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SHIRO-Paper-maison-2023

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PAPER

MAISON SHIRO EDITION

April 2024

STAY

STORIES 2 10

SHIRO の暮らしがここにある 森の都合で建てた家

何をするかよりも誰とするか̶̶ はじまりの物語

森、人、暮らし ここで寝て起きて

SHIROが描く未来に出会う

SHIROが建てた一軒の家と庭。

森の可能性を広げるための起点であり、 ラボラトリーであり、一棟貸しの宿でもあります。

ここにあるものは、私たちが描く未来そのもの。

MAISON SHIROに泊まり、未来の要素を見つけて、 それぞれの日常に変化が生まれることを願っています。

Photographs: KEITA SAWA

Text: SHINTARO KUZUHARA

リビングルームやバスルームにSHIROのスキ ンケアやフレグランス製品をご用意しています。 シャンプー、コンディショナーやボディソープ、 ハンドソープは SHIRO PERFUME の香りから 「MAISON SHIRO」のためにつくりました。

SHIROの暮らしを体感できる 一棟貸しの宿泊施設

2024年4月、SHIROは北海道長沼町にMAISON SHIROをオープンしまし た。キッチンとプライベートサウナを備え、4 名様がゆったりと宿泊でき る一棟貸しの宿泊施設です。地平線に沈む夕陽、野菜やベリーが育つ庭。 移りゆく四季を眺めながらくつろぐバスタイム。滞在中、存分にお楽しみ いただける SHIRO の製品や特別なアメニティ。産地に足を運んで素材と 出会い、自然素材の恵みを最大限に引き出してものづくりを続けてきた SHIROの暮らしを体感していただけます。

MAISON SHIRO のリビングには、旧砂川本店の壁に掛けられていた「 Simply Simple 」の額が飾られています。これはSHIROの前身である LAUREL(ロ ーレル)を設立する時にブランドプロデューサーの今井浩恵が書いた、も のづくりに対する姿勢です。自然の素材をシンプルに使い、素材の良さを 最大限に引き出すという私たちの想いをまとめたもの。

自然の素材をシンプルに Simply Simple

SHIRO はブランドをスタートさせてから今日まで「自分たちが毎日使いた いもの」をつくり続けています。製品をつくる時にも、店舗を設計する時 にも、そして、家をつくる時にも大切にしていることは同じです。MAISON SHIRO は、「Simply Simple 」の考え方で建てた、私たちが毎日過ごした い家です。

森の都合に合わせて建てた家

SHIRO の製品が誕生するきっかけは、いつも生産者の方々や素材との出 会いです。畑や海を訪れて、農家や漁師と出会って彼らの想いを聞くよう に、MAISON SHIRO を建てるにあたり、木こりの案内で森を歩き、間伐 される木の中から柱や壁に使う木を選びました。図面や模型だけを見なが ら建築を進めていくことに違和感を覚えたのです。自ら素材と出会い、生 産者に会い、木の良さを最大限に引き出したい。宿泊される方々はもちろ んのこと、森で働く人や、家を建てる人も幸せにしたい。

MAISON SHIRO は、人間ではなく森の都合に合わせて建てました。地球 の未来を真剣に考えている木こりから木材を買い、余すことなく使い切り、 廃棄物を減らすことに挑戦しています。規格外の野菜が不格好でも美味し く食べられるように、木材に節や割れがあっても、石材の大きさや色が異 なっていても立派に機能します。割れ目のある柱や、節のある板材も、唯 一無二の個性があり、それこそが美しさだと思うのです。

やわらかな朝の光が差し込む パウダールームで身支度を整える

玄関をくぐり、ドアを開けると最初に目に留ま るように設計したパウダールーム。シンプルで 凛とした佇まい、上から差し込む光、やさしい 香り。新しい 1 日のスタートを、時間の許す限 りゆっくりお過ごしください。

製品の原料となる素材の 蒸留施設「シロラボラトリー」

宿泊棟の隣には、近隣で採れた自然素材を蒸留する「シロラボラトリー」 があります。フレッシュな枝葉や、森に自生する笹やヨモギを馬 ま 追 おい 山 やま の天 然の湧水を用いて蒸留し、製品に使用します。サウナのロウリュはここで 生まれた蒸留水を使用するなど、宿泊される方には、SHIROのものづく りの気配を感じていただけます。

