Skip to main content

JAFスポーツ 2025年 夏号(第59巻 第3号 2025年8月1日発行)

Page 1


2025 SUMMER JAF MOTOR SPORTS

頂点への一里塚

急転直下の移籍で角田裕毅選手の新たな戦いが始まる

“プロフェッショナル”への道 レーシングカートから高みを目指すスカラシップの現在 UNIZONE×地域振興の方程式

-ORACLE RedBull~. RAC

3月27日に角田裕毅選手のレッドブル移籍が発 表され、26万6000人の観客が鈴鹿に詰めかけ た。決勝ではマックス・フェルスタッペン選手 がポール・トゥ・ウィンで日本グランプリを制 し、王者の意地で今季初優勝を挙げた。

Headline モータースポーツ話題のニュース速攻Check!

2025.FIA.Formula1.World.Championship.Round4. Formula.1.Lenovo.Japanese.Grand.Prix.2025 2025.FIA.FORMULA1.世界選手権シリーズ.日本グランプリレース 開催日:2025年4月3~6日 開催地:鈴鹿サーキット 主催:SMSC

混迷するフェルスタッペン選手が今季初勝利 角田裕毅選手のレッドブル昇格に歓喜の嵐!日本グランプリに最多の26万6000人が集結

PHOTO/吉見幸夫[Yukio.YOSHIMI] REPORT/吉田知弘[Tomohiro.YOSHITA]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

鈴

鹿サーキットで開催される日本 グランプリ。今年はFIAフォー ミュラ1世界選手権(F1)第3戦 として開催され、春開催に移って2回目を 迎えた。そして、開催一週間前に角田裕毅 選手のOracle Red Bull Racing移籍とい うビッグニュースが発表されたことで、日 本のファンは大いに盛り上がった。木曜か らピットウォーク・イベントは大盛況とな り、鈴鹿は例年以上の熱気に包まれたのだ。

度目の赤旗が出された。終盤にはコースサ イドの芝生が相次いで燃える事態も発生 し、プラクティス2は結果的に4度もの赤 旗中断に見舞われてしまった。

土曜の15時から予選セッションが始ま った。予選Q1から速さを見せたのは絶好 調のマクラーレン勢。Q3に進出して、この ままフロントローを独占するかと思われた。

しかし、その後方でマックス・フェルス タッペン選手(Oracle Red Bull Racing) が、限界ギリギリのアタックに入っていた。

12時には恒例のドライバーズパレード が行われ、スタート前セレモニーでは、歌 舞伎俳優の父子、十三代目市川團十郎氏 王者の意地で鈴鹿4連覇!

赤旗が相次いだプラクティス 波乱含みで走り込みが困難に 金曜午前のプラクティス1は、ランド・ ノリス選手(McLaren Formula 1 Team) がトップタイムを記録した。午後のプラク ティス2は、開始7分のところでジャッ ク・ドゥーハン選手(BWT Alpine F1 Team)が1コーナーで大クラッシュ。再開 後は、各車がテストメニューをこなすべく 周回を重ねたが、今度はフェルナンド・ア ロンソ選手(Aston Martin Aramco F1 Team)がデグナーカーブでコースオフ。2

130R手前のセクター2計測地点ではノ リス選手に遅れたものの、最終セクターで 挽回して1分26秒983を計測。この結果、 フェルスタッペン選手が逆転で今季初のポ ールポジションを奪取して、鈴鹿では4年 連続のポール獲得となった。この驚愕の逆 転劇には、多くの関係者が息を呑んだ。 「予選はとにかく状況を少しでも改善しよ うと頑張った。最終ラップはどのコーナー も全力で走って、コースアウトせずに1周 維持できるか判らなかったけど、本当に良 かった。シーズンの始まり方を見ればとて

今季は苦境にあるフェルスタッペン選手が予選Q3で驚 愕のベストタイムを計測。ランド・ノリス選手が2番手、 オスカー・ピアストリ選手が3番グリッドを獲得した。

も予想外だったと思う。そして、チームに とっても素晴らしい結果になった」とフェル スタッペン選手は喜びを爆発させた。

決勝日は、朝から会場周辺で渋滞が起き るほどの賑わいで、公式発表では11万 5000人が鈴鹿に来場した。土曜の夜から 日曜の午前中にかけて雨が降り、決勝が始 まる午後の段階では、雨は上がったものの、 路面の一部に濡れたところが残っていた。

1.423秒差の辛勝を噛みしめるフェルスタッペン選手。

2位はノリス選手、3位はピアストリ選手が獲得した。

第3戦日本グランプリは予選結果と同じ順位で終結。

と、八代目市川新之助氏が、演目「連獅子」 を披露。航空自衛隊中部航空音楽隊の伴奏 で清水万里子空士長が国歌を歌い上げた。

そして、各マシンはドライタイヤを装着 してグリッドに整列。14時過ぎ、いよいよ 53周の決勝レースが幕を開けた。

今季苦境のフェルスタッペン選手 辛勝ながら王者復権の狼煙

ポールポジションのフェルスタッペン選 手は好スタートで首位を維持。そこにノリ ス選手とオスカー・ピアストリ選手らマク ラーレン勢が続いた。ノリス選手はペース の良さを武器に序盤から首位攻略を目指し たが、抜きにくいコース特性とDRSゾー ンが一つであるためチャンスを作れない。

上位争いはフェルスタッペン選手を先頭 に、膠着状態のまま中盤戦に突入した。

例年の日本グランプリは2ストップ戦略 を採るチームがほとんどだが、今年は東コ ースの路面が改修されたことでタイヤへの 影響が軽減されている。また、雨上がりの 路面は後半にかけてコンディションが良化 したため、最終的にミディアムからハード につなぐ1ストップ作戦が主流となった。

上位勢の動きは、5番手を走っていたジ ョージ・ラッセル選手(Mercedes-AMG PETRONAS F1 Team)が19周目にピッ

前人未到の1分26秒983のコースレコードを叩き出してポールからスタートしたフェルスタッペン選手。ノリス選手とピアスト リ選手らマクラーレン勢を辛くも振り切って、待望の今シーズン初優勝、鈴鹿4連覇を達成した。

トインしたのを皮切りに活発化。翌周から ピアストリ選手やフェルスタッペン選手、 ノリス選手、シャルル・ルクレール選手 (Scuderia Ferrari HP)がピットに入った。

ここが唯一の逆転のチャンスと目論んだ ノリス選手は、ピット出口でフェルスタッ ペン選手と並走する気概を見せたものの逆 転はできず。フェルスタッペン選手が先頭 のままレース後半に突入した。

コース上でチャンスを見出すしかないノ リス選手は、首位の背後に近付こうとペー スを上げる。ピアストリ選手もファステス トラップを刻む走りでチームメイトに近付 いていった。この展開はフェルスタッペン 選手にとって「ミラーにずっとオレンジのマ シンが2台映っていたよ」と語るほどプレッ シャーとなっていた様子。しかし、予選と 同様にミスのない走りを披露し、ノリス選 手にチャンスを与えなかった。

e芝生が炎上するトラブルが頻発してしまった今大会。 コースマーシャルが決勝直前までその対策に追われた。

緊迫した上位争いは、最終的にグリッド 順のままチェッカーフラッグを迎えた。フ ェルスタッペン選手は後続に1.423秒差を つけてレースを制し、今季待望の初優勝を 飾った。そして、今年でパートナー関係が 解消されるHondaと迎える最後の日本グ ランプリに華を添える結果を残した。 「すごく楽しいレースだった。基本的に限 界まで攻めていたけど、予想よりペースは 良かった。昨日ポールポジションを獲っ て、トップからスタートできたことが功を 奏したよ」とはフェルスタッペン選手。

2位はノリス選手、3位はピアストリ選 手だが、ともに悔しそうな表情を見せてい た。ドライバーチャンピオンシップはノリ ス選手が62点で首位を守ったが、フェル スタッペン選手が61点と詰め寄った。

大会の最高名誉総裁・彬子女王殿下が優勝したフェルス タッペン選手にグランプリトロフィーを下賜された。

今回のサポートレースはポルシェ・カレラカップ・ジャパン(PCCJ)とフェラーリ・チャレンジ・ジャパン(FCJ)。FCJ では小山美姫選手が2戦連続のポール・トゥ・ウィンを獲得し、猪爪杏奈選手が表彰台に上がった。

東京E-Prix第9戦、ローランド選手が日産のホームイベント初優勝!

今年も悪天候に翻弄された2度目の東京大会。日産フォーミュラEチームは連続表彰台! PHOTO/石原.康[Yasushi.ISHIHARA]、遠藤樹弥[Tatsuya.ENDOU] REPORT/吉田知弘[Tomohiro.YOSHITA]、三家香奈子[Kanako.SANGA]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

ーズン11の第8戦・第9戦とな るFIAフォーミュラE世界選手 権日本ラウンドが、5月16~18 日に東京ビッグサイト周辺で開催された。

2度目となる今年は、土曜と日曜で2レ ース制が採用され、土曜の第8戦には「ピ ットブースト」を採用。土日で異なるフォー マットのレースを楽めるようになった。ま た、昨年より観客席が増設され、開催地の 江東区民を招待する試みも実施された。

フォーミュラEは、今季から四輪駆動を 活かせる新型GEN3 EVOを導入。ピット ブーストでは30秒の超高速充電で約10% のエネルギーを得られるようになった。

今年の東京E-Prixは18コーナー・全長 2.575kmの設定で、ジャンピングスポット となっていたターン2~3周辺は下り勾配 を緩和改良。ターン15以降のシケインが なくなり高速コーナーへと生まれ変わった。

公式セッションは16日金曜から始まり、 曇り空ながら蒸し暑い一日となった。16時 からのFP1では、土曜の雨予報を懸念して 早くから多くの選手が走り込んだが、テイ

ラー・バーナード選手(ネオム・マクラーレ ン・フォーミュラEチーム)がクラッシュし て中断する一幕も。セッション最終盤には 日産フォーミュラEチームが真価を発揮。 ノーマン・ナトー選手とオリバー・ローラ ンド選手がワン・スリーとなった。

雨で史上初の予選キャンセル 第8戦はピット戦略がカギに

17日の土曜は予報どおり朝から雨に見 舞われ、朝8時からのFP2は激しい水飛沫 の中で行われた。当然、フルコース・イエ ロー(FCY)や赤旗中断を挟む荒れ模様とな ったが、「パッケージも非常に良い状態だ」 と自信を示していたローランド選手が、ト ップタイムを計測して走行を終えた。

そして、10時20分からの予選は雨の影 響でディレイが続き、最終的にキャンセル となった。これはシリーズ初の事態で、第 8戦グリッドにはFP2の結果が反映される ことになり、ローランド選手が第8戦のポ ールポジションを獲得することとなった。

午後になっても厚い雲が雨を降らせ、決

2024/2025.ABB.FIA.Formula.E.World.Championship.Round.8/9.TOKYO.E-Prix 2024~2025年FIAフォーミュラE世界選手権シリーズ第8戦・第9戦.東京E-Prix 開催日:2025年5月16~18日 開催地:東京都(Tokyo.E-Prix.Street.Circuit) 主催:VICIC

勝は約10分遅れの15時15分にセーフテ ィカー(SC)スタートで幕を開けた。4周で SCが離れた後は、ローランド選手がホー ルショットを決めてリードを広げた。

上位にはエドアルド・モルタラ選手(マ ヒンドラ・レーシング)とバーナード選手の ほか、早々にアタックモードを活用したセ バスチャン・ブエミ選手(エンビジョン・レ ーシング)がトップ3圏内に浮上した。11周 目には14番手スタートのストフェル・バン ドーン選手(マセラティMSGレーシング) が先陣を切ってピットイン。東京大会初の ピットブーストを受けた。

その後、中団を走るマキシミリアン・ギ ュンター選手(DSペンスキー)が車両トラ ブルによりストップ。13周目には赤旗が出

今年もビクトリーサークルクラブがオーガナイザーを務 め、JMRC関東レース部会の協力を得て集まったボラン ティアオフィシャルらが役務にあたり無事閉幕した。

Headl

第8戦はストフェル・バンドーン選手が久々の優勝。

第8戦では話題のテイラー・バーナード選手が3位に。

ノーマン・ナトー選手は週末を15位、17位で終えた。

てしまう。10分ほどの中断で再開したレー スは中盤戦に突入。残り15周となる辺り で上位勢がピットインを開始した。

ここで大きなゲインを得ることになった のはバンドーン選手。赤旗前のピットイン がアンダーカットとなり、トップを奪取し たのだ。首位でピットに入り2番手で戻っ たローランド選手との差は30秒もあった。

第9戦で優勝したローランド選手はドライバー選手権の首位を独走。製造者部門では日産が2番手のポルシェに44 点差、チーム選手権でも日産フォーミュラEチームがタグ・ホイヤー・ポルシェに15点差をつけて首位を走る。

の痛恨のクラッシュ。ローランド選手は丁 寧に走り切り、東京E-Prixでは3戦連続と なるポールポジションを獲得した。

15時05分から第9戦決勝レースがスタ ート。曇り空ながらもドライ路面に恵まれ た決勝では、まずはローランド選手が良い 蹴り出しを見せてホールショットを奪う。 上位勢がアタックモードを起動させ始め、 8周目にはティクトゥム選手がトップに浮 上した。12周目にはデブリによるFCYが入 り、後の16周目にはパスカル・ウェーレイ ン選手(タグ・ホイヤー・ポルシェ・フォ ーミュラEチーム)がトップに躍り出た。

アタックモードが終了したウェーレイン選 手とのサイド・バイ・サイドに持ち込み、 26周目にはトップを奪還した。

Headl e

残り少ない周回数で差を詰めたいローラ ンド選手だが、後方のバーナード選手との バトルが始まり追撃体制に入れない。この 激しい攻防はファイナルラップまで続き、 それを尻目に一人旅を続けたバンドーン選 手が8.140秒差をつけてトップチェッカー。 3年ぶりとなるうれしい優勝を手にした。

日産が母国大会で悲願達成! ローランド選手がついに優勝 18日の日曜は、朝には雨はやんでいた が、FP3の開始時点ではウェットパッチが 残っていた。10時20分に始まった第9戦の 予選は、グループ予選からデュエル形式の 対戦という通常フォーマットで行われた。 デュエル・ファイナルは、ローランド選 手とダン・ティクトゥム選手(クプラ・キ ロ)の対戦となり、先行したティクトゥム選 手はセクター3まで好ペースを見せたもの

一時6番手まで順位を下げたローランド 選手は、14周目にアタックモードを使うも のの追い抜きにはならず。さらに22周目、 前走より先に起動させて6分間のアタック モードに入るが、周囲も合わせてきたため 追い抜けない。だが、ローランド選手はア タックモードなしに2番手まで順位を回復。

第8戦決勝は東京E-Prixでは初となるピットブースト導入 レースとなり、ストラテジーに大きな影響を与えた。

28周目には上位4台による激しい首位 争いが繰り広げられたが、29周目にバーナ ード選手がターン5でクラッシュ。SCが導 入され、最終盤は残り1周で再開という、 超スプリント勝負へ持ち込まれた。

それでもローランド選手は見事に逃げ切 ってトップチェッカー。東京E-Prix3戦目 にして日産フォーミュラEチームが母国大 会に初優勝をもたらした。愛娘のハーパー ちゃんとポディウムに登壇したローランド 選手は、駆け付けた日産関係者・応援団が 見守る中で今季5勝目を喜んだ。

この結果、ローランド選手は2位と77 ポイントもの差をつけてドライバーランキ ングを独走。チームとマニュファクチャラ ーランキングにおいても日産が首位を維持 してシーズン後半戦に挑むことになった。

コースレイアウトは昨年とほぼ同様。アタックモードのア クティベーションゾーンもターン4に設定された。

地元住民の観戦招待もあった今大会。雨に見舞われた第8戦の表彰式は東ホール内で行われ、江東区の大久保朋果 区長がプレゼンターを務めた。天候に恵まれた第9戦の表彰式はピットエリアに新設された表彰台で行われた。

Headline モータースポーツ話題のニュースCheck!

今年も東京E-PrixにFIAガールズ・オン・トラックがやってきた!

フォーミュラEの様々な分野で活躍する女性たちと交流できる貴重な機会が今年も開催

PHOTO/JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS] REPORT/西川昇吾[Shougo.NISHIKAWA]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

性がモータースポーツの世界で さらなる活躍ができるよう支援 するFIAガールズ・オン・トラ ック活動。FIAフォーミュラE世界選手権・ 日本ラウンド開催週の5月16日、東京都江 東区のシティサーキット東京ベイと東京EPrix会場を舞台に、「フォーミュラE FIA ガールズ・オン・トラック東京」と題したミ ート&グリートイベントが開催された。

今年は12~25歳の女性を募集し、70名 の申し込みがあった同イベント。シティサ ーキット東京ベイで行われた午前中のセッ ションでは、KYOJO CUPなどで活躍する バートンハナ選手と織戸茉彩選手がゲスト で登場。EVカート体験をはじめ、施設をフ ルに使ってドライビングを堪能した。

フォーミュラEに併催されるFEOの本イ ベント運営を担当するイモージェン・ハー

FORMULA.E.FIA.GIRLS.ON.TRACK.TOKYO

パー氏は、「カート走行やタイヤ交換、シ ミュレーター体験のほか、各チームの女性 スタッフとの交流など様々なコンテンツを 用意しています。このイベントを通して、 今まで以上にモータースポーツに興味を持 ってほしいですね」と趣旨を説明する。

午後は、ゆりかもめで東京ビッグサイト へ移動し、東展示棟に開設された「ファン ビレッジ」内にあるFIAガールズ・オン・ト ラックブースでランチタイムとなった。

その後はグループを2つに分けて、シミ ュレーター体験と、ジャーナリストの高橋 二朗氏がMCを務めるトークセッションに 参加した。ここでは映画「ワイルドスピー ド」でおなじみ、ハリウッドスターのサン・ カン氏がサプライズで登場。昨年はその役 を角田裕毅選手が担ったが、このようなサ プライズ演出も特徴となっている。

続いて、プラクティス走行の見学があ り、ここでは決勝の表彰式でのプレゼンタ ー選出も行われた。そして、グループを6 つに分けたピットツアーを実施。エンビジ ョン・レーシング、DSペンスキー、タグ・ ホイヤー・ポルシェ、マセラティMSGレ ーシング、マヒンドラ・レーシング、ジャ ガーTCSレーシングの協力を得て、チー ムの女性スタッフによるキャリアトークが 行われた。英語での会話が必要だったが、 積極的な質疑が交わされていた。

「女性にはチャンスがないだけで、能力や 才能がない訳ではありません。トップカテ ゴリーに関わる男女比が同じようになって ほしい、それが私たちの願いの一つです」 と語るハーパー氏。この世界でキャリアを 築くための具体的なイメージが得られるこ の試み。来季の開催にも期待したい。

開催日:2025年5月16日 開催地:シティサーキット東京ベイ、東京ビッグサイト 主催:Formula.E.Operations 運営協力:株式会社トムス(シティサーキット東京ベイ)

Headline モータースポーツ話題のニュースCheck!

e第109回大会でアレックス・パロウ選手がINDY500初制覇! フロントロー獲得の佐藤琢磨選手、16回目のINDY500はピットミスで勝機を逃す

PHOTO/INDYCAR REPORT/伊能未冴[Misae.INOU]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

米インディカーシリーズ最大の レース「インディ500」は、今年 で109回目を迎えた。

決勝は5月25日だが、1か月前には2日間 のオープンテストが行われ、5月13日から 始まるプラクティスを含め、長い時間をか けてマシンを作り込む特別な一戦である。

佐藤琢磨選手(レイホールレターマンラ ニガンレーシング/Honda)は、近年はイ ンディ500のみに参戦しているが、オープ ンテストがほぼ一年ぶりの走行となり、昨 年のインディ500以降に導入されたハイブ リッドシステム搭載車両も初体験だった。

パロウ選手の優勝で、Honda勢のINDY500通算勝利数は 16を数え、2025年はHonda勢が開幕6連勝を達成した。 2025.NTT.INDYCAR.SERIES.Round.6. 109th.Running.of.the.Indianapolis.500 2025年NTTインディカーシリーズ第6戦. 第109回インディアナポリス500マイルレース 開催日:2025年5月13~25日  開催地:インディアナポリス・ モータースピードウェイ

予選6番手スタートのアレック ス・パロウ選手が終盤で首位に立 ち、そのまま逃げ切ってINDY500 を初制覇。シリーズでは今季5勝 目となり、オーバル初優勝だった。

それにも関わらず、テスト初日から好タ イムを出して存在感を示していたが、テス ト2日目にクラッシュ。新しいシャシーを 取り寄せて車両を作り直すことになった。

一方、昨年のシリーズチャンピオンであ るアレックス・パロウ選手(チップガナッシ レーシング/Honda)は、オープンテスト を順調に消化して、速さを見せていた。

パロウ選手はプラクティスでも上位をキ ープしていたが、新造マシンで挑む佐藤選 手は中位からやや上といったところ。

予選は4周の平均速度を競う形式で行わ れ、テスト時の速さを再現できるのか不安 を残していた佐藤選手だったが、ライバル と異なるハイブリッドの活用法を編み出し、 堂々のフロントロー2番グリッドを獲得。 パロウ選手も安定感のあるアタックで、2列 目6番手グリッドでのスタートとなった。

今年は「クリーンエアで速いクルマ」を作 ってきたという佐藤選手は、その意図どお り序盤から先頭に立ってレースの主導権を 握る。佐藤選手のピットインに合わせてラ イバルも動くという展開になり、中盤まで レースを支配した。しかし、総周回の4割 ほどを消化した頃のピットストップでミス を喫し、以降は存在感を失ってしまった。

予選ファスト6進出で2番手中央グリッドを獲得した佐藤琢磨選手。決勝は11番手入線から、繰り上がりの9位に。

一方、王者パロウ選手はトップ集団を維 持しながらピットワークもきっちりこなし、 残り10数周というところで首位に立った。 そして、ライバル勢に抜かせない程度の差 をつけながらトップフィニッシュ。インディ 500初優勝を成し遂げたパロウ選手だが、 意外にもオーバルコース初勝利でもあった。 佐藤選手は最終的に9位に終わったが、 このレースの最多リードラップを記録して いる。今季好調のHondaパワーユニット 勢にとっては開幕から6連勝となっている。

Headline モータースポーツ話題のニュースCheck!

第6戦はS.オジエ選手が雪辱の辛勝! TGR-WRTは開幕6連勝!!

第4戦カナリアスは勝田貴元選手が4位に入り、TGR-WRTが1-2-3-4フィニッシュ達成 PHOTO/TOYOTA.GAZOO.Racing REPORT/JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

泥

にまみれた第3戦サファリから 一転して、2025年FIA世界ラリ ー選手権(WRC)は、4月24~ 27日「ラリー・イスラス・カナリアス」で第 4戦を迎えた。強い陽射しが照りつけるス ペイン領・グランカナリア島の舗装路は WRCカレンダーには初登場で、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team (TGR-WRT)勢もほぼ未経験だった。

この舞台で、今季はやや精彩を欠いてい たカッレ・ロバンペラ選手が覚醒した。全 18ステージで15のベストタイムを記録、 圧倒的な速さで今季初優勝を挙げた。ラリ ー序盤には「自分のパフォーマンスに満足 できていない」と語っていた勝田貴元選手 も、徐々に運転を合わせ込んで4位フィニ ッシュ。TGR-WRT勢が上位4位までを独 占して、層の厚さを見せつけた。

このラリーではTGR WRCチャレンジ

第6戦サルディニアはセ バスチャン・オジエ/ ヴァンサン・ランデ組が 僅差の勝利。昨年の雪 辱を果たした。

続く第5戦は5月15~18日の「ラリー・ ポルトガル」で、今季初の欧州グラベルラ リーとなった。ここで輝いたのはセバスチ ャン・オジエ選手で、序盤は荒い路面にセ ッティングが合わないとこぼしながらも 徐々にペースを上げ、ラリーリーダーとし て最終日を迎えて守り切った。この優勝で オジエ選手はポルトガル最多勝記録を7に 更新。ロバンペラ選手は3位を獲得。勝田 選手も5位で完走し、「タイヤについて多 くを学べた」とポジティブな評価だった。

TGR WRCチャレンジプログラム2期生 の小暮ひかる選手と山本雄紀選手は、昨年 もこのラリーにGRヤリスRally2で参戦し たが、早めのリタイアで経験を積む機会を

勝田貴元/アーロン・ジョンストン組はカナリアス初挑 戦ながらも4位に入り、TGR-WRT勢上位独占に貢献。 プログラム3期生の松下拓未選手と後藤正 太郎選手も健闘。欧州の選手を相手に上々 のペースで完走し、松下選手がWRC3ク ラス4位、後藤選手が同5位を獲得した。

失っていた。今年はそろって完走し、タフ なステージの数々で新たな発見を重ねた。 そして、6月5~8日の第6戦「ラリー・ イタリア サルディニア」でもラフグラベル が待ち受けた。十数年ぶりに使われたステ ージもあり、現役選手にとっては難易度が 高く対応力も求められ、前戦以上に序盤か ら脱落者が相次いだ。TGR-WRTのオジエ 選手はここでも粘り強い戦いで優勝し、サ ルディニアの最多勝記録を5に伸ばした。 勝田選手を含めて全員が完走したTGRWRT勢は開幕から6連勝。マニュファク チャラーズ選手権のリードを拡大している。

Headl

2025.FIA.World.Endurance.Championship.Round.4・93.Edition.24Hours.Le.Mans 2025年FIA世界耐久選手権第4戦・第93回ル・マン24時間レース

フェラーリ勢はル・マン三連覇で83号車のロバート・クビサ/フィリップ・ハンソン/イェ・イーフェイ組は全 員が初制覇。LMGT3は92号車リヒャルト・リーツ/リカルド・ペラ/ライアン・ハードウィック組が制した。

Headline モータースポーツ話題のニュースCheck!

