Japan Market Dynamics


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Japan Market Dynamics - 2025年第4四半期
魅力的な資金調 達環境と賃料上 昇がもたらす日 本の不動産投資 機会

著者 リサーチ事業部 シニアディレクター 大東 雄人

世界の直接不動産投資市場を見ると 、 2025 年の投資総額は アメリカが前年に引き続き 最大で、次いでイギリス、3位に 日本が続いている。都市別で見ると世界で最も投資額を集め たのはニューヨークで、東京は円安にも関わらずドル建て投 資額でニューヨークと僅差の2位となった。
金融政策面では、欧米でインフレ抑制後の利下げ局面に入っ た一方、日本では利上げ方向にある。しかし絶対的な金利水 準で比較すると、日本の資金調達コストは依然として相対的 に低く、長期金利と期待不動産投資利回りとの差(イールド スプレッド ) がプラスを維持する 、 いわゆる 「 ポジティブ キャリー 」 の状況が続いている世界でも数少ない市場であ る 。
Japan Market Dynamics - 2025年第4四半期
出所: JLL, 2025.12
日本の不動産投資市場においてどのようなセクターに資金が 投下されているかを見てみると、これまでと同様、もっとも 多くの資金がオフィス市場に流入している。コロナ禍で在宅 勤務が進んだことを主因に 、 2020 年から 2023 年にかけてオ フィス市場は世界中で空室率の上昇と賃料下落に見舞われて いた。しかし、日本においてはコロナ後のオフィス回帰が比 較的早く、早々にオフィス需要は回復した。
また、業種・規模の大小を問わず企業が人手不足に直面して いることも、オフィス需給の逼迫化につながっている。優秀 な人材確保、さらに既存の従業員の満足度を向上させるため、 より多くの企業がワークプレイスの改善を進めている。その ため、都心部の好立地で交通アクセスに優れ、 最新設備とセ
出所: JLL, 2025.12
キュリティを備えた高品質オフィス 、 いわゆるグレード A オ フィスへの関心が高まっている。
これら需要サイドの要因に加え、人手不足や建築コストの高 まりを背景に多くの開発案件が延期になっていることも、需 給逼迫に拍車をかけている 。
東京都心5 区の空室率は 12月末 時点で0.7% に低下しており、賃料は月額38,252円/ 坪と前期 比で3.2%、前年同期比で9.4%の上昇となった。
過去平均を上回る規模であった 2025 年の大型ビルの供給は ほぼ吸収され 、 テナント需要は既に 2026 年以降に竣工 する 予定の物件へと向かっている 。 今年も 2025 年と同等の供給 が計画されているが、既にテナントが決定し始めているため、 今後も需給が逼迫した状況が予想される。
過去30年続いたデフレからの脱却により、 テナントサイドに もようやくインフレマインドが浸透しつつある。賃料交渉は 「値下げ」ではなく、「いくらの値上げか」がスタートライ ンとなるなか、今後も空室率が低位で推移することが予想さ れ、賃料の上昇ペースは加速する可能性が高い 。


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世界全体で投資拡大 世界の不動産投資額は、金利低下と融資 環境の改善で拡大が続いている。投資家 の意欲が回復し、投資資金調達が4年ぶり に増加した。賃貸需要の回復と新規開発 の減少で高グレードのオフィスを中心に
賃料上昇は加速、世界的にオフィス投資 が回復している。
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日本の投資額は6兆円超と過去最高
第4四半期にも事業会社による大型オフィ スおよび物流施設の売却が見られ、投資 額は高水準で推移。2025年通年の投資額 は過去最高の6兆2,180億円を記録した。
世界都市別ランキングでは東京は第2位と なった。
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市況の変化が不動産取引を後押し オフィスを中心に需給が逼迫、賃料上昇 が加速していることが、投資家の意欲を 促している。金融機関も引き続き積極的 な融資姿勢を示しており、不動産投資市 場の活況を支えている。
主要指標 (2025年) +19%
世界の投資額の前年比 +13%
日本の投資額の前年比
2位
見通し
世界的に不動産投資が拡大する中、国内 外の投資家からの日本の不動産に対する 投資意欲も依然として高い。投資家の ポートフォリオ再構築に伴う売却や、企 業による保有不動産の売却が進んでおり 好立地物件の投資機会も増加している。
2026年の不動産投資額は2025年を上回り、 6兆円台半ばに達すると予想される。
東京の世界都市別投資額ランキング
34%
国内投資額における海外投資家の投資額割合
43%
国内投資額におけるオフィスの投資額割合
Japan Market Dynamics - 2025年第4四半期

