃料 月額坪当たり

高級ブランドによる質の高いスペースへの需要が継続

賃料と価格

90 80 70 4Q19

4Q20

4Q21

賃料

4Q22

4Q23

価格

• 第3四半期の東京プライムリテール市場では、好調な販売額と有利な為替レートを背 景に、海外の小売業者による立地や視認性に優るスペースへの旺盛な需要が続いた。 当四半期の新規出店事例には、銀座の中央通りにブシュロンが旗艦店をオープン、 晴海通りにオニツカタイガーが新コンセプトストアをオープンした事例が挙げられ る。表参道では、ブルガリが新コンセプトストアをオープン、セリーヌも拡張後に リニューアルオープンした。

神宮前交差点に東急プラザ原宿が完成 2024 年春にグランドオープン

• 「東急プラザハラカド」が竣工した。表参道と明治通りの神宮前交差点の角地に所在 し、地上9階建て、延床面積20,000 ㎡の規模である。2024年春に開業予定である。 ハラカドの竣工にともない、交差点対面の「東急プラザ表参道原宿」は「東急プラザ オモカド」に改称予定である。

矢印は見通し (12ヶ月) を示す インデックス: 2019年第4四半期 = 100 出所: JLL

• 第3四半期は、新規供給や供給計画の追加はなかった。プライムリテールの周辺部で は、(仮称)中央区銀座7丁目計画新築工事が確認された。銀座コリドー通り沿いに 地上6階建て、延床面積300㎡の飲食ビルを建設するもので、竣工予定は2024年第1 四半期である。

小売業販売額 30 20 10 前年比 (%)

賃料 前年同期比

賃料上昇を反映して上昇が加速する価格

0

• 第3四半期の東京プライムリテール市場の賃料は月額坪当たり85,349円となり、前 期比4.7%の上昇、前年比13.5%の上昇となった。路面賃料が上昇をけん引した。 銀座の1階賃料は月額坪当たり290,000円と2019年の水準を上回り、表参道は同 260,000円となり3四半期連続で過去最高賃料を記録した。

-10 -20 -30 -40 4Q19

4Q20

4Q21

4Q22

4Q23

百貨店・スーパー販売額(東京特別区)

出所: 経済産業省

• 第3四半期の価格も上昇を示し、前期比5.6%の上昇、前年比15.4%の上昇となっ た。キャップレートは安定的に推移したため、賃料上昇を反映している。当四半期 の取引として、国内事業者によるGビル南青山02の取得が挙げられる。価格は5,383 百万円であった。

見通し : 賃料と価格は引き続き上昇する見通し

• 2023年10月のオックスフォード・エコノミクスの経済成長見通しによれば、2023 年の個人消費は1.1%の増加、2024年は1.0%の増加となっている。実質所得の改善に 伴い消費は回復を続けると予想されるが、回復ペースは徐々に減速すると予想される。 • 賃貸市場では、好調な高額品の販売額、回復余地を残す訪日外客数、為替相場を背景 に、国際的な小売業者による出店需要は堅調に推移すると予想される。一方で、供 給は限定的となっている。したがい、賃料は上昇傾向が続くとみられる。投資市場で は、価格の上昇は主に賃料の上昇を反映する見通しであるが、キャップレートが低下 すれば上昇が加速する可能性がある。

16

注: 本レポートは、銀座と表参道のプライムリテールマーケットについて纏めている。


Japan Property Digest - 2023年第3四半期

Logistics & Industrial

Logistics & Industrial

ロジスティクス - 東京

“新規供給続き空室率は高 止まり コスト増加による賃料上昇 続く”

賃料 前年同期比

リサーチ事業部 シニアディレクター 谷口 学

上昇減速

• 第3四半期にオンライン小売業、3PL企業等による旺盛な需要が持続し、大型の新規 供給を吸収したことから、ネットアブゾープションは405,000㎡となり、2023年第 1四半期から第3四半期では1,820,000㎡となった。

150 140 インデックス

4,579 円

プロパティ クロック フェーズ

需要と供給

賃料と価格

• 第3四半期の東京圏の新規供給は5棟504,000㎡となり、ストック(総賃貸可能面積)は 前期比3%、前年比19%増加した。

130 120 110

空室率

100 90 4Q19

4Q20

4Q21 賃料

4Q22

4Q23

4Q24

価格

矢印は見通し (12ヶ月) を示す インデックス: 2019年第4四半期 = 100

• 第3四半期の東京圏の空室率は7.6%となり、前期比0.3ポイントの上昇、前年比2.6ポ イントの上昇となった。東京ベイエリアの空室率は8.9%と前期比1.7ポイント上昇と なった一方、内陸エリアは7.1%と前期比0.3ポイント低下となった。

賃料と価格

• 第3四半期末時点の東京圏の賃料は月額坪当たり4,579円となり、前期比0.8%の上昇 となり、前年比1.0%の上昇となった。ベイエリアは新規供給の高い賃料水準によっ て、前期比2.1%の上昇となり、内陸エリアは前期比横ばいとなった。