工場で製造の一環として蒸留するのではなく、暮らしの一部として 蒸留した時に、見えてくるものが変わる気がしています。開発の責 任者である中川が、工場がある砂川からわざわざここまでくる道中 に何を見て、何を感じるのか。植生が豊かなこのMAISON SHIROで、 食べる、寝るなどの生活を感じながらものづくりをすることで、お 客様に近づいていくと思っています。工場で蒸留しても、サウナで 使ってみようとか、料理に使ってみようとはならないんですよね。 ̶̶今井浩恵

SHIROを感じる棚 ブランドができるまで、今、そしてこれから

リビングルームの棚には、製品と一緒にSHIROを感じるアイテムが並び ます。リブランディング前、小文字時代の shiro のロゴが描かれたネオン サインは、以前出店していた福岡 PARCO 店のショーウィンドウで飾られ ていたもののひとつ。隣には今井がブランドをつくるために読んだり影響 を受けた本が並び、小さな木板や丸太は実際に MAISON SHIRO で使われ ている木のサンプルたち。ススキは SHIRO CAFE を監修する高尾僚将シェ フと、森を訪れた時に採取しました。中央にあるのは、旧砂川本店の壁に 掛けられていた、ブランドの信念「Simply Simple」。

MAISON SHIRO は、創業以来の考えや想いを生活する中で感じてもらえる “家”という形で表現しました。インテリアとして置かれているのは、今井

が SHIRO の未来を探す旅の途中で見つけた、さまざまな小物や本、絵画 など。旅はまだまだ続き、その記録として棚などのラインナップも常に変 わり続けるのです。

季節が移り変わることで彩られていく庭では、春になると一斉に草花が芽 を出し花が咲きます。そして夏には、プルーンやハスカップ、ブルーベリ ーなどが実をつけます。採れたての野菜を料理して、味わっていただくこ とも。秋になると紅葉を、冬には一面に広がる雪景色を大きなガラス窓か らご覧いただけます。自然とつながり、気分を落ち着かせることで、感覚 を研ぎ澄ませる。そんな時間をお過ごしください。

セミダブルベッド 4 台 2フロアに設けた寝室

2F の寝室からは長沼の広い平地と遠くの山々を見渡 すことができます。空の色の変化をお楽しみください。

1F の寝室はパウダールームやお風呂とつながってい て、SHIROの香りを感じながらゆっくりと眠れます。

バスルームの窓の向こうに広がる絵画のような景色は、 季節や時間でさまざまに変化します。西の空に沈む夕 陽、晴れた夜には星空を眺めながら、バスソルトで旅 の疲れを癒すバスタイムを。 季節を楽しみながら リラックスするひととき

コンロ、調理器具、キッチン家電 カトラリーや調味料まで

キッチンには自炊に困ることがないように、さまざま な設備を揃えました。ワインや SHIRO LIFE の製品な ども置いています。料理をしながら、ゆっくりと飲み ながら、未来について語り合いましょう。

プライベートサウナで感じる 北海道の自然の恵み

サウナには、北海道愛別町の白樺やカラマツの加工で 出た端材と札幌軟石を使用。本場フィンランドの I イキ KI S ストーブ TOVE を設置し「シロラボラトリー」で蒸留した蒸留 水をロウリュにお使いいただけます。

自分の手で薪をくべる 森の恵みから暖を取る

着火剤などには頼らず、森の資源を活用する薪ストー ブ。松ぼっくりと枝に着火し、その火をゆっくりと薪 に移す。火を眺め、暖かさを感じながら、ソファでじ っくりと読書や考え事にふけってください。

季節によってプルーンやハスカップ、ブルーベリーが 実り、アスパラガスなどの野菜も育ちます。自らの手 で収穫して、そのまま召し上がったり、お料理したり しながら、旬の美味しさを味わえます。 四季を映す庭で 自然との調和を楽しむ