日本の投資額推移
日本の投資額
• 2025年通年の日本の不動産投資額は前年比13% 増の6兆2,180億円となった。
• 2025年第4四半期の日本の不動産投資額は前年 同期比8%減の1兆5,080億円となった。前年の第
4四半期に大型案件が集中し、過去2番目の高水 準となったことが当期減少の主因。
• とはいえ2025年第4四半期にも日産自動車グ ローバル本社のほか江東区の大規模物流施設な どの大型取引が見られ、通年の投資額は2007年 の集計開始以来で最大の金額となった。
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セクター別投資額割合
• セクター別では、オフィスが引き続き最大の投資 割合を占めた。2025年通年の投資額は 2兆6,920 億円で全体の43%を占め、2024年通年の36%か ら大きく増加した。中心部におけるオフィス賃料 の上昇が顕著となるなか、投資家からの関心がさ らに高まっている。
• リテールは、銀座の大型商業施設や郊外のショッ ピングセンターなどの複数の取引を中心に、投資 割合は前年の7%から11%に上昇した。
• 物流施設では、東京都内の大型施設をはじめとす る大型取引が複数見られた。一方で、J-REITによ るスポンサーからのポートフォリオ取得が減少し たことを受け、投資割合は16%と、2年連続で低 下した。
• ホテルは投資需要自体は旺盛であるものの、売却 案件が限られているため、投資割合は10%に減少 した。
• 賃貸住宅は、国内外の投資家による10〜20物件の ポートフォリオ取得が増加し、投資割合は16%へ 増加している。
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地域別投資額割合
• 地域別では、東京都心5区が2025年通年で42% を占め、2022年以来の40%超となった。大型オ フィスビルや賃貸住宅ポートフォリオなどの取 引が見られたことが、割合増加の要因となった。
• 一方、大阪圏の割合は13%にとどまり、2024年 通年の22%から縮小した。昨年と比べて大型物 件の売却が少なかったことが主因。
出所:JLL
注釈:東京都心5区は千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区を、東京圏は東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県を、名古屋圏は愛知県、岐阜県、三重県を、大阪圏は大阪府、兵庫県、京都府、奈良県を、福岡圏は福岡県、佐賀県、長 崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県を指す。

