人が利用している状態を考慮した店舗空間の印象評価に関する研究

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人が利用している状態を考慮した店舗空間の印象評価に関する研究

はじめに

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公共施設において、私たちは自分と同じような行為に及ぶ人々の集団に取り囲 まれている。行列があると人気の高さを想起し、人が少ない店は高級感を漂わす。 「人サイン」という概念は存在しないだろうか。そんな疑問から研究は始まった。  就職活動をしていたとき、デパートや複合商業施設をぶらぶらと買い物をする ことが私のささやかな息抜きであった。そんなある日、某高級ブランド店の入り 口付近にあふれ出して商品を眺めようとする人々を見て不思議に思ったのであ る。  「こんなイメージのお店にしたかったのかな ... ?」  もともと行き当たりばったりで何か新しい店や商品を発見することの多かった 私にとって、店先に並ぶ行列や奥のほうで賑わいを見せているショーケースなど、 その店を利用している自分と同じような買い物客はショッピングの重要な指標で あったに違いない。私は「人」を見てショッピングをしていたのである。  店舗は商品を売る側と客の重要な接点であり、お店に訪れた人の頭の中に「印 象」というメッセージを残していく。店のブランドに対する印象がその時初めて 頭に出来上がるといった経験をしてきたのは、私だけではないはずである。しか しそういった観点において、店舗はいったいどの程度中にいるお客さんが発する 情報を考慮しているのだろうか。  冒頭の体験をきっかけに、店舗にいる人間が店の印象に与える影響を知りたい という欲が生じた。ショッピングを楽しむ客を店に誘導するうえで、現状よりも もっと魅力的な店舗の利用状態があるのではないかという考えのもと、本論文の 執筆に取り組むことを決意した。この研究が、利用者を積極的にイメージづくり に活用した新しい店舗の増加につながることを期待しているとともに、「人サイ ン」という概念の可能性を開く礎となればと思っている。

早稲田大学理工学部建築学科 渡辺仁史研究室 永田 晃一       2007 年度 卒業論文

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