MAISON SHIROは家一棟をまるごと貸し切っていただく バケーションハウスです。

最大 大人 4名様(お子様もご宿泊いただけます)までの ご宿泊でゆったりとお使いいただけます。

PLAN

素泊まり料金プラン

・大人 2 名様 130,000円(税込)~

・大人 3 名様 150,000円(税込)~

・大人 4 名様 170,000円(税込)~

※最大 大人 4 名様ご宿泊いただけます。

※ 3 歳以上のお子様は大人料金となります(3 歳未満の乳幼児は無料)。 ※料金は曜日によって変動します。

※お支払いは予約時にクレジットカードでお支払いください。

MEAL

朝食セット 1 名様につき、プラス 1,500円 ・オリジナルコーヒーとハーブティーが付いていますので、 ご自由にお飲みいただけます。

夕食のプランはございませんが、キッチンには基本的な調理器 具と調味料がございますので、料理をお楽しみいただけます。

また、近郊の新鮮野菜などを使ったおすすめのレストランやオ ードブルがテイクアウトできるレストランをご案内いたします。

EQUIPMENT

・フリー Wi-Fi 完備

・セミダブルベッド 4 台

・駐車場(無料)

CHECK IN / CHECK OUT

チェックイン 15:00-18:00

チェックアウト 8:00-11:00

RESERVATION

予約、詳細はウェブサイトをご確認ください。 https://maisonshiro.jp

MAISON SHIRO はじまりの物語

何をするかよりも、誰とするか── 。 地球や社会について考え、活動する誰かに出会った時に 「一緒に何をしよう、何をしたら社会がより良くなるだろう?」 と考えて実践してきた SHIRO 。MAISON SHIROも、 人と人との出会いからはじまりました。

Photographs: KEITA SAWA, KENGO SONE (P13)
Text: SHINTARO KUZUHARA

きっかけとなった、コロナ禍の出会い

まず大きなきっかけになったのは武隈洋輔さん。MAISON SHIROの隣で、 一棟貸し切りのバケーションハウス「MAOIQ」を2017年から運営し、何 もしない贅沢を味わえる宿として、馬 ま 追 おい 山 やま などがある自然豊かな長沼町で たくさんのお客様を迎え入れています。コロナ禍にワーケーション先をネ ットで探していた今井は、この宿と出会うのです。

もともとSHIROの製品が好きで、プライベートでもMAOIQでも使 っていたんです。香りはもちろん、北海道生まれのブランドで、が ごめ昆布や酒かすなど北海道の自然素材を使っていることに惹かれ ました。

̶̶武隈洋輔

大切なお客様を迎え入れるアメニティにSHIROを選んでくれている。オ ーナーである武隈さんと何か一緒にやってみたいという直感から、今井は 2021 年 10 月に MAOIQ に宿泊します。そしてどんな人でも惹きつけてしま う武隈さんの人柄に惚れ込み、SHIRO として「一棟貸しの宿」を持つこ とを考えはじめました。武隈さんがいて、MAOIQ があったことが、自然 とSHIRO を長沼町に引き寄せたのです。

そんな時、友人の勧めで、今井は淡路島にある宿を訪れました。「五感を 取り戻す滞在」をテーマにした 1 日 1 組限定の貸別荘「ISLAND LIVING」 です。潮風が吹き抜ける気持ちの良い物件をフルリノベーション。間仕切 りのない開放的な間取りや、光や風を五感で感じるように考えられた建物 でした。その空間に散りばめられたメッセージに今井は強く感動したと言 います。

古い建物を活かしつつ、より美しく、より居心地良く再構築されて いました。淡路島の自然環境を感じる、とても素敵な空間だったの です。そして、置かれている家具や本から、未来をより良くしよう という想いを感じ取りました。直感的に、ここを設計した人と一緒 にSHIROの空間をつくりたいと感じて、宿のスタッフさんに誰が設 計したのか尋ねたら、「ここのオーナーが設計したのだ」と。しか も「捨てないお店づくりを考えている人」と聞き、すぐに連絡を取 りました。

̶̶今井浩恵

武隈洋輔  Yosuke Takekuma

長沼・馬追の自然や食に魅了されて札幌から移住。たくさんの人 に「ここで暮らしたい」と感じてもらいたいという想いから、一 棟貸し切りのバケーションハウス「MAOIQ」を2017年にオープン。 2019年には 2 棟目となる「MAOIQ komfort」もオープン。長沼町 観光協会副会長も務める。