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• 堅調な賃貸活動により2025年新規需要が過去最高水準に到達した
• 築浅や好立地のオフィスに対する堅調な需要と限られた供給を背景に、空室率はさらに0.2ポイント低下し、0.7%と なった
• 引き続き空室が限られているため、賃料は8四半期連続で上昇している
東京グレードAオフィス市場は堅調に推移し、新規需要(*)は2025年第4四半期に124,700㎡に達した。従業員のオフィス回帰を促すための環境改 善のほか、人員増など業容拡大がオフィス需要をけん引した。業種別では、プロフェッショナルサービス、IT企業及び製造業が需要を牽引しし
た。当四半期の注目すべきリース活動には、大手外資系企業の大規模な本社移転と、国内大手企業による2030年以降完成予定の大規模プロジェ クトの予約契約が含まれた。
新築ビルでは赤坂トラストタワー(港区、地上43階建て、貸床面積105,800㎡)の1棟が2025年第4四半期にほぼ満室稼働で竣工となった。同ビ ルは2025年新規供給のほぼ20%を占めている。東京グレードAオフィス市場の空室率は0.7%と、前四半期比0.2ポイント低下、前年同期比2.10 ポイント低下となった。
月額坪当たり賃料は2025年第4四半期末時点で38,252円となり、前期比3.3%上昇、前年同期比9.4%の上昇を記録した。今期のグレードAオフィ ス想定価格は前四半期比3.0%上昇、前年同期比14%上昇となった。長期金利の上昇を受けて想定キャップレートは5bps上昇したものの、それ による価格下落要因を賃料上昇が上回った。注目すべき取引には、FPGによる京橋トラストタワーの追加持分取得(140億円)が含まれる。
見通し
2025年12月時点のオックスフォード・エコノミクス予測によると、2026年の実質GDP成長率は0.1ポイント上方修正され+0.7%となった。 2026年竣工予定の物件の内定率が高まっているため、テナント需要は2027年以降の供給へとシフトするとみられる。そのため、当面は空室率 は低水準にとどまると予想され、 賃料も2025年と同等の9%を超える上昇が見込まれる。
需給の推移 主要指標 新規需要
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• グループ企業のオフィス拠点集約に伴う移転需要が活発で、特に梅田や御堂筋沿いの新築ビルへの移転が目立つ
• 淀屋橋ゲートタワーが竣工、大阪グレードAオフィスの空室率は3.1%に上昇するが一時的とみられる
• 大阪グレードAオフィスの賃料は月額坪あたり26,313円、2四半期連続で2003年の観測開始以来の最高記録を更新
大阪グレードAオフィス市場は2025年を好調に締めくくり、新規需要(*)は2025年第4四半期に34,000㎡となった。グループ企業や支店・営業 所のオフィスを好立地に集約し、業務効率化や人材確保を図った移転が目立ち、既存ビルにおいての空室消化が進んだ。
今期は淀屋橋ゲートタワー(中央区、地上29階建て、延床面積132,000㎡)が竣工した。テナント誘致は進んだものの、空室を残して竣工し、こ れを主因として第4四半期末時点の空室率は前期比0.6ポイント上昇、前年同期比では1.3ポイント低下の3.1%となった。
第4四半期末時点での賃料は月額坪あたり26,313円となり、前期比3.5%上昇、前年同期比12.4%の上昇となった。前期に2003年の観測開始以来 のこれまでのピークであった2020年第2四半期の24,647円を超えたが、2期連続で過去最高を更新した。2024年に梅田エリアで竣工した新築ビ ルにおいて高額賃料でのリースアップが2025年通年での賃料上昇に寄与した。
投資市場では、長期金利の上昇を受け想定キャップレートは僅かに上昇となったものの、賃料上昇が著しいことからJLL想定価格については前 年比3.1%増、前年同期比16.0%増となった。今期の取引は日本プライムリアルティ投資法人によるグランフロント大阪のうめきた広場南館と 北館の準共有持ち分4.6%を、東京建物からそれぞれ92億、80億円、NOI利回り4.0%、4.1%での取得があげられる。
見通し
2025年12月時点のオックスフォード・エコノミクス予測によると、大阪市の実質GDP成長率は2026年+0.3%、2027年+0.2%と見込まれてい る。オフィス賃貸市場では、2026年第3四半期に竣工する1棟(本町4丁目プロジェクト:中央区、延床面積45,000㎡)以外は、向こう5年間、 新規供給の予定は無い。2026年は新規供給ビルの好調なリース状況を踏まえ、第4四半期末の空室率は2.8%まで低下すると見込む。賃料は、需 給のひっ迫を受けて今後も過去最高額の記録更新が見込まれる。投資市場では、賃料上昇を織り込み、想定価格もさらに上昇するだろう。その ため大阪での物件取得に対する投資家意欲は今後も高い状況が続くと予想される。
Aオフィスを参照。需給は年初から 当期の累計、面積は貸床面積を参照する。
(*)当四半期における新規需要から退去による空室発生を差し引いた実質的な需要の増減。
2020年 2021年 2022年 2023年