出所: JLL

• 投資利回りの低下と緩やかな賃料上昇を反映し、東京圏の物流施設の価格(専有単価) は上昇傾向が続いている。

需給と空室率 4,000

8

3,000

6

2,000

4

1,000

2

0

0

見通し %

千m2

1.0%

賃料 月額坪当たり

2019 2020 2021 2022 2023 2024 需要

新規供給

供給予定

空室率

2019年から2022年の需要、供給、空室率は年末時 点の数値。2023年については、需要、供給、空室 率は第3四半期までの数値であり、供給予定は第4 四半期と2024年の数値である。

• 賃貸市場では供給の増加により空室率が高止まりしているが、2024年以降供給が減 少する見込みであり将来的な空室率低下が予想される。 • 賃料の低いサブマーケットでの新規供給による賃料下押し圧力があるものの、土地価 格や建築コストの高騰による賃料上昇圧力がそれを上回ると予測され、平均賃料は上 昇する見通し。 • 投資市場では投資家の関心の高さを背景に、投資利回りは一層の低下余地がある見通 しである。

出所: JLL

注: 本レポートは、東京圏に立地する新型物流施設マーケットについて纏めている。

17


Logistics & Industrial

Logistics & Industrial

ロジスティクス - 大阪

“新規供給による空室増加が 今後も続く” リサーチ事業部 山口 武

賃料 前年同期比

ディレクター

0.0%

賃料 月額坪当たり

4,071 円

プロパティ クロック フェーズ

上昇減速

需要と供給

賃料と価格

• 第3四半期も大阪圏の物流施設に対する堅調な需要は継続し、新規物件への需要と既 存物件の空室消化でネットアブソープションはプラス47,600㎡となった。 インデックス

• 第3四半期の新規供給は1棟77,000㎡で、ストック(総賃貸可能面積)は前期から1.3% 増加し6,091,000㎡である。第4四半期には3棟198,000㎡の新規供給が予定されて いる。

空室率 賃料

• 第3四半期の大阪圏の空室率は3.5%となり、前期比0.5ポイントの上昇、前年比1.6ポ イントの上昇となった。大阪ベイエリアの空室率は2.7%と前期比1.9ポイント上昇、 内陸エリアは4.4%と前期比1.3ポイント低下となった。

価格

矢印は見通し (12ヶ月) を示す インデックス: 2019年第4四半期 = 100

賃料と価格

• 第3四半期末時点の賃料は月額坪当たり4,071円となり、前期比、前年比ともにほぼ 横ばいとなった。新築物件の賃料が全体の賃料を押し上げる状況は続いているが、賃 料の低いエリアでの供給が続いており平均すると横ばいとなった。既存物件も賃料は 上昇しているが、稼働率を重視して緩やかな上昇となっている。

出所: JLL

需給と空室率

• 投資利回りの低下と緩やかな賃料上昇を反映し、大阪圏の物流施設の価格(専有単価) は上昇傾向が続いている。

%

千m2

見通し

需要

新規供給

供給予定

空室率

2019年から2022年の需要、供給、空室率は年末時 点の数値。2023年については、需要、供給、空室 率は第3四半期までの数値であり、供給予定は第4 四半期と2024年の数値である。

• 賃貸市場ではベイエリアおよび内陸エリアで新規供給が増えるため、空室の増加傾 向が続くと見込まれる。大阪圏全体では空室率は5%程度に上昇すると見込んでいる が、好立地の物件はリーシングが進んでおり、竣工時の満床が予想される。土地価格 や建築コストの高騰によって新規供給物件は賃料上昇が続くと予想される。周辺の既 存物件も新規物件にけん引され緩やかな賃料上昇が見込まれる。 • 投資市場では投資家の関心の高さを背景に、投資利回りは一層の低下を予想して いる。

出所: JLL

注: 本レポートは、大阪圏に立地する新型物流施設マーケットについて纏めている。

18


Japan Property Digest - 2023年第3四半期

Logistics & Industrial

Logistics & Industrial

ロジスティクス - 福岡

“新規供給により空室増え るが 既存物件は変わらず高 稼働”

賃料 前年同期比

リサーチ事業部 マネージャー リャン エドワード

1.0%

賃料 月額坪当たり

3,335 円

プロパティ クロック フェーズ

転換点

需要と供給

賃料と価格

• 第3四半期も福岡の物流施設に対する需要は堅調であり、新築物件に対する需要に よってネットアブゾープションは30,200㎡となった。開発中の物件についてもテナン トの内定が見られ、底堅い需要が続いている。 インデックス

• 第3四半期は1物件100,000㎡超の新規供給があり、ストック(総賃貸可能面積)は前四 半期から9.2%増加し、1,195,000㎡となった。第4四半期にも1物件の新規供給が予 定されている。