小倉寛之  Hiroyuki Ogura 京都造形芸術大学(現 / 京都芸術大学)芸術学部環境デザイン学 科卒。「cafe co.」勤務ののち、2011年インテリアデザイン事務所 「DRAWERS」を設立。循環し、未来につながる創作活動に取り組 む。2020年より、クライアントワーク以外の活動をスタート。

オーナーの小倉寛之さんはインテリアデザイン事務所「DRAWERS 」の代 表。大阪を拠点に日本各地の商業施設のデザインを手掛けています。しか し、インテリアデザイン業界の慣習に疑問を持っていたと言います。

建築や空間のデザインにも流行があり、商業施設や店舗デザインに は “新しさ” が求められます。まだ使える壁や棚や陳列台が、新鮮 さを出すために新しいものに置き換えられ、それまで使っていたも のは捨てられる。トレンドが移り変わるスピードはとても速く、つ くっては壊し、捨てて、またつくって、捨てての繰り返し。コロナ 禍で仕事が減ったことをきっかけに、自分が本当につくりたい空間 についてじっくり考え、ISLAND LIVING をはじめました。

̶̶小倉寛之

渋谷PARCO POP UP STOREでは、木造建築の解体材をディスプレイに 再活用し、什器などを持ち込み廃棄物を出さないお店づくりを叶えた。

コロナ禍は今井にとっても転換期でした。SHIROの製品をより多くのお 客様に届けるために、世界に名を馳せるラグジュアリーブランドと肩を並 べようと必死で走っていた時に、世界中の動きがストップ。忙しさのあま り多くのことを犠牲にしていたことに気が付き、「SHIROが目指すべき未 来」を考え直していた時期だったのです。同じ時期に同じように未来を 考えていた小倉さんに共感し、ルクア イーレ店やルミネ池袋店のリニュ ーアル、渋谷PARCOでのポップアップストアなどの設計を依頼しました。 そして、小倉さんのデザインにさらに惹かれ、もっといろいろな空間を一 緒につくりたいと思うようになっていきます。

3 人目のキーパーソンである高山泉さんはその頃、北海道砂川市で「みん なの工場」のプロジェクトマネージャーとして、計画全体をまとめていま した。今井が森に関心を強めていたのもちょうどその頃。工場の現場確認 の合間を見ては、北海道の森を訪れていました。そこで働く、持続可能な 森づくりを実践している木こりの皆さんとの出会いによって、みんなの工 場のデザインが急遽変更され、外壁材として北海道のカラマツの間伐材が 有効活用されることになったのです。

地域の皆さんと SHIRO が実現したいことのすり合わせ、突然やってくる 計画の変更、迫りくる工期。さまざまな無理難題を調整し、プロジェクト を進める高山さんに、今井は絶大な信頼を寄せていくことになります。同 時に、世界的な建築や都市計画のコンサルティング企業のスタッフとして 工場建設に関わっていた高山さんの心境にも変化がありました。

未来を見据えて森林を管理する木こりの皆さんや、廃棄物を出さな いように空間をデザインする小倉さん。SHIRO に関わるさまざま な人たちが、自分自身が本当に良いと思える仕事に打ち込む姿を見 ながら「自分もそうありたい」と考えるようになりました。

̶̶高山泉

高山泉  Izumi Takayama 大阪府生まれ。大学院卒業後、建築や内装の設計事務所で意匠設 計やディレクションを担当。2007年アラップ入社。建設関連のプ ロジェクトマネジメントに従事。2024年独立。

4人からはじまり、みんなでつくる

今井がこの 3 人と一緒にやりたいこと。それが「一軒の家をつくり、森の 都合に合わせた暮らしを体感してもらう」ことでした。森の都合に合わせ て建てた家に、自然の都合に合わせてつくった SHIRO の製品を置く。隣

には蒸留施設を設け、暮らしに近いところでものづくりをする。小倉さん が全体をデザインし、高山さんがチームをひとつにまとめ、武隈さんがお 客様を迎え入れて MAISON SHIRO の想いを伝えていく。そんな空間をつ くることを決めたのは、2022 年でした。

しかし既存の建築の進め方・宿泊施設のつくり方では「森の都合に合わせ る」ことができません。なぜなら、森ではなくビジネスが中心にあり、で きるだけ安く・速く・効率的に進めることを目指しているからです。例え ば、日本にはたくさんの森があるのに、実際に使われている木材の半分以 上が輸入されています。そのほうが安く簡単につくれるからです。