• 業容拡大に伴い、近年竣工したビルへの拡張移転が目立つ
• 福岡最大規模のビルの空室消化を主因に、空室率は4.2%と 前期比-2.4ポイントの大幅低下
• 福岡グレードAオフィスは賃料上昇率が再び加速、月額賃料は坪あたり22,509 円で前期比+3.1%
福岡グレードAオフィス市場における2025年第4四半期の新規需要(*)は13,000㎡となった。第4四半期に新規供給はなく、2次空室の発生も少な い中、業容拡大に伴う拡張移転や館内増床が需要をけん引した。産業別では法律事務所やコンサルティングファーム等のプロフェッショナル サービス業や、IT関連企業の移転が散見された。
今期は福岡において最大規模の基準階面積(約4,600㎡)を誇るONE FUKUOKA BLDG.においてテナント誘致が進展し、空室率低下に大きく寄 与した。第4四半期末時点の空室率は4.2%となり、前期比2.4ポイント低下、前年同期比では2.8ポイント低下した。天神ビッグバンや博多コネ クティッドによる新規供給が断続的に続く中、2023年以降は空室率は5%を上回る状況が継続していたが、今期約3年ぶりに5%を下回る空室率 となった。
第4四半期での賃料は月額坪あたり22,509円となり、前期比3.1%上昇、前年同期比7.9%上昇した。2025年に入ってからは賃料の上昇ペースの 鈍化がみられていたものの、今期は既存ビルの賃料が軒並み上昇しており、再び上昇率が加速している。
見通し
2025年12月時点のオックスフォード・エコノミクス予測によると、福岡市の実質GDP成長率は2026年に+0.7%、2027年に+0.5%と見込まれ ている。オフィス賃貸市場では、来期2026年第1四半期に1棟の新規供給(西日本シティビル:博多区、延床面積76,000㎡、3月竣工)が予定さ れている。天神ビックバンや博多コネクティッドの新規供給も終盤を見据える時期になっていることから、賃貸条件はオーナーの意向がより盤 石になることが見込まれる。2026年は、3棟の新規供給(総貸床面積75,000㎡)が予定されていることに加え、新築ビルへの移転に伴って2次 空室が顕在化することが予想されるため、空室率は再び上昇することが見込まれる。
需給の推移
2020年
(*)当四半期における新規需要から退去による空室発生を差し引いた実質的な需要の増減。

Japan Market Dynamics - 2025年第4四半期

• ハイブリッドワークの定着により、企業の需要は今後も堅調に推移することが見込まれる
• 上半期に続き下半期も大型新規開設が拡大傾向
• 月額利用料金は前年同期比10%上昇
東京都心5区におけるフレキシブルオフィスの新規開設は、 2025年下半期において12,900㎡となり、2025年通年では34,800㎡となった。 その結果、東京フレキシブルオフィスのストックは2025年に前年比7.8%の増加となった。2025年下半期に開設された大型の拠点として は、シグネチャー(リージャス)、SENQ(中央日土地)、Human First Office(野村不動産)、そしてワークスタイリング(三井不動 産)が挙げられる。
既存拠点の稼働率も、スタートアップ企業から大企業まで幅広い層からの需要を受けて高水準で安定している。スイングスペース(オ フィス改装、移転などに際しての一時的な利用)、サテライトオフィス、プロジェクトスペース等の他、本社としての利用まで、さまざ まなニーズがみられている。内装工事費や設備費が上昇する中、初期費用が低く抑えられるスペースの需要が堅調である。
東京都心5区におけるフレキシブルオフィスの1席当たり月額料金は2025年第4四半期時点で、前年同期比10%上昇となった。既存拠点の 稼働率が上昇していることに加え、各社の拡充と新規参入する事業者の出店により、月額料金は2024年に入ってから上昇している。
見通し
企業には、従業員の柔軟な働き方をサポートしつつも、生産性向上のためにオフィス回帰を更に促進したいという一定のニーズがある。
それらを満たす、いわゆる「サードプレイス」としてのフレキシブルオフィスに対する需要はさらに高まるだろう。オフィス空室が限定 的な状況ではあるものの、 2026年前半には大規模な新規開設が複数予定されており、市場は今後も着実に拡大すると予想される。
東京フレキシブルオフィスの定義 東京都心5区(千代田区、港区、中央区、新宿区、渋谷区、)を対象としてサービスオフィスとコワーキングオフィスを含む 月額利用料金の推移
㎡