AFコルセ83号車が第93回ル・マン24時間レースを初制覇!

GR010 HYBRID 7号車が5位フィニッシュ!8号車はアクシデントで15位に終わる

PHOTO/WEC、DPPI、TOYOTA.GAZOO.Racing REPORT/JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

リーズ最大の一戦となるFIA世 界耐久選手権(WEC)第3戦 「ル・マン24時間レース」が6月 11~15日に開催された。今年はトヨタのル・ マン初挑戦から40周年という節目とあり、 歴史と現在を彩った2台のGR010 HYBRID が、最も長く、かつ最も多くのポイント獲 得を期待できるレースに挑んだ。

レースウィークはドライコンディション に恵まれ、予選は2日間で行われ、11日の 30分間のセッションでトップ15入りを目 指す。TGR 8号車はブレンドン・ハートレ ー選手が10番手につけて翌12日のハイパ ーポール進出を決めたが、7号車はニック・ デ・フリース選手のアタック中に黄旗が提 示され、16番手に留まった。

今年のハイパーポールには、新たにノッ クアウト方式が導入され、H1と呼ばれる20 分間の上位10台が次のH2に進出する。H1 とH2は異なる選手を起用しなければなら ず、H1ではハートレー選手が8号車を6番

手に導いたが、H2ではセバスチャン・ブエ ミ選手がパンクで10番手に終わった。

14日の16時、24時間レースが幕を上げ る。TGR 8号車はブエミ選手が10番手、 7号車はマイク・コンウェイ選手が16番 手からスタート。フロントローにはキャデ ラック2台が並び、フェラーリ勢は7番と 11番グリッドという位置関係だ。

スタート直後から激しいポジション争い が展開され、TGR 7号車は他車との接触で 軽微な損傷を負ってしまう。レース序盤は ポルシェ勢のペースが良く、3番グリッド の5号車がすぐに先頭に躍り出た。クラス 最後尾スタートだった6号車も、早いうち に追い上げて先頭を走る時間帯もあった。

しかし、安定した速さはフェラーリ勢に 軍配が上がる。50号車と51号車に加え、 カスタマーのAFコルセ83号車も脱落する ことなく、3台で順番を入れ替えながら長 くトップ3を形成した。TGRも予選アタッ クよりはロングランに優れており、スター

トヨタがル・マン挑戦40周年 7号車はスペシャルカラーに 1985年から公式参戦して27回目の挑戦だったが、6勝 目の獲得には届かなかった。今大会の結果で、マニュ ファクチャラーズ順位はフェラーリに次ぐ2位を堅守。

Headl e

ト位置より順位を上げるものの、たびたび のトラブルやペナルティに阻まれた。

平川亮選手が8号車を一時先頭に導くシ ーンもあったが、最終的には7号車が5位、 8号車が15位で終えた。総合優勝を飾った のはAFコルセ83号車で、ロバート・クビ サ選手はポーランド人として、イェ・イー フェイ選手は中国人として、史上初のル・ マン制覇を果たす快挙を成し遂げている。

HEADLINE

4 王者の意地で鈴鹿4連覇! 混迷するフェルスタッペン選手が今季初勝利 6 東京E-Prix第9戦、ローランド選手が日産のホームイベント初優勝!

8 今年も東京E-PrixにFIAガールズ・オン・トラックがやってきた!

9 第109回大会でアレックス・パロウ選手がINDY500初制覇!

10 第6戦はS.オジエ選手が雪辱の辛勝! TGR-WRTは開幕6連勝!!

11 AFコルセ83号車が第93回ル・マン24時間レースを初制覇!

14 頂点への一里塚

急転直下のF1トップチーム移籍! 角田裕毅選手の新たな戦いが始まる

18 躍進の行方

ダンディライアン勢、怒涛の快進撃!ライバルたちは後半戦をどう戦う?

22 “プロフェッショナル”への道

レーシングカートから高みを目指すスカラシップの現在

28 UNIZONE × 地域振興の方程式

Eモータースポーツで地方を盛り上げたいッ!

48 耐久レースの学び

あらゆる苦難と向き合う超ロングスティント! 過酷な24時間を走り抜いた先にあるものとは?

55 勝負のココロ

スタート直前に貴方は何を考える? すべてを出し切る、心の整理術とは

62 ラリーと地域振興

合言葉は「ラリーで奈良を元気にしよう!」32年ぶりの全日本選手権大会、成功裏に閉幕

NEWS & TOPICS

36 2026年F1日本グランプリは3月27 ~ 29日に鈴鹿で 37 公益財団法人日本スポーツ協会にJAF が加盟 37 「日本カート協会」山本尚貴選手が代表理事に 38 TGR WRCチャレンジプログラムの5 期生募集 38 WRCラリージャパン開催に向けた安全講習会開催 39 Eスポーツ出身ドライバーたち の急成長 39 GR KARTで、もっと手軽にスポーツの入口へ! 40 スーパーGT・開幕2戦はスープ ラ勢に軍配! 41 佐野雄城選手が4連勝でランキング首位を堅守 41 ついに開幕したフォーミュラ によるKYOJO CUP 42 全日本ラリー選手権・中盤はターマック3連戦 44 好感度の高い競技会 が続く全日本ジムカーナ序盤戦 45 高速コースが続く全日本ダートトライアル序盤戦 46 追走では 目桑宏次郎選手が奥伊吹を2連勝! 47 全日本カート選手権2025シーズン各部門で開幕 34 重要なお知らせ 「モータースポーツマイページ」のオンライン申請をご利用ください

INFORMATION from JAF

30 2024年度事業報告ならびに収支報告

33 モータースポーツ公示・JAFからのお知らせ(WEB)一覧(2025年3月22日~2025年6月27日)

66 ドライバー・オブ・ザ・イヤー2025

PHOTO/吉見幸夫[Yukio YOSHIMI] 下:2024~2025年FIAフォーミュラE世界選手権シリーズ第9戦 東京E-Prix

PHOTO/遠藤樹弥[Tatsuya ENDOU]

JAF MOTOR SPORTS JAFスポーツ[モータースポーツ情報] 監修/一般社団法人 日本自動車連盟 〒105-0012 東京都港区芝大門1-1-30 ☎0570-00-2811(ナビダイヤル) 発行所/株式会社JAFメディアワークス  〒105-0012 東京都港区芝大門1-9-9 野村不動産芝大門ビル10F  ☎03-5470-1711(代) 発行人/日野眞吾 振替(東京)00100-88320 印刷所/凸版印刷株式会社 編集長/佐藤 均[Hitoshi SATOU, editor-in-chief]、 清水健史[Kenji SHIMIZU]、伊東真一[Shinichi ITOU]、 大司一輝[Kazuki TAISHI] デザイン/鎌田僚デザイン室 編集/株式会社JAFメディアワークス JAFモータースポーツチーム(JAFスポーツ) ☎03-5470-1712

広告出稿のお問い合わせは☎03-5470-1711(営業部) COVER/上:2025 FIA F1世界選手権シリーズ 第3戦 Lenovo日本グランプリレース

本誌の記事内容は2025年6月27日までの情報を基にしております。

また、社会情勢等によって、掲載した情報内容に変更が生じる可能性がございます。予めご了承ください。

客が3日間で26万6000人を数えた2025 年FIAフォーミュラ1世界選手権(F1)第3 戦「Lenovo日本グランプリレース」。

シーズン途中にも関わらず、大会直前には角田裕毅 選手のOracle Red Bull Racing移籍がサプライズ発 表され、今年も4月開催で満開の桜が咲き誇る鈴鹿サ ーキットは、2009年以降で最高の盛り上がりを見せた。

急転直下のレッドブル・レーシング移籍

Visa Cash App Racing Bulls F1 Teamで2025シ ーズンをスタートさせた角田裕毅選手。開幕戦オース トラリアGPと第2戦中国GPの予選では、Q3進出を果 たしたものの、決勝レースでは不運もあって、ポイン ト獲得につながっていなかった。しかし、角田選手の ポテンシャルが評価され、第3戦を前にした3月27 日、Oracle Red Bull Racingへの移籍が決定。その報

は一般メディアでも高い注目を集め、母国大会である 鈴鹿サーキットの日本グランプリに臨むことになった。 第3戦鈴鹿。晴天に恵まれた4月3日(木)はメディ アデーだ。レッドブルのウェアに身を包んだ角田選手 は、さっそくFIA公式プレスカンファレンスに出席。 ジャーナリストが角田選手に質問を浴びせ、多数のフ ォトグラファーも参加して彼にレンズを向けていた。

角田選手の電撃移籍は、世界から注目を集めたが、 もちろん我々日本のメディアやファンにとっても悲願 の実現となった。日本人ドライバーが、ついに優勝を 狙えるトップチームへ加入したということで、期待が 高まりすぎているところがあったが、当の本人は、 「レッドブル・レーシングで最初のレース、そしてホ

角田裕毅選手、Oracle Red Bull Racingに移籍

頂点への一里塚 集

急転直下のF1トップチーム移籍! 角田裕毅選手の新たな戦いが始まる

金曜午前は僅差の6番手タイムを計測

いよいよ公式セッションが始まる4日(金)。午前中 のプラクティス1は角田選手が新体制で走行する初の 機会であり、かつ、今年の1月にはBWT Alpine F1 Teamのリザーブドライバーに就任した平川亮選手に よる出走も発表されていた。これにより、金曜は朝か

頂点への一里塚

唯一の日本人F1ドライバー角田裕毅選手が、 ついに最高峰チームから母国グランプリへの参戦を果たした。 鈴鹿大会を前にしたOracle Red Bull Racingへの移籍は、 期待と現実の狭間に揺れる、試練の始まりでもあった。

ら周辺が大混雑。6万人もの来場者数を記録した。 日本のファンの熱狂と興奮に、レッドブルは特別な リバリーで応じる。ホンダF1の初優勝車両であるHo nda RA272をオマージュした日の丸基調のカラーリン グだ。角田選手も、歌舞伎の隈取りをイメージした限 定デザインのヘルメットを準備して走行に臨んだ。 11時30分からのプラクティス1では、チームメイ トのマックス・フェルスタッペン選手が1分29秒065 を計測した。対する角田選手は1分29秒172の6番手 タイム。前任者のリアム・ローソン選手が序盤の2戦 で苦戦したこともあり、角田選手の走り出しを気にす る声もあったが、それらを払拭する速さを披露した。

Oracle Red Bull Racing 角田裕毅選手 ームグランプリということで、これまでで最高の状況 だと思いますし、興奮しています」と語る。一方で、 「(レッドブルに加入したからといって)特にスペシャ ルな感情はないです。レーシングブルズで鈴鹿を迎え る時と同じような気持ちです」と冷静な一面も見せた。

ここからマイレージを稼いでセットアップを煮詰め ていきたいところだったが、15時からのプラクティス 2は、セッション中に4度も赤旗中断に見舞われて、

角田選手はまともに走行メニューをこなせなかった。

プラクティス2を1分30秒625という18番手タイ ムで終えた角田選手だが「試したセットアップの方向 性は悪くなかったと思いますが、課題は低速コーナー かなと思います」と、先が見えている様子ではあった。

実は、鈴鹿の大会前に英国のファクトリーでシミュ レーターテストを行っていて、角田選手の提案が多く 盛り込まれたセットアップでプラクティスをスタート したようだが、その成果が芳しくなかったようだ。

金曜を終えた角田選手は「リアが少しナーバスかな と感じますけど、全体的にそこまで悪くないかなと。

まだ色々試している段階なので、まとめていきたいな と思います」と、土曜に向けてコメントしていた。

母国グランプリ参戦を前に 「プレッシャーをいっぱいか けてほしい」と新体制での意 気込みを語った角田選手。

レッドブル・レーシングのトークショーでは多く の観客が陣取って世紀の瞬間を分かち合った。

世界選手権/

Q1の角田選手は、フェルスタッペン選手にコンマ 034秒差の1分27秒967を計測してQ1を7番手で 通過。しかし、Q2ではタイムが伸び悩み、1回目のア タックは1分28秒154とQ1を更新できなかった。

芝生火災による赤旗中断を挟み、残り約8分30秒で Q2が再開。角田選手は新しいソフトタイヤで更新を 狙ったが、1分28秒000の15番手。Q3への進出は 果たせなかった。

「たくさんのファンの皆さんがいるなかで、Q3に行 けなかったのは残念です。Q2の最後はウォームアッ プがちゃんとできなかったのが一番の要因かなと思い ます」と悔しそうだった角田選手。しかし、前日の課 題については前進したようで「昨日からセットアップ はかなり改善できたと感じていますが、僕が思ってい たクルマが速くなる作りと、ラップタイムにつながる セットアップが全然違いました。それを予選前に見つ けられたんですが、Q1は良かったですけど、最終的 に合わせられなかったのが残念です」と語った。

一方、Q3でトップタイムを刻んだのはフェルスタッ ペン選手だった。好調マクラーレンのランド・ノリス 選手が叩き出した1分26秒995をさらに上回る1分 26秒983を計測し、今大会の予選最速タイム、そし て鈴鹿サーキットのコースレコードを更新して、日本 グランプリで4年連続のポールポジションを獲得した。

そして、カルロス・サインツ選手(Atlassian Willia ms Racing)が他車の妨害による3グリッド降格の裁 定があり、角田選手は14番グリッドに繰り上がった。

レッドブル・レーシングの2台は、Honda RA272 をオマージュした限定カラーを纏った。

予選Q1は7番手タイムでQ2に進出!

土曜は晴天に恵まれ、11時からプラクティス3が始 まった。しかし、金曜に続いてコース脇の芝生が燃え るアクシデントが起こり、2度の赤旗が出された。

セットアップ面で新たな発見があったという角田選 手は、トップから約コンマ8秒差となる1分28秒 785の9番手タイムを記録。今大会で初めて1分27 秒台に入れてきたマクラーレン勢とは差がある状態だ ったが、角田選手はQ3進出も狙えそうな雰囲気を醸 し出していた。

そして15時には予選がスタートする。Q1、Q2、Q3 という三段階の予選セッションを経て、決勝のスター ティンググリッドが決定される。この予選では、周囲

今年の1月にBWT Alpine F1 Teamのリザーブ ドライバーに就任した平川亮選手が出走した。

決勝はシビアな展開ながらも順位を上げる

11万5000人もの観衆が詰めかけた日曜の決勝日。

角田選手は朝からGPスクエアのFANZONEステー ジでトークショーに飛び入り出演し、決勝前には恒例 のドライバーズパレードに参加するなど、慌ただしい 1日を過ごした。そして、14時を迎え、大勢のファン が固唾をのむ中、53周の決勝レースがスタートした。

日曜日の路面状況は、夜半から午前中にかけて降っ た雨の影響もあり、一部に水溜りが残っている状況だ った。それでもコースのほとんどが乾いていたことも あり、各車ともドライタイヤを装着。なかでも角田選 手はミディアムタイヤを選んでレースに臨んだ。

スタートでは、14番グリッドの角田選手が13番グ の予想どおり角田選手は力強い走りを披露した。

リアム・ローソン選手をパスした角田選手は、ピエール・ガ スリー選手をピット作業で逆転し12番手に上がった。

角田選手のレース後半はフェルナンド・アロンソ選手の背 後を走り、周回ごとに差を詰めたが僅かに届かなかった。

頂点を狙えるトップチーム、レッドブル・レーシングへの電撃移籍で、日本だけではなく世界中のファンの期 待が高まった角田選手。しかし、緒戦の鈴鹿では12位フィニッシュに終わり、入賞には届かなかった。

リッドのローソン選手(Visa Cash App Racing Bulls F1 Team)と激しいポジション争いを展開した。2コー ナーではサイド・バイ・サイドとなったが、角田選手 は自身のラインが濡れていることもあり、無理な追い 越しをしなかった。しかし、コース後半にかけてアグ レッシブな走りで突破口を開き、スプーンカーブでオ ーバーテイクに成功した。その後はピエール・ガスリ ー選手(BWT Alpine F1 Team)の背後でポジション アップのチャンスをうかがったが、抜きにくい鈴鹿で は並びかける機会は得られなかった。

20周を過ぎて上位陣がピットストップを済ませて いく中、角田選手も23周目にタイヤ交換を行い、ハ ードタイヤを履いて第2スティントに突入した。雨上 がりの決勝となった今回は、周回が進むごとに路面コ ンディションが回復していく状況となっていた。ま た、タイヤのデグラデーションが思った以上に少な く、ほとんどのマシンが1ストップ作戦を選んだ。

このピットストップで、ガスリー選手を逆転して12 番手に上がった角田選手は、11番手を走るフェルナン ド・アロンソ選手(Aston Martin Aramco F1 Team) の背後につけた。しかし、追い抜くまでには至らず、 角田選手の順位は最終周まで変わらなかった。

決勝レースは、チームメイトのフェルスタッペン選 手が後続を僅差で振り切り、うれしい今季初優勝を挙 げた。対する角田選手は、Oracle Red Bull Racing での緒戦を12番手でチェッカーを受けた。

「年に一度のホームグランプリでポイントを狙ってい ただけに悔しいです」と語った角田選手。しかし、そ の表情は週末の中で一番充実しているようだった。

「このクルマで初めてレース距離を走った中で、いろ んなことが学べましたし、毎周、違うことが起きて、 クルマの理解はかなり深まったと思います。与えられ

た時間の中では悪くない内容だったと思います。今日 はものすごい数のお客さんがいてくれたので、だから こそ、皆さんの目の前で良い走りをしてトップ10を 狙いたかった。それだけに、悔しい気持ちで終わって しまったんですが、毎周お客さんを見てすごくエネル ギーをもらいました。次こそはもっといい状態で来 て、トップ10だけでなく、もっと上を目指せるよう にしたいです」と、角田選手は決意を新たにしていた。

日本グランプリでの経験を踏まえた角田選手は、新 たな環境において「課題は予選」と明言している。

「特に(タイヤの)ウォームアップですね。そこでのコ ンスタント性が重要なので、あとは学んでいる最中と いうか、まだまだ一戦しか終わっていないです。チー ムメイトは(レッドブルのクルマに)9年も乗ってい て、それが大きな違いだと思います。いま学んで成長 していることは良い方向だと思うので、焦らず、徐々 に続けていきたいです」と角田選手は語った。

直後の第4戦バーレーンGP では9位に入った角田選手。 展開の綾に泣かされること もあれば、しぶとく戦ってポ イントを獲得することもある という、浮き沈みはあるもの の、今後の習熟と前進に期待 が集まっている。

ダンディライアン勢、怒涛の快進撃! ライバルたちは後半戦をどう戦う?

昨年12月、そして今年2月の合同テストから速さを見せる牧野任祐選手、 そして、開幕大会の鈴鹿サーキットで3連勝を挙げた太田格之進選手は、 モビリティリゾートもてぎでも好調でランキング上位を維持している。

ダンディライアン勢のスーパーフォーミュラ快進撃はこのまま続くのか!? 不運も続いたライバル勢の動向など、ここではシーズン前半戦を振り返る。

PHOTO/石原康[Yasushi.ISHIHARA]、遠藤樹弥[Tatsuya.ENDOU]、桑原太郎[Tarou.KUWAHARA]、吉見幸夫[Yukio.YOSHIMI]  REPORT/貝島由美子[Yumiko.KAIJIMA]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

TEAM.MUGENの野尻智紀選手と岩佐歩夢選手。2025シーズンこそ、この二人が 中心となってシリーズが回るはずだったが、それぞれに不調と不運が重なってしま い、持てる速さが成績に反映されない前半戦を送っている。

鹿サーキットで行われる2大 会、富士スピードウェイで行わ れる2大会、そしてモビリティ リゾートもてぎでの1大会と、計5大会が 2レース制となった2025シーズンの全日 本スーパーフォーミュラ選手権。加えて、 オートポリスとスポーツランドSUGOで 各1レースが開催されることで、シリーズ は全12戦で争われることとなった。

5戦が終了した時点でランキングトップ に立っているのは、DOCOMO TEAM DA NDELION RACINGの牧野任祐選手だ。

昨年、初優勝を含めて2勝を挙げ、最終 戦までタイトル争いを演じた牧野選手は、 開幕戦鈴鹿の決勝こそ10位に終わったが、 今年はすでに2勝をマーク。他のレースで も取りこぼしなくポイントを重ねている。

き出した。このテストで各チーム、各ドラ イバーが初めて装着したのが、2025シー ズンから新スペックとなったタイヤだ。

再生可能原料の使用割合が増えた、横浜 ゴムが提供する新スペックタイヤは、昨年 より初期グリップが少し低めで、コンパウ ンドが硬めになったと言われている。各チ ームはその特性を理解したセットアップを 見つける作業を予定していたが、舗装が新 しくなった鈴鹿では東コースの一部にギャ ップがあり、思うようなデータ収集ができ なかった。それでも、最後のアタックで最 速タイムを計測したのは牧野選手だった。

2024シーズン、DOCOMO TEAM DA NDELION RACINGの課題は、予選にお けるマシンバランスだった。また、決勝レ ース時も、「燃料が重い時にはなかなかペ ースが上がらず、軽くなってもオーバース テアが顔を出すなど、挙動が安定していな かった」と杉崎エンジニアは振り返るが、 それを徹底的に潰していったという。

鈴鹿サーキットの開幕大会 太田選手と牧野選手が躍進

牧野選手のチームメイトである太田格之 進選手もここまで2勝をマークしているが、 ノーポイントのレースが2回あったため、 牧野選手に次ぐランキング2位につける。

この2人を追っているのが、オートポリ スで今季初優勝を挙げたディフェンディン グチャンピオンの坪井翔選手で、参戦2 年目となる岩佐歩夢選手、自身3度目のタ イトルを狙う野尻智紀選手が続いている。

2024シーズンの課題をさらう 年末年始の合同テストの成果

今季のスーパーフォーミュラは2月中旬 に行われた第1回の公式合同テストから動

牧野選手は旧スペックタイヤで行われた 昨年12月の合同テストでもトップタイムを 刻んだが、その時も含めて、特に笑顔を見 せることはなかった。牧野選手を担当する 杉崎公俊エンジニアによると、「事前のミー ティングでテストの段取りやメニューを決 めて、それを淡々とやっているんですね。 その結果、最後にタイムが出たら"まあ、 良かったね"という感じですよ」とのこと。

12月のテストでは、太田選手が初日を 欠席したため、牧野選手は2台のマシンを 乗り比べることになった。このテストで車 両の個体差や特性を確認した。これが牧野 選手とチームにとって、大きな財産となっ たようだ。そして、太田選手も牧野選手に 続くタイムを計測しており、すでにこの時 から、牧野選手と太田選手の好調ぶりは確 定していたようなものだった。

2025年JAF全日本スーパーフォーミュラ選手権 Drivers Standings Pos. No.