空室率 賃料

• 第3四半期末時点の空室率は7.0%となり、前期比5.8ポイント上昇、前年比で7.0ポイン ト上昇している。

価格

矢印は見通し (12ヶ月) を示す インデックス: 2019年第4四半期 = 100

賃料と価格

• 第3四半期末時点の賃料は月額坪当たり3,335円となり、前期比0.9%上昇、前年比 1.0%の上昇となった。新築物件の高い賃料水準が既存物件にも波及しながら上昇が 続いている。

出所: JLL

• 投資利回りの低下と緩やかな賃料上昇を反映し、福岡の物流施設の価格(専有単価)は 上昇傾向が続いている。物流施設の売買は限定的だが、現在開発プロジェクトが多数 進捗しており、今後の投資額増加が期待される。

需給と空室率

%

千m2

見通し

需要

新規供給

供給予定

空室率

2019年から2022年の需要、供給、空室率は年末時 点の数値。2023年については、需要、供給、空室 率は第3四半期までの数値であり、供給予定は第4 四半期と2024年の数値である。

• 大型の新規物件が完成し、一時的に空室は増えているが、空室のある物件の数は少な く、既存物件は高稼働が続いている。テナント内定が進んでいる開発案件も多く、需 給のタイトな状況が続くと考えられる。全国的に土地価格や建築コストは上昇が続い ており、福岡の新規供給物件も影響を受けて賃料上昇が続くと予想される。 • 新規供給は従来から物件が供給されていた福岡IC周辺や鳥栖エリア以外にも見られ、 東京圏や大阪圏と同様に開発エリアの拡大が続いている。 • 実際の売買は少ないが、投資家の関心は高く、東京圏や大阪圏の利回りを参考に投資 家の利回り目線は低下が続くと予想される。

出所: JLL

注: 本レポートは、福岡圏に立地する新型物流施設マーケットについて纏めている。

19


Hotel

Hotel

ホテル - 東京

“ADRの改善が好調な運営パ フォーマンスに寄与” エグゼクティブヴァイスプレジデント ヘッドオブアドバイザリー 大橋 蔵人

主要なホテル客室数

新規供給推移

上昇

都内宿泊需要はコロナ前の水準を超えた

• 2022年10月に水際対策が緩和されたことで、訪日客が大幅に増加している。2023 年8月までの累計訪日客数は昨年同期から16倍以上となり、コロナ前の2019年同期 の水準を26%以上の増加となった。

2,000 1,500 客室数

RevPAR 見通し(12ヶ月)

• 都内の宿泊需要を示す延べ宿泊者数については、2023年8月時点で都内の延べ宿泊 者数全体の40%を占める日本人宿泊客が2019年同期の水準を16%上回った。

1,000

2 軒の 4 ツ星及び 5 ツ星ホテルが開業

500 0 2019 2020 2021 2022 2023 2024 既存ホテル 将来開業ホテル

出典: Industry sources, JLL

• 2023年第3四半期には、2軒の外資系ホテルが開業した。8月に272室の「ホテル インディゴ東京渋谷」、9月に客室数25室のブティックホテル「TRUNK HOTEL YOYOGI PARK」が開業した。 • 2025年以降もJW マリオットやフェアモント等、外資系ラグジュアリーホテルの新 規供給が控えており、外資系ホテルオペレーターによる東京への出店意欲は劣れてい ない。

ホテル運営パフォーマンスが 2019 年を超える

• 東京の5ツ星ホテルの運営パフォーマンスは、1日当り販売可能客室数当り宿泊売上 (RevPAR)が2023年年初来9月までの期間で継続的に向上している。都内の宿泊需 要の増加により、特にADRが大幅に改善されている。 • 2023年上半期のトレンドに続いて、2023年第3四半期も高いADRを記録し、その結 果、RevPARはコロナ前の水準を上回り続けた。

マーケットの成長が期待される

• 東京での強力な旅行の勢いは中期にわたって続く見込みである。2024年以降は、増 え続けるインバウンド客と強固な国内需要により、東京のホテルの稼働率が回復し、 ADRはわずかに上昇して安定すると予想される。 • インバウンドグループの徐々な復帰と年末の祝祭によるレジャー観光客の増加に支え られ、東京のホテル市場は持続的な成長を続けると見込まれる。

東京のホテルとは、東京所在の5ツ星ホテルマーケットを意味する。

20

延べ宿泊者数は従業員数10名以上の施設を対象とした調査の結果を集計。


Japan Property Digest - 2023年第3四半期

Summary

オフィス

リテール

ロジスティクス

空室率

前年比

賃料

前年比

投資総額

東京

4.7%

+0.5㌽

33,585円

-4.1%

7,069億円

大阪

2.7%

-1.2㌽

22,524円

-2.9%

763億円

福岡

6.9%

+4.6㌽

19,832円

1.6%

671億円

東京

-

-

85,349円

13.5%

1,636億円

東京

7.6%

+2.6㌽

4,579円

1.0%

4,691億円

大阪

3.5%

+1.6㌽

4,071円

0.0%

1,138億円

福岡

7.0%

+7.0㌽

3,335円

1.0%

413億円

21


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