Japan Market Dynamics - 2025年第4四半期

• 堅調な需要に対して供給が限定的であったことから空室率は8.8%に低下
• 建築コスト上昇を織り込み、賃料は引き続き上昇
• 投資需要も底堅く、価格上昇も継続
Eコマース企業や3PL企業による需要は引き続き堅調で、2025年第4四半期の新規需要(*)は221,000㎡となった。今期は周辺部での需要回復の 兆しが見られ始めている。輸送距離が長い周辺部では、ドライバー不足等に起因する輸送費の上昇によって需要が弱まっていたものの、他の エリアに比べて低廉な賃料が評価されたようだ。
当期の新規供給は、2017年第4四半期以来8年ぶりに1棟のみとなった(85,000㎡)。需要が供給を上回ったことで、東京圏全体の空室率は8.8%へ と2四半期連続で低下。前期比では0.3ポイント、前年同期比では0.7ポイントの低下となった。
東京圏の月額坪当たり賃料は4,780円で前期比1.2%、前年同期比2.0%の上昇となった。建築コストの上昇の影響で新築物件の賃料が高騰し、そ れが周辺の既存物件の賃料も押し上げている。
東京圏の物流施設のJLL想定価格は前期比0.2%の上昇、前年同期比0.8%の上昇となった。長期金利の上昇を受けて想定キャップレートは僅かに 上昇したが、賃料上昇を反映して価格は上昇している。今期の金額ベースで最大の取引はブラックストーンが江東区の大型物流施設を取得し た取引である。
見通し
Eコマース企業および3PL企業による需要が安定していることに加え、建築コストの上昇で新規開発が抑制気味であることから、東京圏全体の 賃料上昇は継続すると見込まれる。ただし、空室率が高く、輸送コストが増加している周辺部の物件では、緩やかな賃料上昇にとどまると考 えられる。
オックスフォード・エコノミクスによるとさらに金利上昇が予想されるものの、国内外投資家の意欲は引き続き堅調とみられることから、 キャップレートの上昇は限定的とみられる。そのため、今後も賃料上昇が期待されるエリア・物件を中心に、価格も上昇が続くと予想される。
(*)当四半期における新規需要から退去による空室発生を差し引いた実質的な需要の増減。
注釈:東京圏に所在する賃貸の大型物流施設が対象。面積は貸床 面積を参照する。
Japan Market Dynamics - 2025年第4四半期

• 新規物件は満室稼働、既存物件の空室も減少で空室率低下
• キャップレートは上昇するも賃料成長を背景に価格は上昇
• 2026年は供給が減少することから、3%前後の空室率と賃料上昇が続く見込み
旺盛な需要が新規大型物件と既存物件の空室を吸収し、2025年第4四半期の新規需要(*)は377,000㎡と、四半期ベースでは過去8年で最大となっ た。Eコマース企業や3PL企業、小売業など多様な需要が見られた。
新規供給は兵庫ベイエリアで2棟(合計306,000㎡)が竣工した。いずれも竣工時点で満床となり、好立地・高スペックの物流施設に対する強い需 要を裏付ける結果となった。既存物件でも空室の消化が進み、大阪圏全体の空室率は前期比1.5ポイント低下の3.0%となった。なお、大量供給 の影響で空室率は2025年に入って上昇し、第2四半期には4.9%まで上昇したものの、それ以降は低下。第4四半期末時点ではまだ前年同期を0.2 ポイント上回っているが、ほぼ2024年末の水準まで低下した。
大阪圏の月額坪当たり賃料は4,291円で、前期比1.1%、前年同期比3.2%の上昇となった。新規供給物件の高額賃料が周辺既存物件の賃料を押し 上げ、市場全体の賃料上昇が継続している。
長期金利の上昇を反映して、想定キャップレートもわずかに上昇したものの、賃料の上昇により想定価格は上昇基調を維持している。将来的な 賃料上昇を織り込む価格形成が進んでいるため、現在は市場平均を下回る賃料の物件も依然として低い利回りで取引されている。
見通し
賃貸市場では、2025年の新規供給物件へのテナント移転に伴う二次空室が一部で発生することが懸念される。しかし、2026年の新規供給は前 年に比べて大きく減少する見通しであるため、後継テナントの決定は比較的早く進み空室率は3%前後の低水準で推移する見込みである。
また、建築コストの上昇を織り込んで新築物件の賃料はさらに上昇し、既存物件への波及も続くと予想される。賃料負担力についての懸念が一 部のテナントでみられるものの、全般的に需要は堅調に拡大している。既存物件が高稼働であることも踏まえると、オーナー優位の市場環境が 継続し、大阪圏全体の賃料上昇トレンドも持続すると見込まれる。
(*)当四半期における新規需要から退去による空室発生を差し引いた実質的な需要の増減。
注釈:大阪圏に所在する賃貸の大型物流施設が対象。面積は貸床 面積を参照する。
• 今期は新規供給がなく、市場は概ね安定して推移
• 賃料は横ばいだが、二極化が進む兆しもみられる
• 2026年以降の供給増加により、物件によっては賃料調整の可能性も