工事現場での打ち合わせ風景。現地に足を運び、直接見て、話を して決める。SHIRO が何においても大切にしていることです。

MAISON SHIRO を建てるために森の木を伐採するのではなく、森を保全す るために木こりの皆さんの手で丁寧に間伐された木を、最大限に使用する ことを、私たちは目指しました。それが SHIRO が思い描く、森の都合に合 わせた家づくりです。また、できる限り廃棄物を生み出さないために、余 った木材で家具をつくるなど工夫をしています。解体した時に再利用した り、土に還せるように、天然素材にこだわり、接着剤も極力使用していま せん。一部に皆 かい 伐 ばつ ※によって伐られた木を使うことになり、今後への課題 が残りました。こうした「SHIRO らしさ」「SHIRO が目指す未来」を体現 する一軒家をつくるには、当然4人では足りません。今回のプロジェクト に共感して参加いただいた北海道の専門家の皆さんをご紹介しましょう。

プロジェクトの最初から引き渡しの日まで、特に深く長く関わってくださ ったのが、施工を担当してくださった武部建設の武部豊樹さんと金子大介 さん、そして、小倉さんのデザインと武部建設の施工との調整を担当した 建築家の中野剛育さんです。

皆伐 皆伐とは、林業における伐 ばっ 採 さい 方法のひとつ。対象とな る森林の区画にある樹木を 全て伐採する方法です。環 境の変化が激しく、生物全 体へ大きな攪乱を与えてし まうため、SHIROは間伐を 推奨しています。

武部建設 武部豊樹 Toyoki Takebe | 金子大介 Daisuke Kaneko 1946年創業。北海道岩見沢市と三笠市に事務所を構える建設会社。 道産材、国産材を使った木造住宅にこだわり、省エネルギーで暖 かく開放感のある空間を得意とする。自社で所有する森や古民家 再生などを通じて、大工の技術継承・育成にも力を入れている。

森の都合に合わせてつくる

当初 1 本の柱で設計していましたが、間伐した 木が細かったため、2 本の柱に変更。森の都合 に合わせるとこうなりました。木の水分が抜け て割れが生じていますが、強度には問題はあり ません。普通の建築物では見えない部分が見え るのもMAISON SHIRO ならでは。

森の都合に合わせた建築を実現するため、みんなで森に集まり、林業の課 題や、持続可能な森づくりについて話し合いました。間伐にも立ち会い、 使う木一つひとつを自分たちで確認していきます。その後、製材所にも足 を運び、建材に加工される様子を見学しました。日本全国の生産者を訪 ねてものづくりをしてきた SHIRO にとってはごくごく自然なことですが、 建築の世界では珍しいことだったようです。

早くから北海道の木材を使い、大工の技術向上にも努めている武部建設の お二人にとっても、新しい挑戦に戸惑ったことも多い一方、学びは大きか ったと振り返ります。

間伐材は反ったり割れたりする可能性があり不安定なので、通常は 柱や梁に使うことはありません。でもMAISON SHIROでは使用して いるんです。もしかすると数年後、数十年後、どこかに支障が出て くるかもしれません。そのリスクを踏まえたうえで、それでも森の 資源を無駄にせず未来を良くしようとチームがひとつになれたから こそ、私たちも新たな挑戦に取り組むことを決意できました。私た ちの普段の仕事は、速く、安くつくることを追求し過ぎているのか もしれませんね。

̶̶武部建設(武部豊樹 / 金子大介) 武部建設では、今回のプロジェクトで得た学びを自社の建築仕事に活かそ うと、すでに準備を進めています。

普段はカタログから選ぶので、実際に木を倒す瞬間や製材する過程 について学ぶのは初めてでした。分業は合理的だと思っていたので すが、必ずしもそうではありません。特に森の都合に合わせて廃棄 物を減らそうとする時には、もっとみんなで状況を共有し、無関心 だったことや諦めていたことに焦点を当てる必要がありました。 ̶̶高山泉