2025シーズンの開幕大会は、鈴鹿サー キットの2レースで、昨年に続き3月初旬 に行われた。3月8日(土)は午前中に予選 が行われ、野尻選手がポールポジションを 獲得。チームメイトの岩佐選手が続き、太 田選手が3番手、牧野選手が4番手を獲 得。坪井選手は9番手に留まった。

瑶子女王殿下が3月7日から11月23日までスーパーフォー ミュラ名誉総裁に御就任されることが発表された。

今季はスーパーライセンスポイントが30点に拡大され、FIA インターナショナルシリーズとして開催されることに。

2024シーズンはスーパーフォーミュラとスーパーGTのダブルチャンピオンを獲得した坪井翔選手だが、ようやく第5戦オートポリスでシーズン初優勝を挙げた。その間に、年を追 うごとに意識の高まりを表面化させている山下健太選手が速さを見せ、佐藤蓮選手も決勝でリザルトを残してきており、後半戦でのさらなる活躍が期待されている。

午後からの第1戦決勝ではアクシデント が相次ぎ、セーフティカー(SC)が3回も 導入される荒れた展開。2回目のSC導入 時にはタイヤ交換のウィンドウが開き、全 車が同時ピットインする状況となった。

2台体制の場合、後方の1台はチームメ イトのタイヤ交換を待たなければならない ため、ここで順位が大きく変動した。序盤 3番手を走っていた野尻選手が8番手まで ドロップ、牧野選手はリスタートでギヤが 入ったままストールして大きく後退した。

そして、このタイヤ交換後、2回目の SC明けにトップの岩佐選手を攻略したの が太田選手だった。そのまま首位を譲らず 幸先のいい今季初優勝を飾り、昨年の最終 大会に続き、鈴鹿で3連勝を果たした。

岩佐選手が2位、佐藤蓮選手が3位だっ た一方で、優勝した太田選手と同様に第1 戦で好走を見せたのは牧野選手だった。

牧野選手は17番手までドロップした後 でポジションを回復。10位まで浮上してみ せた。テストの段階から、牧野選手は新ス ペックタイヤについて、「ユーズドでもタ イムの落ち込みが少なく感じる」とコメン トしていたが、テストで積み重ねてきたレ ースペースの良さがここで活きていた。

翌9日(日)、鈴鹿での第2戦はまた違う 展開となった。午前の予選は、トップ3は 第1戦と同じ顔ぶれとなり、野尻選手は 21回目となるポールポジション獲得で、 最多ポール獲得記録を更新した。これに岩 佐選手と太田選手が続き、坪井選手が4番 手、牧野選手が5番グリッドを獲得した。

しかし、第2戦の決勝スタートでは、野

尻選手は2速に入らず、太田選手も失速気 味となり、レース序盤は岩佐選手、野尻選 手、牧野選手、太田選手、坪井選手という オーダーになる。鈴鹿での第2戦は、タイ ヤ交換のウィンドウが定められていなかっ たため、オープニングラップを終えてすぐ ピットインした選手が複数いた。スタート でポジションを落とした野尻選手と太田選 手もこのタイミングを利用し、首位の岩佐 選手も、その翌周にはピットに入った。

これに対して、タイヤ交換を引っ張った のが牧野選手と坪井選手だった。レース終 盤には、自力でトップに立った牧野選手の 後方に太田選手と坪井選手が並ぶオーダー となったが、太田選手はシケインをショー トカットして岩佐選手をかわしたことか ら、レース結果に5秒加算のペナルティが 科せられた。しかも、最後はSCランでの チェッカーとなったため、太田選手は順位 を大きくドロップしてノーポイント。牧野 選手が今季初優勝を飾り、坪井選手が2 位、岩佐選手が3位に入った。

ライバルたちの不運を横目に 表彰台の高みを独占する

第2大会のもてぎでは、第3戦と第4戦が 行われた。4月19日(土)に行われた第3戦の 予選では、牧野選手が今季初のポールポジ ションを獲得。太田選手も2番手につけて、 DOCOMO TEAM DANDELION RACI NGがフロントローを独占した。

第3戦決勝では、スタートで太田選手が ポジションを一つ落としたものの、早めの タイヤ交換で挽回を狙う。序盤でトップを

快走し、ピット作業を遅らせた牧野選手 は、太田選手の後ろでコースに戻ったが、 フレッシュタイヤを活かした牧野選手が、 直接のバトルで太田選手の前に出た。

これで牧野選手が今季2勝目をマーク。 太田選手が2位で、チームとしては13年ぶ りのワン・ツーフィニッシュを獲得した。

3位には予選から速さを見せていたイゴ ール・オオムラ・フラガ選手が入って初表 彰台を獲得した。ピット作業をもっとも遅ら せた坪井選手は4位フィニッシュ。野尻選 手は「タイヤを上手く使えなかった」と9位、 ギヤシフトのトラブルに見舞われた岩佐選 手はリタイアを喫する。TEAM MUGENに とって、手痛い一戦となった。

翌20日(日)に行われたもてぎ大会の第 4戦予選では、もてぎを得意とする山下健 太選手が今季初のポールポジションを獲 得。これに太田選手と牧野選手が続いた。

第4戦の決勝は、鈴鹿での第2戦同様に タイヤ交換のウィンドウがなかった。そし て、スタート直後に多重アクシデントが発 生してSCが導入されると、山下選手や太 田選手はすぐさまピットに入った。

しかし、山下選手のクルーにミスがあ り、ピットアウト後に右リアタイヤが脱 落。太田選手がタイヤ交換組のトップに立 つ。これに対して、牧野選手と岩佐選手、 坪井選手らはステイアウトを選択したが、 坪井選手は前日の岩佐選手と同様に、ギヤ シフトのトラブルに見舞われてしまう。

坪井選手を担当する小枝正樹エンジニア は「開幕前から新しいタイヤにアジャスト し切れておらず、リアが滑る状態がありま

した。もてぎも持ち込みは良くなかったん ですが、決勝ではそれなりに追い上げられ るようになって、対処はできてきたと思い ます」と言うだけに、このギヤシフトトラ ブルによる戦線離脱は大きかった。

その後、レースは太田選手と牧野選手、 岩佐選手の戦いとなったが、タイヤマネジ メントを完璧にこなした太田選手が逃げ切 って優勝。交換を遅らせた牧野選手と岩佐 選手が終盤で激しく争ったが、牧野選手が ポジションを守り切って2位入賞。第3戦 に続いて、DOCOMO TEAM DANDELI ON RACINGがワン・ツーを達成した。 岩佐選手は3位に入ったものの、野尻選手 は低迷したまま10位でもてぎを終えた。

想定外の牧野選手と太田選手 坪井選手がシーズン初勝利

5月中旬にはオートポリスで第5戦を迎 えたが、あいにくの雨と霧に見舞われて、 17日(土)は全セッションがキャンセル。 18日(日)午前から予選が行われた。この 予選では、アクシデントの影響もあって、 後半では誰もタイムを伸ばせなかったが、 最終的に今季3回目のポールポジションを 獲得したのは、野尻選手だった。

もてぎで悔しさを味わった山下選手が2 番手、小林可夢偉選手が3番手。坪井選手 は5番手、岩佐選手は7番手につけた。

太田選手は8番手、牧野選手は13番手 だったが、「これまでのオートポリスのセッ トアップを一歩進めようと欲をかいたのが 裏目に出た」と杉崎エンジニアが言うよう に、DOCOMO TEAM DANDELION RA CING勢は予想外の結果に終わった。

午後から行われた決勝では、スタート後 にポジションが入れ代わり、野尻選手、坪 井選手、岩佐選手、山下選手というオーダ ーになった。牧野選手は9番手へとアップ。 太田選手はアンチストールが入ったことで、

第3戦と第4戦では決勝レース序盤にアクシデントが起きたが、競技役員やコースマーシャルの機敏な活動によ りレースは正常化された。最高峰シリーズは多くのボランティアオフィシャルの役務により支えられている。

大きくポジションを落としてしまった。

このレースでは、牧野選手が早めのピッ トインを選択した。レース距離の3分の1 ほどを終えたところで岩佐選手がピットに 入り、タイヤ交換組のトップに立った。そ の後の岩佐選手のペースを見て、野尻選手 と坪井選手もピットに入った。坪井選手は ピットアウト直後に野尻選手をバス。しか し、後方から迫った岩佐選手の先行を許 し、事実上のトップは岩佐選手となった。

その後、SCが導入され、リスタート後 には多くのバトルが勃発。これに対して、 岩佐選手はトップを快走していたが、右フ ロントタイヤのナットが緩んでスローダウ ン。またしても目の前の優勝が手のひらか らこぼれ落ちた。代わってトップに立った 坪井選手がようやくシーズン初優勝。野尻 選手が2位、山下選手が3位に入賞した。

牧野選手は6位までポジションを戻す走 りを見せ、ランキングでもトップに立った。

太田選手はノーポイントに終わってランキ ングは2位。坪井選手が3位に浮上した。

7月と10月に富士で4戦を開催 タイトル争いの天王山を迎える

好タイムをマークして、いずれもロングラ ンまでを充分にこなしている。

牧野選手を担当する杉崎エンジニアは、 次の富士大会に関して、「タイトルを決定 づける最重要レース」と捉えているそうだ が、「テストでやったことが全部良かった だけに、逆に迷いが出ている。そこが懸念 事項」であるとも語る。一方、昨年は富士 で圧倒的な力量を見せてタイトル確定につ ないだ坪井選手を担当する小枝エンジニア は、「これまでやってきたことが間違って いない、ズレていないと、テストで確認で きた」と落ち着いた様子だった。

6月6日(金)~7日(土)には、富士スピ ードウェイで今季2回目となる合同テスト が行われた。ここでもランキング上位者が

もちろん太田選手や岩佐選手、野尻選手 らも虎視眈眈と富士での勝利を狙ってい る。富士のテストでも、山下選手をはじ め、Kids com Team KCMGの2台や、 これまで夏場に不調に陥ることが多かった PONOS NAKAJIMA RACINGの2台な どが、後半戦で優勝争いに絡んでくること を警戒している様子もうかがえた。

2025年は7月下旬の富士連戦と8月の SUGO戦、10月中旬の富士連戦、そして11 月下旬のJAFグランプリ鈴鹿連戦の4大会 7戦を残している。牧野選手と太田選手の 活躍により、快進撃を続けるダンディライ アン勢の躍進の行方を含め、今季のタイト ル争いはここから佳境に入っていく。

第3戦もてぎで3位に入賞した苦労人、イゴール・オオムラ・フラガ選手を筆頭に、ルーキー 勢も虎視眈々。もてぎ大会では小林利徠斗選手がオリバー・ラスムッセン選手の代役参戦を 果たした。そして、リザーブとして開幕戦から代役参戦していた野中誠太選手は、第5戦から KDDI.TGMGP.TGR-DC.29号車の正ドライバーとしての登録を果たしている。

〝

その代表格とも言えるFormula

四輪レースへのステップアップを 資金面も含めて支援していくスカラシップは 今、レース界全体を活性化させる原動力となっている。

Blueを始めとした、 カートのスカラシップの現在を探ってみよう。

レーシングカートというフィールドから 優れた才能を発掘して育て上げる。

〟

PHOTO/今村壮希[Souki IMAMURA]、小竹充[Mitsuru KOTAKE]、 長谷川拓司[Takuji HASEGAWA]、株式会社菅生[SUGO]、 JAPANKART、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]  REPORT/水谷一夫[Kazuo MIZUTANI]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

勝つための集団から支援へと転換 若き才能を磨くFormula Blue

レーシングカートの全日本選手権には、ふたつの顔 がある。ひとつはカートレースというカテゴリーの頂 点としての顔。もうひとつは四輪レースに進んでプロ ドライバーを目指す道の第一歩としての顔だ。

全日本をメインとするカートレースの世界には現在、 才能豊かなドライバーの四輪レースへのステップアッ プをサポートするスカラシップが複数存在し、未来を 目指す若手ドライバーたちに夢と希望をもたらしてい る。ただ、このようにカートレースと四輪レースが強 くリンクするようになったのは1990年代に入ってか らのこと。カートで全日本チャンピオンを獲得した鈴 木亜久里氏や野田英樹氏らが、実績も知識もコネクシ ョンもゼロの状態に戻って、四輪レースを目指すため に再び荒野を歩んでいた時代とは、隔世の感がある。

現在、カートレースのスカラシップと言えば真っ先 に名前が挙がるのが「Formula Blue」だろう。これは 株式会社菅生がTOYOTA GAZOO Racingの支援の 下で展開するスカラシッププログラムで、トヨタ系の トップカテゴリーまでつながる強力なステップアップ ルートの入口であるとも言える。

Formula Blue設立の過程を説明するにあたり外せ ないのが、ヤマハとカートの歩みである。ヤマハは、 日本のカートレースの黎明期からワークスチームを結 成して全日本に参戦し、契約選手を各地に派遣するヤ

3名のドライバーを起用して全日本カート選手権に参戦している。

マハワークス・フレンドシップツアーを開催するなど、 勝利を目指す戦闘集団として、全日本の歴史を彩って きた。その後、1999年にトヨタ・ヤマハステップアッ プシステムを確立。これにより全日本での活動は勝つ ためのものからドライバーのステップアップを支援す るものへと方針を転換。2018年にはFormula Blueの 名を冠したドライバーサポートプログラムが始まった。

現在のFormula Blueのプロジェクトはふたつに大 別される。ひとつは、Formula Blueが直轄するチーム 『YAMAHA MOTOR Formula Blue』にドライバーが 所属して、四輪レースへのステップアップを明確な目 標とするチーム体制の下で指導を受けながらレースに 参戦するもの。この形態は、2024年までは全日本OK 部門が対象だったが、2025年はひとつ下のカテゴリー であるFS-125部門も活動の対象に加わった。

ヤマハ・ワンメイクのローカルレース、SLカートミーティングからFo rmula Blueが活動する全日本カート、さらにTGR-DCレーシングス クールへとステップアップの道はつながっている。

もうひとつは、ドライバーが自ら選んだチームに所 属しながらFormula Blueのドライバーとしてレース活 動を行うもの。こちらは言うなればYAMAHA MOT OR Formula Blueの前段階に当たるサポート形態だ。

ブルーとホワイトを基調とするマシンやウェアのカ ラーリングは、若きカートドライバーたちにとっての 憧れの存在となっている。そんなFormula Blueに携 わっているキーマンたちの、このプロジェクトに対す る理念や思いを聞いてみよう。

勝利を求めるワークスチームに 始まったヤマハのカートプロ ジェクトは、新たな才能を発掘し 育むプログラムへと転換された。

Formula Blueではカートレース に留まらない幅広い分野のプロ フェッショナルを講師やアドバ イザーに迎え、スカラシップ選手 たちの指導に当たっている。

YAMAHA MOTOR Formula Blueは、2025年から活動範囲を2部門に拡大。OK部門に3名、FS-125部門に

四輪チームのカート版ともいうべき 充実した体制でプロの卵たちを育成

全日本カートのパドックでひときわ目を惹く、ブル ーとホワイトの広大なテント。その中には、綺麗に磨 き上げられた各ドライバーのマシンと整備などに使う 備品、そして休憩やミーティングのためのテーブルが 整然と並べられている。ここがYAMAHA MOTOR Formula Blueのチームテントだ。

このチームを代表として率いるのは高木虎之介氏。

「僕の時代は12歳からしかカートができなかっ たし、教えてくれる人もいなかった」と現役当 時を振り返る高木虎之介氏。後輩たちに注ぐそ の眼差しは温かい。

レースウィークは基本的にチームで寝食を共にしているため、協調性が養わ れる。各種ミーティングが行われ、常にコミュニケーションが図られていた。

YAMAHA MOTOR Formula Blueのカートレースに おける活動は、同じく高木氏が代表を務め、宮田莉朋 選手や小高一斗選手を輩出したカートチーム、TAKAGI PLANNINGに委託されている。少年時代にカートで全 日本チャンピオンに輝いた後、当時としては異例の若さ でヤマハ・ワークスチームに迎えられ、四輪レースにス テップアップするや駆け足でF1まで昇り詰めていった 高木氏の活躍は、ご記憶の方も多いはずだ。

その高木氏はYAMAHA MOTOR Formula Blue について、「このチームの目的は、TOYOTA GAZOO Racingドライバー・チャレンジ・プログラム(TGRDC)のレーシングスクールにドライバーたちを合格さ せることです」と明確に語る。

「昔から付き合いのあるベテランのメカニック とか、チームにはいい人材を集めた」と高木氏 が自負する体制で、経験の浅いドライバーたち の成長をしっかりと支える。

メンタルトレーニング指導士の小林玄樹氏は 静かにドライバーたちを見守りつつ、必要に応 じて助言を行う。通常のカートチームとは一線 を画す環境だ。

元田心絆選手は2023年にジュニアカ デット部門、2024年にジュニア部門(ラウ ンドシリーズ2)を制してジュニアカート選 手権2連覇を果たした実績によって、年齢制 限の壁を越えて特例で2025年の全日本 カート選手権FS-125部門への出場を認めら れた期待の新鋭だ。

「詳しいことはよく知らなかったんですが、 Formula Blueはチーム自体が大きいしカウ ルも綺麗でカッコよくて、すごく憧れてい ました。チームに入ってみたら想像とは全 然違ってみんな明るいし、いろいろ教えて くれたり励ましてくれたりして、良い環境 に入れたなと思います。走り方をいっぱい 教えてくれたおかげでレースでも余裕が出 て、成長できていると実感しています」。

全日本カート選手権 OK部門  佐 さ 藤 とう 佑 ゆ 月 づ 樹 き 選手

選手はチームスタッフより早めにサーキットに入って レースの準備を進め、それが終わったらトレーニング へ。ドライバーたちが学ぶべきことは多い。

フィジカルトレーニングを習慣化することで、レース 本番でその効果が発揮される。四輪にステップアップ した後でも応用できる内容で組み立てられていた。

「今、トヨタも若手育成に力を入れてくれているんで すが、TGR-DCのスクールに入っていざ走りましょうと なったときに、何も知らない状態の人が多い。だから、 ここでは四輪とほぼ変わらないような体制をつくって、 チーフメカニックがいてデータエンジニアがいて、と いう環境の中で、それまでのカート活動でやってこな かったことを教えてます。四輪ではメーカーやスポン サーの人もいっぱいいるし、挨拶や会話の仕方から教 えます。フォーミュラドライバーの基本づくりですね」。

そんな高木氏が最近のドライバーたちに対してとく に感じているのが、持久力や筋力を含めた体力の不足 について。そこでチームでは、レースウィークに限ら ずドライバーがサーキットに入る日は毎日、朝に身体 トレーニングを行っている。基本的には身体のウォー ムアップを兼ねているそうだが、レースの直前に行わ れるとは思えないほど濃密なメニューをこなしている。

それは1km程度のコースを1周するランニングに始ま り、縄跳び、体幹を鍛えるさまざまなトレーニングな ど、みっちり1時間近くに及んでいた。各個人の自主 性に任せるとサボってしまうこともあるようで、チー ムのメンバーが一緒のときに実施するとのことだ。

さらに、スポーツ分野のメンタルトレーニングの専 門家である小林玄樹氏も、許す限りレース期間のチー ムに帯同するほどの徹底ぶりだ。スカラシップ選手の 様子を観察しながら、各人の個性に応じたメンタルの つくり方をアドバイスしている。

佐藤佑月樹選手は2023年に全日本FS125JAF部門でタイトルを獲得。翌2024 年にOK部門へ上がると同時にFormula Blueの一員となり、今季はスカラシップ2 年生として引き続きOK部門を戦っている。 「Formula Blue加入が決まった時は、育成を 目的にしたチームに入れたことがすごくう れしかったです。最初は、初めて組むメカ ニックさんとコミュニケーションを取るこ とがちょっと難しかったけれど、それができ るようになってからはチームの体制のよさ が分かってきました。ロガーを見ながら コースごとの速い走り方を教えてもらえた り、いろいろなアドバイスをもらったりし て、このチームはさすがだなと感じることが 多いです」。

データロガーで多角的な分析を行い、自身の走りを振 り返る。豊富なデータ量を持つチームからアドバイス を受け、走りにフィードバックさせるために試行錯誤。

「カートも四輪も、クルマを速く走らせる理論は一緒」 と語る高木氏。だからこそ、カートで光る速さを見せ た有望な選手たちが、四輪に行っても迷いなく成長で きるように育てあげたい。YAMAHA MOTOR Form ula Blueの活気あるテントは、そんな高木氏の思いを 具現化した場所であると言えそうだ。

シリーズ賞典とスカラシップが4クラスに設定されているGPR KARTING SERIES

GPR 松浦佑亮代表

全日本OK部門とジュニア選手権(ラウンドシリーズ1)のタイトルがかかったシ リーズ戦、GPR KARTING SERIESにも、年間成績などに応じた多くのスカラシッ プが設けられている。最大の目玉はシリーズスポンサーであるオートバックスから チャンピオンに授与される、翌年度のレース参戦資金だろう。OK部門だと、フォー ミュラレースにステップアップする場合は300万円、カートレースを継続する場合 は200万円と高額のサポート(受賞にあたっての諸条件あり)が用意されているの だ。さらにワンメイクタイヤを供給するダンロップからはチャンピオン30万円、シ リーズ2位20万円、同3位10万円のレース活動奨学金を授与。シャシーメーカー のGLEATEQによるチームチャンピオンへの賞金もある。これらの支援をもとに 四輪レースへ進出していった選手も多い。

Y A M A

才能をすくい上げて 未来へのチャンスを与えたい

Formula Blueの活動内容は、レース参戦だけに留 まらない。毎年一度催されるフォーミュラマシンのト レーニングデイ、TGR-DC所属の四輪ドライバーたち と席を同じくするメンタルトレーニング講習会など、 その年間プログラムは多岐に渡るものとなっている。

これらFormula Blue全体の活動をプランニングし て推進する、いわばFormula Blueの牽引役が、アン バサダーの片岡龍也氏だ。ヤマハがワークスチームと して全日本を戦っていた当時からチーム監督を務めて いた片岡氏は、2018年のFormula Blue発足と同時に アンバサダーの役に就いた。さらにTGR-DCでも校 長を務めており、TOYOTA GAZOO Racingの若手レ ーシングドライバー育成プロジェクト全般を統括する 立場にある。

「ワークスチームの監督のころからヤマハの活動として のブランディングや選手の育成はしていたんですが、や はり限られた人間ではなくもっと多くの選手をサポート することで、いろんな境遇の中でチャンスをつかみきれ ていなかった子たちを発掘したいっていう方向に切り替

現役ドライバーでもある片岡氏。全日本カートでのレース活動はチーム監 督の高木氏に一任しているが、6月15日のOK部門第3戦/第4戦では、多忙 なスケジュールを縫って会場へ選手たちの指導に訪れた。

わっていきました。Formula Blueが最終的な目標とし ているのは、TGR-DCレーシングスクールに優秀な選手 を送り込み、合格させ、将来的にトヨタの看板を背負う ドライバーを育成することです。なので、四輪に行く前 からその準備をしてもらい、そして少しでも才能を取り こぼさないようにするための活動を目指しています」。

Formula Blueへのドライバーの加入は敷居が高い ように思われがちだが、そんなことはなく、各種応募 条件をクリアすれば誰でも応募が可能となっている。 これはカート界から広く才能をすくい上げる、という ヤマハの明確なビジョンの表れでもある。

「実際は事務局であったりヤマハの担当者であったりが 普段のレース活動を見てきて、ある程度の目星がついて いる選手の中から応募が来るので、そういった中からさ らにピックアップしたドライバーを、最終的に僕と高木 さんとで面接します。ドライビングスキルは1年分のリ ザルトからある程度の評価ができるので、僕は表情を 見て目を見て、会話をして選ばせてもらいます。なの で、僕が見るのは実技ではなく人間性の部分ですね」。 「もちろん一番大事なのは速さですが、単に1位が偉 いというのではなく、こういうパッケージでの3位は凄 い、逆にこのパッケージなのに1回しか勝てていない、 という風にある程度バランスを考慮して判断します。 だから、現状ではまだそんなに立派な結果が出ていな いけれど、多分良い環境を与えれば行くなと感じられ

小林利徠斗選手はジュニア時代から活動 を共にしてきたチームに所属したまま、For mula Blue SuperRacingJunkie!のドライ バーとして全日本FS-125部門に参戦してい た。その後、四輪にステップアップしてから の活躍はご周知のとおりだ。