2025年第4四半期の福岡物流市場では、新規供給はなかった。一方、地場の物流企業を中心に複数の成約がみられるなど、需要面 は引き続き安定している。
空室率は6.7%と前期比で0.8ポイント低下した。鳥栖エリアを中心に空室消化が進んだことが主因。前期に引き合いのあった複数 物件のうち1件で、地場物流企業による成約がみられた。一方、福岡ベイエリアや福岡IC周辺エリアではそもそも空室が少なく、 今期も大きな動きはみられなかった。
福岡圏の月額坪当たり賃料は3,547円で、前期から横ばい、前年同期比では0.4%の小幅な上昇にとどまった。一部の中規模物件で は賃料の調整がみられたものもあったが、大型物流施設については賃料の変動は見られなかった。
今期の想定キャップレートは前期から横ばいとなった。今期、内陸エリアでは1件の取引事例が確認された。金利の上昇により投 資家はやや慎重になりつつあるものの、福岡圏の物流施設への投資意欲は依然として底堅い。
見通し
賃貸市場では、2026年の新規供給が262,600㎡と、前年比55%増加する。特に鳥栖エリアでは、第1四半期に約65,000㎡が新たに 竣工し、その後も複数物件の供給が予定されている。そのため、同エリアを中心に空室率の上昇リスクが意識されている。交通 アクセスなどの立地条件や、物件仕様、区画の柔軟性などの要素により、満床になるまでのリーシング期間の差は広がると考え られる。
供給増加に伴って、物件によっては募集条件の見直しや賃料調整が進む可能性がある。一方、高スペックの物件や汎用性の高い 物件では、引き続き高い賃料での成約が予想される。
今後は、立地や仕様、区画サイズの柔軟性などを基準にテナントによる物件選別がさらに進み、市場の二極化がいっそう鮮明に なると見込まれる。
(*)当四半期における新規需要から退去による空室発生を差し引いた実質的な需要の増減。
注釈:福岡圏に所在する賃貸の大型物流施設が対象。面積は貸床 面積を参照する。
: 1,000㎡