こう語る高山さんが特に時間をかけたのは、限られた量の広葉樹の丸太を 余すところなく使い切ること。太さがバラバラな丸太に対し、金子さんが リストアップしてくれた必要な木材をどの丸太から取るか、実に複雑なパ ズルです。

中野剛育  Takeiku Nakano 「ナカノ設計店」代表。ただモノを売るだけでなく、下町の商店 のようにお客様の生活の質を高めるようなコミュニケーションを

指している北海道の建築家。

武部建設の金子さんが今回のプロジェクトに絶対に必要だと直感し、参加 してもらった建築家の中野さん。丁寧な仕事と北海道で家を建てる知識、 現場の都合とデザインの良さのバランスを高次元で保てたのは中野さんが いたからこそ。

途中で木材が足りなくなったら購入すればよいと、全員が考えてい ました。しかし今井さんは、一貫して「森で仕入れた木材だけを使 って建てる」と考えを貫きました。そこで、プロジェクトチームが 腹を割って話し合い、リスタート。森で仕入れた木材だけを使う場 合の方法を整理しました。それは私の仕事の範疇ではなかったのか もしれませんが、そこを頑張ればプロジェクトが前進することが明 らかだったので、引き受けることにしました。メンバーがそれぞれ 自分の責任を超えてお互いの仕事を理解し合い、支え合うことで、 MAISON SHIRO が実現できたのだと思います。

̶̶中野剛育

足りなくなったら木材を買う、少し余分に購入して、余ったら捨てる。そん な自分たち都合の合理性を優先した建築からの脱却は、誰もやったことが ないこと。たくさんの困難がありましたが、一人ひとりが「やるべきこと だ」とわかったからこそ、妥協せず、最後までやり切ることができました。

できてからが本当のはじまり

MAISON SHIRO に泊まる時にはぜひ、家の中をじっくり見て回ってくだ さい。床、扉、柱、家具、本、絵画……。一つひとつに、想いと意味を込 めています。来て、食べて、寝て、起きて。あらゆる瞬間、あらゆる細部 を存分に味わい、その意味を考えてもらえたらうれしいです。帰る時には クラクラするほどの刺激を受けて、日常に持って帰ってください。

MAISON SHIRO の物語はまだはじまったばかりです。建築中は雪で覆わ れていた庭には、野菜やハーブを植える予定ですし、インテリアや置いて ある本も今井が世界中を見て回りながら、その時にピンとくるものへとア ップデートしていくことになるでしょう。MAISON SHIRO に泊まりに来 てくれた人の中にも、SHIRO と一緒に未来をつくっていく、まだ出会っ たことのない人がいるかもしれません。はじまりはデザインしました。こ こからどんな出会いがあって、どんなふうに未来が変化していくのか。そ れが今から楽しみです。

MAISON SHIRO の 森の都合に合わせた 建物づくり

外壁にはトドマツの丸太から 構造材を切り出したあとの材を活用

丸太は丸いのに、柱や梁に使われる木材は四角い。 不思議に思ったことはありませんか? 実は角材を 切り出すために、多くの部分が切り落とされている のです。切り落とされた部分を活用して、外壁材を つくりました。

合板の使用は最小限にし できるだけ製材を活用

合板は非常に便利な建材なのですが、合板に使用さ れている接着剤や防腐剤が人体に影響を及ぼすと言 われています。食べられる素材でSHIRO の製品を つくる考え方を建物にも応用し、MAISON SHIRO はできる限り化学物質を使用せずに建てました。

みんなの工場の建設時に出た 余剰材を活用

ドアハンドルに白樺の皮を巻いて 新たなデザインを提案

ドアハンドルに白樺の樹皮を巻きました。北海道北 竜町で、豊かな自然を残す里山を管理する上井達矢 さんの森で採取したもの。丸太だけでなく、枝や葉 なども含めて森林資源を活用し、持続可能な森林管 理を後押ししたいと考えています。

石の端材を使った 唯一無二の組み合わせ

トドマツの端材を サイドテーブルや塀に

柱や梁などの構造材を切り出し、さらに外壁材を切 り出して残った、木の「耳」と呼ばれる表皮に近い 部分を束ねて、ベッドサイドのテーブルを製作しま した。渋谷PARCO POP UP STOREのディスプレイ 台は同じ考え方で製作しました。