「Formula Blueのドライバーに選ばれたとき は、率直にうれしかったですね。ウチは一般 的なサラリーマンの家庭で、レースの活動 資金の面では苦しい状況だったので、サ ポートを受けてレースができることが非常 にうれしかったです。自分のカートのカウル にサポート企業のロゴがいろいろ貼ってあ るのを見て、多くの支援があることを実感 しましたし、自分にできる限りのことをしっ かりやらなければ、と改めて気持ちが引き 締まりました」。

「僕がカートから四輪に上がったときに経験し てきたドライビングやセッティングの勘違いを 繰り返すことなく、さらに成長させてあげたい」 と片岡氏。

スカラシップ生には年に1回、フォーミュラマシ ンを使ったトレーニングデイを設定。Formula Blueの年間プログラムは全日本カートへの参 戦に留まらないものだ。

て、人間的にも素晴らしいという選手がいれば、その 子を選びます。著しいリザルトがないのに選ばれたよ うに見える選手には、そういう背景があります」。

そうして選抜したドライバーたちの様子を見ていて、 片岡氏は現代の若者たちの気質について感じるところ があるという。

「ちょっと厳しい言葉かもしれませんが、今の選手た ちは与えられることに慣れているというか、自分で物 事を吸収しようとする力が以前より弱いように感じま す。だから、昔のように目で盗め、肌で感じろではな く、きちっと教えることが重要だと思っています。とり あえず1から10まで一度教える。教えた上で分からな いことが出てきたら、それを指導していく。この10年 で、ひとりの選手に教えることは圧倒的に増えました」。

片岡氏は、カートではヤマハ・ワークスドライバー として全日本の最高峰クラスを2連覇。四輪へのステ ップアップではフォーミュラトヨタ・レーシングスク ールの初代スカラシップ生と順風満帆のレース人生を 送ってきたかのように思えるが、実はそのステップに は多大な苦労があった。そういう過程を経てきた片岡 氏は、今のステップアップ環境について、ある種の変 化を感じ取っている。

「僕が四輪に上がった当時はカートと四輪の違いを教 えてくれる人がいなかったので、自分でその違いを考 えてレースに取り組んでいました。だから、そういうこ とを自分で考えられる選手たちが成功していたんです。

それが今は何でも教えてもらえて成長しやすい環境に

プロフェッショナル

「60点の環境で70点の結果を出し、70点の環 境で80点の結果を出す。これを繰り返していけ ば、いずれは100点の環境が手に入る」と、片 岡氏は若手たちを激励する。

なった分、ライバルも同じように成長します。自分で大 事なことに気づけなくても、それを教えてもらえる環境 にある選手の方が活躍してしまうかもしれません。なの で、レースでの成功を手に入れていく上で必要な能力 は、今と昔では若干違うのかなとも感じています」。

日本のカート界を長きに渡ってサポートしてきたヤ マハ発動機とヤマハモーターパワープロダクツ、ヤマ ハエンジンの販売などを担ってきた株式会社菅生は、6 月18日付けのリリースで、2027年末でのカート事業 からの撤退を発表したが、Formula Blueについては来 季も今季同様の活動を行う予定とのことだ。時代とと もに移り行く日本のカートシーンに、そして若手ドラ イバーたちのステップアップ環境にどんな影響をもた らすのか、引き続き注視したい。

若き日の片岡氏の全日 本カートデビューは、マ シンの供与を受けて実 現したもの。その当時に 痛感したサポートのあり がたみは、今のアンバサ ダーとしての活動にも 活かされている。

全日本カート選手権 EV部門の大会スカラシップ「FIA-F4参加権利」進呈

全日本カート選手権EV部門の運営母体である株 式会社トムスは、5月1日にシティサーキット東京ベ イ(東京都江東区)で開催された2025シリーズの大 会概要発表会において、この選手権を“プロを目指 すカートドライバーたちの育成の場”と位置付け、同 時に大きなスカラシップの新設を発表した。それは、 2025シリーズのチャンピオンへのFIA-F4参戦権利 の贈呈だ。このサポートにはエントリー費、合同テス ト費、ガレージ及びサーキットでのメンテナンス費、 消耗品が含まれる予定となっている。2024年から EV部門で各大会の優勝者に対して実施されている TOM’Sフォーミュラカレッジ初級コース参加権の 授与に加えて、これ以上ないチャンスが設けられた 形だ。7月21日に開催されるEV部門第3戦/第4 戦の熱戦に、ますます期待が高まった。 株式会社トムス 谷本勲代表取締役社長

UNIZONEの HOME&HOMEで 地方創生に向けた取り組みを加速 バーチャルのレースで勝敗を決めるEモー タースポーツは、参加者をひとつの会場に 集め、会場に用意されたレーシングシミュレ ーターで対戦する“オフライン大会”と、自 宅やシミュレーターショップ等からインター ネットを介して対戦する“オンライン大会” という2種類の開催形式がある。

2025年より開幕したUNIZONE e-Motor sport Leagueでは、Rd.2以降、参戦チーム が各自の拠点でイベントを行いながら、イン ターネットを介してオンライン上で大会を実 施する形式(UNIZONEは「HOME&HOME」 と呼称)が採られている。開催地は各チーム が拠点としている群馬、東京、浜松、名古 屋、熊本で、この5拠点のいずれかに行くと UNIZONEを生で観ることが可能となった。

そんなチームの大半には、それぞれの拠 点で成しえたい共通のテーマがあった。そ れは、Eモータースポーツをきっかけに、地 域社会を盛り上げることである。このUNIZ ONEのHOME&HOMEをうまく活用し、 地元チームを応援する新規ファンの獲得や、 Eモータースポーツに関心がある若者を集客 して活性化を図り、地域への愛着や関心を 持ってもらう契機としたいようだ。

確かに、Eモータースポーツは距離や年齢、 性別、身体的なギャップ由来の差が生まれ にくい。このメリットを活用すれば、さまざ まな人々が一緒に盛り上がれる環境を各地 域につくり出すことができるわけだ。

すでに開催された4月29日のRd.2と6月 14日のRd.3から、2つの拠点をクローズア ップ。まず、静岡県浜松市に拠点を置く「遠 州ハママツモータース」は、「はままつ地ビー

UNIZONE × 地域振興の方程式

2025年2月に開幕したUNIZONE e-Motorsport Leagueは 早くもRd.3が終了し、折り返し点を迎えた。

オフライン大会となった開幕戦以降、チームは各拠点で 独自イベントを併催するオンライン大会“HOME & HOME”を実施し、

地域振興を意識した開催を行っている。

その実情を探るべく、ふたつの拠点のイベントをレポートしよう。

ルレストラン マイン・シュロス」をHOME& HOMEの会場とし、浜松の地ビールを堪能 しながらEモータースポーツが観戦できる環 境を用意した。飲み放題つきの有料チケッ ト制ながら、地元から参戦するチームを応 援したいと多くの観客が訪れていた。

また熊本県を拠点とする「Saishunkan Sol 熊本」は、最先端施設を誇る九州地方初 のeスポーツ専門スクールである「eスポー ツ高等学院クマモトeスタジアム」にて開催 した。そしてRd.2には地元出身のアイドル

が大会の盛り上げに駆けつけるなど、熊本 の魅力をしっかり発信。会場にはEモーター スポーツに興味を持つ親子連れも多く見ら れ、配布された応援グッズを手に応援する 姿からは、この大会が地域住民にしっかり 受け入れられている様子が感じられた。

UNIZONEのHOME&HOMEにはプレ イヤーだけではなく、地域と一体になれる可 能性を秘めている。Eモータースポーツで地 域社会を盛り上げる各チームの試みが、実 を結んでいくことに期待したい。

レーシングドライバーの技術を地域へ!  遠州ハママツモータースのチームアンバサダー に就任した脇阪寿一氏は「UNIZONEに参戦する地 元チームの選手を地域の皆さんが応援し、クルマの 運転そのものにも興味を持っていただきたいです。 そうすることで地域の皆さんが交通安全を意識し、 悲しい事故を未然に防ぐことにつながると思いま す」と語る。また遠州ハママツモータースの選手に はレースの技術のみならず、プロ選手としての振る 舞いや対応なども教育し、地域に愛される選手に育 てていくことを目指しているという。

× 地域振興の方程式

遠州ハママツモータース 遠州地方の“やらまいか”精神で、 地域に長く愛されるチームを目指す

「浜

松を新たなモータースポーツの聖地に したい」という思いのもとで結成された、 静岡県浜松市を拠点とする遠州ハママツモー タース。Rd.3終了時点でチームランキング2番手 と上位につけている勢いがあるチームだ。地域に 根づいた活動も意欲的に行っており、オフライン で行われた開幕戦でも浜松ではパブリック ビューイングイベントを開催している。

PHOTO/今村壮希[Souki IMAMURA]、 遠藤樹弥[Tatsuya ENDOU]、UNIZONE、 JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]  REPORT/岡田衛[Mamoru OKADA]、 JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

UNIZONE e-Motorsport League Rd.2 開催日:2025年4月29日(火・祝) 開催地:はままつ地ビールレストラン マイン・シュロス(静岡県浜松市)

1.レストラン内の醸造施設でつくられた4種類の地ビールの味が楽しめるマイン・シュロスが会場 に。2.大会後日に開催を控えた浜松まつりのトークショーで地元の魅力をPR。3.大会終了後はサイ ン会が開かれ選手と観客との交流の場になっていた。

チーム代表の山岸真智氏は「レース に勝つことも重要ですが、地域に愛さ れ、長く続いていくことが本当の勝利と言えま す」と語っており、UNIZONE大会以外でもファ ンとの交流や地域振興活動に力を入れている。 また、同チームは5月8日には「地域交通安全コ ミットメント宣言」も行っており、選手たちが自動 車レースで培ってきた技術などを地域の方々へ 伝えていくことで、交通安全という形で地域貢献 していくということもリリースしている。

Saishunkan Sol 熊本 “Saishunkan Sol 熊本”を認知してもらい 熊本になくてはならない存在に!

地

元熊本のIT企業である再春館システム株 式会社を運営母体としたEスポーツチー ムがSaishunkan Sol 熊本だ。Eスポーツを通し て『熊本』にとってなくてはならない存在であり たいという想いから結成された。拠点に選ばれて いるeスポーツ高等学院クマモトeスタジアムは、 重要文化財にも指定されている熊本城の麓に位 置する施設で、熊本の歴史と未来を感じることが

女子バレーボールクラブチーム・ブレス浜松の COOという経歴を持つ山岸真智氏は「地域ス ポーツクラブの本当の勝利は、100年後にもそ の地域にあり続けること」と語る。

UNIZONE e-Motorsport League Rd.3 開催日:2025年6月14日(土) 開催地:eスポーツ高等学院クマモトeスタジアム (熊本県熊本市)

4.会場は熊本城を間近に望めるeスポーツ高等学院クマモトeスタジアム。5.Rd.2では熊本出身で HKT48の森﨑冴彩さんが応援ゲストとして登場。6.運営母体のグループ会社、再春館製薬所のロゴ が入ったスティックバルーンを叩いて会場が一体となって応援。

できる。

熊本県出身の吉本大祐チームマネ ジャーは「地域振興を目指し、熊本内でも我々の チームを認知していただくことが必要」とし、マ ルチタイトルを持つEスポーツチームの強みを生 かして多くの地元の方に応援いただけるよう活 動を継続・拡大したいという。なおチームに所属 する選手の中には熊本出身者は不在だが、メン バー一丸となって熊本を盛り上げたいという想 いが伝わってくるイベントだった。

「旅行の楽しみのひとつとして、UNIZONEやEス ポーツ観戦をしに熊本にお越しいただける方が 増えるとうれしいなと思います」と語るチームマ ネジャーの吉本大祐氏。

2024年度 事業報告ならびに収支報告 (2024年4月1日より2025年3月31日まで)

2024年は、3月に東京でFIAフォーミュラE選手権が 初開催されたのを皮切りに、F1日本グランプリが例年の秋 開催から4月に変更されて開催された。さらに、WEC富士 6時間レース、WRCラリージャパンも開催され、FIA世 界選手権の4大会が日本国内で実施された。日本に居ながら にして世界最高峰のモータースポーツを間近で体験できる 環境が整ったことは、モータースポーツにおける日本の国際 的な地位の向上を象徴する出来事と言えるだろう。

一方、競技運営の基盤を支えるライセンス制度にも明る い兆しが見られた。主要統計のひとつであるライセンス発

(1)競技会の公認

① 合計 787件*の公認競技会が開催された。うち国際 格式は27件*であった。

② 入門者向け競技「オートテスト」を112回*開催し、の べ5,288名*が参加した。

【競技会公認件数*】

種 類

(2)選手権競技会の認定

全日本選手権および地方選手権競技会として、296件* の公認競技会を認定した。

【選手権競技会等認定件数*】

種 別 内 訳 件 数

全日本選手権 スーパーフォーミュラ 7 スーパーフォーミュラ・ライツ 6

地方選手権 FIA-F4 7 Formula Beat 9 スーパーFJ 24 フォーミュラリージョナル 6 ツーリングカー 7

ラリー 全日本ラリー選手権 8 地方ラリー選手権 28 ジムカーナ 全日本ジムカーナ選手権 7 地方ジムカーナ選手権 63 ダートトライアル 全日本ダートトライアル選手権 7 地方ダートトライアル選手権 51 ドリフト 日本ドリフト選手権 5 サーキットトライアル 地方サーキットトライアル選手権 13 カート

全日本カート選手権 11 地方カート選手権 17 ジュニアカート選手権 20

合 計 296

※レースおよびカートについては、大会数を件数として記載しています。

給件数は、前年と比較して微増に転じ、特に四輪オフィシャ ルライセンス3級の純増数は300件に迫る勢いを示した。競 技会場での人手不足が課題となっている中、こうした増加 は現場の負担軽減や競技運営の質向上に直結するものであ り、今後も継続的に施策を講じ、さらなる増加に努めていく。

詳細は以下の通り。

注)以下のデータのうち、*印は2024年1月~12月までの1 年間の実績である。

(3)車両公認  国内車両公認申請32件*を承認した。

(4)モータースポーツライセンスの発給  四輪各種ライセンス66,932件*、カート各種ライセン ス4,740件*を発給した。

【ライセンス発給件数 四輪*】

分 類

【ライセンス発給件数 カート*】

(5)登録クラブの活性化への寄与 ① 合計914件*のJAF登録クラブ・団体の登録を行った。

② 全国8地域のJAF登録クラブ地域協議会との連絡 会議を、4月、7月、12月に開催した。

【JAF登録クラブ・団体の登録件数*】

分 類

四輪

特別団体

公認クラブ

公認クラブ

(6)各種委員会・専門部会の開催  モータースポーツ委員会、専門部会および各部会に属 する作業部会を合計92回*開催した。

【委員会・専門部会開催件数*】

全日本/ジュニアカート、ラリーオブザーバーの5カテゴリー合計。

(7)競技会審査委員の派遣  全日本選手権競技会に対し、55競技会*に審査委員を 派遣した。

【競技会審査委員の派遣*】

種 別 回 数 レース 16 ラリー 9 ジムカーナ

※派遣競技会数で記載しています。

(8)モータースポーツのすそ野を拡げる取り組み ① オートテスト  モータースポーツ入門者向け競技、オートテストの参 加者数はのべ5,288名*と、前年度にくらべ995名の増加 となった。

② 新種競技「ドリフトテスト」の初開催  2024年6月、「ドリフトテスト開催要項」に準拠した初 めての「ドリフトテスト」競技会が、ドライビングパレッ ト那須(栃木)で開催された。

(9)モータースポーツにおける安全性向上への取り組み

① 講習会の開催  モータースポーツ安全性向上の取り組みの一環とし て、ラリー競技におけるスペシャルステージの安全性向 上を目的とした講習会や、次世代自動車を用いた講習会 を京都府、愛知県、福岡県、北海道で開催し、のべ462名* が参加した。

② 分科会の設置

JAF役職員ならびに各委員が順守すべき法令等を 定めるなどの目的で、モータースポーツ審査委員会に 「倫理部門」を設置した。5月、7月の2回の討議を経て「モ ータースポーツ倫理要項」ならびに「モータースポーツ 倫理要項に基づく通報・相談窓口に関する細則」を制定 し、8月16日付でモータースポーツサイトに公示した。

③ ライトパネルの使用  2024年5月より、スーパーフォーミュラやスーパーG Tなどのレース競技において、施設が整備されているサ ーキットではマーシャルポストからの信号指示を旗(フ ラッグ)からライトパネルに代替するトライアル運用を 開始した。目的はドライバーの視認性向上による選手の 安全確保やオフィシャルの負担軽減。

(10)環境対応車両によるモータースポーツ競技の普及促進  専門部会「カーボンニュートラル分科会」が、2024年5 月から国際シリーズや全日本選手権等の各競技会にお いて二酸化炭素(CO2)排出量を算定するための調査を 開始。競技車両の燃料・タイヤ消費量をはじめ、チーム・ 選手の移動や車両・部品等の輸送に関連する調査回答か らCO2排出量を算定・分析し、排出量削減に向けた対応 策を検討した。

(11)Eモータースポーツの認知拡大に向けた取り組み  2024年8月、Eモータースポーツの認知拡大をはかる ため、JAF専門部会のEスポーツ部会が、報道関係者を 対象に「Eモータースポーツ3か年(2024~2026年)計 画」オンライン発表会を開催し、「日本におけるEモータ ースポーツを、認知され、誰もが参加できるモータース ポーツの一形態として確立する」ビジョンを打ち出し た。

また2025年2月には、国内唯一のJAF公認Eモータ ースポーツリーグ「UNIZONE」の大会が群馬県で開 催され、史上初のJAF公認Eスポーツ競技として注目 を集めた。

(12)新たな団体設立に協力

ラリー競技の健全な発展と振興を目的として「一般社 団法人日本ラリー振興協会(JGR)」が設立された。顧 問にはJAFモータースポーツ部長の村田浩一氏が就 任し、協会としてはJAFと協力を図りながら、ラリー競 技の振興をサポートしていく方針。

(13)国際大会に日本選手団を組織して参戦

2024年4月、ジムカーナ競技の国際大会「2024  Taipei International Gymkh ana Prize」(台湾台北市)に、ASN代表として3 名の選手を派遣した。また、10月にはモータースポーツ の国別対抗戦「FIAモータースポーツゲームス」(スペ イン・バレンシア)に、選手8名を7種目の競技にエントリ ー。惜しくも表彰台は逃したものの、参加選手は各競技 で好走を見せた。

(14)サーキットトライアル競技に初めて「JAFカップ」の タイトルを付与

スピード競技「サーキットトライアル」に初めて「JA Fカップ」のタイトルが付与された。2024年の地方選手

権上位選手が集結し、2025年3月に筑波サーキット コ ース2000で開催された初の大会では、7つのクラス で初代王者が誕生した。

(15)第23回JAF鈴鹿グランプリの開催

「JAFグランプリ」のタイトルが掛かった全日本スー パーフォーミュラ選手権最終戦「第23回JAF鈴鹿グ ランプリ」が、2024年11月に鈴鹿サーキット(三重)で開 催された。大会名誉会長には坂口正芳JAF会長が就任 した。優勝は太田格之進選手で昨年に続き2連勝。

(16)ドライバー・オブ・ザ・イヤー2024の実施  モータースポーツの認知度向上を目的として、その年 最もモータースポーツ業界を輝かせたドライバーを決 定するドライバー・オブ・ザ・イヤー2024を実施した。 ファンおよび有識者の投票による受賞者は、F1世界選 手権で活躍する角田裕毅選手。

(17)JAFモータースポーツ表彰式の開催

2024年11月、国内トップカテゴリーで優秀な成績を 収めた選手およびチーム等の栄誉を称え「JAFモータ ースポーツ表彰式」を東京都内のホテルで開催した。各

競技クラス6位までの入賞者、来賓など合計405名が出 席、プレゼンターとしてスポーツ庁の室伏広治長官が登 壇した。

(18)「競技運転者(ドライバーズ)部会」が新設  2025年1月、12番目のモータースポーツ専門部会「競 技運転者(ドライバーズ)部会」を、ドライバー視点の競 技環境改善を目的として設立した。国内外のモータース ポーツ振興に資する提言を行うための、ドライバーのみ で構成される初の専門部会であり、主な任務は「競技環 境の調査・研究」「モラル向上の啓発策の検討」「アンチ・ ドーピング活動の推進」等。初代部会長は飯田章氏。

(19)大規模イベント「JAFモータースポーツジャパン 2025 in 横浜」の主催

「親子で『見て』『聞いて』『触って』『体感する』モーター スポーツ」をコンセプトに、ジムカーナやレース競技車 両のデモ走行、EVキッズカート体験、最新レーシングカ ーの展示など、コアなファンからファミリー層まで、様々 な客層に合わせた多彩なプログラムを展開した。未来の ファン層の育成のため、特に若年層や家族連れを対象と した体験型コンテンツを充実させた。来場者数は 45,500人(2日間)。

また、初めての開催地である横浜という観光地との相 乗効果を活かし、行政や警察、観光施設、商業地との連携 を強化して地域活性化にも注力した。

(20)収支報告

2024年度におけるモータースポーツ業務に直接係わ る収入は約3.83億円(事業収入※:クラブ・団体登録料、 ライセンス発給料、競技会組織許可料、車両公認料等)、 支出は約9.61億円(事業費:委員への謝金・出張費、選手 権管理用器具の購入・管理費、JAFスポーツ誌製作費、 WEB製作費等)であり、収支差額約5.78億円の赤字とな った。

※ライセンス所有者の会費を除く (21)罰金等の金額について

公認競技会で納められた罰金および没収された抗議 料または控訴料の2024年度末の残高は以下の通りであ る。

なお、罰金および没収された抗議料または控訴料は、 国内競技規則11-8(罰金収入の措置)に従ったJAFの 特別基金に繰り入れ、モータースポーツの振興および福 祉目的のために使用している。2024年度はFIAによ るコース公認査察業務に係る費用の一部として支出し た。

2024年度末罰金残高 9,336,204円 <内訳> 2023年度罰金等残高 7,099,628円

2024年度罰金等総額 2,298,140円

2024年度の措置等(支出)総額 61,564円

INFORMATION from JAF

モータースポーツ公示・JAFからのお知らせ(WEB)一覧(2025年3月22日~2025年6月27日) 公示

日付 公示No. タイトル 2025年3月31日 [2025-WEB022] 全日本カート選手権EV部門における変更について 2025年3月31日[2025-WEB023]2025年地方レース選手権カレンダー 一部修正について 2025年3月31日[2025-WEB024] 2025年JAFモータースポーツ賞典規定の制定について 2025年3月31日[2025-WEB025] 新システム稼働に伴う国内競技規則細則等の一部改正について 2025年4月1日[2025-WEB026]2025年北海道ダートトライアル選手権の開催日程変更について 2025年4月2日 [2025-WEB027]

JAF公認Eモータースポーツ 国内リーグ競技規定の一部改正について 2025年4月3日[2025-WEB028]

2025年日本ジムカーナ/ダートトライアル選手権規定の改定および 2026年日本ジムカーナ/ダートトライアル選手権規定の制定 2025年4月3日[2025-WEB029]

2025年JAFカップオールジャパンジムカーナ/ダートトライアル規定の改定および 2026年JAFカップオールジャパンジムカーナ/ダートトライアル規定の制定 2025年4月4日 [2025-WEB030] 新システム「モータースポーツマイページ」リリースに関するご案内 2025年4月9日 [2025-WEB031]

2025年JAF地方カート選手権 競技会の追加について

2025年4月10日 [2025-WEB032] 全日本カート選手権 FS-125部門における特認出場選手について 2025年4月10日 [2025-WEB033] 2024年全日本ジムカーナ選手権 ポイントおよびリザルトの訂正とお詫び 2025年4月11日 [2025-WEB034] JAF認定Eモータースポーツイベント 開催ガイドライン

2025年4月17日 [2025-WEB035]

2025年JAF地方ラリー選手権 競技会の日程変更について 2025年4月21日 [2025-WEB036] 2025年JAF日本ラリー選手権競技会の名称等の変更について 2025年4月30日[2025-WEB037] レース競技開催規定の制定について