• 百貨店の美術・宝飾・貴金属販売額が成長トレンドを回復
• 中央通り沿いに「清和銀座ビル」が竣工
• 賃料・価格とも上昇基調が継続


所得と消費者マインドの持ち直しを背景に、引き続き、個人消費は底堅い動きがみられている。東京地区百貨店の美術・宝飾・貴 金属売上は、9月から成長トレンドを回復し、10月から2か月連続で前年比20%の増加となった。また、訪日外客数の過去最高更 新が続いていることを背景に、インバウンド消費も好調だった。第4四半期の新規開業事例として、銀座中央通りに出店したロエ ベとレダラッハが挙げられる。表参道では、キャットストリート沿いにディプティックが出店した。
第4四半期の新規供給には、「清和銀座ビル」が挙げられる。中央通りに地上13階建て、延床面積4,700㎡の規模で竣工した。路面 を含む4層にロエベが開業した。「表参道Grid Tower」の概要が公表された。青山通り沿いの複合用途型プロジェクトであり、 2026年第1四半期に地上38階建て、延床面積46,000㎡の規模で竣工予定である。店舗は1階と地下1階に供され、サロン23区を含む テナントが出店する。
第4四半期の賃料は月額坪当たり104,154円となり、前期比1.9%の上昇、前年同期比5.5%の上昇となった。上昇ペースは前四半期 から減速した。賃料負担力の大きい大手ブランドグループの出店が一巡したことが主因とみられる。第4四半期の想定価格は、前 期比1.7%の上昇、前年同期比4.2%の上昇となった。想定キャップレートは大きな変動はなかったと推定される一方、賃料の上昇 が価格の上昇につながった。当四半期には、マントミアセットマネージメントによる「Ginza gCube」の取得等が確認された。
見通し
12月のオックスフォード・エコノミクスの予測では、個人消費は上方修正され、2025年に1.2%の増加、2026年に0.7%の増加と なっている。リスクには、物価上昇の継続が消費者マインドに及ぼす影響が挙げられる。賃貸市場では、独立系ブランドの出店需 要が旺盛な一方、供給予定物件のテナントがほぼ決定済みのため、需給逼迫による賃料の上昇基調が継続する見通しである。投資 市場では、投資利回りは大きく変動しないとみられるものの、賃料の上昇を反映して想定価格は緩やかに上昇する見通しである。
注釈:賃料は東京のプライムリテールの1棟の平均を参照。面積は貸床面積を 参照する。小売業販売額は東京都既存店を参照する。
東京地区百貨店の美術・宝飾・貴金属売上
出所:日本百貨店協会

Japan Market Dynamics - 2025年第4四半期

主要指標
• 堅調なインバウンド需要を背景にマーケットは成長
• 東京では外資系ラグジュアリーホテルの新規開業が続く
• ADR、RevPARともに過去最高を更新
2025年通年の訪日外国人数は初めて4,000万人を突破して、4,268万人(前年比15.8%増)に達した。円安などの追い風により訪 日外国人数は増加基調が続いており、2年連続で過去最高を更新した。一方、国土交通省によると、東京における2025年1月から 10月にかけての延べ宿泊者数は前年同期比2.5%減少した。同期間中の外国人宿泊者数は前年同期比6.8%増加して全体の56% に 上った一方で、日本人宿泊者数は前年同期比12.3%減少して、過半数を下回った。 2025年第4四半期には、JWマリオット・ホテル東京が10月2日に、続いてキャプション by Hyatt 兜町 東京が10月7日に開業した。
また、大規模改修のために2024年5月から閉館していたパークハイアット東京が12月9日にリニューアルオープンした。今後数年 間にわたり、多くの外資系ラグジュアリーホテルの開業が予定されている。2026年にワンホテル東京、2027年にウォルドーフ・ アストリア東京日本橋とプルマン東京銀座、2028年にキャノピーbyヒルトン東京赤坂、ドーチェスター・コレクション、ラッフ ルズ東京の開業が控えている。
2025年第4四半期も、東京のホテルマーケットでは全てのセグメントでパフォーマンスの向上が続いた。訪日外国人の継続的な増 加がADRの持続的な上昇を牽引し、稼働率も着実な回復を示した。ラグジュアリー及びアッパーアップスケールセグメントでは、 2024年と比較して2025年の成長ペースは鈍化したものの、ADRとRevPARは四半期毎に過去最高を更新し続けた。2025年の稼働 率は前年同期比でわずかに改善したが、依然としてコロナ禍前の水準を下回っている。
見通し
地政学的リスクは依然として存在するものの、円安を背景としたインバウンド需要は堅調であり、東京のホテルマーケットにお ける好調なパフォーマンスは2026年も継続する見込みである。堅調なインバウンド需要を背景に、2026年も ADR の上昇傾向は続 くと予想される。ラグジュアリー及びアップスケールホテルは稼働率よりもADR の向上に重点を置いているため、稼働率回復の ペースは緩やかなままとなる可能性がある。
2025年 客室増設数 646室 RevPAR成長(前年同期比) ↑ RevPAR サイクルステージ 上昇
注釈:東京のホテルとは、東京所在のラグジュアリー及びアッパーアップス ケールのホテルマーケットを意味する。
延べ宿泊者数は従業員数10名以上の施設を対象とした調査の結果を集計。
主要なホテル客室数 新規供給推移