ザツカバの端材で ドアの取っ手を製作

建築で余った木材で家具を製作。それでもなお余っ てしまったザツカバの端材が、北海道在住の木工作 家、内田悠さんと辻有希さんの手によって、ドアハ ンドルに生まれ変わりました。

@yuchidauu @_aki_tsuji

ロウリュ用の水を溜める容器は 旧砂川本店のガラス容器を再利用 建設現場では、不良品や作業ミスを見越して少し多 めに建材が発注されています。みんなの工場を建設 した時に余ったフローリングやウッドデッキの床材 を MAISON SHIRO でも使用。床の形成にも接着剤 を使わず釘だけで留めています。

繰り返し使用できる試香ツールとしてSHIROの店頭 で採用している札幌軟石を、MAISON SHIROのサ ウナの壁にも使用しています。採石場で積み上げら れていた端材を選別し、パズルのように組み合わせ ました。ランダムな表情をお楽しみください。

ロウリュに使う水を溜めるフラスコは、旧砂川本店 で手洗い用の水を溜めていたものを再利用。静かに SHIROのストーリーを伝えてくれています。ある店 舗で不要になったものを、他の店舗で活用するなど、 SHIROは捨てないお店づくりに取り組んでいます。

ADDRESS

北海道夕張郡長沼町加賀団体

ACCESS

新千歳空港から車で 25 分 / 札幌から車で 1 時間

屋外駐車場 / 乗用車 4 台 ※送迎サービスはございません。 ※レンタカーや自家用車でお越しください。 (冬は4WD、スタッドレスタイヤをご装着ください。)

RESERVATION

予約、詳細はウェブサイトをご確認ください。 https://maisonshiro.jp

SAPPORO

みんなの工場 25 mins 60 mins 60mins 60 mins 70mins

新千歳空港

SHOP LIST

北海道

SHIRO 砂川本店

SHIRO 札幌ステラプレイス店

関東

SHIRO 表参道本店

SHIRO BEAUTY 表参道本店

SHIRO 自由が丘店

SHIRO NEWoMan 新宿店

SHIRO ルミネエスト新宿店

SHIRO 伊勢丹新宿店

SHIRO 丸ビル店

SHIRO 銀座三越店

SHIRO +Q(プラスク)ビューティー

北海道砂川市豊沼町 54-1 みんなの工場内

北海道札幌市中央区北 5 条西 2-5 JR タワー 札幌ステラプレイス センター B1

東京都渋谷区神宮前 5-2-7 2F

東京都渋谷区神宮前 5-2-7 B1F

東京都目黒区自由が丘 2-9-14 アソルティ 1F B1F

東京都新宿区新宿 4-1-6 NEWoMan 新宿 1F

東京都新宿区新宿 3-38-1 ルミネエスト新宿 B1

東京都新宿区新宿 3-14-1 伊勢丹新宿店本館 1 階=化粧品

東京都千代田区丸の内 2-4-1 丸の内ビルディング B1F

東京都中央区銀座 4-6-16 銀座三越 地下 1 階 ギンザコスメワールド

東京都渋谷区渋谷 2-24-12 渋谷スクランブルスクエア     渋谷スクランブルスクエア店 ショップ&レストラン 6階 SHIRO +Q(プラスク)ビューティー店

SHIRO 渋谷ヒカリエ ShinQs店

東京都渋谷区渋谷 2-21-1 渋谷ヒカリエ ShinQs 1F

SHIRO ルミネ池袋店 東京都豊島区西池袋 1-11-1 ルミネ池袋 B1

SHIRO 玉川髙島屋S C店 東京都世田谷区玉川 3-17-1 玉川髙島屋 S C 南館 1F

SHIRO ルミネ北千住店 東京都足立区千住旭町 42-2 ルミネ北千住 3F

SHIRO ルミネ横浜店 神奈川県横浜市西区高島 2-16-1 ルミネ横浜 1F

SHIRO ルミネ大宮店 埼玉県さいたま市大宮区錦町 630 番地 ルミネ大宮店 ルミネ 2 3F

SHIRO/TIAT DUTY FREE BEAUTY 東京都大田区羽田空港 3-4-2 第 2 ターミナル 3 階 国際線出国エリア内

ADDRESS / ACCESS

北海道砂川市豊沼町 54-1 0125-52-9646

JR 砂川駅より徒歩 1 分の「砂川パークホテル」と「み んなの工場」間で無料シャトルバスを運行しております。

OPEN 10:00–19:00(不定休)