2025年4月30日 [2025-WEB038] ロード管制のためのライトパネル信号運用ガイドラインの制定について 2025年5月19日 [2025-WEB039] 2025年JAF日本ラリー選手権競技会の名称変更について 2025年5月21日 [2025-WEB040] レース競技開催規定の誤記訂正について

2025年6月11日 [2025-WEB041] カートドライバーおよびカートオフィシャルライセンス推薦申請について

2025年6月19日 [2025-WEB042] モータースポーツ審査委員会 裁定について(2025年5月11日 開催競技会) 2025年6月19日 [2025-WEB043] ロールケージ公認申請一覧 2025年6月23日 [2025-WEB044] 全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権 第6戦 代替開催について

JAFからのお知らせ

日付 タイトル

2025年3月31日 オンライン申請受付開始の重要なお知らせ 2025年4月1日 モータースポーツ公示・JAFからのお知らせ一覧(2025年3月1日~3月31日) 2025年4月4日 モータースポーツ関連書籍のオンライン販売開始について 2025年4月8日 「FIA ガールズ・オン・トラック」参加者募集について 2025年4月11日 モータースポーツマイページ登録における障害発生について 2025年4月16日 モータースポーツマイページからの申請時のご注意 2025年4月17日 JAF公認eモータースポーツリーグ「UNIZONE」Rd.2が4月29日開催! 2025年4月21日 【重要なお知らせ】モータースポーツマイページでの仮ライセンス印字不備に関するお詫び 2025年4月21日 5月25日(日)、JAF認定Eスポーツイベント JAF GRAN TURISMO 7 ENJOY CUP 開催決定! 2025年4月28日 【重要なお知らせ】モータースポーツマイページでの仮ライセンス印字不備に関するお詫びとご対応のお礼について 2025年5月1日 モータースポーツ公示・JAFからのお知らせ一覧(2025年4月1日~4月30日) 2025年5月8日 モータースポーツマイページ・クラブ団体向け申請の操作説明動画の公開について 2025年5月9日 自動車技術会フォーラム開催について

2025年5月26日 モータースポーツマイページ・クラブ団体向け申請の操作説明動画の公開について 2025年5月30日 モータースポーツマイページにおけるシステムメンテナンスのお知らせ 2025年6月2日 モータースポーツ公示・JAFからのお知らせ一覧(2025年5月1日~5月31日) 2025年6月5日 2025年JAFモータースポーツ表彰式について

2025年6月5日 JAF公認Eモータースポーツリーグ「UNIZONE」Rd.3は6月14日に開催! 2025年6月11日 モータースポーツマイページ・クラブ団体向け申請の操作説明動画の公開について 2025年6月11日 2026年F1日本グランプリは3月、フォーミュラE東京E-Prixは7月に開催 (2026年フォーミュラ1カレンダー、2025/2026年フォーミュラEカレンダー) 2025年6月13日 モータースポーツ競技会における「マイナ免許証」の確認について 2025年6月16日 許可証(ライセンス)とJAF個人会員の有効について 2025年6月17日 モータースポーツマイページにおけるシステムメンテナンスのお知らせ 2025年6月27日 モータースポーツマイページにおけるシステムメンテナンスのお知らせ ※上記公示・お知らせ(WEB)一覧の詳細は、JAFモータースポーツサイト(https://motorsports.jaf.or.jp/)内の「>公示・JAFからのお知らせ」で閲覧することができます。

2025年JAFモータースポーツ表彰式について

2025年JAFモータースポーツ表彰式を下記の通り、実施いたします。

なお事前の予告なく変更させていただく場合がございますので、ご了承ください。

■開催概要

【日程】2025年11月28日(金)

【場所】グランドニッコー東京 台場 〒135-8701 東京都港区台場2-6-1 ■ご招待対象者

1.JAFモータースポーツ名誉委員

2.JAFモータースポーツ特別賞受賞者

3.ドライバー・オブ・ザ・イヤー2025受賞者・候補者 ~2025年JAFモータースポーツ賞典規定に基づき授与~

※最終戦の開催日程により、当表彰式以外での授与となる場合がございます。

4.FIA-F4選手権 1位~6位ドライバー・チームチャンピオン

5.FORMULA REGIONAL選手権 1位~6位ドライバー・チームチャンピオン

6.JAFカップオールジャパンサーキットトライアル 1位

7.JAFカップオールジャパンジムカーナ 1位

8.JAFカップオールジャパンダートトライアル 1位

9.JAF公認Eモータースポーツ国内リーグ 年間成績1位~3位ドライバー・年間成績1位のチーム

10.全日本ジムカーナ選手権 1位~6位ドライバー

11.全日本ダートトライアル選手権 1位~6位ドライバー

12.日本ドリフト選手権 総合部門1位~6位ドライバー・単走/追走部門チャンピオン 13.全日本ラリー選手権 1位~6位ドライバー・コドライバー 14.全日本カート選手権 1位~6位ドライバー 15.全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権 1 位~6位ドライバー・チームチャンピオン 16.FIAインターナショナルシリーズ スーパーGT GT300

1 位~3位ドライバー・チームチャンピオン 17.FIAインターナショナルシリーズ スーパーGT GT500

1 位~3位ドライバー・チームチャンピオン 18.全日本スーパーフォーミュラ選手権 1 位~6位ドライバー・チームチャンピオン・メカニックチャンピオン ※詳細はJAFモータースポーツサイト「2025年JAFモータースポーツ表彰式」にてご確認ください。

重要なお知らせ

「モータースポーツマイページ」の オンライン申請をご利用ください

4月9日より新システム「モータースポーツマイペー ジ(MSマイページ)」による各種申請・お手続きのオン ライン受付が始まっています。モータースポーツマイ ページは、「JAFモータースポーツサイト」右上にあ る「MSマイページ」ボタンからご利用ください。

なお、既存の「JAFマイページ」からのライセンス 確認・更新ができなくなっております。今後はモーター スポーツマイページをご利用ください。

こちら から

モータースポーツマイページのご利用はこちら https://motorsports.jaf.or.jp/msmypage/ ←左記の二次元コードからもアクセスできます。

●ライセンスの申請・確認・更新 ●メディカルフォーム申請

●JAFライセンスから海外ASNライセ ンスに切り替える方の事前申請

●海外ASNライセンスからJAFライセ ンスに切り替える方の事前申請

●障がいのある方のライセンス取得の ための適正審査申請

●ヒストリック・テクニカルパスポート (HTP)/ヒストリック・レギュラリティー 車両パス(HRCP)申請

JAF窓口受付の 今後について

JAF 窓口受付は 2024 年 4 月 以降も継続いたしますが、2025 年 8 月以降の JAF 窓口受付は 「完全予約制」へと変更いたしま す。窓口対応をご希望の方は、 各地方本部・支部へ、お電話に よる事前予約をお願いします。

●カレンダー申請

●組織許可申請

●クローズド競技会申請

●講習会開設申請

●推薦申請

(※)クラブ・団体の更新手 続きはオンライン申請の準 備ができていないため、お手 続きの際には、JAF地方本 部・支部窓口に申請書類の 提出をお願いします。

●クラブ・団体新規登録申請(※)

●クラブ・団体年度登録料支払い手続き

●公認・登録申請

(コース公認・車両公認・登録車両・部品認定) ●リブレ車両申請

●楯・メダル申請(オーガナイザー向け追加販売用限定)

JAF会員規則の変更について

モータースポーツ各種ライセンスは、 JAF会員の有効 期限内でのみ発給されます。2025年4月のJAF会員規則 の変更に伴い、更新時に有効期限が切れていると、ライセ ンスを更新することができません。

常にJAF会員の有効期限内であることをお確かめいた だくとともに、継続忘れがない「JAF年会費の自動振替登 録」をおすすめいたします。

JAF会員の有効期限は、 JAFスマートフォンアプリのデ ジタル会員証、またはJAFマイページからご確認ください。

& News Topics

FIA世界モータースポーツ評議会、マカオで開催 2026年F1日本グランプリは3月27~29日に鈴鹿で

PHOTO/石原 康[Yasushi ISHIHARA]、遠藤樹弥[Tatsuya ENDOU]、吉見幸夫[Yukio YOSHIMI] REPORT/JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

マカオのギャラクシー国際会議センタ ーにて6月10日、FIA世界モーター スポーツ評議会(WMSC)の2025年第2 回会合が行われた。議長はFIAモハメド・ ベン・スレイエム会長が務めた。

今回の主要な決定事項は以下の通り。

2026年の各世界選手権のカレンダーが 承認され、FIAフォーミュラ1世界選手権 とFIAフォーミュラE世界選手権、FIA世 界ラリーレイド選手権(W2RC)が確定し、 FIAフォーミュラ2選手権とFIAフォーミ ュラ3選手権のカレンダーも承認された。

気になる日本ラウンドの日程だが、F1日 本グランプリは鈴鹿サーキットで開催さ れ、4月初旬開催から一週間早まり、2026 年3月27~29日に開催される予定だ。

フォーミュラE東京E-Prixについては、 2か月ほど後ろ倒しとなり、2026年7月25 ~26日に第15~16戦として、今年と同 様に2レース制での開催が予定されている。

また、フォーミュラEの次世代車両(GEN4) の技術規則や、W2RCにチーム選手権を加 え、ストックカテゴリーにドライバー、ナビ ゲーター、マニュファクチャラーの3選手権 を設定することも承認された。

かねてより話題のWRC27車両規則が 最終承認を得た。決められた容積とパネル の中であれば、内部はきわめて自由度の高 いデザインが認められることになる。

FIAにとって初となる「液体水素燃料を 用いる車両」の安全規則も承認された。こ の新たな枠組みは、近々FIA国際モーター

FIA F2、FIA F3選手権のカレンダーも承認されたが 2026年も日本での開催は実現しない模様だ。

スポーツ競技規則付則J項253条に統合 され、厳格な基準が定められる模様だ。 そして、新たな才能を支援するために設 計された「アライブ&ドライブ」カートワー ルドカップの初開催地がマレーシアのLYL 国際サーキットに決定し規則詳細が承認さ れた。参入障壁を下げ、公平に戦える条件 を整えることで、経済的な理由で従来の大 会への出場を断念してきた層に対して門戸 を開く大会になりそうだ。

2026年からフォーミュラリージョナル およびF4カテゴリーに「より短期、より 少ないイベント数」のリージョナルトロフ ィーコンセプトが導入可能になる。ASNに 対して、より負担が少なく、柔軟性がある フォーマットを提供することで、FIA公認 選手権の価値を維持し、競技者の参加を促 進することを目的としている。

& News Topics

公益財団法人日本スポーツ協会にJAFが加盟

PHOTO/遠藤樹弥[Tatsuya ENDOU] REPORT/JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

益財団法人日本スポーツ協会(JSPO) は、6月25日に開催した令和7年度定 時評議員会において、新たに日本パークゴ ルフ協会と日本eスポーツ連合、そして日本 自動車連盟(JAF)の3団体の加盟が決定した ことを発表した。これで同協会の加盟団体数 は、正加盟団体115団体、準加盟団体9団 体、承認団体5団体の合計129団体となる。 なお、JAFは承認団体として登録された。 協会内にはかつて日本オリンピック委員 会(JOC)が設置されていたが、JOCの分離

& News Topics

独立後には国民スポーツの普及・振興、特 に生涯スポーツ推進を担う団体へと変化。

誰もが生涯に渡ってスポーツに親しむ環境 作りと豊かな社会形成を目指すとしている。

同協会は、今年で79回目を数える国民ス ポーツ大会の主催(旧・国体)で有名なJSPO だが、スポーツの国際交流・協力、地域ク ラブやスポーツ指導者の育成、スポーツボラ ンティア活動の情報提供など、さまざまな取 り組みを行っており、今後はモータースポー ツ界との相互作用が期待されている。

「日本カート協会」山本尚貴選手が代表理事に 3

カート競技の普及や育成に向け業界基盤を構築

PHOTO/長谷川拓司[Takuji

HASEGAWA] REPORT/JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

東京都江東区のシティサーキット東京

ベイにおいて、6月24日、カート競 技の普及と振興を通じて健全なモータース ポーツ文化を未来へ継承することを掲げ た、一般社団法人 日本カート協会(Japan

Karting Association=JKA)設立の記者 会見が開かれた。このJKAは、全国カー トコース運営団体の日本カートランド協 会、全国SLカート運営団体のSLカート スポーツ機構、全日本カート選手権運営団 体のGPRが参画し、カートに関わる主要 団体が連携して誕生することになった。

モータースポーツ業界が抱える各種課題 解決に向け、次世代のレーシングドライバ ーや競技支援人材(コーチ、審判、オフィ シャル等)の育成を行うため、モータース ポーツへの入り口にあたるカート競技で、 基盤を構築していくことが発表された。

国内トップカテゴリーで活躍するレーシ ングドライバーの山本尚貴選手を代表理事 として、人材発掘や育成、挑戦、普及の観 点から実践的な活動を展開していくそう で、まず、8月18~20日には「2025年度 有望選手発掘夏合宿」をオートパラダイス 御殿場で実施することも発表された。この “夏合宿”は、JAFカートライセンスかSL メンバーズカードを持つ8~12歳のカー トレース経験者が対象となるという。

日本カートランド協会の茂田和也氏、SLカートスポーツ機構の夏苅隆裕氏、日本カート協会の山本尚貴“チェアマン”、 TOM'Sカートクラブの谷本勲氏、そして、GPRの松浦佑亮氏が日本カート協会役員として記者会見に出席した。

静岡県小山町のオートパラダイス御殿場で、8歳から12歳 のカートレース経験者を対象とした2025年度有望選手 発掘夏合宿を8月18~20日に実施することも発表した。

6月中旬に行われた全日本カート選手権を視察した山本 尚貴代理理事。参加台数の規模縮小を感じたそうだが、 同時に、カート関係者たちの情熱も確認できたそうだ。

勝田貴元選手に続く世界で戦えるドライバーを! TGR WRCチャレンジプログラムの5期生募集 4

PHOTO/TOYOTA GAZOO Racing REPORT/JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

世

界で活躍できる日本人若手ドライバ ーの発掘・育成を目的とした、TOY OTA GAZOO RacingによるTGR WRC チャレンジプログラム「5期生」の応募受付が 7月15日から始まっている。

今年度の募集上限は100名となっており、 9月に愛知県内で行われる一次選考・二次 選考で選抜された候補者は、12月にフィン ランドで実施されるトレーニングキャンプ形 式の最終選考に進むことができる。

この最終選考に通過すると、来年1月か らフィンランドにおいてTGR-WRT講師陣 による指導の元、ドライビングやペースノ ート作り、フィジカルやメンタルトレーニン グを含む総合的な育成プログラムに参加で きる。また、現地生活における住居や移動 車両の提供に加え、欧州の生活資金や、オ プションで学業面への支援もあり、例年ど おりの手厚い支援内容となっている。

同プログラムの育成ドライバーは、2期生 の小暮ひかる選手と山本雄紀選手、3期生の 後藤正太郎選手と松下拓未選手がすでに WRCなど欧州のラリーで実戦修業を積ん でおり、4期生の尾形莉欧選手と柳杭田貫太 選手もRally4車両による本格的な実戦プロ グラムがいよいよスタートしている。

応募期間は7月31日までだが、100名に 達した時点で受付は終了する予定だ。

& News Topics

4期生、尾形選手と柳杭田選手のデビュー戦では、尾形 選手が3位表彰台を獲得。同プログラムのコ・ドライバー 育成に選出された前川富哉選手も優勝を飾っている。

WRCラリージャパン開催に向けた安全講習会開催 5

PHOTO/小竹 充[Mitsuru KOTAKE] REPORT/JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS] ラリー競技のマーシャルやボランティ アスタッフを対象とした「マーシャル トレーニングVol.1」が、3月30日に愛知県 の豊田市社会福祉センターで開催された。

内容はWRC開催に向けた安全講習会で、 FIAが発出した競技の安全に係る遵守の通 知により組織された、「JAFセーフティタ スクフォース」の協力を得て、ラリージャ パン2025実行委員会が主催している。

当日は日本ラリー振興協会(JGR)代表 理事の田畑邦博氏を始めとした講師陣が招 かれ、ラリー競技の役務にあたる心構えや 無線の使用方法、コースロックの方法な ど、これまでの反省事項の共有などを含め て、実践的なノウハウが提供されていた。

リアルモータースポーツで好成績が続々と! Eスポーツ出身ドライバーたちの急成長

PHOTO/遠藤樹弥[Tatsuya ENDOU]、成田颯一[Souichi NARITA] REPORT/JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

リアルモータースポーツを戦うEスポ

ーツ出身ドライバーの活躍が目覚ま しい。5月25日にモビリティリゾートもてぎ で行われたGR86/BRZ Cupでは、プロフ ェッショナルシリーズの冨林勇佑選手が初 優勝を挙げた。前日の予選でタイムを残し た冨林選手がポールポジションを獲得。日 曜の決勝ではオープニングラップを制して 後続を引き離したが、終盤で迫った井口卓 人選手を辛くも抑えた勝利だった。

同じ週末、オートポリスで開催されたフ ェラーリ・チャレンジ・ジャパンでは、武藤 壮汰選手がレース1を制した。武藤選手は フェラーリだけでなく、本格的なレースマシ ンも初めて乗車したにも関わらず、予選は 約1.5秒、決勝では約20秒もの大差で後続 を引き離して優勝してみせたのだ。

TGR WRCチャレンジプログラム4期生 に選ばれた、“りおねる”こと尾形莉欧選手も シムレーサー。今年は彼らに注目だ。

& News Topics

武藤選手はFIAモータースポーツゲームス 2024の日本代表選手としてスペイン・バレ ンシアのEスポーツGTの大会に参戦した。

冨林選手はリアル競技の参戦歴も長いが、 層の厚いGR86/BRZ Cupでは苦戦し、よ うやく初勝利をもぎ取った。

世代を超えてモータースポーツを持続可能にする もっと手軽に入口へ!GR KARTが叶える未来像

PHOTO/遠藤樹弥[Tatsuya ENDOU] REPORT/JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

富士24時間レースが行われた富士ス

ピードウェイのカートコースで、TO YOTA GAZOO Racingが開発している 「GR KART」の概要説明が行われた。

これは、モータースポーツが将来的にも 持続していけるように、子どもたちとファ ミリー層に訴求する施策の一つである。カ ーボンニュートラル燃料でスーパー耐久を 戦うことで培われた技術が、このレーシン グカートにも注ぎ込まれている。

車体を見ると、オートテンショナー付き ベルトドライブや、錆びにくいステンレス シャフト、車体を立てても燃料がこぼれに くいタンク形状など、既存の「困りごと」を 解消する工夫が随所に採り入れられていた。

カートを通じてモータースポーツを経験 した子どもたちを、将来のクルマ好き、自 動車業界の人材につなげることも狙いの一 つとされており、今後の展開に注目だ。

カート車両の可搬性 にも目が向けられて おり、省力台車や、GR KARTをミニバンに 積載できるキットの 展示もあった。

カーボンニュートラル燃料を使 用したガソリンエンジン仕様だ けでなく、水素燃料を使用した車 両の開発も継続されている。

& News Topics

スーパーGT・開幕2戦はスープラ勢に軍配! GT300クラスは2戦ともシビアな戦いを展開

PHOTO/石原 康[Yasushi ISHIHARA]、遠藤樹弥[Tatsuya ENDOU]、吉見幸夫[Yukio YOSHIMI] REPORT/JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS] 雨の影響でSCスタートとなった開幕戦・ 岡山大会。坪井翔/山下健太組が安定感 のある走りでまず一勝を挙げた。晴天に恵 まれた第2戦・富士大会は、こちらもペー スが良かった石浦宏明/大湯都史樹組が ポール・トゥ・ウィンを飾っている。

スーパーGTシリーズが岡山国際サー

キットで4月12~13日に開幕した。

昨年一新された予選形式はおおむね2023 年までの形式に戻り、二段階ノックアウト 方式が採用されている。タイヤの使用制限 も緩和され、Q1とQ2でそれぞれ1セット となった。GT300クラスのQ1セッション を2組に分けて行うのは従来通り。Q2への 進出枠は2023年より増えて、GT500クラ スが10台、GT300クラスは各組9台ずつ 全18台へと変更されている。

開幕戦の決勝日は雨が降り続き、セーフ ティカー(SC)先導でスタートした。解除 後は接触やコースオフが多く、FCY2回、 SC4回、赤旗中断1回という荒れ模様。

途中で雨が止んで路面が乾いていくという 状況変化もあり、時期的に異例の寒さにも 見舞われて、難しいレースとなった。

それでもGT500クラスチャンピオンであ る坪井翔/山下健太組の1号車 au TOM’S GR Supraは、安定感のある走りでシーズ ンをまたいで3連勝を挙げ、スープラ勢が 表彰台を独占する形となった。

岡山国際のGT300クラスは、タイム加算 のペナルティを受けながらも、その分のマ ージンを作って逃げ切った蒲生尚弥/菅波 冬悟組の65号車LEON PYRAMID AMG が制した。2位はイゴール・オオムラ・フラ ガ/安田裕信組の26号車ANEST IWATA RC F GT3で、チームとフラガ選手にとっ てはスーパーGT初ポディウムとなった。

続く第2戦は5月3~4日に富士スピー ドウェイにて行われ、決勝日は5万人近く を集めた。そして、時間制かつ長丁場とな るこのレースでは、必ずしもタイヤは交換 しなくても良い、2回の「給油を伴うピット

3レース制となったFIA-F4開幕・富士大会。チャンピオンクラスは第1戦を制して3戦連続表彰台を獲得した鈴 木斗輝哉選手がランキング首位に立つ。インディペンデントクラスは2勝を挙げたKENTARO選手が首位に。

ストップ」が義務付けられた。

公式練習から決勝までドライ路面での走 行となった富士での決勝。GT500クラス は、予選でポールポジションを獲得した石 浦宏明/大湯都史樹組の38号車 KeePer CERUMO GR Supraが、2回のピットス トップを挟んでもペースを落とさず完全勝 利。岡山からの見事な復活劇で、チームと 石浦選手にとっては何と6年ぶりの優勝、 大湯選手にとっては、トヨタ移籍後初の優 勝となった。開幕戦を制し、2位に入った 坪井翔/山下健太組がGT500クラスラン キングのトップに立っている。

GT300クラスは、2番グリッドからスタ ートした井口卓人/山内英輝組の61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTが久々の優 勝を飾るかと思いきや、最終周にメカニカ ルトラブルが出て失速。2番手にいた片山 義章/ロベルト・メリ・ムンタン組の6号 車 UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARI が悠然とこれを追い越し、チーム、そして ドライバー2人にとってもスーパーGT初 優勝となった。6号車は、27番手という後 方グリッドからのスタートながら、第1ス ティントを担当したメリ選手が驚異的なペ ースで追い上げ、まさに「人事を尽くして 天命を待つ」レースとなっていた。

& News Topics

天候不順で荒れ模様の第2大会オートポリス戦 佐野雄城選手が4連勝でランキング首位を堅守 9

PHOTO/吉見幸夫[Yukio YOSHIMI] REPORT/JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS] 全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選

手権は、5月16~18日に第2大会・ オートポリスでの3連戦を迎えた。

しかし、専有走行までは実施されたもの の、土曜は濃霧と風雨に見舞われて第4戦 と第5戦の公式予選がキャンセル。第4戦 決勝も日曜へと順延されることとなった。

第4戦決勝は、ポールポジションの野村 勇斗選手を佐野雄城選手がスタートで差し、 そのまま一人旅を演じて、優勝を決めた。

曇天ながらもドライ路面となった第5戦 決勝はケイレン・フレデリック選手がポー ルとなり、ホールショットも決めてリードを 広げる。最終的に9秒近い差を付けたフレ デリック選手が今季初勝利を挙げた。

なお、悪天候により中止とされた第6戦 は、8月のスポーツランドSUGO大会で代 替開催されることが決定。よって同大会は 4レース制で行われると発表されている。

& News Topics

10

鈴鹿大会では開幕2戦でポイントフルマークを果たした佐野雄城選 手。第3戦も制して鈴鹿大会を完全勝利した。続くオートポリスでは 第4戦を制して開幕4連勝を挙げたが、第5戦は2位に留まった。

ついに開幕したフォーミュラによるKYOJO CUP 富士大会は下野璃央選手がパーフェクトウィン!