Japan Market Dynamics - 2025年第4四半期


• 国内不動産のグリーンビルディング認証件数は増加、LEEDは既存MICE施設を含む20件が取得
• 国内不動産のウェルネス認証件数は減少、WELLはオフィス3件がプラチナ取得
• サステナビリティマーケットダイナミクス日本語版では不動産のグリーン化対応の潮流を特集
主要指標
グリーンビル認証(各認証の増加率の平均) 前期比 +3.2% ウェルネス認証(各認証の増加率の平均) 前期比 -0.2%
注釈:LEED、WELL、Fitwelは全ランク、CASBEE-建築、CASBEE-不動産、 CASBEE-ウェルネスオフィスはB+以上を対象とする。なお、2025年第4四半 期のマーケットダイナミクスより各認証制度における認証取得物件データの 重複処理を行わないこととした。
出所:USGBC, IBECs, IWBI, Fitwel

特集「不動産のグリーン化対応の潮流」
グリーンビル認証物件数の推移(認証取得年別) LEED の第4 四半期の認証取得件数は 20 件で 、2009年からの 累計で377件(前期比+5.6%)となった。
CASBEE- 建築 の第 4 四半期の認証取得件数は 21 件で 、 有効 期限到来件数を下回ったため 、 当期末時点で有効な認証を 有する物件は526件(前期比-3.0%)となった。
CASBEE- 不動産の第4 四半期の認証取得件数は 233 件で 、 当 期末時点で有効な認証を有する物件は 2 ,927 件 ( 前期比 +6.9%)となった。
WELL の第 4 四半期の認証取得件数は 3 件で 、 当期末時点で 有効な認証を有する物件は 66 件 ( 前期比 ±0.0% ) となった 。
Fitwel の第 4 四半期の認証取得件数は 0 件で 、 当期末時点で 有効な認証を有する物件は5件(前期比±0.0% )にとどまっ た。
CASBEE-ウェルネスオフィスの第4四半期の認証取得件数は 6件で、有効期限到来件数を下回ったため、 当期末時点で有 効な認証を有する物件は194件(前期比-0.5%)となった。
日本における不動産のグリーン化対応の潮流を読み取るべ く 、 JLL 日本エナジー & サステナビリティサービス ( ESS ) が直近3年間に受けた問合せの傾向を分析した 。投資家と事 業者 、 外資系と日系の問合せ件数はほぼ半々であったが 、 オーナーとテナントでは前者が 8 割 、 後者が 2 割と大きな差 があった 。 また 、 クライアントの属性やサービスカテゴ リーにより次のような傾向がみられた 。 (1) 問い合わせが最 も多いのはグリーンビルディング認証取得 、 次いで省エネ ルギー診断である 。 (2) 対象不動産が ESG 投資基準に見合っ た仕様かを認証主体以外の第三者評価により確認したい投 資家からの問合せが増加している 。 (3) データセンターのグ リーンビルディング認証取得が活発な IT 業界からの問合せ が増加している 。 (4) テナントからの問合せは 2 割にとどま り、その過半はグリーンビルディング認証取得である。
出所: USGBC, IBECs 公開データをもとに

データセンター不動産市場における機会
本レポートでは、データセンターの東京圏・大阪圏へ の集中という現状から、地方分散政策、供給動向、開 発用地価格の動向、REIT組入れ促進の動きや新たなエ ネルギー効率基準の導入まで、市場を取り巻く環境を 包括的に分析。



日本の賃貸住宅市場のマルチスケール分析:全3章
民営の賃貸用集合住宅(以下、賃貸住宅)に関する不動産投資市場において、投資対象となり得る地域には どのような優位性や特性があるのか。
投資市場の動向に加えて、賃貸市場の需要と供給の動向、そしてこれらの背後にある要素の提示を通じて、 賃貸住宅への投資の可能性をより精緻に、より広い視座から分析するための座標軸を提起する。
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