・工  場 10:00–17:30(日・祝日はお休み) ・ショップ 10:00–19:00(ブレンダーラボ最終受付 18:30) ・カフェ : 11:00–19:00(ラストオーダー 18:30)

MAISON SHIRO EDITION

編集長:今井浩恵 Editor in Chief: Hiroe Imai

クリエイティブ・ディレクター:佐々木信(3KG)

Creative Director: Shin Sasaki

エディター:葛原信太郎 Editor: Shintaro Kuzuhara

表紙写真:澤圭太 Cover Photograph: Keita Sawa

フォトグラファー(P13):曽根健吾(monocyte) Photograph: Kengo Sone

中部

SHIRO タカシマヤ ゲートタワーモール店 愛知県名古屋市中村区名駅 1-1-3 タカシマヤ ゲートタワーモール 6F

SHIRO ジェイアール名古屋タカシマヤ店 愛知県名古屋市中村区名駅 1-1-4 ジェイアール名古屋タカシマヤ 3F 化粧品

近畿

SHIRO 大丸京都店

京都府京都市下京区四条通高倉西入立売西町 79 大丸京都店 1F

SHIRO ルクア イーレ店 大阪府大阪市北区梅田 3-1-3 ルクア イーレ 2F

SHIRO 阪急うめだ店 大阪府大阪市北区角田町 8-7 阪急うめだ本店 3F HANKYU BEAUTY

SHIRO 大丸心斎橋店

大阪府大阪市中央区心斎橋筋 1-7-1 大丸心斎橋店本館 1F

SHIRO 大阪タカシマヤ店 大阪府大阪市中央区難波 5-1-5 髙島屋 大阪店 1 階化粧品売場

SHIRO 大丸神戸店

九州

SHIRO 岩田屋店

兵庫県神戸市中央区明石町 40 番地 大丸神戸店 本館 1F 化粧品

福岡県福岡市中央区天神 2-5-35 岩田屋本店 本館1階=化粧品

SHIRO 博多阪急店 福岡県福岡市博多区博多駅中央街 1-1 博多阪急 1F 化粧品

台北

SHIRO 新光三越台北信義新天地 A11 店 台灣台北市信義區松壽路 11 號 1 樓

2024年4月3

日に発生しました、台湾東部の花蓮県沖を震源とする地震により被災された皆様、ご家族の方々に 心よりお見舞い申し上げます。被災地域の一日も早い復旧・復興を心からお祈りいたします。

London SHIRO Monmouth Street Ground Floor, 63 Monmouth Street, London, WC2H 9DG, UK

発行人:福永敬弘 Publisher: Takahiro Fukunaga

プロデューサー:伊藤亜由美 (CREATIVE OFFICE CUE)

Producer: Ayumi Ito

PR・校正:小林穂乃香

Public Relations: Honoka Kobayashi

PR・校正:河合裕子

Public Relations: Yuko Kawai

印刷:北海道新聞社 Print: The Hokkaido Shimbun Press

Thanks to:〈企画・設計・建築にご協力いただ いたみんな〉小倉寛之 / 高山泉 / 武部豊樹 / 金子大介 / 中野剛育 / 武隈洋輔 / 尾澤惇也 / 齋藤光久 / 山脇克彦 / 陣内雄 / 足立成亮 / 福 山寛人 / 谷知大輔 / 山脇克彦 / 吉田凱 / 野中 穂 / 内田悠 / 辻有希 / 上井達矢 / 北崎千鶴 / 水島直樹 / 稲荷山勇雄 / 岩木克仁 / 緑川新之 介 / 山崎正夫 / 齋藤良彦 / 平井儀一 / 柏雅美 / 小野孝輔 / 髙田和孝 / 名内隆 / 岡田明子 / 佐々木健一 / 谷口哲也 / 後藤猛 / 川波宇澄 /

発行:株式会社シロ

お問い合わせ TEL: 0120-275-606

MAIL: info@shiro-shiro.jp

PR・撮影:笹木舞子 Public Relations: Maiko Sasaki

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