PHOTO/遠藤樹弥[Tatsuya

今年で9年目を迎えるKYOJO CUP

は、ハイブリッド・フォーミュラによ るワンメイクレースかつ、スプリントとフ ァイナルの2レース制へと生まれ変わった。

富士スピードウェイで5月10~11日に 行われた開幕戦では、昨年までのレギュラ ー勢に海外からの参戦者も加わり、合計 20名がしのぎを削る決勝のときを迎えた。

ポールポジションはFIA-F4にも参戦す る下野璃央選手。土曜に行われたスプリン トはSCスタートとなったが、4周目でのリ スタートで下野選手が後続を引き離すこと に成功。そのまま約10秒差を付けて優勝 した。そして、スプリントの結果がグリッ ドに反映される日曜のファイナルでは、ポ ールの下野選手がスタートから後続を大き く引き離し独走。そのままトップチェッカ ーを受け、新生KYOJO CUPの記念すべ き第1回大会を完全勝利で締めくくった。

ENDOU] REPORT/JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

土曜の予選は雨に見舞われたが、レインタイヤ装着で臨んだアタック で下野璃央選手は1分54秒270の最速タイムを記録。土曜のスプリン トと日曜のファイナルを制して、完全勝利となった。

& News Topics

全日本ラリー選手権の中盤戦はターマック3連戦 JN1では新井大輝/立久井大輝組が反撃を開始!

PHOTO/遠藤樹弥[Tatsuya ENDOU]、大野洋介[Yousuke OHNO]、小竹 充[Mitsuru KOTAKE]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]  REPORT/JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

全

日本ラリー選手権開幕から約1か月。

第2戦「ツール・ド・九州2025 in 唐津」が4月11~13日に開催された。

今大会はSS総距離が100km超えの係数 1.2ということで、タイトル争いで重みのあ る一戦になる。ラリーの拠点は例年どおり だが、ステージ構成が一新され、選手たち はレッキからすぐにステージの特性を学び 取り対応することが求められた。また、レ グ1を終えた夜に降雨があり、苔もある路 面は、より一層難易度が上がった。

JN1クラスは勝田範彦/保井隆宏組が優 勝、ヘイキ・コバライネン/北川紗衣組が2 位となり、4選手は順調にポイントを積み重 ねている。JN2クラスは開幕戦上位が奮わ ず、異なる勢力が台頭。このクラスの層の 厚さが見て取れた。GRヤリスのDAT車両に 乗り替えた大倉聡/豊田耕司組が約14秒差 で快勝した。JN4クラスは全日本にスポット 参戦を続ける地元の黒原康仁選手が、待望

DAT車両のGRヤリスに乗り替えてJN2クラスにスイッ チした大倉/豊田組。最終SSで逆転勝利を決めた。

の全日本初優勝を相棒の松葉謙介選手と果 たした。開幕戦で優勝した高橋悟志/箕作 裕子組は九州組には及ばなかったが、2位の ポイントを獲得している。

さらに1か月後の5月16 ~ 18日、第3戦 「YUHO Rally 飛鳥 supported by トヨタ ユナイテッド奈良」が行われた。奈良県内で の全日本戦開催は久しぶりとあって、地元 は大いに盛り上がった。しかし、土曜は大 雨に見舞われ、ステージは道の形状にも難 しさがあったため、初開催でデータのない ラリーに翻弄させられた。一方で、観戦可 能なステージは日曜の名阪スポーツランドC コースのみだったが、関係者も驚く客入り で、ラリー人気の高さを感じさせた。

JN1クラスは、過去2戦ともメカニカル トラブルに見舞われたチャンピオン新井大 輝/立久井大輝組が、ようやく今季初優勝。

自身もファンも抱えてきた鬱憤を晴らした。

JN3クラスは山本悠太/立久井和子組が開

初日トップのJN3山本/立久井組を僅差に追い詰めた 上原淳/漆戸あゆみ組は、スピンを喫して逆転ならず。

幕3連勝を飾り、すでにライバル勢の倍の ポイントを稼いでいる。JN4クラスは全日本 参戦わずか2戦目という藤原友貴/宮本大 輝組が、10SS中9回のステージベストで鮮 烈な初優勝を果たした。JN5クラスは、十分 なリードを有していた松倉拓郎/山田真記 子組が名阪でリタイアする衝撃の展開に。 勝利は河本拓哉/有川大輔組の手に転がり 込んできたが、こちらも後続には2分以上 の差をつけており、松倉/山田組に食い下 がったことが活きた格好となった。河本/ 有川組は前戦からの連勝でもあった。

そして、わずか2週のインターバルで、6 月6 ~ 8 日にシリーズは第4戦を迎えた。ラ リー王国・群馬で行われる「MONTRE 2025」である。今年は比較的距離の短い設 定だが、名所難所を走るだけに注目度は高 く、観客だけでなく競技者からも人気を集 めている。今年も大会名に、ラリーを愛し 情熱を注いだ故・加勢裕二氏の名前を冠し て行われた。今季は雨がちでグリップレベ ルの低い路面での戦いが続いたが、第4戦 は雨が多い“モントレー”にも関わらず、週 末を通じてドライ路面を堪能できた。

JN1クラスは新井大輝/立久井大輝組が 前戦からの連勝とモントレーの連覇を達成 した。今大会の最長ステージSS1/4を制し ヤリ-マティ・ラトバラ氏が監督代行を務めた唐津。JN1 は勝田/安井組、JN2-MCCは大竹/橋本組が優勝。

九州のベテランJN4黒原/松葉組がSS7を快走して後 続を大きく引き離し、地元で全日本初勝利を挙げた。

全日本参戦2戦目、かつ初開催の難しい奈良で後続に大 差をつけて全日本初優勝を挙げたJN4藤原/宮本組。

たことが十分なリードとなった。コバライネ ン/北川組は開幕4連続の2位に終わる。25 台ものエントリーを集めたJN2クラスは、 山田啓介/藤井俊樹組が8SSのうちステー ジベスト6回、後続に40秒近くの差をつけ て完勝した。今季は3戦で優勝しており、 選手権争いを優位に進めている。同クラス 内で行われるMORIZO Challenge Cupは 大竹直生選手が4連勝、最優秀女性ドライ バー賞は平川真子選手が初受賞となった。

JN3クラスは、今季もシリーズをリード している山本/立久井組がエンジントラブ ルでリタイア。残る5組のクルーが代わる 代わるステージベストを争う展開で、渡部 弘樹/横山慎太郎組が全日本初優勝を掴ん だ。総合タイムが渡部/横山組と全くの同 タイムで並んだ鈴木尚/島津雅彦組だった が、「最初のSSでより少ない所要時間を記 録したクルーが上位」というラリー競技開催 規則に泣いて2位に惜敗した。

日曜の林道でGRヤリスの走らせ方に開眼したと語る JN2山田/藤井組が、開幕戦に続く2勝目を挙げた。

第3戦奈良で今季初参戦となったJN5松倉/山田組がま さかのリタイア。河本/有川組に勝利が舞い込んだ。

日曜の林道で限界ギリギリの走りをかわされたJN2貝原 聖弥也/西﨑佳代子組。悔しい戦いが続いている。

今季からRAV4 PHEVでJNXクラスを戦う天野/井上 組。車格や重量に苦しむものの奈良で3勝目を挙げた。

本組が逃げ切って連勝を決めた。JN5クラス は、前戦で文字どおり「足元をすくわれた」 松倉/山田組が今度こそしっかり走り切っ て今季初優勝。レグ2の4SSのうち3ステ ージを制し、ショートステージで大きな差を つけた。選手権争いでは、ここまで2勝2 位2回と安定感のある河本/有川組が優位 に立っている。JNXクラスはRAV4 PHEV の天野智之/井上裕紀子組が2分近くの差 をつける圧勝。今季4戦を全勝している。

川名賢監督率いるJN3渡部弘樹/横山慎太郎組が、鈴 木/島津組との激戦の末に地元群馬で全日本初優勝。

渡部/横山組との旧型同士の戦いで累積結果が同秒と なったJN3鈴木/島津組はSS1のタイムで2位に惜敗。

JN4クラスは前戦で初優勝の藤原/宮本 組と、第1戦を勝っている高橋/箕作組の 争いとなった。最終的に6秒差で藤原/宮 奈良でようやく今季JN1初勝利を掴んだ新井/立久井 組。第4戦も僅差ながら連勝して反撃の狼煙をあげた。

短いインターバルで車両修復をやり遂げたJN5松倉/ 山田組が初日のマージンをさらに拡大して完全勝利。

モントレー名物とも言える国道18号線(旧碓氷峠)を占用した下りのスペシャルステージは今年もギャラリース テージに設定。約150名もの競技役員・マーシャルが競技運営やコースの安全管理にあたった。

& News Topics

好感度の高い競技会が続く全日本ジムカーナ序盤戦 初開催・赤門自動車テストコースの評価はいかに?

PHOTO/大野洋介[Yousuke OHNO] REPORT/JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

第2戦名阪大会では、PE1クラス大橋政哉選手が、山野 哲也選手との直接対決の末、うれしい勝利を得た。

全日本ジムカーナ選手権の第2戦は4

月19~20日に奈良県の名阪スポー ツランドCコースで行われ、150台を超え る盛況だった。当日はドライ路面で進行し たが、パイロン配置が絶妙なコース設定の 影響か、ペナルティが多く発生していた。

PN1クラスは、長いブランクを経て復 帰したベテラン・矢島融選手が優勝。全日 本優勝は実に21年ぶりだった。20台が出 走したPN2クラスは新勢力の台頭も目覚 ましく、第2ヒートをノーペナルティで詰

赤門名物のバンクの高いところを走らせ度肝を抜いた PN2藤井裕斗選手。約コンマ9秒差で2勝目を挙げた。

PN4で全日本初参戦初優勝を赤門で飾った山口栄一選 手と2位の松本敏選手。松本選手はシリーズ首位を堅守。

めてきた古田公保選手が優勝。2019年の 全日本デビュー以来、初勝利となった。

5月10~11日には、広島県のスポーツ ランドタマダで第3戦を迎えた。この大会 は周辺地域の認知度が高く、家族連れや子 供たちの来場も多い。多様な観客のおかげ でテンションが上がると選手たちの好感度 も高い。ゴールデンウィークには、恒例と なったジムカーナ車両による街頭パレード も行われ、こちらも好評を博している。

決勝日は曇り空のドライ路面でスタート したが、午後には雨が降り出して雨脚が強 くなり、“1本目勝負”の様相を呈してきた。

降る前に走り切れたPN1クラスでは、 阪本芳司選手が10年ぶりの優勝。ヤリス では初勝利だ。PN2クラスでは、永川悠太 選手が全日本戦初優勝を飾った。2022年に 全日本デビューし、2023年からはGR86で PN3クラスにフル参戦。今季からロードス ターに乗り替えて初の栄冠をつかんだ。

5月31日~6月1日には第4戦が行われ、 シリーズは早くも折り返しを迎えた。

BC1西井将宏選手の暫定ベストを約コンマ5秒逆転し た橋本克紀選手が、赤門で昨年のスナガワ以来の勝利。

BC2広瀬献選手が若林拳人選手に約コンマ3秒の差を つけて優勝。名阪大会では総合2番手のタイムだった。

ニューフェイスの台頭著しいPN2では、地元の古田公 保選手が第2ヒートの冷静な走りで名阪を逆転勝利。

第4戦の会場は全日本初開催となる宮城 県の赤門自動車テストコースで、多くの選 手にとって未知なる舞台だ。赤門は30度 傾斜のバンクを備えたオーバルコースで、 内周でのパイロンジムカーナが基軸となる が、バンクを避けて最短ラインを狙うか、 車速を高めてバンクを使うか、その選択に 関心が集まった。また、土曜夕方には土砂 降りに見舞われ、朝まで雨が降った影響 で、第1ヒートは徐々に乾く路面となった。

PN4クラスでは、全日本初挑戦だった 関東の山口栄一選手が、レギュラー勢を約 コンマ4秒上回ってデビューウィンを飾っ た。PE2クラスでは、藤原雄司選手が2 位、鈴木昭仁選手が3位に入り、増えつつ あるミニを駆る2人が表彰台に上がった。

4戦を終えて、PE2河本晃一選手、PN2 藤井裕斗選手、PN4松本敏選手、BC2広瀬 献選手、BC3菱井将文選手がリード。PN3 はユウ選手が大差をつけている。PN1と BC1は接戦で、PN1は斉藤邦夫選手を朝山 崇選手が追う。BC1は西井将宏選手と石澤 一哉選手にほぼ差はなく、他の選手にもま だチャンスは十分だ。PE1は大橋政哉選手 が名阪と赤門を制してリードしているが、 今季はダブルエントリーで挑む山野哲也選 手がどう反撃するのかが気になるところだ。

& News Topics

高速コースが続く全日本ダートトライアル序盤戦 若手の初勝利とベテランの久々の優勝が相次いだ

PHOTO/大野洋介[Yousuke OHNO] REPORT/JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

今年も若手育成支援プログラムのサポートを受ける PN2張間健太選手が広島タカタで全日本初優勝。

全日本ダートトライアル選手権は4月 から5月に3戦を消化する。4月5~ 6日には広島県のテクニックステージタカ タで第2戦を迎えた。今大会は九州勢がオ ーガナイズする越境開催で、この時期の九 州大会に付けられていた「スプリングトライ アル」の名称を復活させている。

今季初成立となったPNE1クラスは、 2014年以来に復活した内藤聡選手が11年 ぶりに優勝。3回の王座経験を持つベテラン が健在ぶりを示した。対して、若手成長株

第4戦スナガワはPN1大場元貴選手がブッちぎり。昨年 のJAFカップに続き全日本初優勝を果たした。

“魔改造”MR-Sと一体感が増してきたパッション崎山選 手がついにD車両MR-Sをスナガワで初勝利に導いた。

のPN2張間健太選手と、SA1渡邉知成選手 が全日本初優勝を果たして大喜び。張間選 手はタカタ初走行で、渡邉選手は全日本参 戦4戦目の快挙だった。D1クラスは中国地 区戦を主戦場とし、全日本はタカタラウン ドのみスポット参戦する一柳豊選手が、 2016年以来2回目の優勝を挙げた。

3週間後の4月26~27日には栃木県の 丸和オートランド那須で第3戦が行われた。 関東の聖地とあって150台近くを集めて賑 わった。年初に新名孝雄氏が急逝した主催 のフォレストスポーツクラブだったが、故 人の遺志を継いで大会運営に力を結集した。

PN1クラスでは、入賞が続くものの頂点 には手が届かなかった南優希選手が待望の 全日本優勝を獲得した。開幕戦でも勝利を 飯島千尋選手に阻まれていたが、ようやく 飯島選手を下して勝利を手繰り寄せた。Nク ラスの山崎利博選手とD1クラスの志村雅 紀選手はそれぞれクラス変更後の初勝利と なった。GRヤリスを駆る山崎選手は2022 年の丸和以来、3年ぶりの優勝だった。

5月24~25日には北海道のオートスポ ーツランドスナガワで第4戦が開催された。 大会前には砂利を追加して整備がなされた が、当日は降り続く雨に祟られてしまう。

2010年と2012年、2014年と三度の王座獲得経験を 持つ内藤聡選手がPNE1に復活して貫禄の優勝。

全日本は地元のみスポット参戦を続ける中国地区の改 造車使い、一柳豊選手が2016年以来の優勝。

PN1南優希選手が第3戦丸和で嬉しい全日本初優勝。 ライバル飯島千尋選手をついに下した瞬間だ。

PNE1クラスは5台を集めて今季2回目 のクラス成立。誰が勝っても全日本初優勝 という顔ぶれの中、関東から遠征した山部 恭裕選手が勝ち切った。PN1クラスを制し たのは地元の大場元貴選手で、全日本戦に は数えるほどしか出場していないが、北海 道FF-1クラスチャンピオンが実力を見せ つけた。D1クラスは、MR-Sベースのオリ ジナルマシンを駆るパッション崎山選手が、 この車両での初優勝を早くも獲得した。

全8戦中4戦を終えた時点で、PN1クラ スは飯島選手と南選手、PN2クラスは張間 選手と佐藤卓也選手、PN3クラスは徳山優 斗選手と竹本幸広選手が選手権をリードす る。Nクラスは宝田ケンシロー選手、SA1ク ラスは河石潤選手、SCクラスは目黒亮選 手、D1クラスは山崎迅人選手が頭一つ抜け 出した感がある。SA2クラスの岡本泰成選 手とD2クラスの田口勝彦選手は、ライバ ルに対しやや差を広げている。

& News Topics

単走は刻々と乾いてゆく難しい路面に翻弄 追走では目桑宏次郎選手が奥伊吹を2連勝! 14

PHOTO/小竹 充[Mitsuru KOTAKE] REPORT/JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

奥

伊吹モーターパークで開幕した今 年のD1グランプリシリーズ。今シ ーズンも単走部門と追走部門、総合部門に JAFタイトルが与えられ、日本ドリフト選 手権競技会として開催されている。開催地 は、最終大会は未確定ながら、筑波サーキ ットやエビスサーキット、オートポリスな どでのシリーズ開催が予定されている。

昨シーズンは、気鋭の田野結希選手や、

土曜の第1戦の追走は、目桑宏次郎選手が村上満選手 との決勝を制し、BMWでの初勝利を獲得した。

第2戦追走のトーナメント決勝は横井昌志選手と目桑宏次郎選手のバ トル。攻めつつも抑える走りでBMW目桑選手が奥伊吹2連勝。

第2戦単走優勝のLattapon Keawchin(ポップ)選手。

小西俊嗣審査委員長からJAFメダルが授与された。

ドリフトテストの審査員としてもおなじみ 山中真生選手ら若手の台頭が目立ったが、 最終的には大ベテランの中村直樹選手がシ リーズを制した。今季も2024年D1ライ ツチャンピオンの和田賢志郎選手や、FIAモ ータースポーツゲームス2024日本代表の 多田康治選手などがステップアップし、最 高峰シリーズに新たな顔ぶれが加わった。

シーズン開幕の奥伊吹大会は、土曜に第 1戦、日曜に第2戦が行われたが、金曜に 降った大雨の影響で、土曜はウェット路面

第1戦の単走はシルビアを駆る田中省己選手が優勝。 「気持ちよかった」と語る走りで久々の優勝を飾った。

からのスタート。徐々に乾いていくという、 難しいコンディションで走行が始まった。

第1戦の単走は4グループに分けたウェ ット選抜が採用され、最後に出走したDグ ループの田中省己選手が単走優勝を決めた。

第1戦の追走は、接触が目立つやや荒れ た展開となった。トーナメント決勝は村上 満選手と目桑宏次郎選手のバトルとなり、 目桑選手の手堅い走りが奏㓛して優勝。 BMWに乗り換えての初勝利でもあった。

日曜の第2戦も雨の影響が残ってしま い、路面が徐々に乾くコンディションとな った。第2戦の単走は、BMWでCグルー プを走行したLattapon Keawchin(ポッ プ)選手が優勝。単走での初優勝を挙げた。 第2戦の追走は、ベスト16からギリギ リの名勝負が展開された。トーナメント決 勝は、ベスト8でチームメイトの新人・和 田選手を倒した横井昌志選手と、第1戦を 制した目桑選手との対戦となった。

目桑選手は土曜の反省を活かして攻める スタイルに変更。実際の走りも、先行では 横井選手を引き離し、後追いではキレイに 合わせるドリフトを披露した。この結果、 目桑選手が追走開幕2連勝を挙げた。 奥伊吹大会の結果、追走部門と総合部門 は目桑選手、横井選手、村上選手の順で並 び、単走部門は横井選手が首位で目桑選手 が続き、3位にはポップ選手がつけている。

全日本カート選手権2025シーズン各部門で開幕 ポイント争いはいきなり予断を許さない状況に

PHOTO/今村壮希[Souki

藤波清斗チーム代表兼監督のKF MOTO RSPORTから参戦の酒井仁選手は開幕2 連勝でOK部門のポイントリーダーに。

全日本カート選手権の2025シーズン

は、4月12~13日に開幕した。

今季5大会10戦へ拡大した、125cc水 冷リードバルブ吸気エンジンのFS-125部 門と、100cc空冷ピストンバルブ吸気エン ジンのFP-3部門が、千葉県市原市の新東 京サーキットで行われ、FS-125部門では 参戦2年目の酒井龍太郎選手が雨をものと もしない圧巻の走りで2連勝を遂げた。

FP-3部門は、ルーキーの國岡光貴選手と 関口瞬選手がそれぞれ優勝している。

兵庫県神戸市の神戸スポーツサーキット で行われた5月17~18日の第3戦&第4

ベテラン三村壮太郎選手がEV部門で二度の優勝を飾 る。全日本カート選手権で悲願の初王座獲得なるか!?

戦でもFS-125部門の酒井龍太郎選手が強 さを見せてポール・トゥ・ウィン。昨年の 開幕戦から通算8連勝を記録した。

顔ぶれが大きく変わったFP-3部門は混 戦が予想されたが、山代諭和選手が独走で 第3戦を制した。第4戦では接戦の展開と なり、國岡選手が2勝目を獲得している。

HASEGAWA] REPORT/JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS] 2024年FS-125部門王者の酒井龍太郎選手が、クラス2 連覇に向けて今季4戦4勝と圧倒的な強さを発揮。

昨年同様にGPR KARTING SERIESに 全日本タイトルがかけられたOK部門は、5 月10~11日に三重県鈴鹿市の鈴鹿サー キット南コースで開幕した。ルーキーから ベテランまでがそろう中、2024年ランキ ング2位の酒井仁選手が気を吐いて2連 勝。弟の酒井涼選手に続く兄弟でのチャン ピオン獲得に向けて好発進した。

1か月後の6月14~15日には栃木県茂 木町のモビリティリゾートもてぎ北ショー トコースで第3戦&第4戦を迎えた。参戦 2年目ながらOK部門では勝利に恵まれな い酒井龍太郎選手が第3戦で本領発揮。ポ

ールポジションからスタートし、一時はト ップを譲るも、ラストで一瞬の隙を突いた 逆転劇を演じてうれしいOK部門初勝利。 第4戦はベテラン皆木駿輔選手が安定の走 りでトップチェッカーを受けた。

誕生から4年目のEV部門は、ドライバ ーオーディションやドラフト会議を経て5 月25日に始まった。4大会8戦のすべてが 東京都江東区のシティサーキット東京ベイ で行われることとなり、その開幕戦では、2 シーズン目の三村壮太郎選手が連勝。タイ トル争いで優位に立っている。なお、EV部 門の次戦は7月21日に夜間レースとして 開催予定。興味深いレースになるだろう。

FP-3部門の第3戦は山代諭和選手が独走で制した。荒れた展開となった第4戦では、國岡光貴選手が2勝目を獲得。唯 一2勝を挙げている國岡選手が第4戦終了時点で120ポイントを獲得してランキング首位を堅守する。

時間レースとして2018年に復活した﹁富士

時間レースから得られる学びを、

複

数のドライバーが交代しながら1台のマ シンを操って、長時間に渡って走り続け る耐久レースは、ドライバーそしてマシ ンにとっても、スプリントレースとは異なる競技への アプローチが求められてくるものだ。特に、スーパー 耐久シリーズの一戦として開催されている「富士24 時間レース」では、その傾向が顕著に現れてくる。

日本最長の耐久レースとして定着した富士24時間 レースは、多くのドライバーが1回あたり約70~90 分というロングスティントを複数回に渡って担当する という。耐久レースであるが故に、車両やタイヤを労 わりながらの走行が求められ、乗車するタイミングも 6~7時間のインターバルが空くこともある。この過 酷な24時間レースを戦うことで、彼らドライバーは どのような学びを得ているのだろうか?

5月30日~6月1日、富士スピードウェイで開催 された富士24時間レースにおいて、参加した複数の ドライバーをクローズアップ。この特集では、レーシ ングドライバーとして成長する上で、国内唯一となる 24時間レースから得られるスキルを探っていく。

ここで無理して抜く必要はない

「スーパーGTと違って、スーパー耐久は一つのステ ィントが長いので、タイヤの劣化の度合いが大きく出 ますよね。スーパーGTではひたすらプッシュしてい ますが、スーパー耐久では『抑えながらプッシュ』しな ければいけないので、タイヤマネジメントの練習にな っています」と語るのが、66号車「odula TONE MOT UL ROADSTER RF」でST-4クラスに参戦した藤原 優汰選手。藤原選手はスーパーGTのGT300クラス とD1ライツを掛け持ちする異色のドライバーだ。 「GT300クラスだとBoP(バランス・オブ・パフォ- マンス/性能調整)が採用されていることもあって、ラ イバル車両と似たペースで走っています。そのため、 常にコース上でバトルしているような状態なん ですよね。それがST-4クラスだと、ロードス ターとGR86で得意とするセクションが違う し、ロードスターは燃費性能が高いので、『こ こで無理をして抜く必要はない』とか、『最後に 前に出ればいい』といったように、戦略という か、レース運びの幅が広がりました」と富士24 時間レースで得た“学び”について解説する。

さらに藤原選手によれば「GT300クラスで はレーシングカーとして開発されたFIA GT3

車両に乗っていますが、スーパー耐久の車両 は、市販車をベースにチューニングしている ので、特にエンジンについては全開走行を長 時間に渡って続けていると、トラブルが出や すいんですよね。そういった意味ではペース 配分も学べます。また、今回は6名のドラ イバーで参戦していて、データロガーとか

も比較できるので、ドライビングで必ずヒントがあり ます。自分が持っていないワザを持っている人も多い ので面白いですね」と、長時間耐久レースを通して多 くを吸収しているという。

トラブルに出会えたことで学べる また、スーパーGTのGT300クラスに参戦すると ともに、スーパー耐久には3号車「ENDLESS GR86」 でST-4クラスに参戦する菅波冬悟選手もこう語る。 「耐久レースではクルマの労わり方を学べます。縁石 に乗せる/乗せない、ということを含めて、どういう 走り方をすればクルマに負荷がかかるのか、といった ことを学べます。あとは“燃費走行”ですね。耐久レ ースではピットの回数を減らすことができれば、リザ ルトも大きく変わってくるので、どういう走り方をす れば、タイムを落とさずに燃費を稼げるのかが、一つ の大きなテーマとなります。これを追求できるので、 かなりドライビングの幅が広がりますよね」。

さらに、「耐久レースは周回数が多いので、トラブ ルが出やすいんですよね。でも、このトラブルに出会 えたことで、トラブルが起きそうな前兆やトラブルが 発生した時の対処法などが身につくと思います。他の カテゴリーでも“ここがおかしいかも?”と、いち早く 気付けるようになれると思いますよ。最近のレーシン グカーはトラブル自体が減っているので、いざトラブ ルが出たら致命傷になりかねませんからね」とのこと で、できれば遭いたくないトラブルに出くわしたとし ても、考え方を変えれば、多くの学びがあるという。

タイヤの消耗に合わせて運転を変える

一方、耐久レースでは、走行時間が長くなるが、そ れこそが大きなプラスになったと語る選手もいる。

スーパーGTのGT500クラス、そして全日本スー パーフォーミュラ選手権に参戦しながら、スーパー耐

久の富士24時間レースに95号車「SPOONリジカラ CIVIC」でST-2クラスに参戦した小出峻選手だ。 「モータースポーツは練習走行でもお金がかかります が、スーパー耐久は24時間レースを含めて他のカテ ゴリーよりも圧倒的に走る時間が長いですよね。そこ で、クルマの挙動を感じ取るセンサーを磨けると思い ます。実際、僕の四輪レースのデビューはフォーミュ ラではなく、スーパー耐久だったんですが、クルマの 挙動の理解につながったし、変化していくタイヤのコ ンディションを、どのような走り方をすればマネジメ ントできるのかという基本も学べました。スーパー耐 久で経験したタイヤマネジメントはスーパーGTでも 活かせると思います。タイヤの消耗に合わせてドライ ビングを変えていく、なんてことはスプリントレース ではなかなか経験できませんからね」と語る。

小出選手によれば、「スーパー耐久は、スーパー GTやスーパーフォーミュラに続く“国内3大レース” と言える盛り上がりを見せていますよね。なので、い ろんなドライバーが集まってきますから、メンタルコ ントロールも学べると思います。そして、スーパー GT以上に、長時間に渡って集中力を持続させる必要 があると感じていますので、そういった集中力の高め 方や維持の仕方も他のカテゴリーで通用するスキルが 習得できると思いますね」というように、メンタル面 においてもプラスになる要素が得られるようだ。

レースの安定感につながる経験ができる

スーパーフォーミュラにスポット参戦したことで話 題となった若手期待の小林利徠斗選手。スーパーGT のGT300クラスおよびスーパーフォーミュラ・ライツ に参戦しながら、富士24時間レースには31号車「DE NSO LEXUS RC F GT3」でST-Xクラスに参戦した。

長時間におよぶ耐久レースは、ドライバーだけでなく、マシンやメ カニックにも極限状態が強いられることもある。バトンをつないで 走り切るには、マシンと真摯に向き合うことも重要だ。

タイヤを意識したりと、いろいろと考えながらレース をするので、そういった頭を使った走り方は他のカテ ゴリーでも役に立ちます。それに富士24時間レース は走行時間が長いので、クルマに負担をかけずに、ク ルマの動きを感じ取りながら走ります。こういった経 験をしておくと、他のカテゴリーでの安定感に繋がっ てくると思います」と語る。加えて「耐久レースでは、 速いクルマにポジションを譲ったり、遅いクルマをオ ーバーテイクするシーンが多いので、そういったこと もロスなくできるようになりますね」と小林選手がい うように、接触のリスクを避けながら効率の良いレー ス運びを学ぶこともできるようだ。

自分のスティントまでの体調の整え方

「スプリントレースと違って、スーパー耐久は燃費や

スーパー耐久シリーズや富士24時間レースの参戦 は、女性ドライバーにも大きな財産になっているよう だ。89号車「村上モータースMAZDAロードスター」 でST-5Rクラスに参戦した岩岡万梨恵選手はこう語 る。

多くのクラスを持つスーパー耐久シリーズは、通常戦ではクラスを分けて複数 のレースが開催されることもあるが、富士24時間レースでは全クラスが混走す るため、速度域の違うマシンの攻略が、完走そして勝負のカギを握る。

「耐久レースは、長時間に渡って集中しなけ ればならないので、スプリントレースではより 集中できるようになりました。そして、周りの クルマに気を配ることが多いので、スプリント レースでも接触に対してより気をつけるように なりました。それに、スーパー耐久は箱車の レースですから、箱車はロールが大きいので 急にハンドルを切ると車体が振られてしまい ますよね。それで丁寧なドライビングが身に つきました。シフトダウンもギヤを壊さないよ うに丁寧に行いますが、それはパドルでシフ トするマシンでも同じことなので、繊細なドラ イビングを意識するようになりました」。

さらに岩岡選手によれば、富士24時間レー スを通して体調管理方法を身につけたようで、 「自分のスティントまでの体調の整え方ですね。 スティントの何時間前に起きて、どのくらいの

TEAM

ST-5Rクラス

岩岡万梨恵選手

村上モータース(89号車)村上モータースMAZDAロードスター[ND5RC]

ZEROONE(25号車)raffinée日産メカニックチャレンジZ NISMO GT4

ST-Zクラス

服部尚貴選手

ST-Zクラス 松田次生選手

埼玉Green Brave(52号車)埼玉GB GR Supra GT4 EVO2

憧れのレース参戦・クルマ好きの夢を叶える

新たな裾野拡大施策「S耐チャレンジ」始動!

富士24時間レースが開催された5月30日、一般社団法人スーパー 耐久未来機構による「S耐チャレンジ」の概要発表が行われた。

このS耐チャレンジは、モータースポーツの裾野拡大を目指して創

設された新たなシリーズイベントで、スーパー耐久を「参加型レースの 頂点」、S耐チャレンジを「アマチュア層を育むカテゴリー」と位置付 け、「憧れのレースに出たい」と思う「クルマ好きの夢」を、経済的な負 担を少なく実現することを目指しているという。

第1回イベントは、11月15日のスーパー耐久最終戦・富士大会に 併催され、2026年は3イベントを開催予定。国内Aライセンス所持者 を対象とし、決勝60分のミニ耐久レースを、国内競技規則に定められ た「模範走行行事」として開催することが計画されている。

タイミングでウォームアップの運動を始めて ……などなど、そういったレース本番でいい状 態にもっていくためのリズムも、耐久レースで 作れるようになりました」と説明する。

ナイトセッションの走りは昼にも活きる 耐久レースにおける“学び”について、ベテラ ンドライバーたちはどう感じているのだろうか? スーパーGTのGT500クラスで活躍すると ともに、富士24時間レースには25号車「raffi née日産メカニックチャレンジZ NISMO

GT4」でST-Zクラスに参戦した松田次生選手 にうかがった。

‘``

JAF公認レース競技では珍しい夜間走行が行われる富士24時間レース。少ない照 明や、ヘッドライト&テールライトの明かりを頼りに走るシチュエーションでは、 視覚からの情報だけでなく五感を研ぎ澄ませたドライビングが必要だ。

「スプリントレースと違って、耐久レースはいろんな 要素が求められますが、最も重要なことはクルマを壊 さないことだと思います。クラッシュはもちろん、ク ルマに対して優しく走ったり、燃費を意識して走った りしなければならないので、その経験は他のカテゴリ ーでも活かせると思いますよ」と語る。

松田選手によれば「ブレーキも、フォーミュラカー レースなどのようにガンガン使ってしまうともたない ので、ブレーキを多用せず走ることを意識します。ロ ングスティントではタイヤも消耗してくるので、グリ ップしない時の走らせ方は勉強になると思いますよ。

スーパーGTもタイヤのデグラデーション(タイヤの 性能劣化)は大きいので、こういった経験を活かせる と思います」とのことだ。

24時間レースならではのナイトセッションについ ても、「夜間は暗くて先が見えません。昼間のレース でも雨が降ると、ウォータースクリーンで前が見えな い時がありますよね。視野が狭いナイトセッションを 経験しておくと、昼間のレースでは視野が広がります し、ウォータースクリーンで視野の狭いウェットレー スにもいい経験になると思いますね」と分析する。

そのほか、「スーパー耐久では、必ずジェントルマ ンドライバーがチームに加わりますが、彼らが乗りや すいクルマにしなければなりません。アマチュアドラ イバーの多くはリアが“軽い”と攻められないので、そ ういうセットで走り込めば、アンダーステアが出た時 にうまく切り替えることができるようになると思いま す」とのことで、他人の志向に合わせたセッティング で走ることによりドライビングの幅が広がることも、 得られるフィードバックの一つだと言えるだろう。

全クラス混走での接触を回避する走り

そして、これまで国内外で様々なカテゴリーとマシ ンを経験してきたレジェンドドライバー・服部尚貴選 手に登場してまとめていただこう。

富士24時間レースには52号車「埼玉GB GR Sup ra GT4 EVO2」でST-Zクラスに参戦した。

「耐久レースは一発のタイムではなく、"コンシスタン

スに走ること"が大事ですからね。マージンを持ちな がら、確実に次のドライバーへ繋げることがドライバ ーの仕事です」と前置きした上で、富士24時間レー スで得られる学びについて説明してくれた。

「縁石に乗っているとクルマに負担がかかりますよ ね。ブレーキもそうですが、耐久レースでは労わりな がら走る方法が学べます。そして、富士24時間レー スで一番身に付くのは、接触を回避する能力だと思い ます。というのも、スーパー耐久シリーズの中でも、 富士24時間レースは全クラスが対象で、60台のマシ ンが同じコース内で走行しています。こうなると、ク ラス違いで速度が低いクルマを抜いたり、後ろから迫 る速いクルマを先行させるような状況が頻発するんで すが、それぞれに、それなりのリスクが生じます。こ ういうときは、周りの動きを見ながら、マージンを持 ってリスクを回避していくことが基本になりますが、 走って一番役に立つのはナイトセッションですね。危 険回避をもっとも学べます。ちゃんと耐久レースと向 き合えば、クルマを壊さなくなりますね」。

そして、富士24時間レースでないと得られない経 験もあるそうで、24時間レースを戦い抜くためには、 いかに自分をリフレッシュさせるか、乗っていないと きの過ごし方も重要になってくるという。

「普通の耐久レースの場合は1回乗ったら、そこで終 わりですけど、富士24時間レースの場合は、人数に もよりますが、何回も乗らないといけないわけです。 自分の持てるパフォーマンスって、1回だけのスティン トならしっかり出せると思いますが、2回目、3回目の 走行できちんとパフォーマンスを出すためには、クル マを降りた後はキチンと休まないといけないんです。 いかに休むかがポイントになりますが、しっかりと睡 眠をとって疲れをとることが大事だと思います」。

最後に服部選手は、「こういったサーキットでの危 険回避術や自分のコンディション管理なんかは、スプ リントレースだけじゃなく、一般道での走行にもかな り役立つと思いますよ」と付け加えてくれた。

富士24時間レースは国内随一の過酷な耐久レース だ。それ故に学べることも多く、ベテランから若手ま で多くのドライバーが切磋琢磨を続けているのだ。

の

走るコースは大会の当日に判るジムカーナとダートトライアル。 レイアウトを覚え攻略法を練る機会も、2回の慣熟歩行に限られる。 走行時間は90秒ということで、本番では僅かなミスも許されない。

スタート前には緊張し、プレッシャーに苛まれてしまうだろう。 こんなとき、歴戦のベテラントライアラーは何を考えているのか? 勝負の前はどんな心持ちでいるべきかを全日本の強者たちに聞いた。

PHOTO/大野洋介[Yousuke OHNO]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]  REPORT/廣本 泉[Izumi HIROMOTO]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

ずか90秒程度の走行で勝負が 決まるジムカーナとダートトラ イアル競技は、他の種目に比べ て一発勝負の様相が強いカテゴリーだ。

会場で発表されたコースレイアウトを元 に走らせ方や戦略を慣熟歩行で組み立て て、2ヒートのアタックで全力を出し切ら ないといけない。また、小さなミスが順位 に大きく影響してしまう上に、自分が信じ る走らせ方が通用するのかどうかは、ライ バルがゴールするまで、わからない。

このジムカーナとダートトライアル競技 を高いレベルで戦い抜くには、並外れた集

中力が必要だ。それが、最高峰である全日 本選手権競技会ともなると、参加者が背負 うものも大きくなり、スタートするまでは、 強烈なプレッシャーに苛まれるものだ。

そういう状況はどう克服すべきなのだろ うか? 今回は、全日本ジムカーナ選手権 第2戦「ALL JAPAN GYMKHANA in 名 阪 まほろば決戦」と、全日本ダートトライ アル選手権第3戦「DIRT-TRIAL in NASU」 の会場で、トップドライバーたちを直撃。 ジムカーナとダートトライアルの全日本チ ャンピオン経験者に、より良いスタートを 切るためのアプローチについて尋ねた。

緊張とプレッシャーに打ち勝つための “ココロ”の整理術

緊張は本番でしか味わえない! 参戦回数をこなして場慣れする

全日本ダートトライアル選手権PN1ク ラスをフィットで戦う青森のベテラン・工 藤清美選手は、「スタート前は緊張してし まう方ですが、あまり緊張しすぎるとミス が多くなるので、できるだけリラックスす るように心がけています」と語る。 「出走前には何も考えず、待機列に並んで も、走りも見ないしアナウンスも聞きませ ん。待つ間には走るコースを頭で1周なぞ りますが、残り1台になったら、車載カメ ラのスイッチを入れる程度ですね」。

工藤選手は土曜の公開練習を、会場にい ながらも走らないと決めている数少ない選 手。「土曜の夜は仲間と食事をしながら楽 しく過ごしています」とのことで、ある意 味で人一倍、自分を追い込んでいるとも言 えるが、「競技を始めたのが33歳で遅かっ たのもあって、最初は緊張していました。 そこで、誰よりも競技会に出るようにした

んです。練習会より競技会の方が緊張感が あるので、東北地区の近場で行われる競技 会には全部出ました。そのおかげで競技会 ではリラックスできるようになりました」 とのことで、自分を制する術を、本番経験 を積み重ねることで会得できたようだ。

●

全日本ダートラNクラスをランサーで戦 う四国の細木智矢選手も、公開練習を走ら ないスタンスを持つ選手の一人。しかし、 スタート前は未だ緊張状態にあるという。 「どうしても緊張しちゃいます(笑)。僕の 場合はスタート前に緊張のピークが来ま す。でも、リザルトを意識せずに、今の実 力を出し切ることに集中して、平常心で挑 むようにしています」と語る。

細木選手は、「スタート直前は、抑える べき箇所などをもう一度イメージします が、他の選手の走りやアナウンスは気にし ていませんね。ダートラでは、自分が考え た走りの組み立てを忠実に再現するだけだ と思っているので、スタートまで残り1台

になると、“無”の状態になれています」と スタート直前の心境を語る。

その一方で、近年は全日本ジムカーナ選 手権にも参戦していて、プロドライバーに 比肩するほど忙しいシーズンを送っている が、「ダートラは長くやってきたので、行 き過ぎても身体が動いて対処できるんです よね。でも、ジムカーナはまだ慣れていな いので、ついつい行き過ぎてしまいます。 なので、ジムカーナでは自分を滅するよう に、出走前に言い聞かせています」とのこ とである。

「オレの走りを観てくれよ!」 心を落ち着かせる自己暗示

全日本ジムカーナ選手権PN3クラスを ロードスターRFで戦う関東のベテラン・ 川北忠選手は、「僕は楽観的なので、自分 を追い込むことはしないんです」と語る。 「スタート直前は、他の選手の走りは見ま せんし、アナウンスが聞こえても気にしな いようにしてます。走り出したらクルマか

全日本ダートトライアル選手権PN1クラス 工藤清美選手

青森のモータースポーツショップで「店長」を務める、前輪駆動マイスター・工藤選手。土曜の公開練習は、会場に居 ながら走らないというスタンスを貫いており、事前情報の入力を廃して、自分が信じた走りの完成度を高めている。

全日本ダートトライアル選手権Nクラス 細木智矢選手

全日本ジムカーナとの掛け持ちでプロドライバー並みに忙しい日々を送る細木選手。ダートトライアル会場では達観 した言動で泰然自若としているが、慣熟歩行はコース図を持ち歩き、得られた情報をメモで残す几帳面さも併せ持つ。

選手会活動も積極的に取り組みながら自身のコンディションを整える川北選手。「緊張しない」と語りつつも、出走前 には緊張感を漂わせていたが、スタート直前には雑音を遮断して、自分のアタックに集中できる環境を作っている。

最高峰BC3クラスからPN4クラスへ移行した中部のベテラン津川選手。出走前に集中力を高めるプロセスを大切にし ており、情報収集に務める傍ら、イメージトレーニングや身体ストレッチも欠かさず、最良の状態作りに励んでいる。

らのインフォメーションに集中します。あ まり緊張すると、集中力が続かないんです よね。最初は、人から見られていると思っ てしまい緊張していましたが、『誰も見て ないよ』と思い始めてからは気にならなく なり、今では逆に、『俺の走りを見てよ』く らいの気持ちでいた方が集中できるように なりました(笑)」とのことで、他者を意識 しない思考を積み重ねたことで、自然体で 臨める術を身に付けられたようだ。

●

全日本ジムカーナ選手権PN4クラスを GRヤリスで戦う中部のベテラン・津川信 次選手は、「ジムカーナは技量半分、メン

タル半分の競技なので、メンタル調整は重 要です。自分はスタート前に緊張してしま うので、それを逆手に取って、あえて自分 にプレッシャーを与えています」と語る。

その手法は奇しくも川北選手と同様で、 「観客を見て、『今から走るからみんな観て おけよ!』と、心の中でつぶやくんです。 あえて自分で追い込んで、プレッシャーに 慣れるようにするわけです。それを繰り返 していったら、走りに安定感が出てくるよ うになったんですよ」と振り返った。

さらに、「エンジンをかける、レーシン グスーツを着るタイミングなどを決めてい ます。これが、“ジンクス”になっちゃうこ ともありますよね。でも、自分はシューズ

を左足から履きますが、それでうまく走れ なかったら右足から履けばいい。柔軟にね (笑)。こういうルーティンワークは、自分 が集中するためのメンタル調整だと思って やっているので、いいように解釈して、気 持ちを切り替えるようにしています」との こと。あえて出走前に手順を設けて、手順 をこなすことで雑念を振り払い、集中力を 高めていくという考え方なのだろう。 悩みながら試行錯誤した結果 自分なりの調整術が確立した

オートマのスイフトスポーツを操り、全日 本ダートトライアル選手権PNE1クラスで 2024年全日本チャンピオンに輝いた関東の

関東の前輪駆動スペシャリストとして知られる小山選手。ショップオーナーを務める傍らで若手の育成にも精を出す。 視界が限られるフルフェイスヘルメットを愛用しており、この着脱がオンとオフのスイッチとなっているようだ。

全日本ジムカーナ選手権PN1クラス

「気合いを入れ過ぎてもダメだし、リラッ クスしすぎてもダメ。頭が集中して緊張し つつも、身体の力は抜けている状態が理想 で、そこに整えるよう意識しています。で も、それが難しいんですよね。自分の場合 は、ヘルメットを被ると、“この状態で行 くしかない”と諦めの境地になるので、そ れでようやく集中してきます」。

「昔から、本番ではうまい調整ができなく て苦労してきました。それで、他のスポー ツ用のメンタルコントロールの書籍を読ん で、それを採り入れるようになってから成 績が安定してきました。メンタルって、ク ルマに乗らなくても日常生活でもトレーニ ングできるんですよ。最近は競技に慣れて

コンパクトカーマイスターとして知られる朝山選手は、帯同する師匠・小清水昭一郎氏の教えを守り現在に至る。経 験豊かなベテランだが、かつて先輩がしていた「朝イチに会場でプリンを食べる」という謎のルーチンも続けている。

きたし(笑)、結果よりも楽しむことを優先 しています。それで緊張感が薄れていると ころもあるので、最近では自分にプレッシ ャーをかけるようにしています。スタート してから気合いが入り過ぎていることに気 付くこともありますが、走りながらでも心 を抑えられるようになりましたね」。

●

全日本ジムカーナ選手権PN1クラスを ヤリスで戦う四国のベテラン・朝山崇選手 も、あらゆる状況を試した結果、自分をい い状態へと持ち込む術を体得したという。 「パドックを出るまでは緊張感を高めて、 その後は徐々に緊張を落として、出走順が 来たらリラックスさせるようにしていま す。緊張しまくった時期もありましたし、 それを対策してリラックス状態で走ってい た時期もありました。でも、スタート時に 緊張感を持つのはダメだということがわか

走る時間より待つ時間が長いジムカーナ&ダートトライアル より良いアタックに臨むため、あらゆる方法で自分を整える ベテラン・小山健一選手。今年はPN2でマ ニュアル車勢と戦う挑戦を始めているが、 長い間、自分の心と向き合ってきた結果、 独自のコントロール術を編み出したという。

ジムカーナとダートトライアルは、オーガナイザーから与えられたコース 設定をどのように攻略するかに挑む競技。路面状況に変化が少ないジム カーナではパドックや慣熟歩行でのイメージトレーニングが重要になる が、ダートトライアルは路面が刻々と変化するため、自分の出走前までの 路面状況を目視で確認したり、他者から情報を得ることも大切だ。

ったので、事前にできるだけ緊張して、そ こから緩めていくほうが走りに集中できる という結論に至ったんです。例としては、 慣熟歩行でスタート位置に立って、決勝ス タートを思い描いて緊張感を作ったりもし ます。その後、パドックを出てからは走り のことは忘れて、景色を眺めながらボーッ とするようにしてます」と朝山選手は語る。 「あと、意識的にやっているのは深呼吸で すかね」とのことだが、競技に臨む考え方 は、先人の教えが影響しているという。

「以前、初めてチャンピオン争いをした際 に、師匠の小清水昭一郎さんから『ダメな 時はダメだから』と言われたことがあって、 その言葉が刺さっています。それで、『今 できることをやるしかない』と吹っ切れて、 初めて全日本タイトルを獲れたんです。現 在でもその気持ちは変わらず、自分の心の 支えになっています」と付け加えた。

一発の速さを磨くために、 あえて追い込む術もある

ムカーナとダートトライアル競 技では、いわゆる、“引き算”の 走りが有効とされているが、そ れとは対局にある、想定外のスーパー・ベ ストタイムが叩き出されることがある。こ のような、いわゆる“一発のタイム”を出 すための有効な道筋はあるのだろうか? マージン確保の走りから 攻めの走りへ切り替える

GR86で全日本ダートトライアル選手 権PN3クラスに参戦する竹本幸広選手は、 第2ヒートのパルクフェルメでは、自分の 順位が確定するまでウロウロと彷徨う姿が 有名で、いわば“緊張しい”なタイプであ る。

「自分は緊張しやすいので、リラックスし て走りたいと思っています。練習会でも緊 張感を持って走ることはできます。僕の場 合は、“負けたら○○”みたいなテーマを設 けて、勝負として走ったりしてました。そ

うやって本番に似た緊張感に慣れるように してきましたね。そして、僕は思い込みも 激しいので(笑)、“決め打ち”をしないよう にしています。以前は、『このコーナーは 2速で』とか、『ここでブレーキング』など と決めて走っていましたが、クルマの挙動 を感じながら走ったほうがいい感触を得ら れているので、現在では、走りながら状況 に応じて対応しています」と語る。

「僕はエビスサーキットの従業員なので、 お客様を乗せてコースを走る業務も多いん です。当然、そのときは安全マージンを確 保した走りになりますが、自分の競技にな ると100%で走る必要があります。ですが、 その100%の走りができていなくて……。

なので、気持ちを切り替えるために、公開 練習ではリミッターを解除する作業をして います」と、複雑な心境を語ってくれた。

●

「集中するという意味では、スタート前は 緊張感を持っています。でも、かなり楽観 的で、自分のできることをやるだけだと考 えています。コーナー進入のアプローチ も、ダートラは路面状況次第なので、クリ ッピングポイントから先のことをイメージ します。走り出したら目先じゃなくて、次 のコーナーを意識しています」と語る。

炭山選手は2018年にはFIAアジア・パ シフィックラリー選手権のチャンピオンを 獲得した後に全日本ダートラへ復帰したが、 特有の走らせ方に悩んだ時期もあった。

「ラリーのスペシャルステージは長いの で、最初の3コーナーくらいまでは様子を 見て走りますが、ダートラはスタートした 瞬間にピークへ持っていく必要があるんで す。そうなると、あんまりリラックスし過 ぎてもゾーンに入りにくい。ここは復帰し てから悩みましたが、ある程度は自分にプ

一方、ラリー参戦を経て、ダートラに戻 ってきたドライバーもいる。三菱ミラージ ュをベースにD車両を制作して、D2クラ スで活躍する炭山裕矢選手である。

全日本ダートトライアル選手権PN3クラス 竹本幸広選手

エビスサーキットの従業員として普段はコース整備や来場者の対応に明け暮れる竹本選手。職業ドライバー特有のマー ジンを持った走りの“解除方法”に悩むものの、本番前後ではライバルとの舌戦も展開して、自分を奮い立たせている。

全日本ダートトライアル選手権D2クラス 炭山裕矢

改造車のコンディションを確かめる作業から出走準備が始まる。ラリー活動を経て再び全日本ダートトライアルの世界 に復帰した炭山選手は、ラリーで培った走りとは異なる“何か”を求められるダートラ走りの“真髄”を模索している。

全日本ジムカーナ選手権BC2クラス 若林拳人選手

BS 若自速心コ犬 ZR エキシージ[1117 ]

全日本ダートトライアル選手権SA2クラス

北村和浩選手

「キタムラ走り」と呼ばれる、観客を魅了する激走で勝つことを信条としている北村選手。いわゆる“一発の速さ”を 求め続けてきたダートトライアル界のレジェンドだが、開会式からすでにイメージトレーニングに励む姿も見られた。

レッシャーをかけたほうが、いいタイムが 出ることが多いと感じています」とのこと で、スタート直後から全力を出し切るため に、集中力を高めて走りを磨いている。

あえて自分を追い込むことで 度肝を抜く激走を引き出す!

全日本ジムカーナ選手権BC2クラスをエ キシージで走る若林拳人選手。ここ数年 は、ライバルである広瀬献選手との息を呑 むチャンピオン争いで観客を魅了している。

「ボクは軽い緊張感があった方がいいです ね。その方が集中力が高まります。リラッ クスして挑むと良くないんですよ。『この コースはライバルが有利だぞ』と感じると きは“良い緊張感”に持っていきやすいん ですけど、『ここは自分が有利だ』と思うと きは、イヤな緊張感というか、変なプレッ シャーが出てくるんです。その場合は、ス タート前までに心を落ち着けるようにして います」と、独自の対処法を語る。 「頭の回転を良くするために、ブドウ糖の タブレットを持参して、走る前に食べたり します。スタートの待機列では、コースが 見えれば他の選手の走りを見てます。スタ ートラインでクラッチを踏むと、不思議と 緊張しないんですよね。パドックでは緊張

するんですけど」とも語ってくれた。

●

GRヤリスに乗り換えて全日本ダートト ライアル選手権SA2クラスを戦う中部のダ ートラレジェンド・北村和浩選手は、「自 分は自分にプレッシャーをかける。緊張す ればするほど、スタートでそれが爆発して 走りにも表れるから、気合を入れるために プレッシャーをかけてるよ」と明言した。

全日本ジムカーナ選手権BC2クラスを 若林拳人選手は兄の若林隼人選手とともに「ジムカーナの申し子」とも言われる関東のスペシャリスト。レーシング ドライバーを目指していたこともあり、パドックでは飄々としているが、本番で繰り出す走りは、他を圧倒している。

スタート前の動きについては、「ギリギ リまで他の人の走りを見たいから、先にレ ーシングスーツを着てから見に行くな。走 りをイメージするのはパドックまでで、待 機列に並んでヘルメットを被ってからはあ れこれ考えず、『よし、行くぞ!』と、自分

の気持ちを高めてます」とのことだ。 「昔は、エントリーしたことを後悔するほ ど緊張していたし、現在でも、土曜の夜 は、なかなか寝付けないぐらい(笑)。で も、スタートの1台前になると緊張が消え て、“無”の状態になれるし、“よし、やろ う!”という気持ちでスタートを切れる。 自分は緊張した方がいいと思ってます」と 語る北村選手。観衆を魅了する“キタムラ 走り”と呼ばれる豪快なアタックは、自分 を追い込むことで生み出されていたのだ。 事前準備で不安要素を払拭 スタート前で勝負は決まる!?

全日本ジムカーナ選手権BC2クラス

広瀬 献選手

今季はダブルエントリーで参戦するも、若林拳人選手と一進一退の激しいタイトル争いを展開する広瀬選手。この「令 和の名勝負」を繰り広げながら、パドックでは、もっとも身近な存在から強烈なプレッシャーをかけられる一幕も。

全日本ジムカーナ選手権BC3クラス

菱井将文

全日本ジムカーナ選手権BC3クラスと86/BRZ Cupクラブマンシリーズを掛け持ちする菱井選手。ダートトライアル 経験もあるレジェンドで、ライバルからパドックに送り込まれる小さな刺客たちにも動じず、集中力を高めている。

S2000で戦う広瀬献選手も、自分を追い 込んでから緊張を緩めていくタイプだそう だが、「僕の場合は、現場でネガティブな 感情を持たないようにするため、大会の一 週間前に自分を追い込んでいます」と語る。

「一週間前は、『もう会場に行きたくない』 と思うほど追い込みます(笑)。そのおかげ で、サーキットに来たら不安な気持ちはな いですね。ハード面に関しても、気になる セッティングは事前に試すことにしている ので、会場に来てしまえば、周りからプレ ッシャーをかけられるぐらいがちょうど良 い感じなんです」とのことだ。 「レースウィークはナマ物を食べないと か、ミスコースをしないよう、出走直前に 頭の中でコース図をもう一度確認すると か、そういったルーティンはあります。あ

前走車トラブルなどにより「再出走」することもある。失 敗を帳消しにできるチャンスではあるものの、一度解い た集中力を再び高めることはなかなか容易ではない。

と、パドック配置やオフィシャルの動きに よって、出走時のいろいろなタイミングが 大会ごとに違ってきますが、走る前にイラ イラしたくないので、公開練習でオフィシ ャルの動きを観察して、その大会ごとの出 走時のリズムを決めています」とも語る。

広瀬選手は、「参戦体制はシーズン前に 整えているので、大会当日はミスなく走る だけ、という状況にしています。僕は、若 林拳人選手のように一発の集中力でポテン シャルを引き出すようなタイプではなく、 積み上げていくタイプです。そのため、事 前にしっかりと準備をすることで、大会当 日を冷静に迎えることができています」と のことで、大会周辺だけではなく、長いタ ームでコンディションを整えているのだ。

●

「苦手なコースでは、うまく走れるかなぁ と思いはするけれど、それ以外はあまり緊 張しないし、自分を追い込むこともほとん どないかな」と語るのが、ジムカーナレジ ェンド、四国の菱井将文選手だ。GRヤリ スで全日本ジムカーナ選手権BC3クラス を戦いながら、GR86/BRZ Cupに参戦す るレーシングドライバーでもある。

菱井選手は、「スタート前は、コースの ことしか考えてなくて、このセクションは

こう走ろうとか、最後のおさらいとして、 失敗しやすいポイントを考えてる。スター ト前は、見える範囲で他の選手の走りをチ ェックします。全日本ドライバーが失敗す るところは自分も失敗する可能性が高いか ら、もう一度イメージを組み直す感じやね。 クラッチを繋いだ瞬間からチェッカーを受 けるまでは、何も覚えてない。どこで息を 吸ったのかもわからん(笑)」とのことで、い わゆるゾーンに入るタイプのようだ。

それでも、「ジムカーナはどれだけ失敗 を少なくするかが勝負のポイント。練習は 100%以上、105%ぐらいで走るけど、本 番は95%から100%ぐらい。100%以上で 走った練習でタイムが出せるようになれ ば、気持ちに余裕ができるから、緊張もし なくなる」とのことで、高い次元での成功 事例を事前に積み重ねることで、決勝の失 敗リスクを減らすという考え方のようだ。

●

今回の取材を通じて、トップドライバー がもともと強い心臓の持ち主であるわけで はなく、悩みながら、試行錯誤を繰り返し て、戦い方を体得してきたということがわ かった。自分を律する、飽くなき自分との 戦い。これこそがジムカーナとダートトラ イアル競技の醍醐味なのかもしれない。

2025年JAF全日本ラリー選手権第3戦 「YUHO Rally飛鳥 Supported byトヨタユナイテッド奈良」 開催日:2025年5月16~18日 開催地:奈良県天理市周辺 オーガナイザー:SYMPHONY 共催:OECU-AC 特集 ラリーと地域振興/Regional development with rally 合言葉は「ラリーで奈良を元気にしよう!」 32年ぶりの全日本選手権大会、成功裏に閉幕

日本ラリー選手権シリーズは、 近年では年を追うごとに人気が 高まっている。それに伴い、従 来よりも開催規模の拡大を目指すオーガナ イザーも多く、開催予定地域の地方公共団 体や関係組織との深い連携を得たラリー・ オーガナイズがテーマとなっている。

そんな中で、全日本ラリー選手権第3戦 「YUHO Rally飛鳥 supported by トヨタ ユナイテッド奈良」が5月16~18日に開 催された。この大会はモータースポーツク ラブシンフォニーオブ京都(SYMPHONY) がオーガナイザーを務め、昨年までの京都 府京丹後市から奈良県という新天地へ舞台 を移した、記念すべき第1回大会だった。

そして、ラリー開催には多くの困難が伴 うものだが、この大会は初開催でいきなり 成功を収めたことが話題となっている。

奈良県天理市を拠点としたラリー飛鳥は、 桜井市、宇陀市、山辺郡山添村、高市郡高 取町・明日香村、吉野郡吉野町・大淀町・ 下市町・黒滝村・天川村・川上村・東吉野 村という13もの市町村の後援を受けてお

り、スペシャルステージは主に奈良県南部 の町村が持つ舗装の林道が舞台となった。

サービスパーク近くの天理市役所ではセ レモニアルスタートが行われ、大会会長を 務める並河健天理市長が祝辞を述べた。

そこで並河市長は、「大変な熱意をもっ て開催まで漕ぎ着けたトヨタユナイテッド 奈良の菊池社長、13市町村をまとめてくだ さった奈良県議会の川口副議長に改めて感 謝いたします。観客の皆さん、ラリーが奈 良で開催されることには意味があるんで す。奈良はニッポン始まりの地です。そし て、ラリーは道がないとできません。実 は、日本で一番最初に“道”という名が付 けられたのが、天理市から桜井市に抜ける “山の辺の道”なんです。なので、日本で 一番古い道がある奈良県でラリーが盛り上 がれば、日本でラリーが発展することは間 違いありません」という印象的な激励の言 葉を観客とクルーに贈ってくれた。

そして、リエゾンで通過する町村までも 後援としてとりまとめた川口延良副議長 は、「個人的な観点ですが、奈良県の観光

資源は奈良市で完結している面があるんで す。それが、ラリーによって天理市を拠点 に、桜井市や明日香村などを抜けて吉野郡

天理市の並河健市長と奈良県議会の川口延良副議長。 ギャラリーステージにも積極的に視察に訪れていた。 写真の「石舞台古墳」をはじめ、数多き飛鳥路の史跡群 をたどるルートがリエゾンとして設定されていた。 あらゆる起伏が連続したラリー飛鳥の林道ステージ。車両へ の入力も厳しく、うまく複合させれば、かなりの高速セクショ ンにできる箇所もあったため、高度なスキルが求められた。

桜井市にはリグループを設置。脇阪&今井コンビのライブ配信も 土曜は桜井市役所にリグループが設置された。午前はあいにくの大雨に見舞われたが、桜 井市の前野孝久副市長や、参加選手を対象としたインタビューのライブ配信も行われた。

また、JN2クラス以降では車両重量の検査が実施され、集まった観客に公開された。

に行くといった流れができると、奈良県南 部に経済が動く、観光が動くきっかけにな る可能性があります。これは移動範囲が広 いラリーだから可能なんですよ。沿道を走 ることによって、地域と一緒に盛り上げて いける大会になったらいいですよね。一つ のモデルケースになるかも知れません」と、 ラリー開催の意義について語ってくれた。

クルーを悩ませた飛鳥の道 名付けて“奈良ブルクリンク”

今大会はかつて「関西ラリー」などで使わ れたフィールドを踏襲しており、大昔はグ ラベルだった道もすっかり舗装され、明日 香村と吉野町、東吉野村や川上村、天川 村、山添村周辺を走る設定となった。

そして、これらのステージは、狭くてツ イスティといった典型的な道もありながら、

サービスパークは天理市に設置。スタートは天理市役所で セレモニアルスタートは天理市役所で行われ、サービスパークは近隣にある天理教北大路 乗降場に置かれた。大きな歩道橋で結ばれた北5駐車場にはラリーパークが設られ、TOY OTA GAZOO RacingやJAFブース、全日本ダートトライアル選手会などが出展した。 唯一のギャラリーステージはおなじみ名阪スポーツランド 名阪スポーツランドCコースを舞台に、順走で1周するギャラリーステージが行われた。有 料ながらも早朝から多くの観客が駆け付けて駐車場は満車状態。パドックエリアにはアフ ターパーツメーカーのブース出展もあり、観客スタンドは写真のように満席状態に。

大きなうねりや起伏を持ち、高速コーナー にクレストが複合するような道もあった。 ステージの印象をドライバーに聞いた。 「土曜と日曜でキャラクターが全然違っ て、トリッキーでした。特に土曜は、ハイ スピードなショートコーナーがメインで、 かつ道幅が広かったり狭かったりするの で、ラインを取るべきかどうかの判断がす ごく難しい道でした。ペースノートを簡素 化して、ラインをどうトレースするかの情 報を入れないと全然タイムが出なくて、そ れができたアドバンテージがあって、雨で もタイムを出せたと思います」と振り返る のは、JN1を制した新井大輝選手。

「結構バンピーではあるんですが、意外と スピードが乗る印象でした。硬いアシでグ リグリ走るというよりは、欧州みたいに軟 らかいアシでバンプを超えていくような走

りが適してると感じました」と語ってくれ たのは、JN2クラスの大竹直生選手だ。 「ギャップがすごくて、僕らもタテ方向に揺 さぶられました。ハブボルトが全部折れた 選手もいたようですから。そういう道でク ルマにダメージを与えずに走れたのが勝因 ですね。レッキでコーナーの入り方を試し て、クルマを壊さないラインを見つけられ たんですが、ギャップで飛んで行っても、 着地がコース内なら大丈夫だと考えている ので、インベタで入って飛んでコー ス内に落ち着くみたいな走りを繰り

奈良出身の脇阪寿一氏と今井優杏氏がライブ配信MC を担当。児嶋順一氏を交えたトークイベントも実施。

返してました(笑)。こういう道は嫌いじゃな いので、もう少しタイムを伸ばせるかも知 れません」とは、JN4の藤原友貴選手だ。

そして、JNXクラスで2位に入ったモー タージャーナリストの清水和夫選手は、以 下のような、“名言”を残してくれた。 「ボクはニュルブルクリンクを5,000ラッ プぐらい走ってます。ニュルって路面μは 低いけど凹凸はないから、慣れれば難しく はないんです。でも、この道は細かいアン ジュレーションと大きなアンジュレーショ ン、それにバンクとか、あらゆる意地悪な 路面が出てくる。だからサスペンションや タイヤ、ドライビングがごまかせない。歴 史が長い地域なので、大昔の“古道”を舗装 したような印象があるね。木々の樹齢も長 いから、根が盛り上がって大きなアンジュ

路面補修に清掃まで。ラリーを迎える密かなおもてなし

県南部のステージに使われた林道は、ルート確定までは他の多くの林道と同様にコケ や舗装の欠損があったそうだが、開催前に欠損箇所のコンクリート補修やアスファルト 再舗装などが行われ、路面清掃もラリー前日に至るまで丹念に行ってくれていた。

県南部の地域住民のために独自展開のラリーパークを開設 大淀町の「奈良トヨペット吉野店」は、県南部町村の物産ブースやJAFブースを展開する独 自のラリーパークを設置。店内ではライブ配信上映が行われ、店先には通過するラリー カーの応援席も用意された。右写真はトヨタユナイテッド奈良の菊池武之祐社長。

レーションができちゃうんじゃないのかな。 ここはドイツのニュルより厳しい。“奈良ブ ルクリンク”だよ。ここでちゃんと走れれ ば、すごくいいクルマができると思う」。

山本磨美選手と全日本ラリーJNXを戦うラリーレジェンド・清 水和夫選手。この酷道を“奈良ブルクリンク”と名付けた。

ラリーで奈良を元気にしよう! リエゾン沿道では多くの声援が 今大会のギャラリーステージは林道セク ションではなく、ジムカーナでおなじみ名 阪スポーツランドCコースに設定された。 それもあって、特に土曜は県南部のリエゾ ンに多くのラリーファンが駆け付け、地元 住民と一緒に沿道でラリーカーを応援して いた。また、奈良トヨペット吉野店では、 天理市のサービスパークまで行けない県南 部の住民のために、店舗敷地内に独自のラ リーパークを開設。こちらも店先には多く の観客が集まって声援を贈り、長距離移動 をする選手たちの疲れを癒やしていた。 「我々は何とかしてラリーを奈良に誘致し たいと思っていました。クルマを売るだけ ではなくて、奈良県全域の皆様に良かった なと思っていただけることを目指していま す。これまで、奈良マラソンに関わらせて いただいていますが、エリアは奈良市から 天理市までなんです。今回のラリーが天理 から南側を走るということだったので、デ

ィーラーの枠を超えて支援させていただく ことになりました。この取り組みは、一年 で終わるわけではないと思っています」。

関係者の尽力により、初開催ながらも無 事閉幕した今大会。地域の理解があり、参 加者も攻略し甲斐があるステージを持つラ リー飛鳥が、日本の新たな名物ラリーとし て今後、定着していくことに期待したい。 ラリー最南端は白い提灯が連なる洞川(どろがわ)温泉街 今大会で最南端を走る「Ohmine Pass」ステージの出口には、霊峰・大峯山を抱く洞川(ど ろがわ)温泉が待っていた。ここは修験道・大峯参りの拠点として栄えてきた宿場でもあ り、木造の旅館や民宿が掲げる白い提灯が幻想的な雰囲気を漂わせていた。

こう語るのはトヨタユナイテッド奈良の 菊池武之祐社長。その思いを受け、陰の立 役者として東奔西走したのが同社執行役員 である児嶋順一氏だ。ダートトライアル経 験を持つ児嶋氏は、各所でモータースポー ツ振興に尽力してくれている御仁でもある。 「うれしかったのは、選手の皆さんがリエ ゾンで観客がすごかったと言ってくれたこ とです。いかに広域で、奈良県全域で元気 になれるかを目標に、私が勝手に“ラリー で奈良を元気にしよう!”なんてスローガ ンを掲げて動いてきましたから。主催者さ んにはいろいろな町を通ってほしいという お願いをしていて、それを船越さん(大会 組織委員長・船越潤氏)は苦労して実現し てくれました。ほぼ半年でしたが、みんな が作ってくれたラリーでした。これからお 叱りも受けると思いますが、すべてを真摯 に受け止めて、継続していきたいと思いま す」と初ラリーを振り返ってくれた。

神奈川県下で7年ぶりにラリー復活

JAF公認クローズド競技「ツール・ド・大山 2025」 開催日:2025年6月15日

開催地:神奈川県伊勢原市周辺 約70km オーガナイザー:AZUL

1種アベレージラリーである 「ツール・ド・大山2025」が、6 月15日、神奈川県伊勢原市に ある「伊勢原市総合運動公園」を拠点に、 JAF公認クローズド競技として行われた。

第

神奈川県内でのJAF公認ラリーは7年 ぶりの開催となったが、“計算ラリー”とし て2018年に行われた前回の大会も、今回 と同様に、JAF加盟クラブのチームアッス ルがオーガナイザーを務めた。

「当時はチームの母体だった(モータース ポーツショップだった)アッスルが閉店す ることになり、ラリー(開催)を続けていく ことは難しくなってしまった」とは競技長 の小川泰正氏。以降、メンバーがスピード 競技などにエントリーすることはあったも

のの、チームとしての活動は縮小していた という。そんな中で、昨年あたりからラリ ー復活を望む声がチーム員などから挙がっ てきて、復活に動き出したという。

しかし、ラリー開催にあたって7年とい う時間の経過は、ラリー開催地域に変更は なかったとはいえ一筋縄ではいかなかった。 「地元の行政や商工会、警察などとの折衝 を、自分の仕事をしながら行うことは簡単 ではなかったですね。警察には以前の実績 が残っていたようで助かりましたが、先輩 たちの大変さを改めて感じました」と小川 氏は開催までの道のりを振り返った。

これらの過程で、開催エリアに事業所を 持つ日産自動車をはじめ、大山周辺の観光 の盛り上げや地域の活性化等を図る自治体 の連絡会である「県央やまなみ協議会」の協 力を得られて、大会名称も7年前の「ツー ル・ド・伊勢原」から「ツール・ド・大山」

参加車両は26台、約60名が集結。初心者から全日本選手、埼玉・群馬のベテラン筋までと顔ぶれはさまざま。

伊勢原総合運動公園の自由広場と第3駐車場付近をラ リーの拠点としてスタート&ゴール会場とされていた。

へと規模が拡大されている。

7年前は関東デイラリーシリーズの一戦 として開催されてきた経緯のあるアッスル のラリー。来シーズンには同シリーズ戦へ の復帰が計画されている。「今年から(関東 デイラリー)シリーズ(の一戦でも)いいよ、 とは言われたんですが、ブランクもありま したし、迷惑をかけてもいけないので、一 度、単独開催しようということで今回の運 びとなりました」(小川氏)。

来年に向けて、今大会の拠点だった伊勢 原市総合運動公園の施設もすでに確保して いるという。神奈川といえば、かつては群 馬と並ぶ関東のラリー銀座として名選手を 輩出してきたエリア。小川氏としては、さ らなる計画も胸に秘めている部分もあるよ うで、久々に復活したラリー・フィールド である神奈川の今後の展開に期待したい。

日本自動車連盟

東京都港区芝大門1丁目1番

2025年8月1日発行(年4回、2、5、8、

月の1日発行)

(総合案内サービスセンター)

発行人

日野眞吾 ☎ 03(5470)1711(代)

発行所

東京都港区芝大門1丁目9番9号 ㈱JAFメディアワークス

Turn static files into dynamic content formats.

Create a flipbook